【錯誤】表示&動機の錯誤による取消し/表意者の重大な過失/表意者以外が取消しを主張できるとき

▼この記事でわかること
錯誤とは勘違い~錯誤の超基本
表示の錯誤動機の錯誤とは
錯誤による取消し
表意者の重大な過失って?
[コラム]現実では「重大な過失」の判断は難しい
動機の錯誤による取消し
本人以外が錯誤による取消しを主張できるとき
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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錯誤の超基本

 錯誤とは、わかりやすく言えば、勘違いのことです。
 そして、売買契約などでの契約の過程に起こった勘違いについて扱うのが、民法における錯誤の問題、ということになります。
 それでは、錯誤についての具体的な解説に入ります。
 まずは以下の「欲しいと思ってから買おうと思い購入に至るまでの意思表示の流れ」をご覧ください。

美味しそうだな〜(動機)

よし、これ買おう!(効果意思)

買います!と言うぞ(表示意思)

これ買います!(表示行為)


 これは意思表示の形成過程というもので、要するに、買おうと思ってから実際に買うまでの流れを、民法的に表したものです。
 さて、ではこの意思表示の形成過程に不備があった場合、つまり、買おうと思ってから実際に買うまでの流れの中で勘違い等のミスがあった場合は、一体どうなるのでしょう?
買い物
 皆さんも普段の買い物の中で、間違えて、本来買おうしていた物とは違う物を買ってしまった事、ありますよね。 それは民法的に言うと「効果意思と表示行為に食い違いがある」ということになります。
 効果意思というのは「よし、これ買おう」という心の中の決断で、表示行為というのは「これ買います」という購入の申し込みです。
 つまり、本来買おうとしていた物とは違う物を買ってしまった、というのは、心の中の決断行為一致していないのです。Aさんに告白しようと思ってBさんに「付き合ってください」と言うようなもんです(笑)。
 民法では、このような効果意思と表示行為の不一致、ざっくり言えば勘違い錯誤と言います。

錯誤は2種類存在する

 錯誤には、表示の錯誤動機の錯誤の2種類が存在します。
 つまり、民法的には勘違いにも2種類あるのです。

表示の錯誤とは

 これは「ギターを買おうと思ってベースを買ってしまった」というような場合です。
 思った事とやった事、つまり、意思行為食い違いがある錯誤です。

動機の錯誤とは

 これは文字通り、意思表示の形成過程における動機の部分の話で、買おうと思った理由による錯誤です。
 これではよくわからないですよね。
 以下に具体例を挙げてご説明します。

〈動機の錯誤の例〉
 不動産を購入しようと考えている人がいました。その人はある土地に目を付けました。というのは、どうやら「その土地の近くに新しく駅ができる」という噂を嗅ぎつけたからです。そして、その人はその噂を信じ土地を購入しました。将来の土地の価値の増大を期待できるからです。しかし、その後、その噂はガセだったようで駅はできませんでした。当然その土地の価値もたいして変わりません。この人の土地を購入した動機(理由)は、近くに駅ができるから土地の値段が上がる!というものです。でも実際には駅などはできず、土地の値段も上がりませんでした...。


 これが動機の錯誤です。
 つまり、買おうと思った理由が間違っていた場合です。
 表示の錯誤は、思った事(意思)とやった事(行為)が食い違っているのに対し、動機の錯誤は、思った事とやった事は噛み合っていても「思った事」つまり「その行為の理由」が間違っていた場合です。
 両者の違い、おわかりになりましたか?
 その違いが一体なんになるんだ!
 はい。実はこの違いがとても重要なのです。
 というのは後々に、錯誤(勘違い)を理由に契約の取消しができるか否か、という問題に直結するからです。
 買った側からすると、間違って買ってしまったのにもうどうにもできない、なんていう事態は困りますよね。
 一方、売った側からすれば、なんでもかんでも後になって「この買い物は取消せ!」と主張されても困ります。

錯誤による取消し

 錯誤(勘違い)を理由に、表意者(錯誤をした本人)は契約の取消しを主張することができます。
 例えば、ギターだと思ってベースを買ってしまった場合、その契約(ベースを買ったこと)の取消しを主張できます。
 つまり、ベースを買ったことをナシにできるのです。
 そして、買ったベースは店に返し、払ったお金は返してもらいます。
 これが錯誤による取消しです。
 しかし、当然ながら何でもかんでも取り消せる訳ではありません。
 民法の条文はこちらです。

(錯誤)
民法95条
意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる

一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤


 上記、民法95条の条文に「~重要なものであるときは、取り消すことができる」とあります。
 つまり、重要な錯誤であれば取り消せる、という事です。
 一の「意思表示に対応する意思を欠く錯誤」とは、表示の錯誤になります。
 二の「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」とは、動機の錯誤になります。
 したがって、条文から導き出される結論は、重要な「表示の錯誤と動機の錯誤は取り消すことができる」という事になります。

