【受領権者としての外観を有する者に対する弁済】ニセの債権者(盗人)への弁済も有効?

▼この記事でわかること
受領権者としての外観を有する者に対する弁済とは
受取証書の持参人への支払い
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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受領権者としての外観を有する者に対する弁済の超基本

 受領権者としての外観を有する者とは、受領権者らしい外観をしているが、実は受領権者ではない者のことを言います。
 ニセの受領権者、いわば受領権者モドキですね。 
 債権者のフリをしたニセの債権者が、まさにこれにあたります。

 典型例は、預金通帳と印鑑を盗み出した人です。
 この場合、その盗っ人がニセの債権者、すなわち受領権者としての外観を有する者(受領権者モドキ)で、銀行が債務者となります。
 そして、問題となるのは、このようなケースで、受領権者としての外観を有する者を真実の受領権者と誤信して弁済をした者の保護をどうするか?です。
 民法では次のように規定しています。

(受領権者としての外観を有する者に対する弁済)
民法478条 
受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、
その効力を有する。

 上記、民法478条の条文最後にある「その効力を有する」とは、弁済により「債権が消滅」するということです。
 したがいまして、上記条文で言っていることはこうです。
 受領権者としての外観を有する者(通帳と印鑑を盗んだ盗っ人)に銀行が預金の払戻しをした場合、銀行が善意でかつ過失がなかったとき(事情を知らず落ち度もなかったとき)であれば、弁済として有効だということです。
 その場合は、銀行は免責されるということです。
 ということは、後になって真の預金者が現れても銀行は二重払いをしないでもOKということです。
 ただ、あくまでも「善意でかつ無過失」の場合なので、もし銀行が印鑑照合でミスをして払戻しをしていたときは、弁済の効力はなく、銀行の支払義務は消滅しません。この場合に真の預金者が現れたら、銀行は真の預金者に二重払いをした上で、盗っ人に不当利得返還請求をするということになります。
 なんだかナニワ金融道なんかで出てきそうな話ですが、現実でもある話です。

 それでは、ここからは事例とともに具体的に解説して参ります。

事例1
預金通帳と印鑑をA宅から盗んだBは、翌朝C銀行で預金を引き出した。なお、C銀行に過失はない。


 さて、この事例で、C銀行は盗っ人Bに支払った現金の返還請求が出来るでしょうか?
 結論。C銀行の支払い請求は認められません。
 C銀行は、民法478条の規定により、有効な弁済をしたことになります。つまり、預金者に払い戻したのと法的に同じになります。
 なので、C銀行は盗っ人Bに返還請求できなくとも問題ないのです。
 そして、AがC銀行に支払請求することもできません。C銀行は民法478条により有効な弁済をしたことになるからです。
 じゃあAはどうすればいいの?
 Aは盗っ人Bに対して、不法行為または不当利得を根拠に返還請求できます。
 これは当然です。
 しかし、盗っ人Bはとっくにどこかに逃げてしまっているだろうし、返還請求は事実上は困難になってしまう可能性大です。
 それこそ闇金ウシジマくんに出てきそうな実に後味の悪い不条理な話ですが、そうなればAが泣くことになります。

【補足】
受取証書の持参人への支払い


 例えば、盗っ人が新聞屋から領収書を盗み出し、各家庭に新聞代金の集金をしてまわった場合どうなるでしょう?
 実はこの場合も、民法478条が適用されます。
 したがって、盗っ人に新聞代を支払った者が善意無過失であれば、その弁済は有効になります。
 その後、新聞屋が盗っ人に返還請求する、という流れになります。
 今の時代では考えづらいケースですが、民法の理屈としてはこのようになります。


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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