2022/01/11
【行政書士試験とは】その内容と特徴/受験生を悩ます記述式/足切り科目の一般知識等とは?
▼この記事でわかること・行政書士試験とは
・宅建試験と行政書士試験の違い
・受験生を悩ます記述式問題
・各科目と問題数の配分
・行政書士試験のワナ「足切り科目」一般知識等とは?
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かつて私は、独学で行政書士試験に臨み合格しました。
元バンドマンでギタリストを志し法学部出身でもない私が、です。
そもそも、なぜ私が行政書士試験にチャレンジするに至ったかと申しますと、それ以前に宅建試験に独学で一発合格していたからです。
さて、冒頭から手前味噌の前置き、大変失礼しました。
今回は、かつての私の経験が、その時考えたこと実行したことが、この記事をご覧になってくださった方にとって、何か少しでも役に立つことがあればと思い、記します。
行政書士試験とは
そもそも、行政書士試験とは、一体どのような試験なのでしょうか。
宅建試験は、四肢択一式全50問です。
それに対し、行政書士試験は
五肢択一式+多岐選択式+記述式の計60問
です。
この2つの試験を比べて、一番重要な違いとなるポイントはどこでしょう。
それはやはり、行政書士試験における記述式問題の存在ではないでしょうか。
宅建試験の場合は四肢択一式問題のみなので、ALLマークシートです。
しかし、行政書士試験の場合は、マークシートの解答用紙の裏面に、記述式問題解答用のマスが印刷されています。
実に気を重くさせるマスです(笑)。
しかも、この記述式問題は計3問あり、3問合計すると、その得点配分は、なんと全得点の20%を占めてしまい、多くの受験者を悩ませる大きな原因のひとつとなっているのです。
宅建試験と行政書士試験の違い
ところで、肝心の合格点(合格ライン)はどうなっているのでしょうか。
ここまで、宅建試験との比較で見てきていますが、宅建試験と行政書士試験では、合格点(合格ライン)に大きな違いがあります。
宅建試験の場合は、合格率で合格点が決まる相対評価の試験です。
一方、行政書士試験は、あらかじめ決められた合格点で決まる絶対評価の試験です。
この事実だけ見ると、行政書士試験の方がわかりやすくて良さそうな気がしますね。
宅建試験の場合、例年の合格ラインギリギリの点数を取ってしまうと、合格発表までずっとやきもきしながら過ごすことになり、いわば生殺し状態で1ヶ月以上放置されてしまうことになります。だから自己採点はしない!と強気なのか弱気なのかよくわからない人もたまに見かけます。強気を装った弱気のような気がしますがどうでしょう(笑)。
では、行政書士試験は絶対評価だから安心かというと、これがまたそうでもないのです。
どういうことかといいますと、先述の全得点の20%を占める記述式問題が、大きく影響を及ぼすのです。
受験生を悩ます記述式問題

行政書士試験は、全60問300点満点という構成になっております。
[五肢択一式]
1問4点×44問
[多岐選択式]
1問8点×3問
[記述式]
1問20点×3問
ちなみに、多岐選択式問題はいわゆる穴埋め問題で、1つの設問ごとに4つの穴を埋めていくという構成になっており、実質は1問2点×12問となっています。
そして、合格点は180点です。
つまり、6割の点数を取れば合格です。
先述にもありますが、行政書士試験は絶対評価の試験なので、180点取れれば確実に受かります。宅建試験のように毎年度毎の合格率で合格点が上下することはありません。
しかし、行政書士試験には厄介なカラクリがあります。
それが、記述式問題の存在です。
行政書士試験は絶対評価の試験ですが、実は記述式問題で合格率を調整しているのです。
どういう事かといいますと、記述式問題以外の平均点数が高い年は、記述式問題の採点基準が厳しくなります。逆に、記述式問題以外の平均点数が低い年は、記述式問題の採点基準が緩めになります。
なら記述式問題以外で180点取ればいいんじゃね?
