
【登場人物】
A:債権者(お金を貸した側)
B:債務者(お金を借りた側)
C:弁護士
【物語のあらまし】
AはBに10年前に100万円を貸したが、Bは返済しなかった。
AはBに対して裁判を起こそうとするが、Cに相談すると、消滅時効の問題があると言われる。
A
「こんにちは、C弁護士ですか?私はAと申します。あなたに相談したいことがあります」
C
「はい、C弁護士です。どういったご相談でしょうか?」
A
「実は、私は10年前にBという人に100万円を貸したんです。でも、Bは一度も返済してくれませんでした。何度も催促したのですが、逃げられたり無視されたりしました。もう我慢できないので、裁判を起こそうと思っています」
C
「そうですか。それは大変なことですね。しかし、その債権については消滅時効の問題がありますよ」
A
「消滅時効?それは何ですか?」
C
「消滅時効とは、権利が一定期間行使されない場合、権利を消滅させる制度です。法律で定められた時効期間が経過した後、当事者等が消滅時効を援用することにより、確定的に権利が消滅することになります」
A
「えっ?そんなことがあるんですか?じゃあ、私の債権はもう消えてしまったんですか?」
C
「それは必ずしもそうではありません。消滅時効の成立には、以下の要件を満たす必要があります」
・一定の権利を行使しないこと
・一定の事実状態が存続していること
・消滅時効の援用があること
A
「それぞれどういう意味ですか?」
C
「一定の権利を行使しないこととは、債権者が債務者に対して、返済の請求をしなかったなどの権利を行使しないことです」
A
「でも、私は何度も催促したじゃないですか」
C
「催促だけでは不十分です。裁判上の請求や強制執行などの法的手続きを取らなければなりません。これらの手続きを取ることで、消滅時効は更新されます」
A
「更新されるってどういうことですか?」
C
「更新されるということは、進行中の消滅時効期間の効力が失われ、新たな消滅時効期間が進行することになります。つまり、時計がリセットされるようなイメージです」
A
「なるほど。では、一定の事実状態が存続していることとは?」
C
「一定の事実状態が存続していることとは、債権者が債務者に対して、権利の行使をせずに一定の期間が経過した場合です。この場合の一定の期間とは、以下の2パターンの内、先に成立した方です」
・債権者が権利を行使できることを知ったときから5年間
・権利を行使できるようになってから10年間
A
「どちらも10年以内ですね。私は10年前に貸したので、どちらも該当しますか?」
C
「そうですね。ただし、消滅時効の起算点は、権利を行使できる時です。期限の設定が無い債権については、債権が成立した時が起算点なります。あなたはBに貸した時に返済期限を決めましたか?」
A
「いえ、決めませんでした」
C
「では、あなたの債権は貸した時から消滅時効が進行しています。もしBが消滅時効を援用すれば、あなたの債権は消滅する可能性があります」
A
「消滅時効の援用とは何ですか?」
C
「消滅時効の援用とは、債務者が債権者に対して、消滅時効の制度を利用する意思表示をすることです。代表的な援用は、内容証明郵便や裁判所への申立てなどで、消滅時効の完成を主張することです」
A
「でも、Bはそんなことしないと思いますよ。Bは私に借金を認めていませんし、逃げ回っていますから」
C
「それはあなたにとって幸いですが、Bがいつ消滅時効を援用するか分かりません。もしBが援用すれば、あなたは裁判で勝てない可能性が高くなります」
A
「そうなんですか。じゃあ、私はどうすればいいんですか?」
C
「あなたは早急に裁判上の請求や強制執行などの法的手続きを取る必要があります。これらの手続きを取ることで、消滅時効は更新されます。また、民法改正により、協議による時効の完成猶予に関する規定が新設されました。これは、債権者と債務者が協議して時効の完成を猶予することができる制度です。もしBが協議に応じるなら、この制度を利用することもできます」
以上、初学者向けにやさしく民法の消滅時効についての簡単な物語をお送りいたしました。
まずは民法の消滅時効についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。
また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
消滅時効についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
⇒【消滅時効の基本】権利行使をできる時&知った時/様々な債権とその時効起算点(数え始め)を初学者にもわかりやすく解説!
