【分割債権(債務)と不可分債権(債務)】賃料債権は分割できない?/分割債権の具体例

▼この記事でわかること
そもそも債権とは
分割債権と不可分債権
建物等の賃料債権は不可分債権?
分割債権(債務)の具体例
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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債権とは

 債権とは、特定の者が特定の者に対して、一定の行為を請求することを内容とする権利です。
 例えば、Bにお金を貸したAが、Bに対して「金返せ」と請求する権利が、まさしく債権になり、Aは債権者となります。
 反対に、Aからお金を借りたBは、Aに対して「借金を返済しなければならない義務」を負いますが、これは債務になり、Bは債務者となります。

       債権者
        A
(返済義務)債務↑↓債権(金返せ)
        B
       債務者

 ところで、債権債務関係は「特定の者・対・特定の者」ですが、必ずしも1対1の関係に限ったものではありません。
 1個の債権に複数の債権者、または債務者が存在するケースもあります。
 そのようなケースを、多数当事者の債権(債務)関係と言います。

分割債権と不可分債権

 まず、債権(債務)には、分割できるものと分割できないものがある、ということを見て参ります。
 いきなり債権の分割と言われてもピンと来ないと思いますので、より具体的にわかりやすく解説して参ります。

【分割債権】
 分割できる債権の代表は、お金を請求する金銭債権です。
 例えば、100万円を50万・50万、90万円を30万・30万・30万というように、お金は当然に割ることができますよね。
 つまり「100万円払え」という債権は「50万円払え」「50万円払え」という2つの債権に分けることもできる、という事です。

【不可分債権】
 不可分とは、可分できないという意味です。
 可分できないとは、分けることができないという意味です。
 ここで「なんで分割債権に対して不分割債権じゃないの?」「なんで不可分債権に対して可分債権じゃないの」という疑問がわいた人もいるかもしれません。が、その疑問は華麗にスルーでお願いします。
 世の中には、わからなくていいこともあるのです(笑)。
 ということで、どんどん進んで参ります。
 不可分債権(分割できない債権)としては「そのピアノをよこせ」のような、物の引渡しを請求する債権があります。
ピアノ2
 これは割ること(分割)ができません。じゃあ僕は白鍵だけ、君は黒鍵だけ、なんてできませんよね?ピアノがバラバラになって使い物にならなくなってしまいます。

建物等の賃料債権についての注意点

 先ほど、金銭債権は分割できるとご説明しましたが、実は、お金を請求する債権でも建物等の賃料債権については、分割できないとされています。
 例えば、大家Aが死亡して、相続人がBCDの3人だったとします。すると、大家Aが賃借人(借りて住んでいる人)に対して持つ「家賃払え」という賃料債権を、3人の相続人BCDが相続しますが、この賃料債権を3分割することはできません。
 つまり、家賃が9万円であれば、BCDの3人がそれぞれ3万円ずつ賃借人に請求する、ということができないのです。
 ですので、このような場合は、BCDの3人の誰か1人が代表して9万円の家賃を請求して、受け取った9万円の家賃を3人で分け合う、というような形になります。
 なんかややこしくね
 そんなこともありません。むしろ賃借人(借りて住んでる人)の立場に立ってみれば、3人の大家から別々に3万円ずつ請求される方がややこしいですよね。
 でもなんで賃料債権はお金を請求する債権なのに分割できないの?
 それは、賃料債権に対する建物の賃貸債務分割できないからです。
 賃貸人(大家)は、賃借人(借りて住んでる人)に対して賃料債権を持つのと同時に、賃借人に対して目的物(建物)を使用収益させる(貸して使わせてあげる)義務があります。その義務というのが、賃貸人の目的物の賃貸債務(それを貸して使わせてあげる義務)です。
 そして、その賃貸債務は分割できないのです。
 その理由はこうです。
 例えば、Aさんにはリビングだけ貸して、Bさんにはバスルームだけ貸して、Cさんにはキッチンだけ貸して...なんてできないですよね?
部屋
 したがって、賃料債権は分割できないのです。
 なお、賃料債権は分割できない債権なので、不可分債権になります。
 また、賃料債権が分割できないので、当然に賃料債務も分割できません。
 分割できない債務は、不可分債務と言います。
(賃借人が死亡して、その相続前に未払い賃料が発生していた場合は、その未払い賃料に関しては可分債務となる。詳しくは相続分野にて改めて解説します)。

分割債権(債務)の具体例

 では、ここからは、どのようなケースが分割債権(債務)になるのか、その具体例を見ながら解説して参ります。

事例1
AはBに150万円を貸し付けている。そしてAは死亡した。なお、Aには相続人がC・D・Eの3人おり、Aの貸金債権を3人は法定相続した。


 この事例で、C・D・Eの3人は、AのBに対する150万円の貸金債権を相続しました。

 死亡 
  A → B
  貸金債権
 (150万円返せ)
相続↓↓↓
   C D E

 このとき、3人の間で特に取り決めをしなければ、150万円の貸金債権は等しい割合で3分割されます。(法定相続)
 つまり、C・D・Eの3人は、それぞれ、Bに対する50万円の貸金債権を持つことになります(CDEがそれぞれBに対して「50万円返せ」という債権を持つ)。
 この場合の、3分割された債権こそ、まさしく分割債権です。

事例2
BはAから150万円を借金している。そしてBは、150万円の借金を残したまま死亡した。Bには相続人がC・D・Eの3人おり、Aの借金150万円を3人は法定相続した。


 この事例では、C・D・Eの3人は、Aの150万円の借金債務を相続しました。

 死亡 
  B ← A
  借金債務
(150万円返済義務)
 相続↓↓↓
    C D E

 このとき、3人の間で特に取り決めをしなければ、150万円の借金は等しい割合で3分割されます。
 つまり、C・D・Eの3人は、それぞれ50万円ずつ借金を背負うことになります。これが分割債務です。

 以上が分割債権・債務です。
 念のため、再度確認します。

債権者が複数になるのが分割債権
債務者が複数になるのが分割債務

 慣れないうちは紛らわしいですが、問題文や選択肢で読み間違えないよう、くれぐれもご注意ください。

 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
東京都行政書士会所属
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保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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