【遺贈】特定遺贈と包括遺贈/遺贈の効力/遺言執行者/遺贈と死因贈与の違いをわかりやすく解説!

【遺贈】特定遺贈と包括遺贈/遺贈の効力/遺言執行者/遺贈と死因贈与の違いをわかりやすく解説!

▼この記事でわかること
特定遺贈と包括遺贈
遺贈の効力
遺言執行者
遺贈と死因贈与の違い
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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遺贈


 遺贈とは、遺言により遺言者の財産を無償譲渡することをいいます。
 遺贈にはつぎの2種類があります。

・特定遺贈
 特定の財産を遺贈するケース。
 例えば、「甲不動産を遺贈する」という場合。

・包括遺贈
 相続分を割合として遺贈するケース。
 例えば、「相続分の3分の1を遺贈する」というケース。

 包括遺贈の受遺者(遺贈を受ける者)は、相続人そのものではありませんが、相続人と同一の権利義務を有します。(民法990条)
 つまり、考え方として、相続人が1人増えたという形で考えることになります。
 例えば、包括受遺者は、相続人とともに遺産分割協議に参加をすることができるのです。
 この点が、特定の財産についてのみ譲渡を受ける特定遺贈の受遺者との違いです。

 以下、両者の代表的な相違点を挙げます。

1・遺贈の放棄

 特定遺贈の場合には、受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈の放棄ができます。(民法986条1項)
 これに対して、包括遺贈の放棄は、相続の放棄と同様に、家庭裁判所への申述により行います。(民法990条、民法938条)

2・債務の承継

 特定遺贈は、通常はプラスの財産を無償で受けます。
 これに対して、包括受遺者は、相続人と同様に債務をも承継します。


【補足】負担付遺贈

 特定遺贈の場合にも、負担付遺贈というケースはあり得ます。
 では、受遺者が負担した義務を履行しなければどうなるでしょうか?
 この場合、相続人は相当の期間を定めてその履行を催告することができ、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができます。(民法1027条)


遺贈の効力


事例
AはBに甲不動産を遺贈するという遺言を書いた。Bには(Bの相続人となるBの)子Cがいる。


[問1]
BがAの死亡以前に死亡した場合、甲不動産は誰が取得するか?

 結論。
 遺贈はその効力が発生しません。(民法994条1項)
 したがって、Bは遺贈を受けることができず、Bの子Cも甲不動産を取得しません。
 この場合、甲不動産は相続財産となりAの相続人に帰属します。

[問2]
BがAの死亡より後に死亡した場合、甲不動産は誰が取得をするか?

 結論。
 甲不動産は、遺贈によりいったんBが取得し、その後のBの死亡によりCがこれを相続します。


【補足】遺贈の効力発生

 遺言は、遺言者死亡の時からその効力を生じます。(民法985条1項)
 したがって、受遺者が遺言者死亡のときに存在しなければ、遺贈は効力を生じないという結論となるわけです。
 なお、停止条件つきの遺言は、遺言者の死後に停止条件を成就すれば、その条件成就のときに効力を生じることになります。(民法985条2項)
 この場合は、条件の成就前に受遺者が死亡すれば、遺贈は効力を生じません。


遺言執行者


 遺言者は、遺言で1人または数人の遺言執行者を指定し、またはその指定を第三者に委託することができます。(民法1006条1項)

 遺言執行者は、遺言の執行に必要な一切の権利義務を有し、相続人が遺贈の目的物についてした処分は無効となります。
 遺言執行者が遺贈を執行すれば、相続人の相続財産は減少するという関係にあります。
 すなわち、遺言執行者と相続人の利害は対立することがあるのですが、民法上、死者の代理人という制度がないため、遺言執行者は相続人の代理人であるとみなされています。(民法1015条)

【遺言執行者の代理権限の中味】

 遺言内容の実現がその内容です。
 例えば、遺言内容に抵触する不動産の処分行為が行われた場合、これに関する登記手続は、相続人全員を登記義務者とするのであり、遺言執行者がすることはできません。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
民法1013条 
遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。


遺言執行者の欠落事由


 次の者は、遺言執行者になることはできません。(民法1009条)

・未成年者
・破産者

 実務上、受遺者が遺言執行者となることがあります。
 民法はこれを禁止していないので生じることはありません。


遺贈と死因贈与の違い


 遺贈と死因贈与は類似の仕組みですが、遺贈が単独行為であるのに比べて、死因贈与は契約である点が相違します。
 死因贈与は、贈与契約に贈与者の死亡という不確定期限が付されたものです。
 したがって、これに対する考え方は贈与解約と同様であり、例えば、未成年者が法定代理人の同意を得ないでした贈与は、取り消すことができる贈与となります。

 なお、死因贈与には、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用されます。

(死因贈与)
民法554条 
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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