【包括根保証の禁止】貸金等債務以外の根保証は不動産賃貸借も含む?/情報提供義務について

▼この記事でわかること
根保証の基本
貸金等債務以外の根保証は不動産賃貸借も含む?
連帯保証人への情報提供義務
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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包括根保証の禁止

 保証には、連帯保証かどうか以外にも、次の2つのタイプに分けられます。

・通常の保証
契約時に特定している債務の保証(例:住宅ローンの保証)
・根保証
将来発生する不特定の債務の保証(例:継続的な事業用融資の保証)

 上記のように、通常の保証は住宅のローンのような特定している債務の保証ですが、根保証は将来どれだけ発生するかわからない不特定の債務の保証です。
「将来の不特定の債務の保証」
 これだけで危険なニオイがするというか、大きなリスクをはらんでいることが伺えますよね。実際、過去に商工ローンの保証などが社会問題にもなりました。それを背景として、平成16年に貸金等債務の根保証をした個人保証人の保護のために、民法改正(貸金等債務に関する包括根保証の禁止)もされました。

【参考】平成16年民法改正(貸金等債務に関する包括根保証の禁止)
平成16年包括根保証の禁止
※出典:法務省民事局『民法(債権関係)の改正に関する説明資料』

 極度額とは、保証の上限額のことです。
 元本確定期日とは、保証期間の制限のことです。
 元本確定事由(特別事情による保証の終了)とは、元本確定期日の到来前であっても特別な事情(保証人や主債務者の死亡・破産等)が発生した場合には、その時点で元本確定させ(負うべき債務の金額の確定)、それ以前の貸金等に限り責任を負う、というものです。
 要するに、貸金等債務については、たとえ根保証でも上限額と保証期間と特別な事情が生じた場合は制限をつけようぜ、ということです。
 しかし、この制限でも、まだまだ根保証には問題が残りました。
 その典型として、貸金等債務以外の根保証(賃貸借や継続売買取引の根保証など)で、想定外の多額の保証債務や、想定していなかった主債務者の相続人の保証債務の履行を求められる事例が少なくありませんでした。 具体的な例として、借家が借主の落ち度で焼失し、その損害額が保証人に請求されるケースや、借主の相続人が賃料の支払等をしないケースなどです。
 ただ一方で、包括根保証禁止のルールをすべての契約に拡大すると、例えば、賃貸借契約について、最長でも5年で保証人が存在しなくなるといった事態が生ずるおそれがある、という懸念もありました。
 ということで、そういった事を総合的に勘案した上で、さらに次のような改正がなされ、2020年4月より施行されました。

令和2年民法改正(包括根保証の禁止の対象拡大)
令和2年包括根保証の禁止
※出典:法務省民事局『民法(債権関係)の改正に関する説明資料』

 内容を簡単に説明すると、まず極度額の定めの義務付けについては、すべての根保証契約に適用されることになりました。(民法465条2)
 続いて、保証期間の制限については、そのまま変更なし(賃貸借等の根保証には適用せず)で落ち着いています。(民法465条3)
 そして、特別事情(主債務者の死亡や、保証人の破産・死 亡など)がある場合の根保証の打ち切りについては、保証期間の制限と同様すべての根保証契約に適用されることとなりました。ただし、主債務者の破産等があっても、賃貸借等の根保証は打ち切りになりません。この点は変更なしです。(民法465条4)

貸金等債務以外の根保証
不動産賃貸借も含む?

 融資などの貸金等債務の根保証はイメージしやすいですが、そもそも、貸金等債務以外の根保証とは一体どんなものなのでしょうか?

【具体例】
・不動産の賃借人が賃貸借契約に基づいて負担する債務の一切を個人が保証する保証契約
・代理店等を含めた取引先企業の代表者との間で損害賠償債務や取引債務等を保証する保証契約
・介護、医療等の施設への入居者の負う各種債務を保証する保証契約

 ここで注目したいのは、一番上の不動産賃貸借の例です。不動産を借りるときに、その賃貸借契約について個人が連帯保証人になることはよくありますよね?まさしくそれのことです。
 つまり、先ほども挙げたこちらの図の右端の縦一列は、不動産賃貸借契約における連帯保証人も含まれるのです。
令和2年包括根保証の禁止の対象拡大
(※出典:法務省民事局『民法(債権関係)の改正に関する説明資料』)

 それまでは、不動産賃貸借において個人が連帯保証人になる場合に、極度額の定めなどは行いませんでした。しかし、民法改正により、2020年4月以降に締結される不動産賃貸借契約では、個人が連帯保証人となる場合は極度額の定めが必要です。(連帯保証人が法人の場合や保証会社利用であればこの極度額を設定する必要なし)。
 じゃあ極度額はいくらぐらいに設定するものなの?
 これについて、賃料6か月分相当とする考え方、賃料の12か月分相当とする考え方、賃料の24か月分相当とする考え方、あるいは2,000万円とする考え方などがあります。よく聞く相場としては「賃料の24か月分」ですが、法律的に明確に定められた金額がある訳でもありません。ただ、ひとつハッキリとした大事な事は、2020年4月1日以降に締結される保証契約については、極度額を定めない場合には連帯保証契約の効力が生じない、ということです。賃貸借契約の賃借人に係る保証契約極度額の定めをせずに行えば、その保証契約は無効となってしまうのです。

連帯保証人への情報提供義務
ここがポイント女性
 他にも、不動産賃貸借契約において、貸主は連帯保証人に対し、依頼に応じて遅滞なく借主の債務の履行状況についての情報提供を行うことが義務付けられています。(これは賃貸物件が事業用か居住用か、連帯保証人が法人か個人かは問わない)
 また、事業用不動産賃貸借契約で個人の第三者(当該事業の経営等を行っている者以外の第三者)を連帯保証人とする場合は、借主は個人の連帯保証人に対し情報提供義務を負います。これは、居住用不動産賃貸借契約や連帯保証人が法人の場合は該当しません。あくまで事業用で個人の第三者を連帯保証人とする場合です。そして、この情報提供は、事業用不動産賃貸借契約の借主から個人の連帯保証人に対し、契約締結時に説明しなければなりません。その際、提供する情報は下記の3つです。

1・財産及び収支の状況
2・主たる債務(家賃支払い義務)以外に負担している債務の有無ならびにその額及び履行状況
3・主たる債務の担保として他に提供し、または提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

 もし、説明をしていない、または事実と異なる説明をしたために、個人の連帯保証人が誤認をし、それによって保証契約の申込み、または承諾の意思表示をしたなど、上記の情報提供義務が果たされなかった場合、貸主が個人の連帯保証人が説明を受けてないまたは誤認していることを知り、または知ることができたときは、個人の連帯保証人は保証契約を取り消すことができます。簡単に言うと、上記3つの借主の情報提供義務がきちんと果たされず、それについて貸主が悪意有過失なら、連帯保証人はその保証契約を取り消すことができるということです。ひとつ注意点として、実際に連帯保証人と保証契約を結ぶのは貸主で、上記3つの情報提供義務を果たすべき者は借主です。なので、借主の情報提供義務違反によって保証契約を取り消すための要件に貸主の悪意有過失が求められるのです。


 以上、包括根保証の禁止についてになります。
 なお、併せて「事業用融資での第三者保証~」もお読みいただくと、保証に関する民法改正ポイントの理解がより深まりますので、よろしければ是非。
 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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