【制限行為能力者:未成年者の超基本】未成年者が単独でできることは/棋士は個人事業主?タレントは?

▼この記事でわかること
未成年者の超基本
未成年者が単独でできること
ちょっと豆知識~棋士は個人事業主?じゃあタレントは?
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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未成年者

 未成年者は制限行為能力者です。
 したがって、未成年者も成年被後見人などと同様に、制限行為能力の制度の保護を受けることになります。
 ただ、未成年者は成年被後見人などとは大きく異なる部分があります。
 成年被後見人などの場合は、その判断能力に応じて「成年被後見人、被保佐人、被補助人」と3段階に分かれています。そして、家庭裁判所の審判を受けて初めてなるものです。つまり、家庭裁判所に「君は成年被後見人だ」と認められて初めて、その人は成年被後見人となります。
 一方、未成年者の場合は、家庭裁判所の審判もなく、一定の年齢未満の者は一律に未成年者となります。
 しかし、一口に未成年者と言っても、非常に幅広いですよね。それこそ赤ん坊から高校生まで、みんな未成年者です。鼻垂らした小学生もいれば、その辺のオッサンよりよっぽどしっかりした10代の若者もいます。
 ですが、法律上では、18歳未満の者は一律に未成年者となります。※
※2022年4月1月より18歳以上は成年となり、18歳未満が未成年となります。また、女性の婚姻開始年齢(要するに結婚できる年齢のスタート)が18歳に引き上げられます。

【参考】成年年齢の引下げに伴う年齢要件の変更について
成年年齢の引下げに伴う年齢要件の変更について
法務省民事局参事官室『民法改正 成年年齢の引下げ』資料より抜粋

未成年者が単独でできること

 未成年者は制限行為能力者です。
 したがって、未成年者の契約などの法律行為は、制限行為能力の制度の制限を受けます。
 そして、未成年者には法定代理人がつきます。
 法定代理人とは、法律で定められた代理人です。ほとんどの場合、未成年者の法定代理人は親権者(通常は親)がなります。
 つまり、未成年者が単独でできる法律行為とは、法定代理人抜きでできる法律行為ということです。親抜きで子供だけでできる法律行為、と言えばわかりやすいでしょう。
 未成年者が単独でできる法律行為は、以下になります。

・随意処分の許可
・営業の許可
・単に権利を得、義務を免れる行為


【随意処分の許可】
[法定代理人が処分を許可した財産は未成年者が単独で処分できる]
 例えば、親が子供に「洗剤買ってきて」とお金を渡しておつかいを頼んだ場合、子供は単独で洗剤の購入ができますよね。
 あるいは、目的を定めずに親が子供にお小遣いを渡して、そのお金で子供が単独でお菓子を購入できますよね。
 これが随意処分の許可です。
スマホ子ども
 単独でできるということは、後から「契約を取り消します」とは言えないということです。(相手が子供とはいえ、お菓子程度の買い物で後からいちいち取り消されたらお店側も困ってしまいますよね。店側としては子供が買い物に来たら厄介そうで何も売れなくなってしまいます)
 ということで、随意処分の許可は、未成年者単独でできます。

【営業の許可】
 ここで言う営業とは「商売」と捉えてください。
 これは、法定代理人が未成年者に営業を許可した場合です。
 ただし「何やってもイイよ」というような、包括的な営業の許可はできません。
 例えば、法定代理人が未成年者に雑貨屋の営業を許可すれば、未成年者は雑貨屋の営業ができます。ただし「どんな商売やってもイイよ」というような営業の許可はできないという事です。
 また、営業の許可をするときに、これはイイけどあれはダメ、というような許可の仕方はできません。
 例えば、雑貨屋の営業の許可をしたなら、販売はOKだけど仕入れはダメ、みたいな営業の許可の仕方はできないということです。なぜなら、そんな営業の許可の仕方ができてしまったら、取引の相手方が困ってしまうからです。

【単に権利を得、義務を免れる行為】
 これは、負担のない贈与を受けたり、債務の免除を受けたりとかです。
 つまり、未成年者に損害を与える可能性のない行為ならOKということです。
 ただ、ここで気をつけておいていただきたいことが2点あります。
 以下の2つの行為は、未成年者が単独で行うことができません。

