【請負と委任】違いは?/請負の中途解除と担保責任について/業務委託契約の注意点とは

▼この記事でわかること
条文から見る請負と委任
請負契約とは
委任契約~法律行為の委託ってなに?
請負契約と委任契約の一番の違い
請負契約の中途解除について
請負人の担保責任について
業務委託契約の注意点
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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条文から見る請負と委任

 請負は、仕事の完成を約す(約束する)契約です。
 委任は、法律行為を行うことを約す契約です。
 これだけではよくわかりませんよね。
 委任と請負、似て非なるこの契約の違い。
 まず、委任と請負に関する、民法の条文を見てみましょう。

(請負)
民法632条
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。


(委任)
民法643条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。


 この民法の条文を見ても今ひとつピンと来ませんよね。
 ここから詳しく解説していきます。
 実は、請負と委任では、かなり重要で大きな違いがあるのです。

請負契約
工事中
 請負は、仕事の完成を約す契約なので、請け負った仕事が完成して初めて契約の履行が達成されたことになります。
「契約の履行」というのは「約束を果たす」という意味です。
 つまり、請負契約を建築工事で例えると、家を建てたいと考え、工務店に建築を依頼したとします。家の建築を請け負った工務店は「家を完成させること」義務付けられます。請負契約は、仕事の完成を約す契約ですので、家が完成して初めて報酬が発生します。※
※実務上は手付金とか中間金とか完成途中で支払いが発生する事が多い。
 これに対して委任の場合は、あくまで法律行為をすることを委託するだけなので、請負のような「仕事の完成の義務」は発生しません。
 委任の報酬については、割合履行型と成果完成型とで異なります。
 成果完成型報酬の委任の場合は、請負と同様に仕事の完成で報酬が発生しますが、仕事の完成義務はありません。
 成果完成型の報酬とはなんぞや?
 弁護士への報酬や不動産屋の仲介手数料をイメージするとわかりやすいでしょう。 

委任契約~法律行為の委託って何?

 法律行為の委託のわかりやすい例として、司法書士の不動産登記があります。
 不動産を購入すると登記をしますが、不動産の登記については司法書士が行いますよね。この「不動産登記を司法書士にやってもらうこと」が、まさしく法律行為の委託、すなわち委任になります。
 法律行為以外の委託はないの?
 もちろんあります。先の不動産の例ですと、家や土地を買いたい・売りたい、というときは、不動産業者に物件を探してもらったり、買主を探してもらったりしますよね。これは媒介と言われるもの(媒介契約)なのですが、この媒介契約は「法律行為以外の委託」になり、準委任契約というものになります。

請負契約と委任契約とでは責任の重さが違う

 請負契約と委任契約の一番の違い、それはズバリ
「仕事の完成の義務を負うかどうか」
ここです。
 つまり、請負契約の方が責任が重くなります。

請負契約が中途で解除された場合
仕事が完成できなくなった場合


 請負契約は、仕事の完成を約す契約です。なので請け負った仕事が完成して初めて、契約の履行が達成された(約束が果たされた)ことになり、報酬が発生します。
 では、例えば、注文者Aから工事を請け負った業者Bが、まだその請負工事を完成させる前に、その請負契約が解除されてしまった場合や、業者Bの請負工事の完成ができなくなった場合は、注文者Aから業者Bに支払われるはずだった報酬は、一体どうなるのでしょうか?
 このような場合、中途の結果のうち可分な部分によって、注文者が利益を受けるときは、請負人は、その利益の割合に応じて報酬の請求をすることが可能となっています。
 これはどういう意味かと言いますと、その工事がまだ完成途中でも、その段階でも注文者Aが利益を受けるのであれば、その利益の割合に応じた報酬を、業者Bは注文者Aに対して請求できる、ということです。
 なお、仕事が完成できなくなったことについて、注文者に帰責事由があった場合は、報酬の全額を請求できます。
 つまり、請負工事が完成できなくなった原因が注文者A側にあった場合は、業者Bは注文者Aに対して、本来支払われるはずの報酬全額分を請求できるということです。
建設現場
請負人の担保責任

 建物の建築を依頼され、請負人が建物を完成させたが、その建物に不具合が発見されたような場合は、どうなるのでしょう?
 このような場合、注文者は請負人(建築を依頼した業者)に対して、以下4つの請求ができます。
1・修補等の履行の追完(不具合を直してちゃんと完成させろ!)
2・損害賠償請求(不具合は損害だ!金払え!)
3・契約の解除(この建築請負契約はナシだ!)
4・代金減額請求(不具合の分だけオマエに支払う代金(報酬)を安くしろ!)

 これらは、請負人の担保責任の追及というものなのですが、この請求は、契約に適合しないことを知ってから(不具合を発見してから)1年以内に、その旨の通知が必要です。(民法637条)
 ちなみに「通知」というのは、わかりやすく簡単に言えば、相手方への「お知らせ」みたいなもので、請求の簡易版だと思ってください。
 請求が「金払えコラ」なら、通知は「金払えコラって言うぞ?」という感じの意味です(笑)。
 したがって、通知なしでいきなり請求することもできます。
 でななぜ、民法は「1年以内の通知」としているのか?これは簡単な理由で、その方が請負人への担保責任の追及がしやすくなり、注文者が助かるからです。

業務委託契約の注意点

 日頃のビジネスの実務の中で、業務委託契約を結ぶことはよくありますね。
 ここで注意点があります。
 それは、その業務委託契約が「請負なのか委任なのか」です。
 実は委託契約という名の契約でも、実質は請負契約になっている場合もあるからです。
 契約というのは、双方とも自己に有利な内容で結びたいものです。後々のトラブルを避けるためにも、きちんと各条項を確認し、気になるところがあれば、しっかりと協議した上で(現実問題としてビジネスの世界はスピード感を要求されるものですし相手方との力関係もありますから実際にはそれも中々難しいこともありますが...)、できる限り適切な判断ができるように、ご注意くださいませ。

 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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Author:根本総合行政書士
東京都行政書士会所属
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保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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