【2番抵当権が絡んだ法定地上権】成立するのか?様々なケースを解説

この記事でわかること
抵当権順位の基本
土地に2番抵当権のケース
建物に2番抵当権のケース
更地に1番抵当権設定後、築造された建物に2番抵当権のケース
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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2番抵当権が絡んだときの法定地上権
抵当権順位の基本

 ひとつの不動産に複数の抵当権を設定することもできます。
 その場合「1番抵当権」「2番抵当権」というように、各抵当権には順位が付きます。順位が付くということは、順位が高い抵当権ほど優先的に被担保債権の弁済を受けられます。
 なお、順位は付きますが、1番抵当権よりも先に2番抵当権を実行することは可能です。
 ただし、2番抵当権が先に実行されても、優先的に被担保債権の弁済を受けるのは1番抵当権者です。
 どういうことかと言いますと、例えば、3000万円の土地に1番抵当権、2番抵当権が設定されて、1番抵当権者の被担保債権の額が1000万円、2番抵当権者の被担保債権の額が500万円だったとします。この場合に、2番抵当権が先に実行されると、土地が競売にかけられ、その売却代金から2番抵当権者は被担保債権の弁済を受けますが、先に1番抵当権者の被担保債権1000万円の弁済に充ててから、残りの売却代金から2番抵当権者は被担保債権の弁済を受けます。
 つまり、2番抵当権が先に実行されても、先に被担保債権の弁済を受けるのは1番抵当権者になります。

 以上が、ひとつの不動産に複数の抵当権が設定できることについての簡単な説明になります。
 とりあえず、ここで覚えておいていただきたいことは、ひとつの不動産に1番抵当権、2番抵当権と設定された場合に、先に2番抵当権を実行することもできるということです。
 この点を押さえた上で、ここからは、不動産に1番抵当権、2番抵当権と設定されたケースでの、法定地上権の問題について解説して参ります。(法定地上権についての詳しい解説は「【法定地上権の超基本】4つの成立要件」をご覧ください)

土地に2番抵当権

 まずはこちらの事例をご覧ください。

事例1
A所有の甲土地上に、B所有の乙建物がある。Cは甲土地に1番抵当権を設定した。その後、AはBから乙建物を取得した。その後、Dが甲土地に2番抵当権を設定した。


 これは、若干ややこしく感じる事例かもしれません。ですので、まずはこの事例1の流れと状況を整理・確認します。

B所有
 ⇩
乙建物
甲土地←1番抵当権(C)
 ⇧
A所有

その後、Aが乙建物を取得
Dが甲土地に2番抵当権を設定

A所有
 ⇩
乙建物
甲土地←1番抵当権(C)
 ⇧ ↖
A所有 2番抵当権(D)

 以上が、事例1の流れ・状況になります。
 さて、ではこの事例1で、Cが1番抵当権を実行した場合、法定地上権は成立するでしょうか?
 法定地上権が成立するための要件は以下になります。

1・抵当権設定時に土地上に建物が存在すること
2・抵当権設定時に土地と建物が同一の所有者に属すること
3・土地か建物のどちらか、または両方に抵当権がされること
4・所有者が競売により異なるに至ること

 以上の4要件すべてを満たして法定地上権が成立します。では、事例1はどうなのか?
 Cが甲土地に1番抵当権を設定した時、甲土地と乙建物の所有者は同一ではありませんので、2の要件「抵当権設定時に土地と建物が同一の所有者に属すること」を満たしていません。しかし、2番抵当権を設定した時は、甲土地と乙建物の所有者は同一になっています。
 さて、結果はどうなるのか?
 結論。Cが1番抵当権を実行しても、法定地上権は成立しません。なぜなら、1番抵当権の設定した時には、甲土地と乙建物の所有者が異なるからです。たとえ2番抵当権が設定された時に土地と建物が同一の所有者となっていても、それは1番抵当権には関係ありません。
 なお、この事例1で、Dが2番抵当権を実行した場合は、法定地上権が成立します。なぜなら、2番抵当権を設定した時は、土地と建物の所有者が同一なので、法定地上権の成立要件を満たしているからです。

建物に2番抵当権

 続いてはこちらの事例をご覧ください。

事例2
A所有の甲土地上に、B所有の乙建物がある。Cは乙建物に1番抵当権を設定した。その後、AはBから甲土地を取得した。その後、Dが乙建物に2番抵当権を設定した。


 まずは、この事例2の流れ・状況を確認します。

B所有
 ⇩
乙建物
甲土地←1番抵当権(C)
 ⇧
A所有

その後、Aが乙建物を取得
Dが甲土地に2番抵当権を設定

A所有
 ⇩
乙建物
甲土地←1番抵当権(C)
 ⇧ ↖
A所有 2番抵当権(D)

 さて、ではこの事例2で、Dが2番抵当権を実行した場合、法定地上権は成立するでしょうか?
 結論。Dが2番抵当権を実行すると、法定地上権は成立します。なぜなら、2番抵当権が設定された時は、土地と建物の所有者が同一だからです。

【1番抵当権者Aは困らないのか】
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 実は、2番抵当権が実行されたことにより法定地上権が成立するのは、1番抵当権者Aにとってもありがたい話です。
 なぜなら、1番抵当権を設定している乙建物に法定地上権が設定されるということは、乙建物には地上権という強力な土地利用権が付着することになるからです。それは乙建物の担保価値の増大にも繋がります。
 担保価値の増大に繋がるということは、競売時の売却金額の上昇にも繋がり、被担保債権の弁済にも繋がるというわけです。ですので、1番抵当権者Aにとってもありがたい話なのです。
 なお、Cが1番抵当権を実行しても法定地上権は成立しません。
 なぜなら、1番抵当権設定時には甲土地と乙建物の所有者が別なので、法定地上権成立の要件を満たさないからです。たとえ2番抵当権設定時に土地と建物の所有者が同一になっても、それは1番抵当権の法定地上権には関係ありません。

更地に1番抵当権設定後、築造された建物に2番抵当権

 最後にこちらの事例をご覧ください。

事例3
A所有の甲土地(更地)がある。Bは甲土地に1番抵当権を設定した。その後、Aは甲土地上に乙建物を建造した。そしてCが甲土地に2番抵当権を設定した。


 さて、この事例3で、Bの1番抵当権が実行された場合、法定地上権は成立するでしょうか?
 結論。Bの1番抵当権が実行されても、法定地上権は成立しません。なぜなら、Bの1番抵当権が設定されたのは、甲土地上に乙建物を建造する前だからです。
 つまり、1番抵当権設定時には、土地上には建物が存在しないのです。ということは、法定地上権が成立するための要件のひとつ「抵当権設定時に土地上に建物が存在すること」を満たしていません。
 したがいまして、Aの1番抵当権が実行されても、法定地上権は成立しないのです。
 また、元々Aが抵当権を設定したのは更地の甲土地です。土地は更地の状態がもっとも価値が上がります。
 それに比べて、地上権が設定された土地の価値はかなり下がります。
 つまり、1番抵当権が実行されて法定地上権が成立してしまうと、1番抵当権者Aの権利を害することになります。そういった意味でも、1番抵当権の実行による法定地上権の成立はナシなのです。
 なお、Cが2番抵当権を実行した場合は、法定地上権が成立します。なぜなら、2番抵当権が設定された時は土地と建物の所有者が同一だからです。


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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