
▼この記事でわかること
・未成年後見と成年後見の違い
・後見人の解任と辞任
・後見人になれる者
(上記クリックorタップでジャンプします)
今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。

後見人
後見人には、未成年後見人と、成年後見人があります。
未成年後見人とは、未成年者に親権者がいない場合(または、いてもその親権者に管理権がない場合)の後見人です。
成年後見人とは、被後見人が事理弁識能力を欠く常況にあるときに選任される後見人です。
どちらも、被後見人(未成年後見人の場合、未成年自身のこと)の法定代理人です。
未成年後見と成年後見の違い
未成年後見と成年後見では、その目的が違います。
未成年後見人の場合、未成年の子に意思能力がある場合があります。
例えば、健康で17歳の少年であれば意思能力があります。
なので、未成年者が法律行為をし、未成年後見人がこれに同意をするという取引形態も可能です。(もちろん、後見人が未成年者を代理することも可能)。
これに対し、成年後見人は事理弁識能力を欠く常況にありますから、通常は意思能力がありません。
本心に復するとしても(意思能力を取り戻したとしても)それは一時的な話です。
ですので、成年後見人が法律行為をし、後見人がこれに同意をするという取引形態は予定されていません。
仮に、この形態をとった場合であっても、法律行為は取消しが可能です。
なお、未成年後見人と成年後見人は、その目的が違うので、未成年者が事理弁識能力を欠く常況にある場合は、双方が併存し得ます。
つまり、成年後見人は未成年者についても選任される場合があります。
解任と辞任
後見人には、親権者の場合と類似する制度が存在します。
(なお、民法が単に後見人という場合には、成年後見人、未成年後見人の双方のことを指します)
・後見人の解任
後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときに、家庭裁判所は解任することができます。(民法846条)
・後見人の辞任
正当な事由があれば、家庭裁判所の許可を得て辞任をすることができます。(民法844条)
【補足】親権の辞任
親権の辞任は、やむを得ない事由がある場合に限られます。(民法837条1項)
この点で、後見人の場合に比べて辞任がしにくくなっています。
もちろん、家庭裁判所の許可も要します。
親を辞める方の要件が厳しいのは当然と言えますよね。
後見人になれる者
さて、次の者は後見人となることができるでしょうか?
1、未成年者
2、破産者
上記はいずれも後見人にはなれません。
民法847条は、この他に、次の者も後見人となることができないと規定しています。
・家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人
例えば、一度、親権喪失の宣告を受けると、その者は決して後見人にはなれません。誰を被後見人とする場合でもなれません。
・被後見人に対して訴訟をし、またはした者並びにその配偶者および直系血族
これは、被後見人との利害対立が推測されるからです。
・行方の知れない者
なお、後見人の数には制限がありません。
成年後見、未成年後見は、そのいずれも複数後見が可能です。(民法840条2項、民法843条3項)
また、後見人は法人がなることもできます。(未成年後見につき民法840条3項、成年後見につき民法843条4項)
また、後見監督人を法人とすることもできます。
後見人は、家庭裁判所が選任することが通常ですが、未成年後見人については、これを親権者が指定するという制度が存在します。(民法839条)
・未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で未成年後見人を指定することができる
ただし、管理権のない者は不可です。(身上監護権のみの親権者は上記の指定ができないということ)
・親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は遺言で未成年後見人を指定することができる
これは、財産管理を行うための未成年後見人です。
【補足】後見人と利益相反取引
被後見人と後見人の利益相反取引については特別代理人の選任を要します。
ただし、後見監督人がいる場合は、後見監督人が本人(被後見人)を代理することができますので、特別代理人の選任は要しません。(民法860条)
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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・未成年後見と成年後見の違い
・後見人の解任と辞任
・後見人になれる者
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今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。

後見人
後見人には、未成年後見人と、成年後見人があります。
未成年後見人とは、未成年者に親権者がいない場合(または、いてもその親権者に管理権がない場合)の後見人です。
成年後見人とは、被後見人が事理弁識能力を欠く常況にあるときに選任される後見人です。
どちらも、被後見人(未成年後見人の場合、未成年自身のこと)の法定代理人です。
未成年後見と成年後見の違い
未成年後見と成年後見では、その目的が違います。
未成年後見人の場合、未成年の子に意思能力がある場合があります。
例えば、健康で17歳の少年であれば意思能力があります。
なので、未成年者が法律行為をし、未成年後見人がこれに同意をするという取引形態も可能です。(もちろん、後見人が未成年者を代理することも可能)。
これに対し、成年後見人は事理弁識能力を欠く常況にありますから、通常は意思能力がありません。
本心に復するとしても(意思能力を取り戻したとしても)それは一時的な話です。
ですので、成年後見人が法律行為をし、後見人がこれに同意をするという取引形態は予定されていません。
仮に、この形態をとった場合であっても、法律行為は取消しが可能です。
なお、未成年後見人と成年後見人は、その目的が違うので、未成年者が事理弁識能力を欠く常況にある場合は、双方が併存し得ます。
つまり、成年後見人は未成年者についても選任される場合があります。
解任と辞任
後見人には、親権者の場合と類似する制度が存在します。
(なお、民法が単に後見人という場合には、成年後見人、未成年後見人の双方のことを指します)
・後見人の解任
後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときに、家庭裁判所は解任することができます。(民法846条)
・後見人の辞任
正当な事由があれば、家庭裁判所の許可を得て辞任をすることができます。(民法844条)
【補足】親権の辞任
親権の辞任は、やむを得ない事由がある場合に限られます。(民法837条1項)
この点で、後見人の場合に比べて辞任がしにくくなっています。
もちろん、家庭裁判所の許可も要します。
親を辞める方の要件が厳しいのは当然と言えますよね。
後見人になれる者
さて、次の者は後見人となることができるでしょうか?
1、未成年者
2、破産者
上記はいずれも後見人にはなれません。
民法847条は、この他に、次の者も後見人となることができないと規定しています。
・家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人
例えば、一度、親権喪失の宣告を受けると、その者は決して後見人にはなれません。誰を被後見人とする場合でもなれません。
・被後見人に対して訴訟をし、またはした者並びにその配偶者および直系血族
これは、被後見人との利害対立が推測されるからです。
・行方の知れない者
なお、後見人の数には制限がありません。
成年後見、未成年後見は、そのいずれも複数後見が可能です。(民法840条2項、民法843条3項)
また、後見人は法人がなることもできます。(未成年後見につき民法840条3項、成年後見につき民法843条4項)
また、後見監督人を法人とすることもできます。
後見人は、家庭裁判所が選任することが通常ですが、未成年後見人については、これを親権者が指定するという制度が存在します。(民法839条)
・未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で未成年後見人を指定することができる
ただし、管理権のない者は不可です。(身上監護権のみの親権者は上記の指定ができないということ)
・親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は遺言で未成年後見人を指定することができる
これは、財産管理を行うための未成年後見人です。
【補足】後見人と利益相反取引
被後見人と後見人の利益相反取引については特別代理人の選任を要します。
ただし、後見監督人がいる場合は、後見監督人が本人(被後見人)を代理することができますので、特別代理人の選任は要しません。(民法860条)
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
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