【根抵当権】を初学者向けにやさしく物語で解説!初学者向け☆やさしい小説民法!

【根抵当権】を初学者向けにやさしく物語で解説!初学者向け☆やさしい小説民法!

【登場人物】
A社:中小企業の社長
B銀行:A社の取引先の金融機関
C弁護士:A社の顧問弁護士

【あらすじ】
 A社は、B銀行から根抵当権を設定して融資を受けている。
 A社は、新しい事業に挑戦するために、追加の融資をB銀行に申し込むが、担保価値が不足しているとして断られる。
 A社は、他の金融機関からも融資を受けられず、資金繰りに困る。
 その後、B銀行は、A社に対して債権回収を開始し、根抵当権で担保された不動産を差し押さえる。
 A社は、C弁護士に相談し、根抵当権の設定や消滅の条件、極度額と貸出限度額の違いなどを説明される。
 A社は、B銀行と和解交渉をするが、根抵当権が消滅しないことや極度額を超える部分が担保されないことなどを理由に不利な条件を提示される。
 A社は、C弁護士の助言に従って、根抵当権の元本確定後の附従性と随伴性や債務者変更登記などの手続きを利用して、B銀行からの債務圧縮や他の金融機関からの融資獲得を目指す。



 A社の事務所。


A社長
「(電話で)B銀行さん、お願いします。新しい事業に投資するためにもう少し融資してください。根抵当権で担保していますから」

B銀行担当者
「(電話で)申し訳ありませんが、無理です。根抵当権は極度額までしか担保されません。あなた方はすでに極度額に近い金額を借りています。追加の融資には担保価値が不足しています」

A社長
「でも、この事業が成功すれば売上も増えます。返済能力も高まります」

B銀行担当者
「それはあくまで将来の話です。現時点ではリスクが高すぎます。申し訳ありませんがお断りします」

A社長
「(電話を切って)くそっ!B銀行に頼れないなら他の金融機関に頼ろう」


 後日。
 A社の事務所。


A社長
「(電話で)E弁護士さん、助けてください。B銀行が債権回収に動き出しました。根抵当権で担保された不動産を差し押さえられそうです」

E弁護士
「(電話で)落ち着いてください。根抵当権は民法第三百九十六条に基づいて設定される担保権です。根抵当権は、債務の履行がなされないときに、担保物件である不動産の価額をもって優先的に債権を弁済することができる権利です」

A社長
「はい、それは分かっています。でも、B銀行は極度額を超える部分も担保されていると主張しています。それは本当ですか」

E弁護士
「いいえ、それは間違っています。根抵当権は極度額までしか担保されません。極度額とは、根抵当権の設定時に契約書に記載された最高額です。貸出限度額とは、実際に貸し出された金額です。貸出限度額が極度額を超えた場合、超えた部分は根抵当権で担保されません」

A社長
「なるほど。では、B銀行は極度額までしか差し押さえることができないということですね」

E弁護士
「そうです。しかし、それでもA社にとっては大きな打撃です。不動産を失えば事業を続けることが困難になります」

A社長
「では、どうすればいいのですか」

E弁護士
「まず、B銀行と和解交渉を試みることです。債務の一部を免除してもらったり、返済期間を延長してもらったりすることができれば、事態は好転するかもしれません」

A社長
「わかりました。B銀行に連絡してみます」


 B銀行の事務所。


B銀行担当者
「A社さん、こんにちは。何かご用件でしょうか」

A社長
「実は、債務の返済についてお話したいのですが」

B銀行担当者
「ああ、それですか。残念ながら、我々はもうあなた方に対して債権回収の手続きを開始しました。根抵当権で担保された不動産を差し押さえる予定です」

A社長
「それはやめてください。我々はまだ事業を続ける意志があります。何とか妥協点を見つけられないでしょうか」

B銀行担当者
「妥協点ですか。それは難しいですね。あなた方は極度額を超える金額を借りていますが、その部分も担保されていると考えています。

A社長
「それは違います。根抵当権は極度額までしか担保されません。超えた部分は担保されていません」

B銀行担当者
「そう言うあなた方ですが、根抵当権の設定時に契約書に署名したのは事実ですよね。契約書には、根抵当権は債務の履行がなされないときに、担保物件である不動産の価額をもって優先的に債権を弁済することができる権利であると書かれています。債務とは、貸出限度額を指すのです」

