【代物弁済】債務消滅が目的の諾成契約?効力の発生は引渡し時?不動産の場合は?わかりやすく解説!

【代物弁済】債務消滅が目的の諾成契約?効力の発生は引渡し時?不動産の場合は?わかりやすく解説!

▼この記事でわかること
代物弁済とは
代物弁済は諾成契約
不動産の場合
物に隠れた瑕疵があった場合
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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代物弁済の超基本


 代物弁済とは、本来の給付に代えて他の給付をすることで弁済と同一の効力を生じさせることをいいます。
 わかりやすく簡単に言えば、お金の代わりに物で弁済するようなことです。
 そして、代物弁済は、通常は金銭の給付に代えて不動産や自動車を給付するという形で利用されます。

 代物弁済をするには、債権者の承諾が必要です。
 弁済者が勝手に「お金の代わりにこの車で勘弁してください」とすればそれでOKという訳にはいきません。
 代物弁済は債権者・債務者間の債務消滅を目的とする契約なのです。

 契約ということは、その内容は当事者の自由です。(契約自由の原則)
 なので、債権者が同意しているのであれば、300万円の金銭債権がある場合に200万円相当の車での代物弁済も可能です。
 それでも債権は消滅します。
 また、逆に、債権額を超える500万円相当の不動産で弁済することも可能です。
 債権者の同意があればこれもOKです。(ただし、本来の債権額に比べあまりにも高額の代物弁済は公序良俗違反で無効とされる可能性はあります)


代物弁済は諾成契約


 代物弁済は、他の給付を「現実にした」ときにその効力(債権の消滅)を生じます。
 ですが、代物弁済は諾成契約です。
 民法改正以前は要物契約でしたが、改正民法では諾成契約となりました。
 したがって、代物弁済は諾成契約なので、申し込みと承諾で契約自体は成立しますが、その効力は他の給付を「現実にした」ときに発生するということです。
 この点、ご注意ください。


不動産の場合


 それでは、ここからは事例とともに解説して参ります。

事例1
AはBに対し金300万円の貸金債権を持っている。そしてBは、その所有する不動産で代物弁済をした。


 さて、この事例での代物弁済の効力はいつ発生するのでしょうか?

 代物弁済の効力の発生は現実の給付時です。
 したがって、通常の動産の場合には引渡し時に代物弁済の効力(債権の消滅)が発生します。
 しかし、不動産の場合は、登記の時点で効力が発生します。

 ちなみに、債権で代物弁済をすることも可能ですが、その場合には弁済者による(確定期日のある)債権譲渡の通知が第三債務者に到達した時点で効力が生じます。
 以上のことから、「第三者対抗要件を備えた時に債権が消滅する」というのがわかります。


物に隠れた瑕疵があった場合


 続いて、次のようなケースではどうなるでしょう。

事例2
AはBに対し金300万円の貸金債権を持っている。そしてBは、その所有するジュエリーで代物弁済をしたが、ジュエリーには隠れた瑕疵があった。


 この事例での問題は、代物弁済した物に隠れた瑕疵があった場合はどうなるのか?です。

 まず、ジュエリーの給付により代物弁済の効力は生じています。
 なので、債権はすでに存在しません。
 よって、その後に瑕疵が発覚しても代物弁済の効果は覆りません。

 したがいまして、債権者Aは債務者Bに瑕疵のないジュエリーの給付請求はできません。
 しかし、代物弁済は有償契約なので、売買の規定が準用されます。(民法559条)


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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