
▼この記事でわかること
・第三者による弁済とは
・債務者の意思に反する弁済
・債権者の拒絶
・債権者が受領(第三者弁済)を拒めないとき
(上記クリックorタップでジャンプします)
今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。

第三者による弁済の基本
第三者による弁済とは、債務者以外の者がその債務の弁済をすることです。
第三者の弁済は、民法上も認められています。
そして、債権者はこれを拒めません。
ただし、次の場合、第三者は弁済をすることができません。
・当事者が第三者の弁済を禁じたとき
・債務の性質が第三者の弁済を許さないとき
・当事者が第三者の弁済を禁じたとき
これは、当事者間で「第三者弁済禁止特約」というような約定をしているときです。
そのようなときは、そもそも第三者は弁済をすることはできなくなります。
・債務の性質が第三者の弁済を許さないとき
これは、有名画家が絵を描く債務などが当てはまります。(その有名画家本人が描かないと意味がないから)
ここまでが、第三者による弁済の超基本です。
そして、第三者による弁済で本格的に問題となってくるのは、あるケースにおいて、その第三者弁済が有効かどうかと、債権者が受領を拒めるかどうかです。
債務者の意思に反する弁済
事例
Cは、債務者Bの意思に反して債権者Aに弁済をした。
さて、この事例で、第三者Cの弁済は有効でしょうか?
まず、「第三者弁済禁止特約」のような約定がない場合でも、正当利益のない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることはできません。(民法474条2項)(正当利益のない第三者とは、法律上の利害関係がない第三者という意味と考えて良い)
これが基本です。
しかし、債務者の意思に反する弁済であることを債権者が知らないときは、その弁済は有効です。(民法474条2項)
したがって、事例で、第三者Cによる弁済が、債務者Bの意思に反したものであることを債権者Aが知らなかったときは、Cの弁済は有効になります。
一方、債務者Bの意思に反する弁済であることを債権者Aが知っていたときは、第三者Cの弁済は無効になります。
簡潔にまとめると、正当利益のない第三者Cの弁済は、債務者Bの意思に反することについて債権者Aが善意であれば有効で、悪意であれば無効です。
なんで債権者が善意のときは有効なの?
それは、債権者が善意のときに無効になってしまうと、事情も知らないのに、一度受領したものを第三者に返還しなければならなくなり、それは善意の債権者には酷です。
したがいまして、債務者の内心(意思)を知らない債権者を保護する規定を置いたのです。
債権者の拒絶
正当利益のない第三者の弁済が有効になるときと無効になるときはわかりました。
では、正当利益のない第三者の弁済を、債権者は拒むことができるのでしょうか?
これは、拒むことができます。(拒むことができるということは、拒んでも法律上、受領遅滞とはならないことを意味する)
正当利益のない第三者の弁済は、次の3パターンに分けられます。
1・その弁済が債務者の意思に反しないとき
2・その弁済が債務者の意思に反するが、債権者が善意のとき
3・その弁済が債務者の意思に反し、債権者が悪意のとき
債権者は、上記3パターンのすべてで、受領を拒絶することができます。
つまり、債権者は、どのパターンであろうが正当利益のない第三者の弁済を拒むことができます。
なぜ、どのパターンであろうが債権者が拒めるの?
その理由ですが、債権者が受領を拒めば、後日、債務者や本人の内心、弁済の効力の有無を巡る紛争を防止できるからです。
つまり、この受領拒絶の制度は、債権者を面倒な紛争に巻き込まないための仕組みなのです。
もちろん、後の紛争の心配がなければ(あるいはそれも織り込み済みで)債権者の判断で受領することもできる、という訳です。
債権者が受領を拒めないとき
正当利益のない第三者の弁済であっても、債権者が受領を拒めないケースがあります。
それは、その第三者が債務者の委託を受けて弁済することを債権者が知っているときです。
この場合、その弁済が有効なのはもちろん、後日、債務者との間で第三者弁済の効力を巡る紛争が起きる可能性がゼロだからです。
つまり、誰も困らないのです。
したがって、その第三者が債務者の委託を受けて弁済することを債権者が知っているときは、債権者は受領を拒むことはできないのです。
【補足】
「正当利益のない第三者」は、「法律上の利害関係のある第三者」と考えていいのですが、これについてはあまり深く考えないでください。
例えば、サラ金の借金を抱える息子の親は、正当利益のない第三者です。
なぜなら、たとえ親でもその借金についての法律上の利害関係は存在しないからです。
じゃあ親が払うことはできないの?
