【留置権】を初学者向けにやさしくファンタジーで解説!初学者向け☆やさしい小説民法!

【留置権】を初学者向けにやさしくファンタジーで解説!初学者向け☆やさしい小説民法!

 あるところに、魔法の修理屋さんがいました。
 彼の名前はユウキといい、魔法の道具やアイテムを修理することが得意でした。
 彼は、魔法の修理屋さんとして独立するために、魔法学校を卒業したばかりでした。

 ある日、ユウキの店に、魔法使いの女性がやってきました。
 彼女の名前はリナといい、魔法学校の同級生だと言いました。
 リナは、ユウキに自分の持っている魔法の杖を修理してほしいと頼みました。

「この杖は、私の祖父から受け継いだものなんだけど、最近調子が悪くて、魔法がうまく発動しないの。ユウキなら直してくれるよね?」

 リナは、杖をユウキに差し出しました。
 ユウキは、杖を受け取ってよく見ると、杖の先端に小さなひびが入っていることに気づきました。

「これが魔力の流れを妨げているんだね。修理するには特別な魔法石が必要だけど、それなら店にあるから大丈夫だよ」

 ユウキはリナに笑顔で答えました。
 リナはユウキに感謝して言います。

「ありがとう、ユウキ。じゃあ、修理代はどれくらいかかるの?」

「うーん、この杖の修理には、魔法石一個分だから、五千ギルだね」

「五千ギル!? それは高すぎるわ! せめて半額にしてよ!」

 リナは、ユウキの言った金額に驚いて怒りました。
 ユウキは困った顔で理由を説明します。

「でも、これは相場より安いんだよ。魔法石は貴重なものだからね。それに、修理するのも難しいし時間もかかるし......」

「そんなこと言ってもダメよ。私たちは同級生でしょ? 仲間割引くらいしてくれなきゃ困るわ」

 リナはユウキに食い下がりました。
 ユウキはリナに甘い気持ちがあったので、仕方なく言います。

「わかったよ。じゃあ、四千ギルでどうだい?」

「まだ高いわ! 三千ギルで最後よ!」

「そんなに安くしたら赤字だよ......」

「じゃあ、二千五百ギルで決まりね」

 リナは勝手に値切りを決めて言いました。
 ユウキは、もう抵抗する気力もなくなって承諾します。

「......わかったよ。二千五百ギルでいいよ」

「やった! ありがとう、ユウキ! じゃあ、修理が終わったら連絡してね」

 リナは満足そうに笑って言いました。
 そして店を出て行きました。
 ユウキは、リナが去った後で後悔しました。

「なんであんなに安くしてしまったんだろう......。魔法石はもっと高いのに......。リナは、僕の気持ちを利用しているんじゃないかな......」

 ユウキは自分の弱さを恥じました。
 しかし、リナに対する想いは変わらなかったので、彼女のために杖を修理することにしました。

 ユウキは、店の奥にある修理室に入りました。
 そこには様々な魔法の道具やアイテムが置かれていました。
 ユウキは、杖を修理するために必要な魔法石を探しました。
 魔法石は、色や形や大きさによって種類が違っていて、それぞれに特別な効果がありました。
 ユウキは、杖のひびを修復するために、青くて丸い魔法石を選びました。

「これでいけるはずだ」

 ユウキは魔法石を手に取って言いました。
 それから杖と魔法石を修理台の上に置きました。
 ユウキは杖と魔法石に自分の魔力を流し込みました。
 すると、杖と魔法石が光り始めました。
 ユウキは、その光を見つめながら集中します。

