【不動産売買契約と解除】手付放棄と手付倍返しとは/契約解除のタイミングと方法とは?初学者にもわかりやすく解説!

【不動産売買契約と解除】手付放棄と手付倍返しとは/契約解除のタイミングと方法とは?初学者にもわかりやすく解説!

▼この記事でわかること
不動産売買契約の超基本
契約解除のタイミング
契約解除の方法(手付放棄・手付倍返し)
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者にもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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不動産売買契約の超基本


 いきなりですが、まずは事例をご覧ください。

事例
売主Aは買主Bと甲建物の売買契約を締結し、BはAに手付金を交付した。しかし後日、Bはこの売買契約を解除したいと思い、Aに甲建物の売買契約の解除を申し入れた。


 さて、この事例で、Bは甲建物の売買契約を解除できるでしょうか?

    手付金
売主A  買主B
  売買契約
   甲建物
   解除申入れ
売主A  買主B

 結論は......の前に、まず不動産の売買契約の基本について簡単に解説します。

 不動産の売買契約は、コンビニでの買い物とは訳が違います。
 不動産売買契約の大まかな流れは次のようになります。

購入の申し込み

重要事項説明

売買契約の締結と同時に手付金の授受

残金の決済と同時に引渡し(登記手続き)


 正確にはもっと細かくあるのですが(ローンの契約、仲介なら不動産業者との媒介契約などその他諸々)、ざっくりとこんな感じになります。


契約解除のタイミング


 では、不動産の売買契約の解除というのは、どのタイミングでどのように行うのでしょうか?
 まずは民法の条文をご覧ください。

(手付)
民法557条
買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
2項 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。

 契約の解除のタイミングですが、上記民法557条の条文にあるように、相手方が契約の履行に着手するまででないとできません。
 これは事例に当てはめると、買主Bが契約の解除をするには売主Aが履行の着手をするまでに行わないといけない、となります。

 履行の着手
とは「かなり具体的に履行をしようとした」という意味です。
「履行の準備」では履行の着手とは考えられていません。
 厳密には判例を見て個別具体的な判断をしなければなりませんが、過去の実際の事例では「買主が代金の用意をして、売主に物の引渡しを催告した」ことが履行の着手と判断されました。

 まあ、ここであまり細かく突き詰めてしまうと話が進みませんので、履行の着手とは「かなり具体的に履行をしようとした」と、ざっくり覚えてしまってください。


契約解除の方法


 では「契約の解除をどのように行うか」ですが、これは買主と売主によって異なります。

・買主の場合
売主に渡した手付金を放棄して行う。(不動産用語で手付流しといいます)

・売主の場合
買主からもらった手付金の倍額を買主に償還して(買主に払って)行う。(不動産用語で手付倍返しといいます)

 このようになります。
 なお、上記の手付放棄・倍額償還をすることで、それ以外の損害賠償は支払わなくてもよい、としています。
 だからこそ手付流し・手付倍返しなのです。
 以上のことをまとめると

・買主は、売主が履行の着手をするまでは、交付した手付金を放棄して、契約の解除ができる。
・売主は、買主が履行の着手をするまでは、手付金の倍額を買主に償還して、契約の解除ができる。


 となります。
 すると今回の事例で、買主Bは甲建物の売買契約の解除ができるのか?

    手付金
売主A  買主B
  売買契約
   甲建物
   解除申入れ
売主A  買主B

 結論。
 買主Bは売主Aが履行に着手するまでは、交付した手付金を放棄して、甲建物の売買契約の解除ができる、ということになります。


 以上、不動産売買契約と解除についての基本になります。
 不動産売買契約の問題は、宅建試験にせよ行政書士試験にせよ散々問われることになりますので、今回の解説の基本的な内容はしっかり覚えておいていただければと存じます。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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