【離縁】【死別と離縁と血族関係】【特別養子】【特別養子と離縁】【15歳未満の未成年者の離縁】

▼この記事でわかること
死別と血族関係
裁判上の離縁
離縁と血族関係
15歳未満の未成年者の離縁
特別養子
特別養子の離縁
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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離縁と死別

 離縁により法定血族関係は解消します。
 しかし、死別の場合には、縁組により生じた法定血族関係は切れません。

死別の場合

 死別の場合、縁組を解消しようという当事者の意思が存在しません。
 そこで、当事者の一方が死亡しても、諸々の事情はそのまま存続し、何も変化がないことが原則です。

1、縁組により生じた法定血族関係はそのまま(もちろん死者との血族関係は解消しますが、その他の関係はそのまま存続します)
2、養親が死亡しても養子の氏はそのまま

 ただし、民法には死後離縁という制度が存在します。
 縁組の当事者の一方が死亡した場合、生存当事者が離縁をすることができるのです。
 死亡した当事者の血族からの死後離縁という制度はありません。
 例えば、養親が死亡した場合、養子が死後離縁をすると養子と養親の兄弟(養子から見れば叔父)との法定血族3親等の関係が切れる結果となります。
 この制度は、婚姻の場合の死後の姻族関係終了の意思表示(生存配偶者が憎き姑との縁を切るケース)と類似した制度です。
 しかし、そこには決定的な違いがあります。
 それは、死後離縁の場合には家庭裁判所の許可がいるということです。
 民法の規定はこちらです。

民法811条6項
縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。


 なぜ、死後離縁の場合、家庭裁判所の許可が必要なのでしょうか?
 それは、親子関係を切るというのは、話が穏やかではないと民法が考えているからです。
 離婚と離縁を比べると、一般に離縁の方がその要件が厳しいのです。

裁判上の離縁

 裁判上の離婚と類似の制度に、裁判上の離縁があります。
 法定された離縁原因は以下のとおりです。(民法814条1項)

・他の一方から悪意で遺棄されたとき
・他の一方の生死が3年以上明らかでないとき
・その一方の生死が3年以上明らかでないとき

 さて、離婚原因は5つありました。では、離婚原因にはなるが離縁原因にはならない理由とは何でしょう?
 それは、次の2つです。

1・配偶者に不貞な行為があったとき
2・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

 上記の1、つまり、不貞が離縁において問題とならないのは当然です。
 しかし、2の方は違います。
 つまり、民法では、亭主が病気だから離婚するということはあり得ますが、親が病気だから離縁するという態度は許さないということになります。
 この点からもわかるように、親子関係を切るというのは、話が穏やかではないのです。

離縁の場合

 離縁は、協議による場合も、訴えによる場合も、いずれも、当事者において相手方との関係を絶つという明確な意思が存在します。
 そこで、従来の状況が変化することが原則です。

1・縁組により生じた法定血族関係は一挙に解消します。(民法729条)
 当然のことながら、離縁をした養親子は、お互いがお互いを相続しません。
2・養子の氏は、当然に縁組前の氏に復します。(民法816条1項本文)
 ただし、養親が夫婦の場合、その一方のみ離縁しても(養子が成人であれば可能)、復氏はしません。他方との養親子関係が継続するからです。

 しかし、2についてのみ、次の例外が存在します。
 離縁により復氏した者は、離縁の日から3ヶ月以内に限り、戸籍の届出をすることにより、離縁の際に称していた氏に復帰できます。(民法816条2項)
 ここまでは、離婚の時の復氏と同様なのですが、離縁の日から3ヶ月以内というだけでなく、もう1つの規制があります。
 それは、縁組の日から7年間を経過した場合でなければ、上記の復氏の届出をすることができないことになっているのです。

【補足】15歳未満の未成年者の離縁

 15歳未満は縁組の問題に関しては、法定意思無能力であるから、協議離縁は、養親と離縁後に養子の法定代理人となるべき者との協議をします。(民法811条2項)
 なお、法定代理人とは、実親(親権者)か、親権者がいない場合には、未成年後見人です。
 ついでに言いますと、15歳未満に限った話ではありませんが、未成年者が離縁をする場合に家庭裁判所の許可を要するという規定はありません。
 15歳に達した未成年者は、単独で養親と離縁の協議をすることができます。これは、縁組の段階でも同様ですし、15歳に達すれば完全な意思能力が認められます。

