
▼この記事でわかること
・選択債権の超基本
・過失があった場合
・買主側(債権者側)に選択権がある場合
・選択の撤回
(上記クリックorタップでジャンプします)
今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。

選択債権の超基本
選択債権とは、2つの不動産のうち、どちらかを引き渡すことを目的とする債権のことです。
少し難しい言い方ですが「数個の給付のうち選択によって定まる1個の給付を目的とする債権」と定義されます。
選択債権で問題になることは、誰に選択権があるのか?という点です。
原則は、債務者に選択権があります。
したがって、原則は、2つの不動産のどちらを給付するかは債務者の方に選択権があるのです。
ただし、弁済期が来ても債務者が選択しない場合には、債権者側から催告ができます。
催告期間が経過しても債務者が選択しなければ、選択権は相手方に移ります。
また、第三者が選択権を持つという特約も有効です。
この場合に、第三者が選択できない場合や選択を欲しないときは、選択権は債務者に移ります。
また、第三者の選択の意思表示は債権者または債務者の一方にすればよいとされています。
以上が、選択債権についての基本になります。
それでは、ここからは事例と共に具体的に解説して参ります。
事例1
Aは自己所有の甲建物および乙建物のどちらかをBに売却する契約をした。
さて、この事例で、契約前日に甲建物が滅失していた場合、契約の目的物はどちらになるでしょうか?
すなわち、選択はどちらに決定するでしょうか?
結論。
契約の目的物は、乙建物に特定します。
つまり、選択は乙建物に決定されます。
この結論は、契約後に不可抗力で甲建物が滅失した場合も同じです。
目的物の一方が滅失した以上、他方に特定するのです。
当たり前といえば当たり前ですね。
本格的な問題ここからです。
それは、契約成立後に当事者の一方の過失により片方の建物が滅失したケースです。
過失があった場合
事例2
Aは自己所有の甲建物および乙建物のどちらかをBに売却する契約をした。しかし、Aの過失により甲建物が滅失した。なお、選択権はAにある。
さて、この事例2で、契約の目的物はどちらになるでしょうか?
結論。
目的物は乙建物に特定します。
この事例2では、選択権者である債務者Aの過失により甲建物が滅失しています。
しかし、選択権のないBは、目的物がどちらに決まっても口出しする立場にはありません。
そもそも、Aにどちらかを選択させるという前提の時点で、どちらに特定しようがBは困らないはずです(困るなら選択させないはず)。
買主側(債権者側)に選択権がある場合
事例3
Aは自己所有の甲建物および乙建物のどちらかをBに売却する契約をした。しかし、Aの過失により甲建物が滅失した。なお、選択権はBにあるという特約がなされている。
さて、この事例3で、Bは甲建物を選択できるでしょうか?
結論。
Bは甲建物を選択する事ができます。
理由は、本事例ではBに選択権があるからです。
なので、Bは「乙建物はいらない」という権限もあるのです。
では、Bが滅失した甲建物を選択するとどうなるのか?
この場合、甲建物は滅失により履行不能となります。
したがいまして、BはAに対し、過失による履行不能の損害賠償を請求するという流れになります。
選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となったときは、目的物は特定しません。(民法410条2項)
これは、第三者に選択権がある場合にも同様です。(例えば、事例で甲建物か乙建物かの選択権が第三者Cにある場合も同様ということ)
選択の撤回
ところで、一度した選択の撤回はできるのでしょうか?
