
即時取得の判例
[最高裁判所平成30年12月11日判決]
この判例では、自動車の所有権移転登記をせずに占有した者が、その後に元の所有者から抵当権を設定された第三者に対して、登記なくして即時取得による所有権取得を対抗できると判断しました。
この場合、自動車は登記・登録制度のある動産ですが、未登録・未登記・登録を抹消されたものは即時取得の対象となります。
[最高裁判所平成30年12月11日判決]
この判例では、不動産の所有権移転登記をせずに占有した者が、その後に元の所有者から抵当権を設定された第三者に対して、登記なくして即時取得による所有権取得を対抗できると判断しました。
この場合、不動産の所有権移転登記をせずに占有した者は、元の所有者から盗品又は遺失物の回復請求を受けることがありません。
また、元の所有者から抵当権を設定された第三者は、占有者が支払った代価を弁償することなくその物を回復することができません。
占有改定の判例
・占有改定と即時取得
[最高裁判所昭和35年2月11日判決]
この判例では、被告が原告から購入した自動車について、原告が所有権移転登記をせずに被告に引き渡した後、被告が原告から所有権移転登記証明書等を受け取り、自己名義で登記申請した場合、被告は即時取得によって所有権を取得したと主張しました。
しかし、最高裁はこれを認めず、原告から所有権移転登記証明書等を受け取ったことは占有改定であり、即時取得の要件ではないと判断しました。
・占有改定と譲渡担保
[最高裁判所昭和30年6月2日判決]
この判例では、原告が被告から購入した自動車について、被告が所有権移転登記をせずに原告に引き渡した後、原告が被告に対して自動車の所有権を譲渡し、占有改定の方法で引き渡した場合、原告は譲渡担保権者となり、その所有権の取得を第三者に対抗できると主張しました。
最高裁はこれを認め、原告の譲渡担保権は第三者の所有権移転登記よりも優先すると判断しました。
占有移転の判例
・現実の引渡しと簡易の引渡し
[最高裁判所昭和9年12月27日判決]
この判例では、原告が被告から購入した土地について、当事者双方が目的物を熟知していて実地で確認する必要のない場合は、実力的な支配の移転について合意によって引渡しは完了すると判断しました。
・指図による占有移転
[最高裁判所昭和34年4月15日判決]
この判例では、原告が被告から購入した建物について、被告が所有権移転登記をせずに原告に引き渡した後、原告が被告から借りていた敷地の所有者である第三者に対して建物の占有を譲渡担保権者である被告に移すように指図した場合、原告は指図による占有移転の方法で引き渡しを受けたと主張しました。
最高裁はこれを認めず、建物の占有は敷地の占有と一体であるため、敷地の所有者である第三者は建物の占有を譲渡担保権者である被告に移すことができないと判断しました。
以上、即時取得&占有改定&占有移転の判例でした。
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