・負担付贈与
・弁済の受領


 負担付贈与とは、簡単に言うと「コレもらうかわりにアレやらなければならない」というような贈与です。
 負担を負わないと贈与を受けられないとなると、負担の部分が義務になってしまいます。すると「単に権利を得る」行為ではなくなってしまいます。したがって、未成年者が単独で行うことができません。
 弁済の受領というのは、例えば、未成年者が「金返せ」という債権を持っている場合に、その債権の弁済を受けること(お金を返してもらうこと)です。
 なぜそれを未成年者が単独で行えないのかというと、その債権が弁済を受けて無くなることで不利益が生じる可能性もあるからです。利子付でお金を貸していた場合、少し時間が経ってから返してもらった方がもらえる利子は増えますよね?早めに返されるともらえる利子は減りますよね?つまり、弁済の受領で損してしてしまうことがあるってことです。(さらに債権は売ることもできるし担保にすることもできます。この辺りの詳しい解説はまた別途改めて行います)

ちょっと豆知識
~棋士は個人事業主?じゃあタレントは?


 将棋の世界で天才中学生棋士が話題になったりしますよね。
 そして、中学生棋士の臨む対局が深夜に及ぶこともあります。
 このとき「あれ?」と思われた方、いらっしゃるのではないでしょうか?子供タレ1ントは深夜の番組に出られないのになぜ?と。
 実はこれには、ちょっとしたカラクリがあります。
 そのカラクリとは、棋士は「個人事業主」のため問題ないのです。
 個人事業主は未成年者でもなれます。よって、労働基準法により禁止されている深夜営業も、個人事業主だから可能ということです。
 じゃあタレントって個人事業主ではないの?
 これがまた微妙な問題で、個別具体的に判断されます。
 どういう判断かといいますと「労働者」にあたるか「個人事業主」にあたるかで、労働者にあたる者である場合は、労働基準法の規制を受け、深夜営業は不可になります。
 では、その「労働者」の定義ですが、これが必ずしも契約形態ではなく、実態で判断されるのです。
 だから微妙なのです。
 実際、深夜のラジオ番組に15歳のタレントを出演させたとして、所属プロダクションと放送局の社員が労働基準法違反で書類送検された事例もあれば、1988年に当時まだ未成年者の光GENJIのメンバーは、要件を満たしていないとして、労働者として扱われなかったという事例もあります。

ちょっと豆知識
~民法改正前の未成年者~


 未成年者の契約などの法律行為には、親権者の同意が必要であったりなど、制限があります。
 ただし、民法改正前の民法では、成年年齢のスタートと結婚できる年齢のスタート(婚姻開始年齢)が異なりましたので、未成年者が婚姻することも可能でした。
 では、未成年者が結婚した場合はどうなっていたのでしょう?
 結婚してもなお、法律行為をする度に親(法定代理人)の合意が必要となると、ちょっと困りますよね。
 それに、未成年夫婦に子供がいる場合だってあります。
 そこで、婚姻(結婚)をした未成年者は成年とみなされます。
 これを成年擬制と言います。
 民法の条文はこちらです。

(婚姻による成年擬制)
民法753条
未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。


 上記、民法753条条文中の「みなす」というのは「同じように扱う」という意味です。
 つまり、婚姻した未成年者は、法律上、成年と同じように扱うということです。
 したがいまして、法律的には、未成年者でも結婚すれば一人前の大人として扱われるのです。

離婚したらどうなるのか


 未成年者も婚姻すれば成年擬制により、法律的に成年と同じように扱われます。
 では、婚姻した未成年者が、成人に達する前に離婚した場合はどうなるのでしょう?
 この場合、離婚した未成年者の成年擬制は継続します。離婚すると成年擬制がなくなり、法律的に未成年者に戻る訳ではありません。
 つまり、一度結婚した未成年者は、たとえ離婚しても、法律的には成年のままです。
 たとえ未成年でも、一度、成年擬制で成年になってしまえば、もはや法律的にはコドモに戻ることはできななかったのです。

 なお、2022年4月1日以降は18歳以上は成年となり、18歳未満が未成年となります。
 そして、女性の婚姻開始年齢(要するに結婚できる年齢)が18歳に引き上げられます。
 したがって、婚姻可能年齢と成年年齢のスタートが揃いますので、民法改正前のような「ズレ」はなくなることになります。


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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