それは可能です。
しかし、よく考えてみてください。
記述式問題の得点割合は全体の20%を占めます。ということは、記述式問題以外で180点を取ろうとすると、240点中の180点なので、7.5割の点数を取らなくてはなりません。これは、司法書士試験と同等程度の難易度になります。
少なくとも私は、本番形式での問題演習で、記述式問題以外だけで180点を超えたことは一度もありません。なので、うまいことできている試験だな、と思います(笑)。
そして、もうひとつ、行政書士試験にはちょっとしたワナがございます。
それは、いわゆる「足切り」です。
「足きり」とは
各科目と問題数の配分
まず、行政書士試験における各科目と問題数の配分を見ていきます。
憲法・基礎法学 7問
行政法 19問
民法 9問
商法・会社法 5問
一般知識等 14問
多岐選択式(行政法・憲法) 3問
記述式(行政法1問・民法2問) 3問
こう見ていきますと、まず行政法の問題数の多さが目につきます。
しかし、私がここで注目するポイントは一般知識等です。
そう、この一般知識等が足切り科目なのです。
行政書士試験は300点満点中180点以上で合格の絶対評価の試験です。
しかし、実はそれだけではなく「基準点」というものが存在します。
(1)法令等科目の得点が122点以上
(2)一般知識等科目の得点が24点以上
全体で180点以上得点という条件以外にも、上記2つの条件をクリアしなければ合格にはなりません。
(1)の法令等科目とは、一般知識等以外の科目全部を指します。これについては、特に気にしなくても問題ございません。
ここで問題なのは(2)です。
行政書士試験のワナ

足切り科目の一般知識等とは?
行政書士試験における一般知識等とは、一体どんな科目なのでしょうか。
一般知識等という科目は、わかりやすく言うと大学のセンター試験における「現代社会」みたいなものです。
つまり「政治・経済」ですね。小学校で言うところの「社会」、中学校で言うところの「公民」といったところでしょうか。
それにプラスしまして、文章理解と情報通信と個人情報保護法関係からの出題があります。
文章理解とは、いわゆる国語の問題です。
問題文を読んで空欄箇所の段落に当てはまる文章を選んだり、問題文を理解して選択肢の中から相応しい趣旨を述べているものを選んだり、といった感じです。得意不得意はあるかと思いますが、知識を問われる訳ではないので、何度か演習を重ねれば解けるようになると思います。
情報通信とは、PC・インターネット関係です。 IPAのITパスポート試験に出てくるような問題が出題されます。
個人情報保護法関係とは、そのものズバリ、個人情報保護法からの出題になります。
なお、出題配分としましては、文章理解から3問出題される事以外は、その年ごとにまちまちです。
また、一般知識等の問題数は合計14問になります。
足切りというワナ
さて、ここからは、この一般知識等という科目のワナの部分「足切り」について見ていきます。
まず、この一般知識等という科目には基準点という最低ラインが存在します。
最低ラインは6問正解です。これを下回ってしまうと、たとえ一般知識等以外で180点以上得点しようとアウトになってしまいます。
イヤ〜な感じですよね。
しかも、一般知識等という科目は、勉強ポイントを絞り辛い科目です。
政治・経済といっても幅広いですし、毎年必ずここから出る!といったものもない。唯一、比較的得点しやすい個人情報情報保護法関係も、せいぜい出題数は2問か3問といったところ。文章理解は毎年3問出題されますが、解くのに時間がかかります。
どうでしょう。中々、厄介な科目ではないでしょうか。
これから行政書士試験を受験される方にとっては、なんだか不安を煽るようなことばかり書いてしまい申し訳ございません。
念のため付け加えて申し上げておきますと、私が実際に、模試を含め問題演習を繰り返した経験からすると、一般知識等で正答数が6問未満になったことはほとんどありません。
ですので、落ち着いて取り組めばまず問題ないと思います。
ちなみに、私の場合は、むしろ得意科目で得点源でした。
なんやそれ?とツッコミが入るでしょうか(笑)。
ただ、行政書士試験におけるこの一般知識等という科目のシステムが、受験生にとって余計なストレスとプレッシャーを与える存在であることは間違いありません。
そのストレスとプレッシャーが、試験を受けるにあたり厄介になりうる、ということです。
以上、行政書士試験の特徴についてになります。
むしろ、これを読んで不安になってしまった方もいるかもしれません。
しかし、合格するには、まずはどんな試験なのかを知ることは不可欠です。
あとは、その不安な気持ちを勉強のエネルギーに昇華していくだけです。
ここに記しました内容が、これから行政書士試験を受験される方への、学習の準備となれば幸いです。
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