【履行遅滞と受領遅滞】遅延損害金の発生時期は?契約の解除は?遅滞中の善管注意義務は?

▼この記事でわかること
履行遅滞について
受領遅滞の基本
受領遅滞中の履行不能
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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履行遅滞

 履行遅滞とは、読んで字の如く履行が遅滞すること、すなわち、履行が遅れてしまうことです。
 履行が遅滞すると、遅延損害金が発生します。
 つまり、履行遅滞になる時期とは、金銭債務であれば、その時点から遅延損害金が発生する時期のことを言います。
 では、どんな債権のどんな時期に履行遅滞になるのでしょうか?

・確定期限付の債権の場合
 期限到来時。
 確定期限付きの債権とは、簡単に言うと「いつまでに」が決まっている債権。(例→ 買主は売主に「◯月◯日までに代金を支払う」という内容の入った契約の売買代金債権)

・不確定期限付の債権の場合
 債務者が、期限の到来した後に履行の請求を受けた時またはその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時。(民法412条2項)
 不確定期限付の債権は、債務者が期限の到来を知らないとこがありうるので、上記のようになっている。
 不確定期限付の債権とは「いつまでに」が決まっていない債権。(例→死因贈与)

・期限の定めのない債権の場合
 履行の請求を受けた時。
 期限の定めのない債権の場合は債権成立と同時に履行期にあるが、遅滞になるのは支払請求書が到達した時から。
 期限の定めのない債権とは「いつまでに」が決まってない債権。(例→ 解除による返還請求権)
 
・弁済期の定めのない消費貸借の場合
 催告後相当期間経過後。
 弁済期が決まっていない場合、貸し手の催告後相当期間経過をもって遅滞になる。
 消費貸借の場合、債務者は目的物(通常は金銭)を何かのために利用しているので、催告した途端いきなり遅滞となると困る。
 弁済期の定めのない消費貸借とは「いつまでに」が決まっていない貸し借り。

・不法行為による損害賠償請求の場合
 損害発生時。
 つまり、交通事故の被害者は、事故による損害の発生時からの損害金をもらえるということを意味する。

 以上、5つの債権についての履行遅滞となる時期を見て参りました。
 できれば、これらと消滅時効の起算点とを比較してみてください。→「【消滅時効の基本】~様々な債権とその時効起算点(数え始め)」

受領遅滞

 履行遅滞は、債務の履行が遅滞してしまうことですが、受領遅滞は、債務の履行を受けること(代金を受け取ったり物の引渡しを受けたり等)が遅滞してしまうことです。

事例1
Bは楽器屋Aからピアノを買い受けた。Aは配送期日にピアノを届けに行ったが、「まだ受取りの準備ができていない」と言ってBはピアノを受け取らなかった。


 まず、受領遅滞についての話に入る前に、この事例で、Aは履行遅滞になるでしょうか?
 Aはちゃんと期日に配送に行きました。よって、Aは履行遅滞にはなりません。
 なお、事例でAがピアノを届けに行ったこと、すなわち、債務を履行しようとしたことを弁済の提供と言います。
 そして、債務者(事例のA)は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任(損害賠償や解除の責任)を免れます。(民法492条)

 まあ、ここまでは当然といえば当然の話ですよね。
 問題はここからです。
 この事例で、Bは受領遅滞となります。
 では、受領を拒否されたピアノについて、Aは引き続き善良な管理者の義務(善管注意義務)を負うのでしょうか?
 結論。Aの注意義務は軽減されます。
 このようなケースでいつまでもAに善管注意義務を負わせるのは気の毒です。その後のAは、その引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足ります(民法413条)。
 簡単に言えば、Aは、故意または重大な過失についてのみ責任を負うことになります。

 さて、ここからもう一つ、というより、これが最大の問題です。
 事例1で、Aは契約の解除ができるでしょうか?
 この問題のポイントは、Bに受領義務があるのか?です。
 結論。契約の内容に照らして、受領することがBの義務であるときは、Aは解除することができます。(民法541、542条)
 つまり、契約の内容次第ということです。(法定責任説でなく契約重視主義)
 また、Bに受領義務が認められ、受領遅滞について債権者(Bのこと)の責めに帰することができる事由があるときは、債務者(Aのこと)が損害賠償を請求することもできます。

受領遅滞中の履行不能

事例2
Bは楽器屋Aからピアノを買い受けた。Aは配送期日にピアノを届けに行ったが、「まだ受取りの準備ができていない」と言ってBはピアノを受け取らなかった。その後、Bの受領遅滞中に、AB双方の責めに帰することができない事由でピアノが滅失し、債務の履行が不能となった。


 これは、債権者(Bのこと)の受領遅滞中に、当事者双方の責めに帰することができない事由で履行が不能になったケースです。
 さて、この事例で、債権者Bは、次の内どの権利を行使できるでしょうか?

1・契約の解除
2・反対給付の履行の拒絶(ピアノの売買代金の支払い)
3・損害賠償の請求

 結論。債権者Bは上記のどの権利も行使できません。
 本事例で、履行の不能は当事者双方の責めに帰することができない事由で起こっています。しかし、そもそも債権者Bが受領遅滞したことによりこの事態を招いたとも言えます。
 したがいまして、この事例2での履行の不能は、債権者Bの責めに帰すべき事由によるものとみなされます。
 よって、債権者Bは、おとなしく反対給付の履行(ピアノの売買代金の支払い)をしなければなりません。
 なお、すでに危険負担について学習済の方はピンと来たかもしれませんが、この結論は「買主の受領遅滞により引渡しを要せずに危険が売主から買主に移転した」ということを意味します。(危険負担についての詳しい解説は「【危険負担】基本はババ抜き~代金支払い債務の行方は?」をご覧ください)


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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