表意者の重大な過失とは

 ここで注意点がございます。
 民法95条の条文には続きがあり、そこには「表意者に重大な過失があったときは〜取消しをすることができない」とあります。
 先ほども出てきましたが、表意者とは、錯誤をした本人です。重大な過失とは、大きなミスのことです。
 つまり、これはどういうことかと言いますと、錯誤取り消すことができる。しかし、錯誤をした本人重大な過失(大きなミス)があった場合は取り消すことができない、という意味です。
 では何が重大な過失なのか?という話ですが、わかりやすく言えば「ちょっと確認すればわかるようなことを見落としてしまった」ようなことです。
 例えば、リンゴを買おうと思ってバナナを買ってしまったような場合です。
 普通に見ていれば、リンゴとバナナを間違えませんよね?なので、リンゴを買おうと思ってバナナを買ってしまった場合、それは表意者に重大な過失アリとなり、その契約を取り消すことはできないのです。
買い物 困り
 しかし、民法95条にはさらに続きがあります。
 表意者に重大な過失があるときでも、相手方が悪意・重過失であるときは(双方重過失)、相手方が同一の錯誤に陥っているとき(共通錯誤)は、その契約を取り消すことができるとあります。
 つまり、リンゴを買おうと思ってバナナを買ってしまった場合、相手方(この場合売主)にも重大な過失(大きなミス)があり、相手方が表意者(この場合買主)に錯誤があることを知っていたときは、表意者は錯誤による取消しを主張し契約を取り消すことができます。また、相手方もリンゴを売ろうと思ってバナナを売ってしまった場合(共通錯誤)も、表意者は錯誤による取消しを主張し契約を取り消すことができます。

ちょこっとコラム
現実には「重大な過失」の判断は難しい?


 例えば、ギターだと思ってベースを買ってしまった場合、楽器初心者だったなら取消しを主張しやすくなるでしょう。なぜなら、初心者ならどっちがギターかベースか、すぐに区別のつかない人もいるはずです。つまり、本人(表意者)の重大な過失と認められづらくなるからです。
 ところが、これがギター歴40年のオヤジだったらどうですか。普通、それだけギターやってるオヤジなら、ギターとベースの区別ぐらいすぐにつくに決まっているでしょう。たとえ悪徳楽器店だったとしても、騙されないでしょう。
 つまり、もしギター歴40年のオヤジがギターとベースを間違えて購入してしまった場合は、表意者(ギター歴40年のオヤジ)に重大な過失があると判断されやすくなり、錯誤による取消しが難しくなります。
 じゃあギター歴5年の兄ちゃんはどうなの?
 これも多分ダメですね(笑)。ただ、法律で明確に規定している訳ではないので、あくまで常識的な、客観的な判断になります。
 裁判になれば「社会通念上どーたらこーたら」とか言われるのでしょうか。
 ただもし、例えば、ギターと本当に見分けのつかないようなベースがあって、店員の説明が不十分であれば、その場合は、重大な過失について、また違った判断になるかもしれません。(まあ、そもそも試奏したのかとか、他にも考慮しなければならない要素は色々とありますが...)

動機の錯誤について

 動機の錯誤とは、言ってみればテメーの判断ミスです。
 テメーの判断ミスによる契約(法律行為)を動機の錯誤として取り消すには、要件があります。
 動機の錯誤の取消しを主張するには、「動機が表示され、それを相手が認識していること」が必要です。
 これではわかりづらいですよね。
 もう少しわかりやすく噛み砕くとこうです。
 売買契約の場合、「買う理由となる動機が言葉なり相手にわかるように表現されていて相手がその動機をわかっていたとき」に、動機の錯誤による取消しが主張できます。

動機の錯誤による取消しが主張できるときの具体例
 
 ある土地を購入したAさんがいます。Aさんがなぜその土地を購入したかというと、その土地のすぐ近くに、数年後に駅が建つという話を耳にしたからです。しかしその後、駅ができるという話はデマで、Aさんは目算を誤った、つまり、動機の錯誤に陥った...。

 これだけでは、動機の錯誤による取消しは主張できません。
 なぜなら、これだけではただのAさんの判断ミスに過ぎないからです。
 しかし、次のような場合は、動機の錯誤を主張できます。

 Aさんの「この土地のすぐ近くには数年後に駅が建つ」という動機が言葉なり表に出されていて、そのAさんの動機を相手が認識していてかつ相手はその土地のすぐ近くに駅が建つという話がデマだと知っていたのにもかかわらずそれをAさんに教えなかったとき