特別養子
指差し男性
 特別養子は、本当に特別なケースにおいてのみ成立する縁組関係です。
 その特徴は、実親との縁(従前の養親がいればそれも含めて)を完全に切るということです。
 そうなれば、もはや実親とはお互いに相続もしませんし、扶養義務も発生しません。親族ですらなくなるからです。
 ただ、唯一、近親婚の禁止という規制だけは残ります。
 つまり、直系血族間、3親等内の傍系血族間の婚姻を禁止する規定です。
 生理的に血が繋がっている以上、血が濃くなるという規定だけは外せないからです。(民法734条2項)

 特別養子は、養子を戸籍上も実子と同様に取り扱う仕組みです。
 養子は幼児に限り(原則6歳未満。この年齢を過ぎると実子として育てる事には無理がある)、実親の戸籍に入っていた幼児を、その戸籍から抜きます。
 そして、幼児を筆頭者とする戸籍を作ります。
 こうして、戸籍上も、実親との関係を切ります。
 その後に、幼児だけの戸籍から、特別養子縁組をした養親の戸籍に嫡出子として入籍します。
 こうすれば、その幼児が養子であることは、素人目にはわからなくなるのです。

 では、以下に特別養子縁組の要件を記載します。

・家庭裁判所の審判による。(民法817条の2第1項)
 幼児にとって、実方との断絶という重大な結果が発生しますから、家庭裁判所の審判がなければ縁組をすることができません。
 審判の確定により効力が発生します。戸籍の届出は報告的届出ということになります。

・幼児は6歳未満、ただし、養親となる者が6歳になる前からその子を養育していれば8歳未満。(民法817条の5)

・養親は夫婦に限る。(民法817条の3)もちろん共同縁組です。
 ただし、例えば、妻の嫡出子を特別養子とするときは夫の単独縁組も可能です。
 といっても、妻の嫡出子が実子か特別養子である場合に限ります。
 特別養子は、二親の元で実子として子を育てる制度ですから、妻の嫡出子(普通養子)を特別養子とする場合には、共同縁組となります。

・養親の年齢は、25歳以上であることを要する。(民法817条の4)
 ただし、片方は20歳以上でよいので、結局、25歳と20歳の夫婦であれば、養親となることができます。

・養親による6ヶ月以上の監護の実績を要する。(民法817条の8第1項)
 養親と特別養子が、本当に親子として暮らすことができるのか、その試験期間が6ヶ月以上必要です。

 以上、5つの要件を挙げましたが、特別養子の成立のための要件は他にもあります。
 それは、「実親(場合によっては養親)による、幼児の監護が著しく困難または不適当であることその他特別の事情があり、なおかつ、子の利益のために特に必要があると認められるとき」という要件です。(民法817条の7)

【補足】
 特別養子の成立には、実父母(養父母がればその者も)の同意も要件とされる(817条の6本文)。しかし、上記に述べた事例のように、同意を得ることが困難な事例もあります。そこで、父母がその意思を表示できない場合、または父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する理由がある場合は、父母の同意を得ることなく特別養子縁組を成立させることができるという規定が存在します。(民法817条の6ただし書)

特別養子の離縁

 ここまでの解説から、離縁が容易ではないということはおわかりかと思います。
 特別養子の離縁をするためには、以下の要件をすべて満たさなければなりません。

・家庭裁判所の審判による。(民法817条の10)
 離縁届だけで離縁できるわけではありません。
 なお、離縁請求の申立ては、養子、実父母、検察官のみに認められます。
 養親からの申立ては、することができません。

・養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。(民法817条の10第1項1号)
 6ヶ月間の試験期間は、無駄であったということです。

・実父母が相当の監護をすることができること。(民法817条の10第1項2号)
 この要件の成立も厳しいでしょう。元々、実父母が監護をすることができない事情があって、特別養子縁組が認められた訳ですから。

 ちなみに、「実父母による相当の監護をすることができる」という要件は、子が監護を要する状態であることが前提です。
 つまり、離縁が可能なのは、子が成人する前です。
 特別養子の離縁は、子が成人するとできなくなります。

 なお、上記要件すべてを満たし、特別養子の離縁が認められた場合には、離縁の日から実父母と子の間に親族関係が復活します。(民法817条の11)


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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