
【登場人物】
A:土地の工作物の占有者
B:土地の工作物の所有者
C:土地の工作物によって損害を受けた被害者
D:Cの友人で法律に詳しい
C
「ああ、痛い!この塀が倒れてきて足を挟まれたよ!」
D
「大丈夫か?救急車を呼ぶぞ!」
A
「すみません、すみません!大変なことになりましたね。私がこの塀の占有者です。この塀は古くて、ちょっと傾いていたんですが、まさか倒れるとは思わなかったんです」
C
「そんなこと言っても遅いんだよ!私は怪我をしたんだ!損害賠償を払ってもらうぞ!」
D
「そうだな。民法717条によると、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負うんだ。つまり、この塀の占有者であるAさんは、Cさんに対して損害賠償をしなければならない」
A
「えっ、私が責任を負うの?でも、私はこの塀の所有者じゃないんです。この塀はBさんという人が所有していて、私はBさんからこの土地を借りているだけなんです」
D
「そうか。でも、それでも占有者として責任は免れないよ。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならないという例外がある。Aさんは、この塀について何か注意したり、Bさんに連絡したりしたか?」
A
「えーと、実は......何もしていません」
D
「じゃあ、その例外は適用されないね。Aさんは単純に占有者として責任を負うことになる。Bさんも所有者として連帯して責任を負う可能性があるけどね」
C
「そうだよ。AさんもBさんも訴えてやる!」
D
「そうしよう。でも、一応Bさんにも話を聞いてみようか。Bさんはどこに住んでるんだ?」
A
「Bさんは...この近くのマンションに住んでいます」
D
「じゃあ、行ってみよう。Cさんは救急車で病院に行って治療してもらってね。後で連絡するから」
C
「わかった。ありがとう。Aさん、覚悟しとけよ!」
A
「ああ、どうしよう......」
D
「Bさんのマンションに着いたぞ。インターホンを押すか」
B
「はい、どちら様ですか?」
D
「こんにちは。私はCさんという人の友人です。Cさんは今日、あなたが所有している塀によって怪我をされました。そのことについて話したいのですが」
B
「えっ、怪我?塀?何のことですか?」
D
「あなたはこの近くの土地をAさんに貸しているんですよね?その土地にある古い塀が倒れてきて、Cさんの足を挟んでしまったんです。Cさんは救急車で病院に運ばれました。Aさんはその塀の占有者として損害賠償を求められる可能性がありますが、あなたも所有者として責任を負う可能性があります」
B
「そんな......私はその塀のことは知りませんよ。Aさんに貸したときには、塀はなかったはずです。それに、私はその土地をAさんに貸しただけで、管理や修繕はAさんに任せています。私には何の責任もないと思います」
D
「そうですか。でも、民法717条によると、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の所有者も占有者と連帯して被害者に対してその損害を賠償する責任を負うんです。つまり、あなたがその塀の所有者であることが分かれば、Cさんから損害賠償を請求される可能性があるんです」
B
「でも、私はその塀の所有者ではないと思いますよ。私はその土地を買ったときに、塀はすでにあったんです。前の所有者から引き継いだだけです。私はその塀を設置したり保存したりしたことはありません」
D
「そうか。でも、それでも所有者として責任は免れないかもしれませんよ。民法719条によると、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じた場合において、その工作物の所有者がその工作物を設置又は保存した者ではないときであっても、被害者がその工作物の占有者以外の者から損害賠償を受けることができない場合又は困難な場合には、その工作物の所有者も占有者と連帯して被害者に対してその損害を賠償する責任を負うんです。つまり、あなたがその塀を設置したり保存したりした人ではなくても、Cさんがその人から損害賠償を受けることができないか困難であれば、あなたも占有者であるAさんと連帯して責任を負うことになるんです」
B
「ええっ!それって不公平じゃないですか!私は何も悪くないのに!」
D
「そう思うかもしれませんが、これは法律上の規定です。これは被害者の保護や社会的正義のために必要なものだと考えられています。あなたはその塀の所有者として、その塀の状態や安全性について注意する義務がありました。それを怠ったことで、Cさんに損害が生じたのですから、責任を負うのは当然ではないでしょうか?」
B
「でも、私はその塀のことを知らなかったんです。Aさんに貸したときには、塀はなかったと思っていました。それに、Aさんがその塀を管理や修繕すると言っていたんです」