次の方法で事実上の弁済をすることが可能です。
・サラ金から債権を買い取る(債権譲渡に債務者(息子)の承諾は不要。通知だけで良い)
・息子の保証人になってから支払う(保証契約は、主たる債務者の意思に反してすることができる→主債務者の意思に反する無委託保証人)
まあ、現実には親が息子に現金を渡して返済させることも多いと思います。
しかし、その息子に異常な散財癖がある(金を渡した途端使っちゃう)場合などは、上記の方法を取ると、より確実に事実上の第三者弁済が可能となります。
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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・第三者による弁済とは
・債務者の意思に反する弁済
・債権者の拒絶
・債権者が受領(第三者弁済)を拒めないとき
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今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。

第三者による弁済の基本
第三者による弁済とは、債務者以外の者がその債務の弁済をすることです。
第三者の弁済は、民法上も認められています。
そして、債権者はこれを拒めません。
ただし、次の場合、第三者は弁済をすることができません。
・当事者が第三者の弁済を禁じたとき
・債務の性質が第三者の弁済を許さないとき
・当事者が第三者の弁済を禁じたとき
これは、当事者間で「第三者弁済禁止特約」というような約定をしているときです。
そのようなときは、そもそも第三者は弁済をすることはできなくなります。
・債務の性質が第三者の弁済を許さないとき
これは、有名画家が絵を描く債務などが当てはまります。(その有名画家本人が描かないと意味がないから)
ここまでが、第三者による弁済の超基本です。
そして、第三者による弁済で本格的に問題となってくるのは、あるケースにおいて、その第三者弁済が有効かどうかと、債権者が受領を拒めるかどうかです。
債務者の意思に反する弁済
事例
Cは、債務者Bの意思に反して債権者Aに弁済をした。
さて、この事例で、第三者Cの弁済は有効でしょうか?
まず、「第三者弁済禁止特約」のような約定がない場合でも、正当利益のない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることはできません。(民法474条2項)(正当利益のない第三者とは、法律上の利害関係がない第三者という意味と考えて良い)
これが基本です。
しかし、債務者の意思に反する弁済であることを債権者が知らないときは、その弁済は有効です。(民法474条2項)
したがって、事例で、第三者Cによる弁済が、債務者Bの意思に反したものであることを債権者Aが知らなかったときは、Cの弁済は有効になります。
一方、債務者Bの意思に反する弁済であることを債権者Aが知っていたときは、第三者Cの弁済は無効になります。
簡潔にまとめると、正当利益のない第三者Cの弁済は、債務者Bの意思に反することについて債権者Aが善意であれば有効で、悪意であれば無効です。
なんで債権者が善意のときは有効なの?
それは、債権者が善意のときに無効になってしまうと、事情も知らないのに、一度受領したものを第三者に返還しなければならなくなり、それは善意の債権者には酷です。
したがいまして、債務者の内心(意思)を知らない債権者を保護する規定を置いたのです。
債権者の拒絶
正当利益のない第三者の弁済が有効になるときと無効になるときはわかりました。
では、正当利益のない第三者の弁済を、債権者は拒むことができるのでしょうか?
これは、拒むことができます。(拒むことができるということは、拒んでも法律上、受領遅滞とはならないことを意味する)
正当利益のない第三者の弁済は、次の3パターンに分けられます。
1・その弁済が債務者の意思に反しないとき
2・その弁済が債務者の意思に反するが、債権者が善意のとき
3・その弁済が債務者の意思に反し、債権者が悪意のとき
債権者は、上記3パターンのすべてで、受領を拒絶することができます。
つまり、債権者は、どのパターンであろうが正当利益のない第三者の弁済を拒むことができます。
なぜ、どのパターンであろうが債権者が拒めるの?
その理由ですが、債権者が受領を拒めば、後日、債務者や本人の内心、弁済の効力の有無を巡る紛争を防止できるからです。
つまり、この受領拒絶の制度は、債権者を面倒な紛争に巻き込まないための仕組みなのです。
もちろん、後の紛争の心配がなければ(あるいはそれも織り込み済みで)債権者の判断で受領することもできる、という訳です。
債権者が受領を拒めないとき
正当利益のない第三者の弁済であっても、債権者が受領を拒めないケースがあります。
それは、その第三者が債務者の委託を受けて弁済することを債権者が知っているときです。
この場合、その弁済が有効なのはもちろん、後日、債務者との間で第三者弁済の効力を巡る紛争が起きる可能性がゼロだからです。
つまり、誰も困らないのです。
したがって、その第三者が債務者の委託を受けて弁済することを債権者が知っているときは、債権者は受領を拒むことはできないのです。
【補足】
「正当利益のない第三者」は、「法律上の利害関係のある第三者」と考えていいのですが、これについてはあまり深く考えないでください。
例えば、サラ金の借金を抱える息子の親は、正当利益のない第三者です。
なぜなら、たとえ親でもその借金についての法律上の利害関係は存在しないからです。
じゃあ親が払うことはできないの?
次の方法で事実上の弁済をすることが可能です。
・サラ金から債権を買い取る(債権譲渡に債務者(息子)の承諾は不要。通知だけで良い)
・息子の保証人になってから支払う(保証契約は、主たる債務者の意思に反してすることができる→主債務者の意思に反する無委託保証人)
まあ、現実には親が息子に現金を渡して返済させることも多いと思います。
しかし、その息子に異常な散財癖がある(金を渡した途端使っちゃう)場合などは、上記の方法を取ると、より確実に事実上の第三者弁済が可能となります。
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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