
【登場人物】
A:会社の社長
B:会社の従業員
C:Bが運転中にひいてしまった自転車の男性
D:Cの弁護士
Aの会社の事務所で、AとBが話しているところにDが訪ねてくる。
D
「こんにちは。私はCさんの弁護士です。あなたがA社長ですね」
A
「はい、そうです。どういったご用件でしょうか」
D
「実は、先月の25日に、あなたの会社の従業員であるBさんが、社用車でCさんをひいてしまったという事故をご存知ですか」
A
「ええ、もちろん知っています。Bさんはすぐに救急車を呼んで、Cさんを病院に運んだと聞いています。Cさんは大丈夫ですか」
D
「Cさんは幸い命に別状はありませんでしたが、右足を骨折して入院しています。退院後もリハビリが必要で、しばらく仕事に復帰できません。そのため、医療費や慰謝料など、約300万円の損害賠償を請求することになりました」
A
「そうですか。それは大変なことですね。でも、なぜ私に話しかけてきたのですか。この事故はBさんの個人的な過失ですよ。会社としては関係ありません」
D
「それが違います。この事故はBさんが業務中に起こしたものですから、民法第715条に基づき、使用者責任が発生します。つまり、あなたの会社もBさんと連帯して損害賠償責任を負うことになります」
A
「えっ、そんなことがあるんですか」
D
「はい、あります。使用者責任とは、従業員が他人に損害を発生させた場合に、会社もその従業員と連帯して被害者に対して損害賠償の責任を負う法制度です。使用者責任は報償責任や危険責任の考え方に基づいており、使用者が過失がなかったとしても免れることは難しいです。
A
「それは困りますね。でも、この事故はBさんが信号無視をしたから起きたものですよ。私はBさんを選任したり監督したりする際に相当の注意を払っていますし、たとえ注意しても事故が起きたでしょう」
D
「それでは免責される可能性がありますが、それを証明するのはあなたの方ですよ。実際に裁判では使用者責任の免責は認められにくい傾向があります」
A
「そうなんですか。じゃあどうすればいいんですか」
D
「私は和解を提案します。あなたの会社が300万円を支払ってくれれば、Cさんも訴訟を起こさないという条件で話がつきます。どうですか」
A
「うーん、それはちょっと高すぎるような気がしますが、訴訟になるよりはましですね。Bさん、あなたはどう思いますか」
B
「すみません、社長。私のせいでこんなことになってしまって。私も一部負担したいと思います」
D
「それはありがたいですね。では、あなたの会社とBさんが半分ずつ150万円ずつ支払うということでどうでしょうか」
A
「そうですか。それならば了解します。Cさんには大変申し訳ありませんでした」
D
「それでは、この書面に署名してください。これで和解が成立しました。ありがとうございました」
以上、初学者向けにやさしく民法の使用者責任についての簡単な物語をお送りいたしました。
まずは民法の使用者責任についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。
また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
使用者責任についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
⇒【使用者責任】事業執行の範囲とは/使用者の主張と立証責任の転換とは/使用者の求償権?社長個人は使用者責任を負うのか?わかりやすく解説!
にございますので、よろしければご覧ください。
以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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A:会社の社長
B:会社の従業員
C:Bが運転中にひいてしまった自転車の男性
D:Cの弁護士
Aの会社の事務所で、AとBが話しているところにDが訪ねてくる。
D
「こんにちは。私はCさんの弁護士です。あなたがA社長ですね」
A
「はい、そうです。どういったご用件でしょうか」
D
「実は、先月の25日に、あなたの会社の従業員であるBさんが、社用車でCさんをひいてしまったという事故をご存知ですか」
A
「ええ、もちろん知っています。Bさんはすぐに救急車を呼んで、Cさんを病院に運んだと聞いています。Cさんは大丈夫ですか」
D
「Cさんは幸い命に別状はありませんでしたが、右足を骨折して入院しています。退院後もリハビリが必要で、しばらく仕事に復帰できません。そのため、医療費や慰謝料など、約300万円の損害賠償を請求することになりました」
A
「そうですか。それは大変なことですね。でも、なぜ私に話しかけてきたのですか。この事故はBさんの個人的な過失ですよ。会社としては関係ありません」
D
「それが違います。この事故はBさんが業務中に起こしたものですから、民法第715条に基づき、使用者責任が発生します。つまり、あなたの会社もBさんと連帯して損害賠償責任を負うことになります」
A
「えっ、そんなことがあるんですか」
D
「はい、あります。使用者責任とは、従業員が他人に損害を発生させた場合に、会社もその従業員と連帯して被害者に対して損害賠償の責任を負う法制度です。使用者責任は報償責任や危険責任の考え方に基づいており、使用者が過失がなかったとしても免れることは難しいです。
A
「それは困りますね。でも、この事故はBさんが信号無視をしたから起きたものですよ。私はBさんを選任したり監督したりする際に相当の注意を払っていますし、たとえ注意しても事故が起きたでしょう」
D
「それでは免責される可能性がありますが、それを証明するのはあなたの方ですよ。実際に裁判では使用者責任の免責は認められにくい傾向があります」
A
「そうなんですか。じゃあどうすればいいんですか」
D
「私は和解を提案します。あなたの会社が300万円を支払ってくれれば、Cさんも訴訟を起こさないという条件で話がつきます。どうですか」
A
「うーん、それはちょっと高すぎるような気がしますが、訴訟になるよりはましですね。Bさん、あなたはどう思いますか」
B
「すみません、社長。私のせいでこんなことになってしまって。私も一部負担したいと思います」
D
「それはありがたいですね。では、あなたの会社とBさんが半分ずつ150万円ずつ支払うということでどうでしょうか」
A
「そうですか。それならば了解します。Cさんには大変申し訳ありませんでした」
D
「それでは、この書面に署名してください。これで和解が成立しました。ありがとうございました」
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