D
「それは証拠があるんですか?契約書や書面などで示せますか?」
B
「いえ、口約束だけでした」
D
「じゃあ、それは証明できませんね。口約束だけでは信用できません。Aさんがその塀のことを知っていたかどうかも分かりません。もしかしたら、Aさんもその塀のことを知らなかったかもしれません。あなたがその塀の所有者であることは、登記簿や固定資産税の納付書などで確認できます。それに対して、あなたがその塀の管理や修繕をAさんに任せたことは、何も証拠がありません。この場合、法律上はあなたがその塀の所有者であり、占有者であるAさんと連帯して損害賠償責任を負うことになります」
B
「そんな......これは不当だ!私は納得できません!」
D
「そう言っても仕方ありませんよ。これは法律ですから。あなたはCさんに対して謝罪し、損害賠償をするべきです。それができないなら、裁判所に訴えられる可能性があります。それでもいいですか?」
B
「うーん......でも、私はお金がありませんよ。損害賠償なんて払えません」
D
「そうですか。じゃあ、Aさんと相談してみてください。Aさんも占有者として責任を負っていますから、一緒に解決策を探すべきです。もしかしたら、Cさんも和解に応じるかもしれませんよ」
B
「そうですね......わかりました。Aさんに連絡してみます」
D
「そうしましょう。私もCさんに連絡してみます。Cさんの怪我が早く治ることを祈っています」
以上、初学者向けにやさしく民法の土地工作物責任についての簡単な物語をお送りいたしました。
まずは民法の土地工作物責任についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。
また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
土地工作物責任についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
⇒【注文者の責任】土地工作物の占有者&所有者の責任~占有者が責任を免れたら誰が責任を負うのか?わかりやすく解説!
にございますので、よろしければご覧ください。
以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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A:土地の工作物の占有者
B:土地の工作物の所有者
C:土地の工作物によって損害を受けた被害者
D:Cの友人で法律に詳しい
C
「ああ、痛い!この塀が倒れてきて足を挟まれたよ!」
D
「大丈夫か?救急車を呼ぶぞ!」
A
「すみません、すみません!大変なことになりましたね。私がこの塀の占有者です。この塀は古くて、ちょっと傾いていたんですが、まさか倒れるとは思わなかったんです」
C
「そんなこと言っても遅いんだよ!私は怪我をしたんだ!損害賠償を払ってもらうぞ!」
D
「そうだな。民法717条によると、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負うんだ。つまり、この塀の占有者であるAさんは、Cさんに対して損害賠償をしなければならない」
A
「えっ、私が責任を負うの?でも、私はこの塀の所有者じゃないんです。この塀はBさんという人が所有していて、私はBさんからこの土地を借りているだけなんです」
D
「そうか。でも、それでも占有者として責任は免れないよ。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならないという例外がある。Aさんは、この塀について何か注意したり、Bさんに連絡したりしたか?」
A
「えーと、実は......何もしていません」
D
「じゃあ、その例外は適用されないね。Aさんは単純に占有者として責任を負うことになる。Bさんも所有者として連帯して責任を負う可能性があるけどね」
C
「そうだよ。AさんもBさんも訴えてやる!」
D
「そうしよう。でも、一応Bさんにも話を聞いてみようか。Bさんはどこに住んでるんだ?」
A
「Bさんは...この近くのマンションに住んでいます」
D
「じゃあ、行ってみよう。Cさんは救急車で病院に行って治療してもらってね。後で連絡するから」
C
「わかった。ありがとう。Aさん、覚悟しとけよ!」
A
「ああ、どうしよう......」
D
「Bさんのマンションに着いたぞ。インターホンを押すか」
B
「はい、どちら様ですか?」
D
「こんにちは。私はCさんという人の友人です。Cさんは今日、あなたが所有している塀によって怪我をされました。そのことについて話したいのですが」
B
「えっ、怪我?塀?何のことですか?」
D
