
【相殺の超基本】自働債権と受働債権って何?互いの債権額が違うときはどうなる?初学者にもわかりやすく解説!
▼この記事でわかること
・相殺の超基本
・自働債権と受働債権
・互いの債権額が違う場合
(上記クリックorタップでジャンプします)
今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者にもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。

相殺の超基本
相殺とは、互いの債権を打ち消し合う仕組みです。
といってもこれだけでは中々ピンと来ませんので、事例とともに解説します。
事例1
AはBから10万円のギターを買い受け、その代金はまだ支払っていない。また、BはAから10万円のベースを買い受け、その代金はまだ支払っていない。
この事例1では、AはBに対してギター代金「10万円支払え」という債権を持っているのと同時に、BもAに対してベース代金「10万円支払え」という債権を持っています。
つまり、お互いがお互いに対して「金払え」という同種の債権を持っています。
さて、このような場合に、Aが相殺をすると、AのBに対する「10万円支払え」という債権は消滅し、BのAに対する「10万円支払え」という債権も消滅します。
これが相殺です。
ギター代債権10万円
↓
A⇆B
↑
ベース代債権10万円
Aが相殺をすると
A→債権消滅←B
相殺とは、互いが互いに同種の債務を負っていて、互いが互いに対して同種の債権(ほとんどの場合が金銭債権と思ってOK)を持つ場合に、一方の意思表示で互いの債権を打ち消し合う仕組みです。
ここで「あれ?」と思った方もいらっしゃるかと思います。
そうです。
相殺は、あくまで一方の意思表示で行います。
つまり、AはBの意思に関係なく、Aの意思だけで相殺ができます。
同様に、Bから相殺する場合も、BはAの意思に関係なく、Bの意思だけで相殺ができます。
自働債権と受働債権
Aから相殺する場合、AのBに対する「ベース代金10万円支払え」という債権を自動債権、BのAに対する「ギター代金10万円支払え」という債権を受動債権といいます。
[Aから相殺する場合]
ギター代金債権10万円←受動債権
↓
A⇆B
↑
ベース代金債権10万円←自働債権
また、Bから相殺する事ももちろん可能です(結果はAからする場合と同じ)。
その場合は、BのAに対する「ギター代金10万円支払え」という債権が自動債権、AのBに対する「ベース代金10万円支払え」という債権が受動債権となります。
[Bから相殺する場合]
ギター代金債権10万円←自動債権
↓
A⇆B
↑
ベース代金債権10万円←受動債権
つまり、相殺する側(相殺の意思表示をする側)の債権が自動債権、相殺される側の債権が受動債権、ということです。
互いの債権額が違う場合

続いて、次のようなケースではどうなるでしょう?
事例2
AはBから10万円のギターを買い受け、その代金はまだ支払っていない。また、BはAから15万円のベースを買い受け、その代金はまだ支払っていない。
この事例2でも、AとBは互いに債権を持っています。
しかし、今回は互いの債権の額が違います。
BのAに対する債権が「10万円支払え」なのに対し、AのBに対する債権は「15万円支払え」となっています。
それではこの事例2で、Aが相殺すると、AとBの債権はどうなるのでしょうか?
相殺すると、各債務者はその対等額についてその債務を免れます(民法505条)。
つまり、相殺すると、互いの債権額のうち対等額分(同額分)が消滅します。
したがいまして、事例2でAが相殺をすると、AとBの互いの債権の対等額10万円分が消滅します。
よって、AのBに対する債権は「5万円支払え」となり、BのAに対する債権は消滅します。
ギター代金債権10万円
↓
A⇆B
↑
ベース代金債権15万円
Aが相殺すると
(ギター代債権は消滅)
A→B
↑
ベース代金債権5万円
以上、相殺についての超基本になります。
なお、相殺については「「【連帯債務の相殺と求償】相殺を援用する&しないとどうなる?/無資力者がいるときの求償問題など様々なケースと注意点をわかりやすく解説!」」の中でも具体的な事例とともに解説していますので、よろしければそちらも併せてお読みいただければと存じます。
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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・自働債権と受働債権
・互いの債権額が違う場合
(上記クリックorタップでジャンプします)
今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者にもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。