 上記のような場合であれば、Aさんは動機の錯誤による取消しの主張ができます。
 なお、Aさんの動機が相手にわかるといっても、たとえAさんが動機を口に出していなくても、Aさんの動機が明らかに見てとれていたならば(法律的に言うと黙示に表示されていたならば)、そのときもAさんは、動機の錯誤による取消しの主張ができます。

 以上、端的にまとめるとこうなります。

「表意者(勘違いをした本人)の動機が間違っていて、その動機が間違っていることを相手が知っていて、その動機が間違っていることを相手が教えてあげなかったとき、表意者(勘違いをした本人)は動機の錯誤の取消しを主張できる」

 要するに、表意者(勘違いをした本人)の動機が間違っているのに気づいていたなら相手は表意者に教えてやれよ!ってハナシです。

【確認】表示の錯誤と動機の錯誤の違い

 動機の錯誤の取消しの主張について、おわかりになりましたでしょうか。
 ここで再度、表示の錯誤についても、簡単に解説しておきます。
 表示の錯誤は、リンゴだと思ってバナナを買ってしまったような場合です。この場合、そもそも、リンゴを買おうという意思と、バナナを買ったという行為が、一致していません。
 では、動機の錯誤はというと、動機と行為は一致しています。リンゴを買おうという意思のもとにりんごを買っているので。ただ「美味しそうだな」という動機(買う理由)が間違っていただけです。

本人以外が錯誤による取消しを主張できるとき

 錯誤による取消しを主張できるのは、表意者(錯誤をした本人)、その代理人、承継人に限ります。(民法120条2項)
 錯誤による取消しの規定は、表意者(錯誤をした本人)を保護するためのものだからです。なので、誰でもできる訳ではありません。
 では、表意者(錯誤をした本人)を保護するための錯誤による取消しの主張を、表意者(錯誤をした本人)以外が主張できる場合とは、一体どんなときなのでしょうか?
 それは、表意者(錯誤をした本人)が錯誤の取消しを主張してくれないと困ってしまう人がいて、なおかつ表意者(錯誤をした本人)が錯誤を認めているときです。
 この説明だけだとよくわからないと思いますので、もう少し具体的に解説いたします。

本人以外が錯誤による取消しを主張できるときの具体例
壺 贋作
 例えば、偽の骨董品がAからBに売られ、その後、BからCに転売された場合に、Cが錯誤による取消しを主張してBC間の売買契約をナシにする、というような場合、通常の錯誤による取消しのケースになると考えられます。
 このとき、CはBからお金を返してもらう事になりますが、もしBに返すお金がなかったとき、Cはどうすればいいのでしょうか?

 偽物の骨董品
A → B → C 
 売る  転売

BC間の売買契約取消し

C → B
 金返せ!
しかしBには金が無い...   

 そうです。このときに、CがAB間の売買契約の、Bの錯誤による取消しをCが自分で主張して、AB間の売買契約を無かったことにして、BのAに対する代金返還請求権を、CはBに代わって行使できるのです。

 偽物の骨董品
A → B → C
 売る  転売
 
「Bの錯誤により取消しだ!」とCが主張
AB間の売買契約取消し

B → A
 金返せ!
  
これをBに代わってCがAに請求できる

 つまり、Cは自分のお金をしっかり返してもらうために、Bの代わりに、BがAからお金を返してもらう権利を、Bの代わりに行使できる、という事です。
 CはAに「Bは錯誤だ!だからAB間の売買契約は取消しだ!だからAはBに金を返せ!」と言えるのです。
 そして、そのお金でCはBからお金を返してもらう、という流れになります(今回の「金返せ!」のような金銭債権の場合は、CはAに対して「自分(C)に直接払え」と請求することもできます)。
 ここでひとつ注意点があります。
 先述のように、CがBの錯誤による取消しを主張するためには、Bが自分の錯誤(勘違い)を認めていることが必要です。Bが自分の錯誤(勘違い)を認めていなかった場合は、このような権利の行使はできません。
 なお、このような「BのAに対する権利をCがBに代わって行使する権利」を、債権者代位権と言います。(債権者代位権についての詳しい解説は「【債権者代位権】基本と要件と範囲/債権者代位権の転用とは」をご覧ください)

補足
【錯誤の主張の期間の制限】
 錯誤による取消しの主張ができる期間は、追認できる時から5年、または行為のときから20年です。(民法126条)


 以上、錯誤についての解説になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
関連記事

【意思表示の形成過程】欲しくなってから買うまでの流れを民法的に考察

▼この記事でわかること
意思表示とは
意思表示の形成過程ってなに?
なぜ意思表示の話が民法に必要なの?
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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意思表示とは何なのか

 売買契約は「買います」という申し込みに対し「売ります」という承諾をした時、契約が成立します。(諾成契約)
 このときの「申し込み」と「承諾」、つまり「買います」「売ります」が、意思表示です。
 つまり、売買契約(諾成契約)とは、民法的に説明すると「当事者同士の意思表示により成立する契約」ということになります。
 意思表示が何なのかは、おわかりになりましたよね。
 それでは、ここから、意思表示の形成過程(プロセス)について解説して参ります。

欲しいと思ってから買おうと思い購入に至るまでの意思表示の流れ

美味しそうだな〜(動機)

よし、買おう!(効果意思)

買います!と言うぞ(表示意思)

これ買います!(表示行為)


相手方の「売ります」で契約成立!

