【地役権・囲繞地通行権】の判例

【地役権・囲繞地通行権】の判例


通行地役権


[最高裁判所平成10年2月13日判決]
通行地役権の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない。

[最高裁判所昭和30年12月26日判決]
通行地役権は,要役地から分離して譲り渡し,又は他の権利の目的とすることができない(民法281条2項)。
したがって,要役地所有者がその土地を分割した場合には,分割後の各部分についても同一の通行地役権が存続する。

[最高裁判所平成17年3月29日判決]
自動車の通行を目的とする通行地役権を有する者が,当該通行地役権の設定された通路(位置指定道路)上に恒常的に車両を駐車する者に対して,道路の目的外に使用する行為の禁止及び通行妨害行為の禁止を求めた事案において,通行妨害の禁止請求が認容された。

[大審院昭和13年3月17日判決]
要役地の所有権が移転した時は本条の規定により地役権も移転する。
所有権の移転を承役地の所有者に対抗できる時は、地役権の移転も登記なくして対抗できる。


囲繞地通行権


[最高裁判所平成18年3月16日判決]
自動車による通行を前提とする囲繞地通行権の成否及びその具体的内容は,公道に至るため他の土地について自動車による通行を認める必要性,周辺の土地の状況,上記通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである。

[最高裁判所平成2年11月20日判決]
分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。
この場合においては、償金を支払うことを要しない(民法213条1項)。
ただし、分割された他方の土地が特定承継された場合でも、囲繞地通行権は消滅しない。

[東京高等裁判所平成19年9月13日判決]
囲繞地通行権者がその通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない場合(民法212条),その償金額は,当該他の土地の所有者が被った不利益及び当該他の土地の価値低下額等を考慮して,公正な裁量で決定されるべきである。

[最高裁判所平成11年7月13日判決]
公道に一・四五メートル接する土地の上に建築基準法が施行されるよりも前から存在した建築物が取り壊された場合に、同土地の所有者のためにいわゆる接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権が認められないとされた事例。


通行地役権と時効


[最高裁判所平成6年12月16日判決]
通行地役権の取得時効には、他人の土地をただ通行するだけでは足りないと解釈されるのが一般的。
通行地役権の時効取得に関する「継続」の要件としては、承役地たるべき他人所有の土地の上に通路の開設を要し、その開設は要役地所有者によってなされることを要するものと解すべきである。

[最高裁判所昭和45年5月28日判決]
通行地役権の消滅時効には、承役地所有者がその土地を継続的に使用し、かつその使用が通行地役権を否認する意思に基づくものであることが客観的に表現されていることを要する。
ただし、承役地所有者がその土地を単に閉鎖したり、立入禁止の表示をしたりするだけでは、消滅時効は成立しない。

[最高裁判所平成10年2月13日判決]
通行地役権が設定されていない場合でも、承役地が譲渡された場合において、譲渡時に承役地が要役地所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ譲受人がそのことを認識していたかまたは認識することが可能であったときは、譲受人は特段の事情がない限り、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらない。


 以上、通行地役権と囲繞地通行権の判例です。
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