【抵当権】を初学者向けにやさしく物語で解説!初学者向け☆やさしい小説民法!

【抵当権】を初学者向けにやさしく物語で解説!初学者向け☆やさしい小説民法!

【登場人物】

田中:不動産会社の社長。借金が多く、抵当権を設定した土地を売却しようとする。
山田:田中の友人。田中にお金を貸しており、抵当権者となっている。
鈴木:不動産会社の従業員。田中の土地を買いたいという客を見つける。
佐藤:銀行の支店長。田中にもお金を貸しており、抵当権者となっている。



田中
「鈴木さん、どうなりましたか?土地の売却は進んでいますか?」

鈴木
「(はい、社長。実は、先日お話した客が本気で買いたいと言っています。今日契約する予定です」

田中
「本当ですか!それは良かった!その土地は私が借金の担保に抵当権を設定したものなんですよ。売れれば借金を返せるんです」

鈴木
「そうなんですか。でも、社長。その抵当権は登記されていますよね?売却するには抵当権者の同意が必要じゃないですか?」

田中
「ああ、それは大丈夫ですよ。事情を話せば同意してくれるはずです」

鈴木
「そうですか。それなら問題ありませんね。では、今日契約書にサインしてもらいますね」

田中
「よろしくお願いします。鈴木さん、あなたは優秀な従業員ですよ。この売却が成功すれば、あなたにボーナスを出しますよ」

鈴木
「ありがとうございます、社長。では、失礼します」



山田
「田中さん、どうしたんですか?急に呼び出すなんて」

田中
「山田さん、すみません。実はあなたにお願いがあるんです」

山田
「お願い?何ですか?」

田中
「あの、私があなたに借りたお金の担保にした土地なんですが、それを売却したいんです」

山田
「売却?どうしてですか?」

田中
「実は、私は他にも借金があって、返済に困っているんです。その土地を売れば、少しでも借金を減らせると思って」

山田
「そうなんですか。でも、その土地には私の抵当権がついていますよね?売却するには私の同意が必要だと思いますが」

田中
「そうなんです。だからこそ、あなたにお願いしたいんです。私の土地を売却することに同意してください」

山田
「同意してくださいって...それはちょっと無理ですよ。私もあなたに貸したお金を回収したいんですから」

田中
「でも、山田さん。あなたは私の友人じゃないですか?友人として助けてくれませんか?」

山田
「友人として助けてくれと言われても…私はあなたにお金を貸したときに抵当権を設定したのは、あなたが返済できなくなった場合に備えたのです。抵当権があれば、私は優先的に弁済を受けることができます。それを売却することに同意すれば、私の担保がなくなってしまいますよ」

田中
「そう言わずに、もう少し考えてくださいよ。私はあなたにお金を返したいんです。そのためには土地を売るしかないんです」

山田
「だから、それは無理ですって。私はあなたの土地に抵当権を設定したのですから、その土地の売却代金についても物上代位の効果があります。つまり、あなたが土地を売ったとしても、その代金は私が差し押さえることができますよ」

田中
「えっ、そうなんですか?」

山田
「そうですよ。民法372条によりますと、抵当権は先取特権の規定を準用するとあります。そして民法304条によりますと、先取特権者はその目的物の売却代金に対しても行使することができるとあります。ですから、あなたが土地を売ったとしても、その代金は私が先取することができるのです」

田中
「そうなんですか...それは困りましたね」

山田
「だから、私はあなたの土地を売却することに同意しません。私はあなたにお金を返してもらうか、あるいは土地を競売にかけてもらうかのどちらかです」

田中
「競売?それはもっと困りますよ。競売では土地の価値が下がってしまいますから」

山田
「それは仕方ありません。私はあなたの借金の回収を優先しますから」

田中
「山田さん、どうか考え直してくださいよ。私はあなたの友人ですよ」

山田
「友人だからこそ、お金の話はハッキリさせないといけません。私はあなたの土地を売却することに同意しませんし、差し押さえも辞さないということです」



鈴木
「(電話で)社長、大変です!契約書にサインしてもらおうとしたら、客が急に引き下がったんです!」

田中
「(電話で)えっ!どうしてですか?」

鈴木
「どうやら客が登記簿を調べてみたら、社長の土地に抵当権がついていることを知ったみたいです。それで不安になってやめてしまったんです」

田中
「そんな...抵当権者はなんとかするから大丈夫だって言ってやってくださいよ」

鈴木
「はい、社長。すみません、私も何とか説得しようとしましたが、客は聞く耳を持ちませんでした」

田中
「そうですか...鈴木さん、あなたは悪くありませんよ。これは私の責任です。私が借金をしたからこうなったんですから」

鈴木
「社長...」

田中
「でも、これで終わりじゃありませんよ。私はまだあきらめません。他にも買い手を探します。何とかして土地を売って、借金を返します」

鈴木
「そうですか。それなら私も協力しますよ。社長のために、もっと頑張ります」

田中
「ありがとう、鈴木さん。あなたは本当に信頼できる従業員ですよ。では、また連絡します」



佐藤
「田中さん、お久しぶりです。佐藤と申します」

田中
「どうしたんですか?」

佐藤
「先日お話した担保にした土地についてなんですが......実は、当行はあなたの土地を売却することに同意しません」

田中
「え?どうしてですか?」

佐藤
「我々もあなたに貸したお金を回収したいからです。そのためには抵当権を保持する必要があります」

田中
「でも、佐藤さん。私は銀行にお金を返したいんです。そのためには土地を売るしかないんです」

佐藤
「それは無理ですよ。我々はあなたの土地に抵当権を設定したのですから、その土地の売却代金についても物上代位の効果があります。つまり、あなたが土地を売ったとしても、その代金は当行が差し押さえることができますよ」

