2018/05/16
連帯債務者の1人が死亡した場合
連帯債務において、連帯債務者の1人が死亡した場合、どうなるのでしょうか?事例
BCDは連帯してAから150万円を借り受けた。負担部分は各自均一である。その後、Dが死亡した。Dの相続人は、Dの子供E・Fである。
このような場合、気になるのが、DをEとFが相続して、連帯債務がどうなるのか?ということです。この問題については、債権者Aの立場から考えるとわかりやすいので、そのような形でご説明して参ります。
債権者AはEとFに対してはいくら請求できるのか?
債権者Aとして一番気になるのが、EとFに対していくら請求できるのか?です。他の連帯債務者と同様に150万円請求できるのか、あるいは別なのか。これについては、次の2つの考え方が存在します。
1・EとFは150万円の債務の連帯債務者になる
2・EとFは(死亡した)Dの債務を相続分で分けた限度で連帯債務者になる
それでは上記の2つの考え方について、ひとつひとつ解説して参ります。
1・EとFは150万円の債務の連帯債務者になる
この考え方の場合、債権者AはC・D・E・Fに対して、それぞれに150万円を請求することができます。つまり、債権者Aとしては、連帯債務者が1人増えたような感じです。
B
↗︎
A「150万円払え」→C
↓↘︎
F E
この考え方による結論は、債権者Aとしてはむしろありがたい展開かもしれませんね。連帯債務者が1人増えたということは、150万円を請求できる相手が1人増えたということなので、それだけ150万円を回収しやすくなります。
2・EとFは(死亡した)Dの債務を相続分で分けた限度で連帯債務者になる
この考え方の場合、債権者Aは、B・Cに対しては従来どおりそれぞれに150万円請求できますが、E・Fに対してはそれぞれに75万円しか請求できません。なぜそのようになるかというと、EとFは連帯債務150万円を相続分に応じて相続した、と考えるからです。そしてE・Fの相続分は2分の1ずつです(法定相続)。つまり、EとFは連帯債務150万円を75万円ずつ相続したと考えるわけです。したがって、債権者AはE・Fに対してはそれぞれに75万円しか請求できないのです。
B
↗︎
「150万円払え」→C
A〈
「75万円払え」→E
↘︎
F
尚、この場合のB・C・E・Fの債務も連帯債務です。ただ、Dの死亡による相続で、その中身が通常の連帯債務とは異なっただけです。AとB・C、AとE・Fで、債権債務関係が別々になる訳ではありません。Dの死亡による相続後も、あくまでB・C・E・Fの債務は連帯債務のままです。
それで結局どっちの考え方が正しいの?
結論。判例は2の考え方を採用しています。したがって、事例の債権者Aは、B・Cに対しては従来どおりそれぞれに150万円請求できますが、E・Fに対してはそれぞれに75万円しか請求できません。
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