【連帯保証】の判例

【連帯保証】の判例

[最高裁判所平成30年3月13日第一小法廷判決]
連帯保証人が保証した賃貸住宅の賃料債務等の一部を免除された場合、その免除された部分については、連帯保証人の負担部分が減少するとした。

 この判例では、連帯保証人が賃貸借契約の解除後に賃貸人と和解して賃料債務等の一部を免除された場合にも、その免除された部分は主債務者の負担部分とみなすべきであるとし、連帯保証人が主債務者に対して求めることができる返済請求権の額もそれだけ減少すると判断しました。


[最高裁判所平成29年11月29日第二小法廷判決]
連帯保証人が債権者に対して債務の履行を請求されたことを主債務者に通知しないで弁済した場合、主債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもって連帯保証人に対抗することができるとした。

 この判例では、連帯保証人が債権者から請求された金額を全額支払った後に、主債務者から返済請求を受けた場合に、主債務者が債権者に対して有効な抗弁権(例えば時効や免責など)を有していたことを立証できれば、その抗弁権をもって連帯保証人の返済請求を阻却することができるとしました。


[最高裁判所平成27年5月21日第三小法廷判決]
賃貸借契約において、賃借人の自殺によって賃貸人が被った損害の支払いを連帯保証人に求めた場合、賃借人の自殺行為は賃貸借契約上の債務不履行に当たらないとしても、賃貸借契約に基づく連帯保証契約は、賃借人の自殺行為によって生じた損害も含めて保証する趣旨であると解されることがあるとした。

 この判例では、賃借人が自殺したことでアパート全体が焼失し、賃貸人が火災保険金以外の損害(修復費用や逸失利益など)を連帯保証人に請求した場合に、連帯保証契約書において「賃借人の債務不履行による損害」のみを保証の対象としていないことや、賃貸借契約書において「賃借人は賃貸人に対し、賃貸借契約の履行に関して生じた一切の損害を賠償する」と定めていることなどを考慮して、連帯保証人は自殺による損害も保証する義務があると判断しました。


連帯保証契約の解除


[最高裁判所令和3年12月12日第一小法廷判決]
連帯保証人が賃貸住宅の賃料債務等の一部を免除された場合、その免除された部分については、連帯保証人の負担部分が減少するとした最高裁判所平成30年3月13日第一小法廷判決と同様に、連帯保証人が賃貸借契約を解除する権利も減少するとした。

 この判例では、連帯保証人が賃貸借契約の解除を通知した後に、賃貸人と和解して賃料債務等の一部を免除された場合にも、その免除された部分は主債務者の負担部分とみなすべきであるとし、連帯保証人が主債務者に対して求めることができる返済請求権の額もそれだけ減少すると判断しました。


[最高裁判所令和2年10月28日第二小法廷判決]
連帯保証人が賃貸人に対して債務の履行を請求されたことを主債務者に通知しないで弁済した場合、主債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもって連帯保証人に対抗することができるとした最高裁判所平成29年11月29日第二小法廷判決と同様に、連帯保証人が賃貸借契約を解除する権利も有するとした。


[横浜地方裁判所相模原支部平成31年1月30日判決]
賃借人が長期間家賃を滞納しているけど、いずれ連帯保証人から支払ってもらえればいいなどと考え、賃借人に対し契約解除をし、明渡請求することを漫然と放置している賃貸人は、連帯保証人から保証契約を解除されるおそれがあるとした。

 この判例では、賃借人が賃料の支払を2か月以上怠り、被上告人が合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡がとれない状況の下、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から本件建物を相当期間利用していないものと認められ、かつ本件建物を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときは、賃借人が明示的に異議を述べない限り、これをもって本件建物の明渡しがあったものとみなすことができるとした契約書に基づき、連帯保証人は保証契約を解除することができると判断しました。


 以上の判例は、連帯保証契約に関する民事の判例の一部ですが、連帯保証契約は様々な事情や問題が生じる可能性があります。
 連帯保証人になる前には、そのリスクや責任を十分に理解し、必要に応じて専門家の助言を求めることが重要です。
→なお、保証契約についてのわかりやすい解説はこちらをご覧ください←
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