2021/08/09
【債権譲渡の超基本】債権は譲れる?譲るとどうなる?実際に債権譲渡が利用されるケースとは
▼この記事でわかること・債権譲渡の超基本
・そもそも債権を譲渡することなんてあるの?
・実際に債権譲渡が利用されるケースの典型
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今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。

債権譲渡の超基本
債権は譲り渡すことができます。
例えば、AがBに対して持っている「50万円支払え」という債権を、AがCに譲り渡すことができます。
これを債権譲渡と言います。
そして、債権譲渡が行われると、その債権が譲渡人から譲受人のものへと移ります。
つまり、AのBに対する「50万円支払え」という債権がCに債権譲渡されると、CがBに対してその「50万円支払え」という債権を持つことになります。
このときのAが譲渡人、Bが譲受人です。
譲渡人 譲受人
A → C
↑
債権譲渡
そして債権債務関係が次のようになる。
[債権譲渡前]
債権者 債務者
A → B
[債権譲渡後]
債権者 債務者
C → B
そもそも債権を譲渡することなんてあるの?

あります。
例えば、AがBに500万円を貸し付けていて、その弁済期(金を返す期限)が1年後だった場合に、Aが今すぐまとまった現金が必要になったようなときです。
このとき、AはBに対して「今すぐ500万円返せ」とは言えません。なぜなら弁済期が1年後だからです。
一方、Bには弁済期までは500万円を返さなくても良い正当な権利があります(期限の利益)。
そこで、Aはこう考えます。
「誰かこの500万円の金銭債権(「500万円返せ」という権利)を買ってくれないかな」
すると、そこにCが現れて
「だったらその500万円の金債債権、450万円で買ってやるよ」
とAに言ってきました。
Aとしては、500万円の金銭債権を450万円で売るわけですから、50万円の損になります。しかし、それでもAは今すぐにどうしてもまとまったお金が必要です。
背に腹はかえられないということで、Aは500万円の金銭債権をCに450万円で売りました。
一方、CはBに対して「500万円支払え」と請求できる権利(債権)を450万円で買ったわけですから、1年後にBから500万円全額の弁済を受ければ、50万円の儲けになる、というわけです(ただし「債務者Bに借金を踏み倒される可能性」というリスクもある)。
実際に債権譲渡が利用されるケースの典型
実際に債権譲渡が利用される典型的なケースとして、債権者が弁済能力のない(簡単に言えばお金がなくて支払い能力がない)債務者から、その債務者に対する債権を回収するために、その債務者自身が持っている債権を譲渡してもらう、というのがあります。
これは企業間で、取引先の会社の経営状況が不安定なため、その取引先の債務の弁済として、その取引先が持っている債権を譲渡してもらう、などといったケースです。
以下にその具体例を記します。
A社はB社に100万円の売掛金債権を持っている。B社はC社に100万円の売掛金債権を持っている。A社はB社に対する100万円の売掛金債権を回収したいが、経営状況の悪いB社には100万円の支払い能力がない。そこでA社とB社は、B社がC社に対して持つ100万円の売掛金債権を、B社からA社に債権譲渡する契約を結んだ。
これが、実際に債権譲渡が利用される典型的なケースです。
このケースの場合、A社が債権譲渡の譲受人で、B社が譲渡人です。
そして債権譲渡により、A社はC社に対して100万円の支払いを請求することができ、C社に100万円の支払い能力があれば、A社は無事、100万円の売掛金債権を回収することができます。
そして、その債権譲渡により、B社はA社に対する100万円の債務を履行したことになります。
このような事例から、債権譲渡という制度には一定の必要性と合理性がある、ということがわかりますよね。
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。