A社長
「それは誤解です。債務とは、極度額を指すのです。貸出限度額が極度額を超えた場合、超えた部分は根抵当権で担保されません」

B銀行担当者
「それはあなた方の都合のいい解釈です。我々はそうは思いません。契約書には極度額と貸出限度額の違いについて何も書かれていません。したがって、我々は貸出限度額が債務であると主張します」

A社長
「それは不当です。法律上、根抵当権は極度額までしか担保されません。貸出限度額が極度額を超えた場合、超えた部分は一般債権になります」

B銀行担当者
「それはあなた方の主張です。我々はそうは認めません。我々は根抵当権で担保された不動産を差し押さえる権利を行使します」

A社長
「それでは、裁判になりますか」

B銀行担当者
「そうなれば仕方ありません。我々は自信があります」

 A社長は心の中でつぶやく。
(くそっ!B銀行と話が通じない。どうしよう)


 C弁護士の事務所。


C弁護士
「A社さん、どうでしたか。B銀行と和解交渉はできましたか」

A社長
「ダメでした。B銀行は極度額を超える部分も担保されていると主張しています。裁判になりそうです」

C弁護士
「そうですか。それは残念ですね。しかし、諦めないでください。根抵当権には他にも重要な特徴があります。それを利用すれば、B銀行からの債務圧縮や他の金融機関からの融資獲得が可能になるかもしれません」

A社長
「本当ですか。どんな特徴ですか」

C弁護士
「根抵当権には、元本確定後の附従性と随伴性という特徴があります」

A社長
「元本確定後の附従性と随伴性とは何ですか」

C弁護士
「元本確定後の附従性とは、根抵当権が設定された後に発生した利息や遅延損害金などの付属債権も根抵当権で担保されるということです。つまり、B銀行は極度額を超える部分も担保されていると主張していますが、それは元本確定後の附従性によるものであり、元本確定前の附従性によるものではありません」

A社長
「元本確定前の附従性とは何ですか」

C弁護士
「元本確定前の附従性とは、根抵当権が設定された時点で未確定だった債務の額が後に確定した場合、その額も根抵当権で担保されるということです。しかし、この場合は根抵当権が設定された時点で債務の額が既に確定していました。極度額が債務の額です。したがって、元本確定前の附従性は適用されません」

A社長
「なるほど。では、B銀行は極度額を超える部分を担保することはできないということですね」

C弁護士
「そうです。しかし、B銀行はそれを認めませんので、裁判になれば、我々はこの点を争うことになります」

A社長
「わかりました。では、随伴性とは何ですか」

C弁護士
「随伴性とは、根抵当権が設定された債務が変更された場合、根抵当権もその変更に応じて変化するということです。例えば、債務者が変更された場合、根抵当権も新しい債務者に移転します」

A社長
「それはどうやって利用できますか」

C弁護士
「例えば、あなた方が他の金融機関から融資を受けられるようになった場合、その金融機関にB銀行からの債務を引き受けてもらうことができます。その場合、根抵当権もその金融機関に移転します。これを債務者変更登記と言います」

A社長
「それはどういうメリットがありますか」

C弁護士
「メリットは二つあります。一つ目は、B銀行からの圧力を回避できることです。B銀行はあなた方ではなく、新しい金融機関に対して債権回収をする必要があります。二つ目は、新しい金融機関からより有利な条件で融資を受けられる可能性があることです。新しい金融機関は根抵当権で担保された債務を引き受けることで、リスクを低減できます。そのため、利率や返済期間などの条件を優遇してくれるかもしれません」

A社長:なるほど。それは魅力的ですね。では、他の金融機関から融資を受けられるようになるにはどうすればいいのですか。

C弁護士
「それは、あなた方の事業計画や財務状況をしっかりとアピールすることです。他の金融機関にとって、あなた方は新しい顧客です。あなた方の信用力や将来性を評価する必要があります。そのため、事業計画や財務状況を明確に示すことが重要です」

A社長
「わかりました。それでは、事業計画や財務状況を整理して、他の金融機関にアプローチしてみます」

C弁護士
「そうですね。それが良いと思います。もし、何か困ったことがあれば、いつでもご相談ください」

A社長
「ありがとうございます。E弁護士さんのおかげで、少し希望が見えてきました」

C弁護士
「どういたしまして。あなた方の事業が成功することを祈っています」




 以上、初学者向けにやさしく民法の根抵当権についての簡単な物語をお送りいたしました。
 まずは民法の根抵当権についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。

 また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
 根抵当権についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
【根抵当権】極度額の限度と債権の範囲/根抵当権の変更・譲渡・処分/元本確定とは?わかりやすく解説!
 にございますので、よろしければご覧ください。

 以上になります。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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