2017/10/24
動機の錯誤の超基本~契約を無効にできない勘違いとは
まず始めに、結論だけ先に申し上げます。動機の錯誤による無効というのは、原則、主張できません。よほどやむを得ない事由(理由)がない限りです。なぜなら、動機の錯誤というのは、要するに自らの判断の誤りだからです。
という訳で、その点について、今からご説明して参ります。
動機の錯誤はテメーの判断ミス!
動機の錯誤というのは、例えば、「このりんご美味しそうだな」と思ってそのりんごを買ったが、いざ食べてみたら不味かった、というようなケースになります。つまり、「このりんご美味しそうだな」という動機を基にりんごを買ったが、その動機が間違っていたので不味かった訳ですよね。多分、これはどなたも異論がない所だと思いますが、この場合に錯誤の無効の主張を認めて、この売買契約(りんごを買ったこと)を無かった事になんか、できる訳ないですよね。オメーのただの判断ミスだろ!となりますよね(笑)。そもそも、そんな事で無効を主張できてしまったら、商売なんかできたもんじゃないです。それは何も民法の規定だけでなく、我々だって望まない所だと思います。
従いまして、動機の錯誤による無効の主張は、原則できないんです。
要素の錯誤と動機の錯誤の違いのまとめ
要素の錯誤と動機の錯誤の違い、おわかりになりましたか?
ここで要素の錯誤について、先述のりんごの例でご説明いたしますと、要素の錯誤は、りんごだと思ってバナナを買ってしまったような場合です。この場合、そもそもりんごを買おうという意思とバナナを買ったという行為が一致していません。
では動機の錯誤はというと、動機と行為は一致しています。りんごを買おうという意思のもとにりんごを買っているので。ただ「美味しそうだな」という動機が間違っていただけです。
ちなみに、ギターの例で動機の錯誤についてご説明いたしますと、「このギター良い音しそうだな」と思ってギターを買ったら全然良い音がしなかった、というような場合です。それで楽器屋のオヤジに向かって「これは動機の錯誤による無効だ!だからこの買い物はナシだ!」と言えますかね?言えないでしょう。楽器屋のオヤジも、怒るどころか唖然とするでしょうね(笑)。確かに、良い音しそうだという動機の錯誤はありますが、それは本人が勝手にそう思っただけで、ギターを買おうという意思とギターを買った行為は一致しています。つまり、何の問題もないのです。したがって、動機の錯誤の無効は主張できないのです。
→例外的に動機の錯誤でも無効が主張できる場合
- 関連記事
-
-
要素の錯誤による無効~勘違いで結んだ契約はナシにできるが勘違いをした本人に大きなミスがあるとナシにできない?
-
動機の錯誤の超基本~契約を無効にできない勘違いとは
-
動機の錯誤による無効~無効にできない勘違いを無効にできるとき
-
コメント