にございますので、よろしければご覧ください。
以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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A:債権者(お金を貸した側)
B:債務者(お金を借りた側)
C:弁護士
【物語のあらまし】
AはBに10年前に100万円を貸したが、Bは返済しなかった。
AはBに対して裁判を起こそうとするが、Cに相談すると、消滅時効の問題があると言われる。
A
「こんにちは、C弁護士ですか?私はAと申します。あなたに相談したいことがあります」
C
「はい、C弁護士です。どういったご相談でしょうか?」
A
「実は、私は10年前にBという人に100万円を貸したんです。でも、Bは一度も返済してくれませんでした。何度も催促したのですが、逃げられたり無視されたりしました。もう我慢できないので、裁判を起こそうと思っています」
C
「そうですか。それは大変なことですね。しかし、その債権については消滅時効の問題がありますよ」
A
「消滅時効?それは何ですか?」
C
「消滅時効とは、権利が一定期間行使されない場合、権利を消滅させる制度です。法律で定められた時効期間が経過した後、当事者等が消滅時効を援用することにより、確定的に権利が消滅することになります」
A
「えっ?そんなことがあるんですか?じゃあ、私の債権はもう消えてしまったんですか?」
C
「それは必ずしもそうではありません。消滅時効の成立には、以下の要件を満たす必要があります」
・一定の権利を行使しないこと
・一定の事実状態が存続していること
・消滅時効の援用があること
A
「それぞれどういう意味ですか?」
C
「一定の権利を行使しないこととは、債権者が債務者に対して、返済の請求をしなかったなどの権利を行使しないことです」
A
「でも、私は何度も催促したじゃないですか」
C
「催促だけでは不十分です。裁判上の請求や強制執行などの法的手続きを取らなければなりません。これらの手続きを取ることで、消滅時効は更新されます」
A
「更新されるってどういうことですか?」
C
「更新されるということは、進行中の消滅時効期間の効力が失われ、新たな消滅時効期間が進行することになります。つまり、時計がリセットされるようなイメージです」
A
「なるほど。では、一定の事実状態が存続していることとは?」
C
「一定の事実状態が存続していることとは、債権者が債務者に対して、権利の行使をせずに一定の期間が経過した場合です。この場合の一定の期間とは、以下の2パターンの内、先に成立した方です」
・債権者が権利を行使できることを知ったときから5年間
・権利を行使できるようになってから10年間
A
「どちらも10年以内ですね。私は10年前に貸したので、どちらも該当しますか?」
C
「そうですね。ただし、消滅時効の起算点は、権利を行使できる時です。期限の設定が無い債権については、債権が成立した時が起算点なります。あなたはBに貸した時に返済期限を決めましたか?」
A
「いえ、決めませんでした」
C
「では、あなたの債権は貸した時から消滅時効が進行しています。もしBが消滅時効を援用すれば、あなたの債権は消滅する可能性があります」
A
「消滅時効の援用とは何ですか?」
C
「消滅時効の援用とは、債務者が債権者に対して、消滅時効の制度を利用する意思表示をすることです。代表的な援用は、内容証明郵便や裁判所への申立てなどで、消滅時効の完成を主張することです」
A
「でも、Bはそんなことしないと思いますよ。Bは私に借金を認めていませんし、逃げ回っていますから」
C
「それはあなたにとって幸いですが、Bがいつ消滅時効を援用するか分かりません。もしBが援用すれば、あなたは裁判で勝てない可能性が高くなります」
A
「そうなんですか。じゃあ、私はどうすればいいんですか?」
C
「あなたは早急に裁判上の請求や強制執行などの法的手続きを取る必要があります。これらの手続きを取ることで、消滅時効は更新されます。また、民法改正により、協議による時効の完成猶予に関する規定が新設されました。これは、債権者と債務者が協議して時効の完成を猶予することができる制度です。もしBが協議に応じるなら、この制度を利用することもできます」
以上、初学者向けにやさしく民法の消滅時効についての簡単な物語をお送りいたしました。
まずは民法の消滅時効についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。
また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
消滅時効についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
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