【不当利得】を初学者向けにやさしく童話で解説!初学者向け☆やさしい小説民法!

【不当利得】を初学者向けにやさしく童話で解説!初学者向け☆やさしい小説民法!

 ある日、森の中に住むウサギが、キツネの家の前を通りかかりました。
 すると、キツネの家からは美味しそうな匂いが漂ってきました。
 ウサギはお腹が空いていたので、つい誘惑に負けてキツネの家に入ってしまいました。

 キツネの家の中には、大きなパイがテーブルの上に置いてありました。
 ウサギはパイを見ると、思わず手を伸ばして一切れ食べてしまいました。
 すると、そのパイはとても美味しかったので、ウサギはもう一切れ、もう一切れと食べ続けてしまいました。
 やがて、ウサギはパイを全部食べてしまいました。

 そのとき、キツネが帰ってきました。
 キツネはパイを作っておいたのですが、用事があって外出していたのです。
 キツネは自分の家に入ると、テーブルの上にパイの皿が空っぽになっているのを見て驚きました。
 そして、その横には食べ過ぎてお腹をこわして苦しそうにしているウサギがいました。

 キツネはウサギに怒鳴りました。

「お前は何をしているんだ!私のパイを勝手に食べたのか!それは私が作ったものだぞ!
 お前は私に対して不当利得を得たんだ!不当利得というのは、法律上受け取る権利がないにもかかわらず、他人の財産又は労務によって受けた利益のことだ!
 お前は私からパイという財産を受け取ったことで利益を受けたんだ!そのために私はパイという財産を失ったんだ!
 お前がパイを食べたために私はパイを失ったんだから、利益と損失との間に因果関係があるんだ!
 お前にはパイを食べる権利なんてなかったんだから、法律上の原因もないんだ!だからお前は私に不当利得返還請求権という権利を発生させたんだ!
 不当利得返還請求権というのは、不当利得を受けた者からその利益を返還するよう求める権利だ!
 お前は私から不当利得返還請求権を行使されることで、その利益であるパイ相当額の金銭を返還する義務を負ったんだ!」

 ウサギはキツネの言葉を聞いて恐れおののきました。

「すみません、すみません。匂いが良すぎてつい食べてしまいました。でも私にはお金がありません。どうしたらよいでしょうか」

 キツネはウサギに言いました。

「じゃあ、お前は私に代わって仕事をしてくれ。私は今日から明日までに、森の動物たちにパイを配る仕事を引き受けていたんだ。でもパイがなくなってしまったから、お前が新しいパイを作って配ってくれ。それで私の損失を埋め合わせてくれ」

 ウサギはキツネの言うとおりにしました。
 ウサギは一晩中パイを作り続けました。
 そして翌日、ウサギは森の動物たちにパイを配りました。
 しかし、ウサギはパイを食べすぎてお腹が痛かったので、自分でパイを食べることはできませんでした。
 ウサギは自分の行いを反省しました。

 キツネはウサギの仕事ぶりを見て満足しました。

「よくやったな、ウサギ。お前は私に対して不当利得返還請求権を行使されたことで、その利益であるパイ相当額の労務を提供したんだ。これでお前の不当利得返還義務は果たされたと言えるだろう。これで私も損失がなくなったから、もうお前に文句は言わないよ」

 ウサギはキツネに感謝しました。

「ありがとうございます、キツネさん。これからは他人のものに手を出さないようにします。そして、もっと自分で働いてお金を稼ぎます。それで自分でパイを買って食べます」

 キツネはウサギに言いました。

「それがいいと思うよ、ウサギ。でも、パイは食べ過ぎないように気をつけなさい。お腹が痛くなるからね」

 ウサギはキツネに頷きました。

「はい、気をつけます」

 こうして、ウサギとキツネは仲良く別れました。




 以上、初学者向けにやさしく民法の不当利得についての簡単な物語をお送りいたしました。
 まずは民法の不当利得についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。

 また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
 不当利得についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
【不当利得】受益者が善意か悪意かで返還すべき利益が変わる?/現存利益の範囲とは?初学者にもわかりやすく解説!
 にございますので、よろしければご覧ください。

 以上になります。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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