【不動産が共有の場合の法定地上権】をわかりやすく解説!

【不動産が共有の場合の法定地上権】をわかりやすく解説!

▼この記事でわかること
建物が共有の場合の法定地上権
土地が共有の場合の法定地上権
土地と建物が共有の場合の法定地上権
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 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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共有不動産の法定地上権


 不動産が複数の者による共有の場合、法定地上権の成立はどうなるのでしょう?


建物が共有の場合


事例1
A所有の土地上に、AB共有の建物がある。Aは土地に抵当権を設定した。


 いきなり事例から始まりましたが、さて、この事例1で抵当権が実行されると、法定地上権は成立するでしょうか?
 結論。
 法定地上権は成立します。

 まず、この事例1で、土地はA単独の所有ですが、建物はAB共有となっています。
 しかし、建物の共有者Bの意思とは無関係に、つまり、AはAの意思だけでAB共有の土地に抵当権を設定することができます。

 それってBに不都合は生じないの?

 そこが重要なポイントで、共有者Bの意思とは無関係にAは土地に抵当権を設定できるので、何らかの形で共有者Bを保護する必要があります。
 そこで判例では、このようなケースで抵当権が実行された場合に、法定地上権が成立をすることを認めました。
 というのは、このケースでの法定地上権の成立は、建物の共有者Bにとってもありがたい話だからです。
 なぜなら、建物に地上権という強力な権利が付着することになるからです。
 それは結果的に、建物の共有者Bの保護にも繋がるというわけです。

事例2
A所有の土地上に、AB共有の建物がある。そして、建物のA持分のみに抵当権が設定された。


 さて、では続いて、この事例2で、抵当権が実行されると法定地上権は成立するのでしょうか?
 結論。
 法定地上権は成立します。

 この事例2の理屈は、事例1とまったく同じです。
 Aは建物の共有者Bの意思とは無関係に、建物のA持分に抵当権を設定できます。
 しかし、いざ抵当権が実行されても法定地上権が成立するので、共有者Bが困ることにはなりません。


土地が共有の場合


事例3
AB共有の土地上に、A所有の建物がある。そして、土地のA持分のみに抵当権が設定された。


 続いて、ここからは土地が共有のケースになります。
 さて、ではこの事例3で、抵当権が実行されると法定地上権は成立するのでしょうか?

 結論。
 この場合、法定地上権は成立しません。
 なぜなら、この事例3で法定地上権が成立してしまうと、土地の共有者Bが困ってしまうからです。

 土地の所有者にとって、法定地上権はハッキリ言って邪魔な存在です。
 Aが自分の持分に設定した抵当権の実行によって法定地上権が成立してしまうのは、Aにとっては仕方のないことでしょう。
 原因がA自身にありますから。
 しかし、共有者Bからすれば、Aの都合で勝手に法定地上権という邪魔なものが設定されてしまうことになります。
 それは不公平ですよね。
 したがいまして、この事例3のケースでは、共有者Bの権利の保護ためにも、法定地上権が成立しないのです。

事例4
AB共有の土地上に、A所有の建物がある。そして、建物に抵当権が設定された。


 さて、それではこの事例4では、法定地上権は成立するのでしょうか?
 結論。
 この場合も法定地上権は成立しません。
 理屈は事例3とまったく同じです。
 このケースで法定地上権が成立してしまうと、共有者Bにとって不公平だからです。


土地と建物が共有の場合


事例5
AB共有の土地上に、AB共有の建物がある。そして、土地のA持分のみに抵当権が設定された。


 今度は、土地と建物の両方がAB共有というケースです。
 さて、ではこの事例5の場合、抵当権が実行されると、法定地上権は成立するのでしょうか?

 結論。
 このケースでは法定地上権は成立しません。
 理屈としてはこうです。
 元々、地上権は土地共有者の持分上に存続できません。

 どういう意味?

 要するに、土地共有者全員の意思に基づかないで(事例5で言えばAB両者の意思に基づかないで)法定地上権が成立するのはオカシイ、という理屈です。

 はぁ?

 そうなりますよね。
 ハッキリ言ってこの理屈、わかりづらいと思います。
 ですので、この事例5のようなケースでは法定地上権は成立しない!という結論の部分だけ強引に覚えてしまってください。
 民法の学習も恋愛も、ときには強引さが必要なのです......
 失礼しました。

【補足】
 法定地上権が成立しても、その登記は当事者の申請によります。
 勝手に登記されるわけではありません。
 この点もご注意ください。


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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