
▼この記事でわかること
・心裡留保とは
・心裡留保の無効について
(上記クリックorタップでジャンプします)
今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者にもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。

心裡留保とは
この世の中は契約社会です。
それは、口約束だけでも成立する諾成契約の存在等が根拠となっているのですが、それではこのような契約は成立するでしょうか?
俺が付けてるこのロレックスの時計、百円で売ってやるよ!※
※ロレックスは高級ブランド
結論から言いますと、この契約は有効に成立します。
これが、心裡留保(しんりりゅうほ)です。
心裡留保とは、簡単に言うと冗談のことです。(すべての冗談が心裡留保となるわけではない)
子供の頃、罰ゲームでクラスメイトの誰かに告白する、というろくでもない遊びがありましたが、その際のいわば冗談の告白は心裡留保になるかもしれません。
まだこれだけだと「だから?」という感じですよね。
ここから、さらにその問題の内容・結論に至るまでの論理を解説します。
高級時計
売主 → 買主
百円で売ってやるよ!
↑
(でもこれって本気?)
そもそも、売主は果たして本気でロレックスの高級時計を百円で売ろうと思ったでしょうか?
ひょっとしたら本気の可能性もなくはないですが、冗談で言っていると考えるのが妥当だと思います。
しかし、その冗談を相手が信じてしまっていたらどうでしょう?
ロレックスの時計の価値をよく知らない人であれば、信じてしまうことは十分ありえますよね。
すると、後でいくらあれは冗談だと言われても、相手は困りますよね。
それは取引の安全性を損なうと、民法は考えます。
それこそ罰ゲームの告白だって、一番困るのは冗談の告白をされた相手側ですよね。
場合によっては、その人の心は深く傷ついてしまいます。

心裡留保についての民法の条文はこちらです。
(心裡留保)
民法93条
意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
上記、民法93条の「表意者」とは、この場合、冗談を言った本人です。
そして「真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられ」という部分が、冗談で言った事も有効に成立してしまいますよ、という意味になります。
どうやら民法さんの前では、うかつに冗談も言えませんね(笑)。
ちなみに、民法には「この世の中は契約社会で、基本的には自己責任」という考えがベースにありますので、この考えを頭の片隅に入れておくと、民法の理解が進みやすくなります。
心裡留保の無効
また、民法93条にはただし書きがあります。
民法93条但し書き
ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
この民法93条但し書きで言っている事は「冗談を言われた相手がそれが冗談だとわかっていればその契約は無効ですよ」ということです。
先のロレックスの例に当てはめるとこうです。
「この本物のロレックスの時計、百円で売ってやるよ!」
と言われた相手が、それが冗談だとわかっていれば、その契約は無効になり、有効に成立しない。
この「相手がそれを知っていたら」という点は、民法では非常によく出てきます。
ですので、この点は注意してください。
また、先の条文では「知ることができたとき」という文言がありました。
これは「たとえ相手が、それが冗談だと知らなかったとしても、ちょっと考えればわかるようなことは、知らなかったでは済みませんよ」という意味です。
先述のロレックスの例に当てはめるとこうです。
相手がロレックスの時計の価値をわかっていて「待てよ?本物のロレックスの時計を百円で売るなんておかしいよな?」と、ちょっと考えれば十分わかることであれば、その冗談で言った事は無効になり、契約は成立しない。
【補足】
心裡留保における第三者の保護要件は無過失を要さず善意のみで足ります。(第三者や善意・無過失などについての詳しい解説は「【詐欺の超基本】善意&悪意の第三者って何?/詐欺取消後に現る悪意の第三者問題をわかりやすく解説!」をご覧ください)
以上が、心裡留保についての解説になります。
以下、ざっくりまとめるとこうなります。
「冗談で言った事でも有効に契約は成立してしまうが、相手がそれが冗談だとわかるときは無効になる」
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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・心裡留保とは
・心裡留保の無効について
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今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者にもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。

心裡留保とは
この世の中は契約社会です。
それは、口約束だけでも成立する諾成契約の存在等が根拠となっているのですが、それではこのような契約は成立するでしょうか?
俺が付けてるこのロレックスの時計、百円で売ってやるよ!※
※ロレックスは高級ブランド
結論から言いますと、この契約は有効に成立します。
これが、心裡留保(しんりりゅうほ)です。
心裡留保とは、簡単に言うと冗談のことです。(すべての冗談が心裡留保となるわけではない)
子供の頃、罰ゲームでクラスメイトの誰かに告白する、というろくでもない遊びがありましたが、その際のいわば冗談の告白は心裡留保になるかもしれません。
まだこれだけだと「だから?」という感じですよね。
ここから、さらにその問題の内容・結論に至るまでの論理を解説します。
高級時計
売主 → 買主
百円で売ってやるよ!
↑
(でもこれって本気?)
そもそも、売主は果たして本気でロレックスの高級時計を百円で売ろうと思ったでしょうか?
ひょっとしたら本気の可能性もなくはないですが、冗談で言っていると考えるのが妥当だと思います。
しかし、その冗談を相手が信じてしまっていたらどうでしょう?
ロレックスの時計の価値をよく知らない人であれば、信じてしまうことは十分ありえますよね。
すると、後でいくらあれは冗談だと言われても、相手は困りますよね。
それは取引の安全性を損なうと、民法は考えます。
それこそ罰ゲームの告白だって、一番困るのは冗談の告白をされた相手側ですよね。
場合によっては、その人の心は深く傷ついてしまいます。

心裡留保についての民法の条文はこちらです。
(心裡留保)
民法93条
意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
上記、民法93条の「表意者」とは、この場合、冗談を言った本人です。
そして「真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられ」という部分が、冗談で言った事も有効に成立してしまいますよ、という意味になります。
どうやら民法さんの前では、うかつに冗談も言えませんね(笑)。
ちなみに、民法には「この世の中は契約社会で、基本的には自己責任」という考えがベースにありますので、この考えを頭の片隅に入れておくと、民法の理解が進みやすくなります。
心裡留保の無効
また、民法93条にはただし書きがあります。
民法93条但し書き
ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
この民法93条但し書きで言っている事は「冗談を言われた相手がそれが冗談だとわかっていればその契約は無効ですよ」ということです。
先のロレックスの例に当てはめるとこうです。
「この本物のロレックスの時計、百円で売ってやるよ!」
と言われた相手が、それが冗談だとわかっていれば、その契約は無効になり、有効に成立しない。
この「相手がそれを知っていたら」という点は、民法では非常によく出てきます。
ですので、この点は注意してください。
また、先の条文では「知ることができたとき」という文言がありました。
これは「たとえ相手が、それが冗談だと知らなかったとしても、ちょっと考えればわかるようなことは、知らなかったでは済みませんよ」という意味です。
先述のロレックスの例に当てはめるとこうです。
相手がロレックスの時計の価値をわかっていて「待てよ?本物のロレックスの時計を百円で売るなんておかしいよな?」と、ちょっと考えれば十分わかることであれば、その冗談で言った事は無効になり、契約は成立しない。
【補足】
心裡留保における第三者の保護要件は無過失を要さず善意のみで足ります。(第三者や善意・無過失などについての詳しい解説は「【詐欺の超基本】善意&悪意の第三者って何?/詐欺取消後に現る悪意の第三者問題をわかりやすく解説!」をご覧ください)
以上が、心裡留保についての解説になります。
以下、ざっくりまとめるとこうなります。
「冗談で言った事でも有効に契約は成立してしまうが、相手がそれが冗談だとわかるときは無効になる」
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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