
ある日、A社の社長である山田さんは、B社の社長である佐藤さんから電話を受けました。
佐藤
「山田さん、お久しぶりです。実は、あなたにお願いがあります」
山田
「お願いですか?何でしょうか?」
佐藤
「実は、B社が経営危機に陥っているんです。借金が返せなくて、債権者から追い詰められています」
山田
「それは大変ですね。でも、私に何ができるんですか?」
佐藤
「あなたはA社の社長として、B社に対して多額の債権を持っていますよね。その債権を放棄してくれませんか?」
山田
「えっ?放棄ですか?それは無理ですよ。私もA社の経営者として責任がありますし、不公平です」
佐藤
「そう言わないでください。その代わり、私の所有する土地をあなたに譲ります。その土地は市場価格よりも高く売れると思いますよ」
山田
「それは魅力的な話ですが、それでも私は債権を放棄できません。それに、その土地を譲ること自体が詐害行為に当たらないと言えるのでしょうか?」
佐藤
「詐害行為ですか?そんなことはありません。私はあなたに対して相当の対価を支払うわけですし、他の債権者を害する意図もありません。私はただ、B社を救いたいだけなんです」
山田
「B社の債権者は、B社の債権者として、B社の財産を保全する権利があります。もし、あなたが土地を譲ったとしても、他の債権者が詐害行為取消権を行使して取り消すことができますよ」
佐藤
「詐害行為取消権ですか?そんなことができるのですか?」
山田
「もちろんです。民法424条の2によれば、債務者が財産の種類を変更することによって、隠匿・無償供与など債権者の権利を害する処分が行われるおそれを現に生じさせる場合には、詐害行為取消権が認められます。あなたが土地を譲ることで、B社の財産が減少し、他の債権者から隠匿される可能性が高まります。しかも、あなたはその意図を持っていますし、私もそれを知っています。これらの要件が揃えば、詐害行為取消権が成立します」
佐藤
「そうなんですか......。でも、詐害行為取消権を行使するには裁判所に請求しなければならないでしょう。それには時間も費用もかかりますよ」
山田
「それは確かですが、だからといって他の債権者が指を加えて見ているということもないでしょう。あなたはもっとしっかり現状を受け入れるべきです」
佐藤
「......わかりました。そうですよね。私は土地の譲渡をやめます。でも、どうかB社に対して少しでも情けをかけてください。私はB社を立て直したいんです」
山田
「それは別の話です。私はあなたの経営者としての努力を認めますし、B社との取引も続けたいと思っています。ですから、債権の放棄はできませんが、債権の一部を棒引きすることは考えられます。もちろん、他の債権者とも話し合って、公平な条件で行う必要がありますが」
佐藤
「本当ですか?それならば、感謝します。ありがとうございます」
山田
「いえいえ、こちらこそありがとうございます。これからもお互いに協力し合って、事業を発展させましょう」
佐藤
「はい、そうしましょう。では、またお話しましょう」
以上、初学者向けにやさしく民法の詐害行為取消権についての簡単な物語をお送りいたしました。
まずは民法の詐害行為取消権についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。
また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
詐害行為取消権についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
⇒【詐害行為取消権】債権者代位権との違い/詐害行為の類型/保証人や身分行為(婚姻等)が絡んだ場合をわかりやすく解説!
にございますので、よろしければご覧ください。
以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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佐藤
「山田さん、お久しぶりです。実は、あなたにお願いがあります」
山田
「お願いですか?何でしょうか?」
佐藤
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山田
「それは大変ですね。でも、私に何ができるんですか?」
佐藤
「あなたはA社の社長として、B社に対して多額の債権を持っていますよね。その債権を放棄してくれませんか?」
山田
「えっ?放棄ですか?それは無理ですよ。私もA社の経営者として責任がありますし、不公平です」
佐藤
「そう言わないでください。その代わり、私の所有する土地をあなたに譲ります。その土地は市場価格よりも高く売れると思いますよ」
山田
「それは魅力的な話ですが、それでも私は債権を放棄できません。それに、その土地を譲ること自体が詐害行為に当たらないと言えるのでしょうか?」
佐藤
「詐害行為ですか?そんなことはありません。私はあなたに対して相当の対価を支払うわけですし、他の債権者を害する意図もありません。私はただ、B社を救いたいだけなんです」
山田
「B社の債権者は、B社の債権者として、B社の財産を保全する権利があります。もし、あなたが土地を譲ったとしても、他の債権者が詐害行為取消権を行使して取り消すことができますよ」
佐藤
「詐害行為取消権ですか?そんなことができるのですか?」
山田
「もちろんです。民法424条の2によれば、債務者が財産の種類を変更することによって、隠匿・無償供与など債権者の権利を害する処分が行われるおそれを現に生じさせる場合には、詐害行為取消権が認められます。あなたが土地を譲ることで、B社の財産が減少し、他の債権者から隠匿される可能性が高まります。しかも、あなたはその意図を持っていますし、私もそれを知っています。これらの要件が揃えば、詐害行為取消権が成立します」
佐藤
「そうなんですか......。でも、詐害行為取消権を行使するには裁判所に請求しなければならないでしょう。それには時間も費用もかかりますよ」
山田
「それは確かですが、だからといって他の債権者が指を加えて見ているということもないでしょう。あなたはもっとしっかり現状を受け入れるべきです」
佐藤
「......わかりました。そうですよね。私は土地の譲渡をやめます。でも、どうかB社に対して少しでも情けをかけてください。私はB社を立て直したいんです」
山田
「それは別の話です。私はあなたの経営者としての努力を認めますし、B社との取引も続けたいと思っています。ですから、債権の放棄はできませんが、債権の一部を棒引きすることは考えられます。もちろん、他の債権者とも話し合って、公平な条件で行う必要がありますが」
佐藤
「本当ですか?それならば、感謝します。ありがとうございます」
山田
「いえいえ、こちらこそありがとうございます。これからもお互いに協力し合って、事業を発展させましょう」
佐藤
「はい、そうしましょう。では、またお話しましょう」
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また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
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