
【登場人物】
・法律に詳しいA
・祖父から土地を相続したばかりのB
・上記土地の隣人のC
・Bの祖父の友人D(すでに亡くなっている)
A
「こんにちは、Bさん。今日はどうしたのですか?」
B
「ああ、Aさん。実はあなたに相談したいことがあるんです」
A
「なんでしょうか?」
B
「実は私、先日、祖父から土地を相続したんですよ」
A
「えっ、本当ですか?」
B
「はい。でも、その土地に問題があるんです。
A
「問題?どんな問題ですか?」
B
「その土地には、昔から倉庫が建っているんですが、その倉庫の所有者が私ではなく、隣のCさんだと主張しているんです」
A
「Cさん?あのCさんですか?」
B
「そう、あのCさんです。あなたも知っているでしょう。あの倉庫を自分のものだと言って、中に入ったり出たりしている人」
A
「ああ、そういえばそんな人がいましたね。でも、なぜCさんが倉庫の所有者だと言うのですか?」
B
「Cさんによると、その倉庫は元々はDさんという人のものだったらしいんです。
Dさんは私の祖父と友人で、祖父にその土地を借りて倉庫を建てたそうです。
でも、Dさんは20年前に亡くなってしまって、遺族もいなかったらしくて、その倉庫は放置されていたんです」
A
「そうなんですか」
B
「そこでCさんが、Dさんの遺志を継ぐと言って、その倉庫を自分で管理し始めたんだそうです。CさんはDさんの親戚でもなければ遺言執行者でもないんですけどね。
それでCさんは、その倉庫を10年以上占有しているから、取得時効によって所有権が移転したと言っているんです」
A
「取得時効?それって何ですか?」
B
「取得時効というのは、他人の物や財産権を一定期間継続して占有することで、その権利を取得できる制度です。
所有権の場合は、20年間占有すれば取得できます。でも、占有を始めたときに善意無過失であれば10年で取得できます(短期取得時効)」
A
「善意無過失というのはどういうことですか?」
B
「善意というのは、占有者が占有物について自己に所有権がないことを知らないことであり、無過失というのは自己に所有権があると信じることについて過失がないことを言うんです。
つまり、Cさんが倉庫を占有したときに、それが他人のものだと知らずに自分のものだと信じていたら善意無過失だということになります」
A
「そういうことなんですね。でも、Cさんは本当に善意無過失だったんでしょうか?」
B
「それが疑問なんです。私はCさんが倉庫を占有したときに、それがDさんのものだと知っていたと思うんです。
だって、CさんはDさんの友人だったらしいし、Dさんが亡くなったことも知っていたはずです。
それに、祖父に倉庫の使用料を払ったり、祖父に占有の意思を表示したりしたこともなかったそうです。
だから、Cさんは他主占有であって自主占有ではなかったと思うんです。
A
「他主占有と自主占有の違いは何ですか?」
B
「他主占有というのは、所有の意思がない占有であり、自主占有というのは所有の意思をもってする占有です。
取得時効は自主占有でなければ成立しないんです」
A
「なるほど。じゃあ、Cさんの主張は根拠がないということですね」
B
「そう思うんですけど、Cさんは自分が倉庫の所有者だと言い張っています。それで私に倉庫を明け渡すように要求してきたんです。
A
「えっ、それは困りますね。どうするつもりですか?」
B
「私はCさんに対して、倉庫の所有権を認めないと伝えました。でも、Cさんは納得しなくて、裁判を起こすと言ってきました。
A
「裁判ですか?それは大変ですね」
B
「そうなんです。でも、私は祖父から相続した土地と倉庫を守りたいんです。だから、裁判に挑む覚悟を決めました」
A
「そうですか。私はあなたの味方ですよ。頑張ってください」
B
「ありがとう、Aさん。あなたの応援が励みになります」
以上、初学者向けにやさしく民法の取得時効についての簡単な物語をお送りいたしました。
まずは民法の取得時効についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。
また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
取得時効についてもっと詳しくわかりやすい解説は、
⇒【取得時効】5つの成立要件/短期取得時効とは/様々な事例/賃借権が時効取得できる可能性?初学者にもわかりやすく解説!