『杖よ、元の姿に戻れ』

 ユウキは、心の中で呪文を唱えました。
 すると、杖と魔法石が一体化し、ひびが消えます。
 杖が新品のように輝き始めました。

「やった! できたよ!」

 ユウキは喜んで言いました。
 彼は杖を手に取って確認しました。
 杖は完全に修復されていました。

「これでリナも喜ぶだろう」

 ユウキは、リナのことを思い浮かべて笑みを浮かべました。
 そうしてすぐにリナへ連絡します。

「リナ、杖が直ったよ。今から店に来てくれる?」

「え? もう直ったの? すごいわね。じゃあ、今から行くわ」

「ありがとう。待ってるよ」

 ユウキは、リナと電話で話し終えました。
 彼は、リナが来るのを楽しみに待ちました。

 しばらくして。

 リナが店にやってきました。
 彼女は、ユウキに笑顔で挨拶しました。

「こんにちは、ユウキ。早速見せてよ」

「お待たせしたね。ここだよ」

 ユウキは、リナに杖を渡しました。
 リナは杖を受け取って驚きました。

「わあ! すごい! 本当に直ったわね! ありがとう!」

 リナは感激して感謝しました。
 彼女は、杖を手に持って魔法を試します。
 すると、杖から強力な光が放たれました。

「やった! 魔法がうまく発動するわ! ユウキはすごいわ!」

 リナは喜んで言いました。
 ユウキも嬉しくなりました。

「良かったよ。これで安心だね」

「本当にありがとう! じゃあ......」

 リナはそこで言葉を切りました。
 彼女は、何か思い出したような表情をしました。
 ユウキは不安になり尋ねます。

「どうしたの?」

「あのね......実は、私、修理代を持ってきてないの」

リナは申し訳なさそうに言いました。
 ユウキは驚きました。

「え? どういうこと?」

「ごめんなさい。私、今日はお金がなくて......でも、杖が直るのが待ちきれなくて......だから、後で払うから許してね」

 リナはユウキにお願いしました。
 ユウキは困りました。

「でも、それじゃあ困るよ。魔法石はもう使っちゃったし......」

「だから、後で払うって言ってるじゃない。信用してよ。私たちは友達でしょ?」

 リナはユウキに訴えかけました。
 ユウキは迷います。

「友達だからこそ、約束を守ってほしいんだよ。魔法の修理屋さんとしても生活していかなきゃいけないんだから......」

「わかってるわよ。だから、明日には絶対に払うから。それまでにお金を用意するから」

 リナはユウキに約束しました。
 ユウキは仕方なく言います。

「わかったよ。じゃあ、明日までに払ってね。それまでは、杖を預かるよ」

「え? 杖を預かるってどういうこと?」

 リナは不満そうに言いました。
 ユウキは説明します。

「これは、民法の規定に基づく留置権というものだよ。相手が修理代を支払わない場合には、代金の支払いを受けるまで、その修理した物を預かる権利があるんだ 」

「留置権? そんなの聞いたことないわ! それに、私は明日には払うって言ってるじゃない! 信用してくれないの?」

 リナは怒りました。
 ユウキは冷静に言います。

「信用してるよ。でも、これは法律だから仕方ないんだよ。もしも明日に払えなかったらどうするの? それに、杖を持って帰ったら逃げられる可能性もあるじゃないか」

「私が逃げるなんてありえないわ! そんなことする人だと思ってるの?」

 リナは悲しそうに言いました。
 ユウキは申し訳なさそうに言います。

「ごめんね。そんなつもりじゃなかったよ。でも、これは仕事のルールだから......」

「ルールだからって......私の気持ちを考えてよ! 私はこの杖が大切なんだから! 祖父から受け継いだんだから!」

 リナは涙ぐみました。
 彼女は杖を強く抱きしめました。

「お願い......杖を返して......」

 リナはユウキに懇願しました。
 ユウキは心が揺れます。

「リナ......」

 ユウキはリナの名前を呼びました。
 彼は、リナに対する想いと仕事の義務との間で葛藤しました。

「どうしよう......」

 ユウキは自問します。
 彼は、杖を返すべきか、留置するべきか、決めかねました。
 結局、ユウキはリナの涙に心を動かされます。
 彼は杖を返すことにしました。

「わかったよ。杖を返すよ」

 ユウキは優しく言いました。
 彼はリナに杖を手渡しました。
 リナは嬉しくなりました。

「本当? ありがとう! ありがとう!」

 リナは感謝して言いました。
 彼女はユウキに抱きつきました。
 ユウキは、顔を赤くしてドキドキしました。

「でも、約束は守ってね。明日には払ってね」

 ユウキは念を押しました。
 リナはこくんと頷きました。

「もちろんよ。明日には絶対に払うから。信じててね」

 リナは約束しました。
