2017/10/31
不動産登記の超基本 登記をしなければ法律で守ってもらえない?
今回は「登記」、加えて「物権」というものについて、ご説明申し上げたいと存じます。ところで皆さん、登記というものについては、おわかりになりますでしょうか。
土地や建物といった不動産は、登記をすることによって所有権を取得します。この所有権とは、物権です。物権とは、物を排他的に支配する権利です。排他的に支配する権利とは、噛み砕いて言うと「他人を蹴散らして堂々とワタシのモノだ」言って所有・使用する権利です(ちなみに民法の世界では、物を「モノ」ではなく「ブツ」と読みます。なんだか怪しい読み方ですが(笑)。民法ではそのようになっております)。
不動産は、登記をしなければ所有権という物権を取得し、排他的に支配することができません。いや、厳密に言えば、登記をしなくても所有権を取得する事はできるので、もう少し正確に申し上げると、不動産は登記をする事によって、所有権という物権が法律で保護されるのです。
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
民法177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律に定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
上記の条文で「登記をしなければ、第三者に対抗することができない」とあります。物権(所有権)を取得できないとは書いていません。第三者に対抗できないと書いています。
第三者に対抗できない?
要するに、法律上登記をしなければ他人(第三者)に所有権(物権)を主張(対抗)できないということです。法律上主張できないという事は、法律で守ってもらえないということです。法律で守ってもらえないという事は、実質、所有権(物権)を取得できないのと変わりませんよね。この土地はワタシのモノだ!と堂々と言えないって事ですから。結婚していない彼女を「オレの嫁だ!」と言えないのと一緒です(笑)。結婚していない彼女のお父さんに「おとうさん」と言っても「オマエのおとうさんになった覚えはない!」と言われてしまうのと一緒です(笑)。しかし、結婚すれば法律上認められた家族になります。彼女のお父さんとも法律上の姻族関係になります。堂々と「お義父さん」と言えるのです。話は逸れましたが、この辺りの家族関係に関しては後々、家族法分野で詳しく解説いたします。
尚、不動産登記をして所有権という物権が法律で保護されている状態を、対抗要件を備えるといいます。対抗要件とは、第三者に正当な権利を主張(対抗)するための要件です。
公示の原則
不動産の登記のルールは、公示の原則に従って定められたものです。公示の原則とは、「排他的な権利変動は客観的に認識できる形で権利関係を公に示すべき」という原則です。もう少し噛み砕いて分かりやすく言うと、「物の権利関係は他人から見てわかりやすい形にしよう」という事です。それを不動産の場合は、登記という画一的なルールにより行っているのです。
以上、不動産の物権(所有権)における登記というものについて、ご説明申し上げました。こんなこと資格試験なんかにはあんま関係ないんじゃね?と思われる方もいらっしゃると思います。確かにそうなのですが、この辺のことをしっかり押さえておくと、後々民法の学習を進めていくにあたり、内容の頭の入り方が違ってきます。よりすんなり頭に入りやすくなるのです。加えて、社会のルールの基本として、頭の片隅に入れておいて頂く分に損もないと思います。ただ、民法の学習を急いでいる方は、飛ばしてしまってもかまいません。
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