相殺の超基本
相殺とは、互いの債権を打ち消し合う仕組みです。
といってもこれだけでは中々ピンと来ませんので、事例とともに解説します。
事例1
AはBから10万円のギターを買い受け、その代金はまだ支払っていない。また、BはAから10万円のベースを買い受け、その代金はまだ支払っていない。
この事例1では、AはBに対してギター代金「10万円支払え」という債権を持っているのと同時に、BもAに対してベース代金「10万円支払え」という債権を持っています。
つまり、お互いがお互いに対して「金払え」という同種の債権を持っています。
さて、このような場合に、Aが相殺をすると、AのBに対する「10万円支払え」という債権は消滅し、BのAに対する「10万円支払え」という債権も消滅します。
これが相殺です。
ギター代債権10万円
↓
A⇆B
↑
ベース代債権10万円
Aが相殺をすると
A→債権消滅←B
相殺とは、互いが互いに同種の債務を負っていて、互いが互いに対して同種の債権(ほとんどの場合が金銭債権と思ってOK)を持つ場合に、一方の意思表示で互いの債権を打ち消し合う仕組みです。
ここで「あれ?」と思った方もいらっしゃるかと思います。
そうです。
相殺は、あくまで一方の意思表示で行います。
つまり、AはBの意思に関係なく、Aの意思だけで相殺ができます。
同様に、Bから相殺する場合も、BはAの意思に関係なく、Bの意思だけで相殺ができます。
自働債権と受働債権
Aから相殺する場合、AのBに対する「ベース代金10万円支払え」という債権を自動債権、BのAに対する「ギター代金10万円支払え」という債権を受動債権といいます。
[Aから相殺する場合]
ギター代金債権10万円←受動債権
↓
A⇆B
↑
ベース代金債権10万円←自働債権
また、Bから相殺する事ももちろん可能です(結果はAからする場合と同じ)。
その場合は、BのAに対する「ギター代金10万円支払え」という債権が自動債権、AのBに対する「ベース代金10万円支払え」という債権が受動債権となります。
[Bから相殺する場合]
ギター代金債権10万円←自動債権
↓
A⇆B
↑
ベース代金債権10万円←受動債権
つまり、相殺する側(相殺の意思表示をする側)の債権が自動債権、相殺される側の債権が受動債権、ということです。
互いの債権額が違う場合

続いて、次のようなケースではどうなるでしょう?
事例2
AはBから10万円のギターを買い受け、その代金はまだ支払っていない。また、BはAから15万円のベースを買い受け、その代金はまだ支払っていない。
この事例2でも、AとBは互いに債権を持っています。
しかし、今回は互いの債権の額が違います。
BのAに対する債権が「10万円支払え」なのに対し、AのBに対する債権は「15万円支払え」となっています。
それではこの事例2で、Aが相殺すると、AとBの債権はどうなるのでしょうか?
相殺すると、各債務者はその対等額についてその債務を免れます(民法505条)。
つまり、相殺すると、互いの債権額のうち対等額分(同額分)が消滅します。
したがいまして、事例2でAが相殺をすると、AとBの互いの債権の対等額10万円分が消滅します。
よって、AのBに対する債権は「5万円支払え」となり、BのAに対する債権は消滅します。
ギター代金債権10万円
↓
A⇆B
↑
ベース代金債権15万円
Aが相殺すると
(ギター代債権は消滅)
A→B
↑
ベース代金債権5万円
以上、相殺についての超基本になります。
なお、相殺については「「【連帯債務の相殺と求償】相殺を援用する&しないとどうなる?/無資力者がいるときの求償問題など様々なケースと注意点をわかりやすく解説!」」の中でも具体的な事例とともに解説していますので、よろしければそちらも併せてお読みいただければと存じます。
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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