
▼この記事でわかること
・一括競売の超基本
・制度の意味~土地の競売価格下落の防止と社会経済的な損失の防止とは
(上記クリックorタップでジャンプします)
今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。

一括競売
更地に抵当権を設定した後に、土地所有者が建物を建築した場合、抵当権が実行されても法定地上権は成立しません。
抵当権設定時には土地上に建物がないので、法定地上権成立の要件を満たさないからです。
(法定地上権についての詳しい解説は「【法定地上権の超基本】4つの成立要件/法定地上権が成立しない共同担保のケースとは?わかりやすく解説!」をご覧ください)。
抵当権者は、更地として評価した土地に抵当権を設定しているので、その担保価値への期待を裏切ったことになる土地所有者に対して建物の収去請求ができ、更地の状態に戻す事ができます。
そして、民法は、抵当権者に建物の収去請求以外に、もう1つの手段を与えました。
それが、今回のテーマである一括競売です。
民法の条文はこちらです。
(抵当地の上の建物の競売)
民法389条
抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
上記、民法389条の規定により、なんと抵当権者は、抵当権設定後の更地に建物が築造されてしまった場合は、抵当権を実行するときに、土地とまとめてその建物も一緒に競売にかけてしまうことができます。
これが一括競売です。
これは中々パワフルな規定と言えます。
いくら抵当権を設定した更地に建物が建てられてしまったとはいえ、抵当権を設定していない建物までまとめて競売にかけてしまえるわけですから。
なぜ民法はこんなパワフルな規定を置いたのか
これには2つの理由が考えられます。
【土地の競売価格下落の防止】
ひとつは、土地の競売価格下落の防止です。
法定地上権が成立しなければ底地にはなりません。
しかし、土地だけを競売した場合、結局、建物の収去問題が生じることは目に見えています。
そして、実際に建物の収去請求をするとなると「裁判をした上で強制執行」となってしまうかもしれません。
つまり、そのような「面倒事を抱えた土地」ということで、底地までの価格下落はないにせよ、事実上、ある程度の競売価格の下落は避けらなくなってしまいます。
そこで、その救済処置として民法389条により、土地と建物の一括競売を認めたということです。
【社会経済的な損失の防止】
そして、もうひとつの理由は、社会経済的な損失の防止です。
建物の収去問題が生じるということは、せっかく建てられた建物を取り壊さなくてはならなくなり、そのような問題が全国各地で起こってしまうと、それは社会経済的な損失となり、我が国の経済の発展を阻害することにもなってしまいかねません。
そこで、民法389条により一括競売を認めた、ということです。
なお、一括競売しても、抵当権者が優先弁済を受けられるのは土地の競売代金だけです。
なぜなら、抵当権を設定しているのはあくまで土地だけだからです。
では建物の競売代金はどこにいくのかといえば、建物の所有者の手に渡ります(それを他の債権者が差し押さえればその者の手に渡るが...)。
ちなみに、抵当権者が実際に一括競売という手段を講じるかどうかは、抵当権者の自由です。
一括競売という手段は、抵当権者の権利であって義務ではありません。
ですので、一括競売できる状況になった場合でも、土地だけを競売にかけることは可能です。
【補足】
民法389条では「抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは」とありますが、そこに「誰が」という主語は記載されていません。
これはつまり「誰が抵当地に建物を築造したとしても一括競売は可能」という含みを残しているということです。
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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・制度の意味~土地の競売価格下落の防止と社会経済的な損失の防止とは
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一括競売
更地に抵当権を設定した後に、土地所有者が建物を建築した場合、抵当権が実行されても法定地上権は成立しません。
抵当権設定時には土地上に建物がないので、法定地上権成立の要件を満たさないからです。
(法定地上権についての詳しい解説は「【法定地上権の超基本】4つの成立要件/法定地上権が成立しない共同担保のケースとは?わかりやすく解説!」をご覧ください)。
抵当権者は、更地として評価した土地に抵当権を設定しているので、その担保価値への期待を裏切ったことになる土地所有者に対して建物の収去請求ができ、更地の状態に戻す事ができます。
そして、民法は、抵当権者に建物の収去請求以外に、もう1つの手段を与えました。
それが、今回のテーマである一括競売です。
民法の条文はこちらです。
(抵当地の上の建物の競売)
民法389条
抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
上記、民法389条の規定により、なんと抵当権者は、抵当権設定後の更地に建物が築造されてしまった場合は、抵当権を実行するときに、土地とまとめてその建物も一緒に競売にかけてしまうことができます。
これが一括競売です。
これは中々パワフルな規定と言えます。
いくら抵当権を設定した更地に建物が建てられてしまったとはいえ、抵当権を設定していない建物までまとめて競売にかけてしまえるわけですから。
なぜ民法はこんなパワフルな規定を置いたのか
これには2つの理由が考えられます。
【土地の競売価格下落の防止】
ひとつは、土地の競売価格下落の防止です。
法定地上権が成立しなければ底地にはなりません。
しかし、土地だけを競売した場合、結局、建物の収去問題が生じることは目に見えています。
そして、実際に建物の収去請求をするとなると「裁判をした上で強制執行」となってしまうかもしれません。
つまり、そのような「面倒事を抱えた土地」ということで、底地までの価格下落はないにせよ、事実上、ある程度の競売価格の下落は避けらなくなってしまいます。
そこで、その救済処置として民法389条により、土地と建物の一括競売を認めたということです。
【社会経済的な損失の防止】
そして、もうひとつの理由は、社会経済的な損失の防止です。
建物の収去問題が生じるということは、せっかく建てられた建物を取り壊さなくてはならなくなり、そのような問題が全国各地で起こってしまうと、それは社会経済的な損失となり、我が国の経済の発展を阻害することにもなってしまいかねません。
そこで、民法389条により一括競売を認めた、ということです。
なお、一括競売しても、抵当権者が優先弁済を受けられるのは土地の競売代金だけです。
なぜなら、抵当権を設定しているのはあくまで土地だけだからです。
では建物の競売代金はどこにいくのかといえば、建物の所有者の手に渡ります(それを他の債権者が差し押さえればその者の手に渡るが...)。
ちなみに、抵当権者が実際に一括競売という手段を講じるかどうかは、抵当権者の自由です。
一括競売という手段は、抵当権者の権利であって義務ではありません。
ですので、一括競売できる状況になった場合でも、土地だけを競売にかけることは可能です。
【補足】
民法389条では「抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは」とありますが、そこに「誰が」という主語は記載されていません。
これはつまり「誰が抵当地に建物を築造したとしても一括競売は可能」という含みを残しているということです。
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
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