
錯誤
Q: 錯誤とは何ですか?
A: 錯誤とは、表意者が無意識的に意思表示を誤り、その表示に対応する意思が欠けていることをいいます。
例えば、契約書の金額の欄に「100万円」と書くべきだったのに、「1000万円」と書いてしまった場合や、相手方の人物や身分を間違えた場合などが錯誤にあたります。
Q: 錯誤の種類は何ですか?
A: 錯誤は、表示行為の錯誤と動機の錯誤に分けられます。
表示行為の錯誤とは、意思表示に対応する意思を欠く錯誤です。
例えば、言い間違いや書き間違いなどがこれにあたります。
動機の錯誤とは、法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤です。
例えば、目的物の性状や価値などに関する勘違いなどがこれにあたります。
Q: 錯誤の効果は何ですか?
A: 錯誤による意思表示は、取り消すことができます(民法95条1項)。
ただし、次の要件を満たす必要があります。
・錯誤にもとづき意思表示がされたこと(主観的な因果関係の存在)
・錯誤が法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものであること(客観的な重要性の存在)
また、動機の錯誤による意思表示の場合は、さらに次の要件も必要です。
・動機となった事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたこと(民法95条2項)
Q: 錯誤取消しの主張は制限されることはありますか?
A: はい、あります。
次の場合は、錯誤取消しを主張できません(民法95条3項)。
・錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合
・相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていた場合
心裡留保
Q: 心裡留保とは何ですか?
A: 心裡留保とは、真意とは異なる意思表示をしたときの効力を定める規定です。
たとえば、本当に贈与するつもりもないのに、「この車お前にやるよ」というのは、贈与にかかる心裡留保です。
Q: 心裡留保なら契約は有効ですか?
A: 現行民法では「心裡留保によってなされた意思表示も有効」と規定されています(民法93条1項)。
ただし、相手方が心裡留保であることを知っていた場合や知ることができた場合には、心裡留保による意思表示が無効になります(民法93条1項 ただし書き)。
Q: 心裡留保と虚偽表示の違いは何ですか?
A: 心裡留保とよく混同される規定として、通謀虚偽表示があります。
通謀虚偽表示とは、相手と結託して虚偽の意思表示を行うことです。
心裡留保は1人で意思表示するものですが、通謀虚偽表示の場合には相手と結託している点が異なります。
また心裡留保は基本的に有効ですが、通謀虚偽表示の場合には基本的に無効となる点も異なります。
→錯誤・心裡留保についてのもっとわかりやすい解説はこちらをご覧ください←
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