「あなたはこの近くの土地をAさんに貸しているんですよね?その土地にある古い塀が倒れてきて、Cさんの足を挟んでしまったんです。Cさんは救急車で病院に運ばれました。Aさんはその塀の占有者として損害賠償を求められる可能性がありますが、あなたも所有者として責任を負う可能性があります」
B
「そんな......私はその塀のことは知りませんよ。Aさんに貸したときには、塀はなかったはずです。それに、私はその土地をAさんに貸しただけで、管理や修繕はAさんに任せています。私には何の責任もないと思います」
D
「そうですか。でも、民法717条によると、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の所有者も占有者と連帯して被害者に対してその損害を賠償する責任を負うんです。つまり、あなたがその塀の所有者であることが分かれば、Cさんから損害賠償を請求される可能性があるんです」
B
「でも、私はその塀の所有者ではないと思いますよ。私はその土地を買ったときに、塀はすでにあったんです。前の所有者から引き継いだだけです。私はその塀を設置したり保存したりしたことはありません」
D
「そうか。でも、それでも所有者として責任は免れないかもしれませんよ。民法719条によると、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じた場合において、その工作物の所有者がその工作物を設置又は保存した者ではないときであっても、被害者がその工作物の占有者以外の者から損害賠償を受けることができない場合又は困難な場合には、その工作物の所有者も占有者と連帯して被害者に対してその損害を賠償する責任を負うんです。つまり、あなたがその塀を設置したり保存したりした人ではなくても、Cさんがその人から損害賠償を受けることができないか困難であれば、あなたも占有者であるAさんと連帯して責任を負うことになるんです」
B
「ええっ!それって不公平じゃないですか!私は何も悪くないのに!」
D
「そう思うかもしれませんが、これは法律上の規定です。これは被害者の保護や社会的正義のために必要なものだと考えられています。あなたはその塀の所有者として、その塀の状態や安全性について注意する義務がありました。それを怠ったことで、Cさんに損害が生じたのですから、責任を負うのは当然ではないでしょうか?」
B
「でも、私はその塀のことを知らなかったんです。Aさんに貸したときには、塀はなかったと思っていました。それに、Aさんがその塀を管理や修繕すると言っていたんです」
D
「それは証拠があるんですか?契約書や書面などで示せますか?」
B
「いえ、口約束だけでした」
D
「じゃあ、それは証明できませんね。口約束だけでは信用できません。Aさんがその塀のことを知っていたかどうかも分かりません。もしかしたら、Aさんもその塀のことを知らなかったかもしれません。あなたがその塀の所有者であることは、登記簿や固定資産税の納付書などで確認できます。それに対して、あなたがその塀の管理や修繕をAさんに任せたことは、何も証拠がありません。この場合、法律上はあなたがその塀の所有者であり、占有者であるAさんと連帯して損害賠償責任を負うことになります」
B
「そんな......これは不当だ!私は納得できません!」
D
「そう言っても仕方ありませんよ。これは法律ですから。あなたはCさんに対して謝罪し、損害賠償をするべきです。それができないなら、裁判所に訴えられる可能性があります。それでもいいですか?」
B
「うーん......でも、私はお金がありませんよ。損害賠償なんて払えません」
D
「そうですか。じゃあ、Aさんと相談してみてください。Aさんも占有者として責任を負っていますから、一緒に解決策を探すべきです。もしかしたら、Cさんも和解に応じるかもしれませんよ」
B
「そうですね......わかりました。Aさんに連絡してみます」
D
「そうしましょう。私もCさんに連絡してみます。Cさんの怪我が早く治ることを祈っています」
以上、初学者向けにやさしく民法の土地工作物責任についての簡単な物語をお送りいたしました。
まずは民法の土地工作物責任についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。
また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
土地工作物責任についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
⇒【注文者の責任】土地工作物の占有者&所有者の責任~占有者が責任を免れたら誰が責任を負うのか?わかりやすく解説!
にございますので、よろしければご覧ください。
以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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