一度した選択の撤回は、相手方の同意がなければできません。
逆に言えば、相手方の同意があれば、一度した選択の撤回はできます。
なお、第三者が選択した場合には、その撤回には当事者双方の同意が必要になります。
ちなみに、第三者が選択権を有するときには、その選択は、債権者または債務者に対する意思表示によってします。(債権者か債務者かどちらかに対する意思表示でよいということ)
【補足】
選択権者が選択をした場合、その効力は、債権の発生の時にさかのぼって生じます。(民法411条)
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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・選択債権の超基本
・過失があった場合
・買主側(債権者側)に選択権がある場合
・選択の撤回
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今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。

選択債権の超基本
選択債権とは、2つの不動産のうち、どちらかを引き渡すことを目的とする債権のことです。
少し難しい言い方ですが「数個の給付のうち選択によって定まる1個の給付を目的とする債権」と定義されます。
選択債権で問題になることは、誰に選択権があるのか?という点です。
原則は、債務者に選択権があります。
したがって、原則は、2つの不動産のどちらを給付するかは債務者の方に選択権があるのです。
ただし、弁済期が来ても債務者が選択しない場合には、債権者側から催告ができます。
催告期間が経過しても債務者が選択しなければ、選択権は相手方に移ります。
また、第三者が選択権を持つという特約も有効です。
この場合に、第三者が選択できない場合や選択を欲しないときは、選択権は債務者に移ります。
また、第三者の選択の意思表示は債権者または債務者の一方にすればよいとされています。
以上が、選択債権についての基本になります。
それでは、ここからは事例と共に具体的に解説して参ります。
事例1
Aは自己所有の甲建物および乙建物のどちらかをBに売却する契約をした。
さて、この事例で、契約前日に甲建物が滅失していた場合、契約の目的物はどちらになるでしょうか?
すなわち、選択はどちらに決定するでしょうか?
結論。
契約の目的物は、乙建物に特定します。
つまり、選択は乙建物に決定されます。
この結論は、契約後に不可抗力で甲建物が滅失した場合も同じです。
目的物の一方が滅失した以上、他方に特定するのです。
当たり前といえば当たり前ですね。
本格的な問題ここからです。
それは、契約成立後に当事者の一方の過失により片方の建物が滅失したケースです。
過失があった場合
事例2
Aは自己所有の甲建物および乙建物のどちらかをBに売却する契約をした。しかし、Aの過失により甲建物が滅失した。なお、選択権はAにある。
さて、この事例2で、契約の目的物はどちらになるでしょうか?
結論。
目的物は乙建物に特定します。
この事例2では、選択権者である債務者Aの過失により甲建物が滅失しています。
しかし、選択権のないBは、目的物がどちらに決まっても口出しする立場にはありません。
そもそも、Aにどちらかを選択させるという前提の時点で、どちらに特定しようがBは困らないはずです(困るなら選択させないはず)。
買主側(債権者側)に選択権がある場合
事例3
Aは自己所有の甲建物および乙建物のどちらかをBに売却する契約をした。しかし、Aの過失により甲建物が滅失した。なお、選択権はBにあるという特約がなされている。
さて、この事例3で、Bは甲建物を選択できるでしょうか?
結論。
Bは甲建物を選択する事ができます。
理由は、本事例ではBに選択権があるからです。
なので、Bは「乙建物はいらない」という権限もあるのです。
では、Bが滅失した甲建物を選択するとどうなるのか?
この場合、甲建物は滅失により履行不能となります。
したがいまして、BはAに対し、過失による履行不能の損害賠償を請求するという流れになります。
選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となったときは、目的物は特定しません。(民法410条2項)
これは、第三者に選択権がある場合にも同様です。(例えば、事例で甲建物か乙建物かの選択権が第三者Cにある場合も同様ということ)
選択の撤回
ところで、一度した選択の撤回はできるのでしょうか?
一度した選択の撤回は、相手方の同意がなければできません。
逆に言えば、相手方の同意があれば、一度した選択の撤回はできます。
なお、第三者が選択した場合には、その撤回には当事者双方の同意が必要になります。
ちなみに、第三者が選択権を有するときには、その選択は、債権者または債務者に対する意思表示によってします。(債権者か債務者かどちらかに対する意思表示でよいということ)
【補足】
選択権者が選択をした場合、その効力は、債権の発生の時にさかのぼって生じます。(民法411条)
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
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