 彼女は杖を大事そうに抱えて言いました。

「じゃあ、また明日ね。バイバイ」

 リナはユウキに手を振って言いました。
 そして店を出て行きました。
 ユウキは、リナが去った後で安堵しました。

「よかった......杖を返して良かった......」

 ユウキは、ほっとした声で言いました。
 彼はリナの笑顔をひとり思い出します。

「リナ......」

 ユウキは、リナの名前を呟きました。
 彼は、リナに対する想いを強く感じました。

「明日に会えるのが楽しみだな......」

 ユウキは期待して言いました。


 翌日......。


 いつまで経ってもリナから連絡がありませんでした。
 ユウキは不安になります。

「どうしたんだろう......リナ......」

 ユウキは心配して言いました。
 彼はリナに魔法の電話で連絡しようとしましたが、つながりませんでした。

「おかしいな......電話が通じない......」

 ユウキは疑問に思いました。
 彼は、リナの住所を調べて訪ねることにしました。

 ユウキは、魔法のカーペットに乗ってリナの家に向かいました。
 やがてリナの家の前に着きましたが、誰もいませんでした。

「あれ? リナはどこだろう......」

 ユウキは不思議に思いました。
 彼は近所の人に聞いてみることにしました。

「すみません。この家の人について知っていますか?」

 ユウキは隣家の人に尋ねました。
 その人は驚いた顔で答えます。

「ああ、あなたもその人の被害者なんですか? この家の人は昨日の夜に引っ越してしまったんですよ」

「え? 引っ越した? どうしてですか?」

 ユウキは驚きました。
 その人は説明します。

「この家の人は魔法使いの女性でしたが、実は詐欺師だったんですよ。色々な魔法の道具やアイテムを借りてお金を払わなかったり売り飛ばしたりしていたんですよ。警察が捜査していたらしくて、昨日の夜に逮捕されそうになったんですが、何とか逃げ切ってしまったんですよ」

「そ、そうなんですか......」

 ユウキは信じられない気持ちで言いました。
 その人は同情して言います。

「あなたも騙されたんですね。お気の毒に。この女性は、魔法学校の同級生だとか友達だとか言って信用させておいて、最後には裏切るんですよ。私も魔法の花瓶を貸したら返してもらえなかったんですよ」

「魔法学校の同級生......友達......」

 ユウキは、リナの言葉を思い出しました。
 彼は悲しくなりました。

「リナ......嘘つき......」

 ユウキは涙ぐみました。
 彼は、リナに騙されたことを悟りました。

「杖も......返ってこないんだろうな......」

 ユウキは失望しました。
 彼は杖を返すべきではなかったと後悔しました。
 留置権の効力発生には目的物の占有を要します。
 杖を手放してしまった今、その効力が発生することはありません。
 つまり、もう後の祭りなのです。

「留置権を行使すべきだった......」

 ユウキは自分の判断を責めました。
 彼は魔法のカーペットに乗って帰ることにしました。

「もう二度と会えないんだろうな......リナ......」


 それから十年後......。


 あの日の失敗を糧に、ユウキは魔法の修理屋さんとして大成功をおさめました。
 ある日、彼が街を歩いていると、向かいから来た酷くみすぼらしい恰好をした女性と目が合います。

「あ、貴方は......!」

 女性は彼を見て立ち止まりました。
 しかし、彼はそれが誰だかわかりませんでした。

「え?あの......どこかでお会いしましたかね?」

「......」

「す、すいません。僕、すぐに仕事で行かなければなりませんので...失礼します」

 ユウキはすぐに立ち去ってしまいました。
 その酷くみすぼらしい女性......
 彼女が刑務所から戻ってきたリナだったことを、彼が知ることはありませんでした。


おしまい




 以上、初学者向けにやさしく民法の留置権についての簡単な物語をお送りいたしました。
 まずは民法の留置権についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。

 留置権についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
【留置権】最強の担保物権?成立要件と対抗力/不動産の場合/留置物の賃貸と留置権の消滅をわかりやすく解説!
 にございますので、よろしければご覧ください。

 以上になります。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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