表意者(勘違いした本人)以外が錯誤による契約の無効を主張できるとき

 要素の錯誤は、表意者(勘違いした本人)に重過失(重大なミス)がないとき、表意者(勘違いした本人)が契約の無効を主張できます。
 しかし、こんな例外的ケースもございます。なんと、錯誤の無効の主張を表意者(勘違いをした本人)以外ができるときが存在するのです。つまり、あいつのあれは要素の錯誤だから無効だ!と別の人間が言えるのです。それはどんなときなのか、これからご説明いたします。

本人以外が錯誤の無効を主張できるときとは

 錯誤による無効は、原則、表意者(勘違いした本人)しか主張できません。なぜなら、錯誤の無効の規定は、表意者(勘違いした本人)を保護するためのものだからです。
 では、表意者(勘違いした本人)を保護するための錯誤の無効の主張を表意者(勘違いした本人)以外が主張できる場合とは、一体どんなときなのでしょうか?
 それは、表意者(勘違いした本人)が錯誤の無効を主張してくれないと困ってしまう人がいて且つ表意者(本人)が錯誤を認めているときです。
 この説明だけだとよくわからないと思いますので、もう少し具体的にご説明いたします。

本人以外が錯誤の無効を主張できるときの具体例

 たとえば、偽の骨董品がAからBに売られ、その後、BからCに転売された場合に、Cが錯誤の無効を主張してBC間の売買契約をナシにする、というのは通常の錯誤無効のケースだと思います。このとき、CはBからお金を返してもらう事になりますが、もしBに返すお金がなかったとき、Cはどうすればいいのでしょうか?
 そうです。このときに、CはAB間の売買契約の、Bによる錯誤の無効をC自身が自分で主張して、AB間の売買契約を無かったことにして、BのAに対する代金返還請求権を、CはBに代わって行使できるのです。つまり、Cは自分のお金をしっかり返してもらうためにBの代わりに、BがAからお金を返してもらう権利を、Bの代わりに行使できるという事です。CはAに「Bは錯誤だ!だからAB間の売買契約は無効だ!だからAはBに金を返せ!」と言えるのです。そして、そのお金でCはBからお金を返してもらう、という流れになります。
 ここでひとつ注意点があります。先述のようにCがBの錯誤の無効を主張するためには、Bが自分の錯誤を認めていることが必要です。Bが自分の錯誤を認めていなかった場合は、このような権利の行使はできません。
 尚、このような「BのAに対する権利をCがBに代わって行使する権利」を、債権者代位権といいます(債権者代位権については債権分野で改めて詳しくご説明いたします)。

補足
 最後にひとつ付け加えておきます。表意者(勘違いした本人)に重過失(重大なミス)がある場合は錯誤の無効は主張できない、という話はすでに申し上げたと思いますが、実はこの場合でも、表意者が錯誤の無効を主張できるときがございます。それは相手が表意者の錯誤を知っていたときです。つまり、相手が表意者の重大なミスを知っていたのに教えてあげなかったときは、たとえ表意者に重過失があったとしても表意者は錯誤の無効を主張できます。これは要するに「気づいてたんなら言ってやれよ!」というハナシです(笑)。
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Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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