【定期借地&借家契約】定期借地権と定期建物賃貸借と取壊し予定の建物賃貸借と短期賃貸借とは

▼この記事でわかること
定期借地契約
定期借地権
事業用定期借地権
定期借家契約
定期建物賃貸借
取壊し予定の建物賃貸借
短期賃貸借
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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定期借地契約

 不動産賃貸借には、契約期間の更新のないものもあります。
 それは定期借地・借家契約です。
 定期借地・借家契約は「定期」ですから、当然、法定更新もなく、期間の満了と共にその契約は終了します。

定期借地権

 定期借地契約とは、存続期間(契約期間)を50年以上に定める場合に

1、契約の更新がない
2、建物築造による存続期間の延長がない
3、建物買取請求権がない

 以上の3つの「ない」特約にすることができる借地契約です。
 定期借地権とは、定期借地契約を結んだ場合の借地権のことです。
 では、上記3つの「ない」について、ひとつひとつ解説して参ります。


1・契約の更新がない

 これは読んで字の如くで、定期借地契約の場合、更新がないので、契約期間の満了により、その土地賃貸借契約は終了します。

2・建物築造による存続期間の延長がない

 通常の土地賃貸借契約の場合、契約期間中に建物滅失などにより建物を築造(再築)した場合、借地借家法による借地期間の延長」という借地人を保護するための規定がありますが、定期借地契約の場合、その規定の適用がありません。(建物築造による存続期間の延長についての詳しい解説は「賃貸借契約の存続期間~立ち退き請求と正当事由とは」をご覧ください)。

3・建物買取請求権がない

 通常の土地賃貸借契約の場合、契約が期間満了により終了すると、借地人は賃貸人(地主)に対し、借地上の建物を買い取るよう請求することができますが、定期借地契約の場合、それはできません。(建物買取請求権についての詳しい解説は「賃貸借の終了~造作買取請求権と建物買取請求権とは」をご覧ください)。

・補足

 通常の土地賃貸借契約は諾成契約※なので、書面がなくとも当事者同士の意思表示により、法的には成立します。
 しかし、定期借地契約の特約は、公正証書等の書面で行わなければなりません。(要式契約※)(書面は公正証書でなければならない訳ではない)。
 なお、上記3つの「ない」の特約は、その旨を「定めることができる」わけであって、法律上当然に適用されるわけではありません。ですので、特約を入れずに定期借地契約を結ぶことも可能です。

※諾成契約と要式契約についての詳しい解説は「諾成・要式・要物契約~契約は口約束でも成立する?」をご覧ください。

事業用定期借地権
セブンイレブン
 これは字の通り、もっぱら事業の用に供する建物所有を目的とする、事業用の定期借地契約です(居住用は除かれます)。
 そして、事業用の定期借地契約は、定める期間により、以下の2つのパターンに分かれます。

1・借地権の存続期間が30年以上50年未満
 この場合、以下の3つの「ない」が特約になります。

・契約の更新がない
・建物築造による存続期間の延長がない
・建物買取請求権がない

 これは先述の定期借地契約と一緒ですね。
 なお、これも定期借地契約と同様、3つの「ない」の特約は、その旨を「定めることができる」わけであって、法律上当然に適用されるわけではありません。ですので、特約を入れずに存続期間30年以上50年未満の事業用定期借地契約を結ぶことも可能です。

2・借地権の存続期間が10年以上30年未満
 この場合も、先ほどと同様の以下の3つの「ない」がその特徴になります。

・契約の更新がない
・建物築造による存続期間の延長がない
・建物買取請求権がない

 そしてなんと、この3つの「ない」が、存続期間が10年以上30年未満の事業用定期借地契約の場合は、法律上当然に適用されます。
 つまり、特約の有無に関係なく、存続期間が10年以上30年未満の事業用定期借地契約を結ぶと、問答無用で3つの「ない」が適用されます。
 さらに、この「借地権の存続期間が10年以上30年未満」の事業用定期借地契約を結ぶ場合は、公正証書で行わなければなりません。公正証書とは、公証役場で作成する、公的な書面です(公正証書については別途改めてご説明いたします)。
 存続期間が10年以上30年未満の事業用定期借地契約は、通常の借地契約に比べて、かなり借地人の地位が低い内容になります。なので「借地人さん、ホンマこれでええんか?」と念を押す意味で、公正証書限定という慎重なものになっています。

定期借家契約
定期建物賃貸借

 建物の賃貸借で、定期建物賃貸借があります。
 定期建物賃貸借とは、いわゆる期間の定めのある建物賃貸借のことで、契約の更新がなく、契約期間が満了すると、そのまま賃貸借契約が終了するものです。
 そして、このような定期建物賃貸借による契約を、定期借家契約と言います。

 ちなみに、定期建物賃貸借は、一般的にもよく見かけるものです。それこそ賃貸物件を探していて、立地や設備の割には妙に家賃が安い物件があり、よ~く見てみると「定借」なんて文字があり契約の更新がない旨が記載されていて「なんだ、そういうことか」とわかってガッカリ、という経験をされた方、結構いらっしゃると思います。そうです。それはまさしく「定期建物賃貸借」の物件なのです。

定期建物賃貸借の特徴

 定期建物賃貸借による定期借家契約の場合、契約の更新がありません。よって、賃貸借契約が期間満了に終了すると、賃借人(借主)は当然に立ち退かなければなりません。
 また、契約期間については、一年未満でも設定可能です。実際にそのような短期間の定期借家の物件も、ちょいちょい見かけますよね。
 ちなみに、契約期間が一年未満の、いわゆるマンスリーマンションやウィークリーマンションも、この定期建物賃貸借にあたります。
 そして、定期借家契約は、公正証書等の書面により行わなければなりません。(要式契約)(書面は公正証書でなければならない訳ではない)

取壊し予定の建物賃貸借
古マンション
 定期建物賃貸借の中には、取壊し予定の建物賃貸借というものがあります。
 これは「建物を取り壊すこととなる時に契約が終了する」という特約を入れた定期借家契約です。
 これも、賃貸物件を探しているとたまに見かけます。古いマンションやアパートやビルをイメージしていただくと分かりやすいかなと思います。
 なんでそんな特約を入れるの?
 まず、近い将来に取壊しが決定している建物を普通に賃貸に出して借主を募集しても、中々集まりませんよね。
 だったら取り壊すことを黙って貸せばいいんじゃね?
 それはできません。もしそれをやってしまうと、今度はいわゆる「立退き問題」に発展します。
 そうなると、取壊し日が遅れるだけでなく、オーナーは、多大な立退き料を支払うことになりかねません。
 そこで「建物を取り壊すこととなる時に契約が終了する」という特約を入れた定期借家契約、すなわち「取壊し予定の建物賃貸借」にすることにより、そのような物件でも安心して賃貸に出して借主を募集することができます。
 もちろん「取壊し予定の建物賃貸借」の物件の場合は、相場よりも低家賃になります。しかし、それでもオーナーは、取り壊すまで多少なりとも家賃収入を得ることができる、というわけです。

賃貸借のオマケ~短期賃貸借

 処分につき、行為能力の制限を受けた者(制限行為能力者)、または処分の権限を有しない者(不在者財産管理人など)が賃貸借をする場合には、それぞれ以下の期間を超えることができません。(民法602条)

1、樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借→10年
2、上記1以外の土地の賃貸借→5年
3、建物の賃貸借→3年
4、動産の賃貸借→6ヶ月

 上記の期間までであれば、例えば、被保佐人も単独で賃貸借契約を結ぶことができます。
 これを、短期賃貸借と言います。


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
東京都行政書士会所属
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保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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