2018/01/14
代理番外編 使者
民法の条文には存在しませんが、代理人と似て非なるものに使者というものがあります。使者とは、本人が決定した事項をただ伝えるだけの役目です。例えば「お使い」なんかがそうです。つまり、はじめてのお使い、ならぬ、はじめての使者です(笑)。
事例1
Aは飼っている犬のポチに、必要なお金と注文書きを入れた買い物カゴをぶら下げさせて、近所の商店にお使いに行かせた。
さて、この場合、お使いに行った犬のポチはAの使者ということになるのでしょうか?
結論。犬のポチはAの使者になります。
なんと、使者には意思能力は不要なのです。
事例2
Aは飼っている猫のタマに、必要なお金と注文書きを入れた買い物カゴをぶら下げさせて、近所の商店にお使いに行かせた。
さて、この場合、猫のタマはAの使者になるのでしょうか?
もちろん使者になります。夏目漱石先生も納得の結論でしょう。もし猫がホワッツマイケルや忍者ハットリくんの影千代やセーラームーンのルナなら、代理人にもなれるかもしれません(笑)。
このように使者は意思能力が不要なので、本人さえ良ければ、ほぼ誰でもなれるといっていいかもしれません(この場合の意思能力とは、法的な意味の意思能力のことです。あしからず)。伝書鳩なんかも使者と言えるでしょうね。
さて、ここからは真面目な話に戻しますが…
ふざけてたんかい!
そういう訳ではないのですが(笑)、例えば、こんなことが起こってしまったらどうなるでしょう。使いに出した使者が伝達事項を間違えてしまったら?
この場合はなんと、錯誤の問題になります。つまり、その場合の使者の意思表示は、使者の故意・過失を問わず、原則として無効になります。
犬のポチでも?
それは…知りません。
猫のタマでも?
それも…知りません。
伝書鳩のポッポでも?
それも…もうええわ!
どうも、ありがとうごさいました~!(漫才風)
PS:代理は中々難しい
民法の学習において「代理」分野はひとつの山と言っていいかもしれません。代理という制度自体はそんなに難しいように感じないのですが、学習を進めていくにつれ、頭がどんどんごちゃごちゃになっていったりします。私がそうだったのですが、代理程度でこんなに苦戦していたら民法の勉強なんか無理なんじゃないか?と焦ったりもすると思います。しかし、焦る必要はないと思います。なぜなら、代理は難しいです。もっと言えば、代理の分野をしっかり理解できれば民法の基礎はバッチリ!かもしれません。ですので、代理の分野でつまづいたとしても、焦らず、繰り返し繰り返し、徐々に理解を深めていって下さい。
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