【強行法規と任意法規】その意味と違い/民法の基本原則:契約自由の原則について初学者にもわかりやすく解説!

【強行法規と任意法規】その意味と違い/民法の基本原則:契約自由の原則について初学者にもわかりやすく解説!

▼この記事でわかること
強行法規とは
任意法規とは
契約自由の原則について
強行法規と任意法規では効力が違う
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者にもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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強行法規と任意法規


 さて、いきなり強行法規と任意法規と言われても、何が何だかって感じですよね。
 実際、一般的に馴染みもない言葉だと思います。
 しかし、法律について考えるとき、この強行法規と任意法規というものは非常に重要なのです。
 なぜ重要かと言いますと、実際にその法律が我々にどういう効果をもたらすか、という問題に直結するからです。

 え?それヤバくね?

 はい。ヤバいです。
 ですので、今から解説いたします。


強行法規とは


 強行法規とは、問答無用に適用される法規です。
 は?ですよね(笑)。
 はい。
 今からもっとわかりやすく噛み砕いて解説します。

 詐欺強迫についての解説記事でも触れましたが、その際に、「詐欺取り消されるまでは有効」強迫無効そもそも成立すらしていない」という解説をいたしました。
 この、強迫に関する無効の規定こそ、強行法規と呼ばれるものです。
 強迫による契約は無効、つまり、そもそも成立すらしないですよね。
 そもそも成立すらしない、というのは問答無用で無効、という事ですよね。
 それが強行法規というものです。


任意法規とは


 強行法規の説明で、詐欺と強迫のお話をいたしました。
 そして、強迫による契約無効の規定は強行法規だ、と申し上げました。

 あれ?じゃあ詐欺の契約は?

 はい。
 実は、この詐欺の契約のように、取り消されるまで有効な契約は、任意法規に属するものになります。
(詐欺も、あまりに悪質なものであったりなど、場合によっては公序良俗違反で無効になることもありますのであしからず)


契約自由の原則

女性講師
 ここで一度、民法の基本原則に立ち返ります。

 民法には、契約自由の原則という基本原則があります。
 この「契約自由の原則」という言葉からわかるように、基本的に契約というものは自由に決められます。
 それを民法は基本原則としています。

 つまり、民法は、基本的には我々に対し「好きにやったらええがな」という立場を取ります。
 したがいまして、我々は契約の内容を自由に決めることができ自由に契約を結べるのです
 それにより円滑な取引が実現し、ひいては経済の発展にも繋がるのです。

 ただし!
 何でもかんでも自由に決められる訳ではありません。
 なぜなら、本当に何でもかんでも自由に決められてしまうと、不備が生じてしまうからです。

 例えば、赤ん坊がバブバブ言って契約が成立しちゃったらオカシイですよね?
 コワ~イおにいさんが出てきて「テメー、ハンコ押さなかったらどうなるかわかってるよな?」なんて契約アリですか?
 メルカリで臓器の売買できますか?
 全部ナシですよね。
 ということなので、強行法規という形で、契約の自由に一定の制約を与えています。


強行法規と任意法規では効力が違う


 まとめると、強行法規は問答無用で適用され、任意法規は自由に内容を決められ自由に決められた内容によって適用されるものです。

 強迫による規定は強行法規なので、強迫による契約は問答無用で無効になります。

 詐欺による規定は強行法規ではないので、詐欺による契約は取り消すまでは有効になります。
 取り消すまでは有効という事は、自由に契約の内容を決めて、問題がなければ互いの合意で成立します。
 それが任意法規です。
 詐欺などの問題があれば、後に取消しの話になる、という事です。

 強行法規と任意法規、おわかりになりましたでしょうか。
 民法初学者の方は、まだ今ひとつわからないかもしれません。
 ですが、これから民法の学習を進めていく中で、次第に掴めていきますので、徐々にご理解お深めいただければと存じます。

 そして、最後にひとつだけ申し上げておきたいことがございます。
 今現在、もし契約関係のトラブルを抱えている方は、その契約の内容が強行法規に触れる内容なのかどうか、そこは注意してください。
 もし強行法規に触れるものであれば、そもそも成立すらしていない可能性もあります。
 逆に強行法規に触れていないのであれば、任意法規という事で、取り消すまでは有効に成立するもので、取り消すにしても何かしらの要件を満たすなど、立証が必要だったりしますので、ご注意ください。


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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