にございますので、よろしければご覧ください。
以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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・法律に詳しいA
・祖父から土地を相続したばかりのB
・上記土地の隣人のC
・Bの祖父の友人D(すでに亡くなっている)
A
「こんにちは、Bさん。今日はどうしたのですか?」
B
「ああ、Aさん。実はあなたに相談したいことがあるんです」
A
「なんでしょうか?」
B
「実は私、先日、祖父から土地を相続したんですよ」
A
「えっ、本当ですか?」
B
「はい。でも、その土地に問題があるんです。
A
「問題?どんな問題ですか?」
B
「その土地には、昔から倉庫が建っているんですが、その倉庫の所有者が私ではなく、隣のCさんだと主張しているんです」
A
「Cさん?あのCさんですか?」
B
「そう、あのCさんです。あなたも知っているでしょう。あの倉庫を自分のものだと言って、中に入ったり出たりしている人」
A
「ああ、そういえばそんな人がいましたね。でも、なぜCさんが倉庫の所有者だと言うのですか?」
B
「Cさんによると、その倉庫は元々はDさんという人のものだったらしいんです。
Dさんは私の祖父と友人で、祖父にその土地を借りて倉庫を建てたそうです。
でも、Dさんは20年前に亡くなってしまって、遺族もいなかったらしくて、その倉庫は放置されていたんです」
A
「そうなんですか」
B
「そこでCさんが、Dさんの遺志を継ぐと言って、その倉庫を自分で管理し始めたんだそうです。CさんはDさんの親戚でもなければ遺言執行者でもないんですけどね。
それでCさんは、その倉庫を10年以上占有しているから、取得時効によって所有権が移転したと言っているんです」
A
「取得時効?それって何ですか?」
B
「取得時効というのは、他人の物や財産権を一定期間継続して占有することで、その権利を取得できる制度です。
所有権の場合は、20年間占有すれば取得できます。でも、占有を始めたときに善意無過失であれば10年で取得できます(短期取得時効)」
A
「善意無過失というのはどういうことですか?」
B
「善意というのは、占有者が占有物について自己に所有権がないことを知らないことであり、無過失というのは自己に所有権があると信じることについて過失がないことを言うんです。
つまり、Cさんが倉庫を占有したときに、それが他人のものだと知らずに自分のものだと信じていたら善意無過失だということになります」
A
「そういうことなんですね。でも、Cさんは本当に善意無過失だったんでしょうか?」
B
「それが疑問なんです。私はCさんが倉庫を占有したときに、それがDさんのものだと知っていたと思うんです。
だって、CさんはDさんの友人だったらしいし、Dさんが亡くなったことも知っていたはずです。
それに、祖父に倉庫の使用料を払ったり、祖父に占有の意思を表示したりしたこともなかったそうです。
だから、Cさんは他主占有であって自主占有ではなかったと思うんです。
A
「他主占有と自主占有の違いは何ですか?」
B
「他主占有というのは、所有の意思がない占有であり、自主占有というのは所有の意思をもってする占有です。
取得時効は自主占有でなければ成立しないんです」
A
「なるほど。じゃあ、Cさんの主張は根拠がないということですね」
B
「そう思うんですけど、Cさんは自分が倉庫の所有者だと言い張っています。それで私に倉庫を明け渡すように要求してきたんです。
A
「えっ、それは困りますね。どうするつもりですか?」
B
「私はCさんに対して、倉庫の所有権を認めないと伝えました。でも、Cさんは納得しなくて、裁判を起こすと言ってきました。
A
「裁判ですか?それは大変ですね」
B
「そうなんです。でも、私は祖父から相続した土地と倉庫を守りたいんです。だから、裁判に挑む覚悟を決めました」
A
「そうですか。私はあなたの味方ですよ。頑張ってください」
B
「ありがとう、Aさん。あなたの応援が励みになります」
以上、初学者向けにやさしく民法の取得時効についての簡単な物語をお送りいたしました。
まずは民法の取得時効についてのイメージを掴んでいただければ幸いです。
また、専門用語で難しく感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
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