田中
「えっ!それって山田さんと同じことじゃないですか!?」

佐藤
「そうですね。それなら彼も同じ主張をすると思いますよ」

田中
「そうなんですよ...山田さんも私の土地を売却することに同意しないし、差し押さえも辞さないって言ってました」

佐藤
「そうですか。それなら私も同じです。私はあなたの土地を売却することに同意しませんし、差し押さえも辞さないということです」

田中
「佐藤さん、どうか考え直してくださいよ。私はお金を返したいんです」

佐藤
「田中さん、私は銀行の支店長です。我々はあなたの借金の回収を優先しますから。それに、私はあなたと友人ではありませんよ。私はあなたの債権者です。だから、私はあなたの土地を売却することに同意しません」

 佐藤はキッパリそう言って帰っていった。

田中
「どうしよう...どうしよう...私の土地には二人の抵当権者がいるんだ...しかも、どちらも売却することに同意しないし、差し押さえも辞さないって言ってる...これじゃあ、土地を売ることができないじゃないか...借金を返す方法がなくなってしまった...私はどうすればいいんだ......」



鈴木
「(電話で)社長、大変です!銀行から連絡がありましたよ!」

田中
「(電話で)銀行?どうしたんですか?」

鈴木
「実は、銀行は社長の借金の返済期限を今月末に繰り上げたんです!」

田中
「えっ!今月末!?それは無理ですよ!私はまだ土地を売れていないんですから!」

鈴木
「そうなんですよ。銀行は社長の返済能力に疑問を持っているみたいです。だから、今月末までにお金を返さないと、土地を強制的に競売にかけると言っています」

田中
「競売!?それはもっと困りますよ!競売では土地の価値が下がってしまいますから!」

鈴木
「そうですよ。それに、競売では抵当権者の優先順位が重要になります。社長の土地には二人の抵当権者がいるんですよね?山田さんと銀行ですよね?」

田中
「そうなんですよ...どちらも売却することに同意しないし、差し押さえも辞さないって言っている...」

鈴木
「そうなんですか。それなら、競売ではどちらが先に弁済を受けるかが問題になります。抵当権者の優先順位は登記の順番によって決まります。登記された日時が早い方が優先されます。社長の土地については、山田さんと銀行の登記の順番はどうなっていますか?」

田中
「えっと...確か...山田さんが先だったと思います。私は山田さんに最初にお金を借りたんですから」

鈴木
「そうですか。それなら、競売では山田さんが先に弁済を受けることになります。銀行は後回しになります」

田中
「そうなんですか...でも、それでも困りますよ。私はどちらにもお金を返したいんですから」

鈴木
「そうですよね。でも、社長。私はあきらめてはいけないと思いますよ。私はまだ買い手を探しています。何とかして土地を売って、借金を返しましょう」

田中
「ありがとう、鈴木さん。あなたは本当に信頼できる従業員ですよ。でも、今月末までに買い手を見つけることができるんでしょうか?」

鈴木
「わかりませんが、可能性はゼロではありません。社長の土地は立地も良くて、価値も高いと思います。きっと誰かが買ってくれると信じています」

田中
「そうですか...それなら頑張ってください。私もあきらめません。私たちは一緒に乗り越えましょう」

鈴木
「はい、社長。私たちは一緒に乗り越えましょう」


 数日後......。


鈴木
「(電話で)社長、良い知らせです!買い手が見つかりましたよ!」

田中
「(電話で)本当ですか!それは良かった!誰が買ってくれるんですか?」

鈴木
「実は、私の知り合いの不動産業者なんです。彼は社長の土地に興味を持ってくれて、今日契約することになりました」

田中
「本当ですか!それは嬉しいです!でも、抵当権の問題はどうなったんですか?」

鈴木
「そこがすごいんですよ。彼は抵当権の問題を知っていましたが、それでも買ってくれると言ってくれました。彼は抵当権者に対して、売却代金から借金を差し引いて支払うという条件で同意を取り付けました」

田中
「そうなんですか!それはすごいですね!抵当権者はどうやって同意したんですか?」

鈴木
「彼は抵当権者に対して、競売よりも売却の方が土地の価値を高く保てると説明しました。それに、競売では優先順位があるので、後回しになる抵当権者は弁済を受けられない可能性があるとも言いました。それで、抵当権者は納得して同意したんだと思います」

田中
「そうですか...それなら安心しました。山田さんと(銀行の)佐藤支店長にも感謝しないといけませんね」

鈴木
「そうですね。彼らも社長の事情を理解してくれたんだと思います」

田中
「そうですね...でも、一番感謝しないといけないのはあなたですよ。鈴木さん。あなたが買い手を探してくれなかったら、私は借金を返せなかったかもしれません」

鈴木
「いえいえ、社長。私は社長のためにやっただけですよ。社長が借金を返せて安心するなら、私も嬉しいです」

田中
「ありがとう、鈴木さん。あなたは本当に信頼できる従業員ですよ。これからも私の会社で働いてくださいね」

鈴木
「はい、社長。喜んで働きますよ」




 以上、初学者向けにやさしく民法の抵当権についての簡単な物語をお送りいたしました。
 まずは民法の抵当権についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。

 また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
 抵当権についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
【抵当権の超基本】その特徴と意味とは?抵当権の強さの理由とは?一般財産って何?初学者にもわかりやすく解説!
 にございますので、よろしければご覧ください。

 以上になります。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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