
【登場人物】
A:無権代理人。Bの友人で、Bの不動産会社で働いていると偽っている。
B:本人。不動産会社の社長。
C:相手方。Aに騙されて、Bの所有する土地を買おうとしている。
D:Cの友人。弁護士。
Cは、Aに連れられて、Bの所有する土地を見に来ている。
Aは、Bの代理人だと言って、Cに売買契約を結ばせようとしている。
A
「この土地は、駅から近くて、開発計画も進んでいるんですよ。今ならお得な価格で買えますよ」
C
「そうですか。でも、ちょっと高い気がしますね」
A
「大丈夫です。私はBさんの代理人ですから、少し値引き交渉してみますよ。Bさんは、この土地を手放したくないんですが、私が説得して、特別に売ることにしたんです」
C
「本当ですか?それならありがたいですね」
A
「では、こちらの契約書にサインしてください。これであなたはこの土地の新しいオーナーになりますよ」
C
「ええと、ちょっと待ってください。契約書をよく読ませてください」
A
「もちろんです。どうぞごゆっくり」
その時、Dが現れる。
D
「Cさん、こんにちは。どうしたんですか?この土地を見に来たんですか?」
C
「あ、Dさん。こんにちは。実は、この土地を買おうと思っているんです」
D
「そうですか。でも、この土地はBさんのものじゃないですか?Bさんは私の顧問先なんですが」
C
「えっ?そうなんですか?でも、こちらの方(A)はBさんの代理人だと言っていましたよ」
D
「代理人?それはおかしいですね。私はBさんから何も聞いていませんし、この方(A)も見たことがありませんよ」
A
「あの、私はBさんの友人で、Bさんから頼まれて代理人を務めているんです」
D
「そうですか。では、代理権を証明する書類はありますか?」
A
「えっと、それは......」
D
「やっぱりありませんね。Cさん、この方(A)は無権代理人ですよ。契約書にサインしないでください」
C
「無権代理人?それはどういうことですか?」
D
「無権代理人というのは、代理権を持たない者が他人の代理人として契約をすることです。民法では、無権代理行為は本人に対して効力を生じないと定めています。つまり、この方(A)がBさんの代理人だと偽って契約を結んでも、Bさんに対してその契約が有効になることはありません」
C
「そうなんですか?じゃあ、この契約書にサインしたらどうなるんですか?」
D
「サインしたらどうなるかというと、この方(A)に対して契約が成立します。でも、この方(A)はこの土地の所有者ではありませんから、あなたに土地を引き渡すことはできません。その代わり、あなたはこの方(A)に対して、土地の引き渡しもしくは損害賠償を請求できます」
C
「そうなんですか。それは困りますね。じゃあ、この契約書にサインしないでおきます」
A
「ちょっと待ってください。Bさんが追認すれば、契約は有効になりますよ。Bさんは私の友人ですから、追認してくれると思いますよ」
D
「追認というのは、本人が無権代理行為を承認することです。でも、Bさんはこの契約を知らないし、承認するつもりもないと思いますよ。Bさんに連絡して確認してみましょうか」
A
「いや、それはやめてください。Bさんは忙しいし、迷惑かけたくないし...」
D
「やっぱりそうですね。Cさん、この方(A)は信用できませんよ。この契約書は破棄しましょう」
C
「そうですね。ありがとうございます。Dさん、助かりました」
D
「いえいえ。無権代理人に騙されないように気をつけてくださいね」
以上、初学者向けにやさしく民法の無権代理についての簡単な物語をお送りいたしました。
まずは民法の無権代理についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。
また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
無権代理についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
⇒【代理の超基本】表見&無権代理とは/3つの表見代理とは/表見代理に転得者が絡んだ場合をわかりやすく解説!
にございますので、よろしければご覧ください。
以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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A:無権代理人。Bの友人で、Bの不動産会社で働いていると偽っている。
B:本人。不動産会社の社長。
C:相手方。Aに騙されて、Bの所有する土地を買おうとしている。
D:Cの友人。弁護士。
Cは、Aに連れられて、Bの所有する土地を見に来ている。
Aは、Bの代理人だと言って、Cに売買契約を結ばせようとしている。
A
「この土地は、駅から近くて、開発計画も進んでいるんですよ。今ならお得な価格で買えますよ」
C
「そうですか。でも、ちょっと高い気がしますね」
A
「大丈夫です。私はBさんの代理人ですから、少し値引き交渉してみますよ。Bさんは、この土地を手放したくないんですが、私が説得して、特別に売ることにしたんです」
C
「本当ですか?それならありがたいですね」
A
「では、こちらの契約書にサインしてください。これであなたはこの土地の新しいオーナーになりますよ」
C
「ええと、ちょっと待ってください。契約書をよく読ませてください」
A
「もちろんです。どうぞごゆっくり」
その時、Dが現れる。
D
「Cさん、こんにちは。どうしたんですか?この土地を見に来たんですか?」
C
「あ、Dさん。こんにちは。実は、この土地を買おうと思っているんです」
D
「そうですか。でも、この土地はBさんのものじゃないですか?Bさんは私の顧問先なんですが」
C
「えっ?そうなんですか?でも、こちらの方(A)はBさんの代理人だと言っていましたよ」
D
「代理人?それはおかしいですね。私はBさんから何も聞いていませんし、この方(A)も見たことがありませんよ」
A
「あの、私はBさんの友人で、Bさんから頼まれて代理人を務めているんです」
D
「そうですか。では、代理権を証明する書類はありますか?」
A
「えっと、それは......」
D
「やっぱりありませんね。Cさん、この方(A)は無権代理人ですよ。契約書にサインしないでください」
C
「無権代理人?それはどういうことですか?」
D
「無権代理人というのは、代理権を持たない者が他人の代理人として契約をすることです。民法では、無権代理行為は本人に対して効力を生じないと定めています。つまり、この方(A)がBさんの代理人だと偽って契約を結んでも、Bさんに対してその契約が有効になることはありません」
C
「そうなんですか?じゃあ、この契約書にサインしたらどうなるんですか?」
D
「サインしたらどうなるかというと、この方(A)に対して契約が成立します。でも、この方(A)はこの土地の所有者ではありませんから、あなたに土地を引き渡すことはできません。その代わり、あなたはこの方(A)に対して、土地の引き渡しもしくは損害賠償を請求できます」
C
「そうなんですか。それは困りますね。じゃあ、この契約書にサインしないでおきます」
A
「ちょっと待ってください。Bさんが追認すれば、契約は有効になりますよ。Bさんは私の友人ですから、追認してくれると思いますよ」
D
「追認というのは、本人が無権代理行為を承認することです。でも、Bさんはこの契約を知らないし、承認するつもりもないと思いますよ。Bさんに連絡して確認してみましょうか」
A
「いや、それはやめてください。Bさんは忙しいし、迷惑かけたくないし...」
D
「やっぱりそうですね。Cさん、この方(A)は信用できませんよ。この契約書は破棄しましょう」
C
「そうですね。ありがとうございます。Dさん、助かりました」
D
「いえいえ。無権代理人に騙されないように気をつけてくださいね」
以上、初学者向けにやさしく民法の無権代理についての簡単な物語をお送りいたしました。
まずは民法の無権代理についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。
また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
無権代理についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
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