【不動産の二重譲渡】を初学者向けにやさしく物語で解説!初学者向け☆やさしい小説民法!

【不動産の二重譲渡】を初学者向けにやさしく物語で解説!初学者向け☆やさしい小説民法!

【登場人物】
山田:土地の売主
佐藤:土地の買主
鈴木:土地の買主

【物語のあらまし】
 ある日、山田は自分の持っている土地を佐藤に売却する。
 しかし、登記を移転することを忘れていた。
 その後、山田は同じ土地を鈴木にも売却し、登記を移転した。



 佐藤は、自分が土地の所有者になったと思っていたが、ある日、鈴木がその土地に家を建てようとしているのを見かける。
 佐藤は驚いて鈴木に話しかけた。

「すみません、この土地は私が買ったものです。あなたはどういうつもりですか?」

「え? この土地は私が山田さんから買ったものです。登記も済ませていますよ」

「そんなことはありません。私が先に山田さんから買ったんです。契約書もあります」

「契約書だけではだめですよ。登記がないと第三者に対抗できません。民法177条にそう書いてあります」

「民法177条? それって何ですか?」

「不動産の二重譲渡の場合には、登記がある方が所有権を取得するという規定です。私は登記をしていますから、この土地の所有者は私です」

「でも、私は山田さんから先に買ったんですよ。それに代金も支払っています。あなたは私が山田さんから買ったことを知っていたんじゃないですか?」

「知っていたとしても関係ありませんよ」

「とにかく!私は正当な権利者です! これ以上この土地に手を出したら訴えますよ!」

「訴えても無駄ですよ。登記がないと所有権を主張できませんからね」

「そんなこと言われても!」

「じゃあ、どうするんですか? 山田さんに返金してもらうとか?」

「山田さんはどこに行ったかわかりませんよ...」

「それじゃあ、困りましたね」

「ああ、なんてことだ...」

 そこへ、山田さんが現れました。

「おやおや、どうしたんですか? こんなところで大声で言い争って」

「山田さん! あなたはどこにいたんですか! この土地を二重に売ったのはあなたでしょう!」

 佐藤さんは契約書を山田さんに見せました。

「ああ、これね。で、登記はしたのかい?」

「登記は…」

「登記はしていないんだね。じゃあ、残念だけど、この土地の所有者は鈴木さんだよ。鈴木さんは登記をしたからね」

「だけど!」

 佐藤さんは泣き崩れました。
 山田さんは鈴木さんに向かって笑みを浮かべました。

「鈴木さん、おめでとうございます。この土地の所有者はあなたですよ。私との契約も無事成立しましたね」

「ありがとうございます、山田さん。でも、佐藤さんには気の毒ですね。」

「気の毒? 何を言ってるんですか? 佐藤さんは自業自得ですよ。登記をしなかったのが悪いんですよ」

「それでも...」

「それでも何ですか? 鈴木さん、あなたはこの土地の所有者ですよ。私との契約も有効ですよ。佐藤さんのことなんて気にしないでくださいよ」

「そうですか...」

 鈴木さんは不安そうに山田さんを見ました。
 山田さんはにやりと笑いました。

「さあ、さっさとこの土地に家を建てましょうよ。私も手伝ってあげますよ」

「はい」

 鈴木さんはしぶしぶ山田さんについていきました。
 佐藤さんは呆然とその場に立ち尽くしました。




 以上、初学者向けにやさしく不動産の二重譲渡についての簡単な物語をお送りいたしました。
 まずは不動産の二重譲渡についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。

 また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
 不動産の二重譲渡についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
【不動産登記の基本】二重譲渡~登記は早い者勝ち/3つの登記請求権と登記引取請求権とは?初学者にもわかりやすく解説!
 にございますので、よろしければご覧ください。

 以上になります。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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