 これを民法的にまとめると以下のようになる。

動機

効果意思

表示意思

表示行為


 なんだかまるで心理学みたいになってきましたが、順番に解説します。

・動機
 これは売買であれば「買う理由」です。美味しそうだな〜とか、安いからとか、カワイイからとか、動機という言葉の通りです。
・効果意思
 これは「よし、買おう」です。つまり「頭・心の中の決断」です。
・表示意思
 これは「買いますと言うぞ」です。つまり「決断を表に示す意思」です。
・表示行為
 これは「これ買います!」です。これは説明不要ですね。「購入の申し込みの表明」です。
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 まとめると先述の図になります。

美味しそうだな〜(動機)

よし、買おう!(効果意思)

買います!と言うぞ(表示意思)

これ買います!(表示行為)


 以上が、意思表示の形成過程になります。

なぜこんな話が民法に必要なのか?

 それこそ、本当に心理学の講義みたいですもんね。
 しかし、これが実はとても重要なのです。
 なぜなら、意思表示があって初めて契約というものが成立するからです。
 契約関係のトラブルは、いつの時代も絶えません。トラブルがあったときは、その契約内容と成立過程を検証しますよね。その「成立過程」こそ、まさに先述の「意思表示の形成過程」が含まれます。
 買いたいと思っていない物なんて、買わないですよね?ではなぜ買ったのか?無理矢理買わされたのか?騙されたのか?あるいは勘違いか?買ってもいない物が突然送られてきて、いきなりお金を請求されても困りますよね?
 売る側からすれば、なんの理由もなしに、いきなり返品されて「金返せ!」と言われても困りますよね?
 そうなると「意思表示の形成過程」のどこかに不備があるのではないか?と、民法的な検証ができる訳です。
 なお、付け加えて申し上げておきますと、意思表示は「黙示のもの」でも、有効に扱われる場合があります。
 黙示の意思表示とは、実際言葉には出していないけれど「それって買うってことだよね・売るってことだよね」ということです。
 つまり、黙っていても意思表示が明らかだと認められればその契約は成立してしまう、という事です。
 という訳なので皆さま、断るときはハッキリと口に出して断りましょう。

 今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
関連記事

【請負と委任】違いは?/請負の中途解除と担保責任について/業務委託契約の注意点とは

▼この記事でわかること
条文から見る請負と委任
請負契約とは
委任契約~法律行為の委託ってなに?
請負契約と委任契約の一番の違い
請負契約の中途解除について
請負人の担保責任について
業務委託契約の注意点
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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条文から見る請負と委任

 請負は、仕事の完成を約す(約束する)契約です。
 委任は、法律行為を行うことを約す契約です。
 これだけではよくわかりませんよね。
 委任と請負、似て非なるこの契約の違い。
 まず、委任と請負に関する、民法の条文を見てみましょう。

(請負)
民法632条
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。


(委任)
民法643条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。


 この民法の条文を見ても今ひとつピンと来ませんよね。
 ここから詳しく解説していきます。
 実は、請負と委任では、かなり重要で大きな違いがあるのです。

請負契約
工事中
 請負は、仕事の完成を約す契約なので、請け負った仕事が完成して初めて契約の履行が達成されたことになります。
「契約の履行」というのは「約束を果たす」という意味です。
 つまり、請負契約を建築工事で例えると、家を建てたいと考え、工務店に建築を依頼したとします。家の建築を請け負った工務店は「家を完成させること」義務付けられます。請負契約は、仕事の完成を約す契約ですので、家が完成して初めて報酬が発生します。※
※実務上は手付金とか中間金とか完成途中で支払いが発生する事が多い。
 これに対して委任の場合は、あくまで法律行為をすることを委託するだけなので、請負のような「仕事の完成の義務」は発生しません。
 委任の報酬については、割合履行型と成果完成型とで異なります。
 成果完成型報酬の委任の場合は、請負と同様に仕事の完成で報酬が発生しますが、仕事の完成義務はありません。
 成果完成型の報酬とはなんぞや?
 弁護士への報酬や不動産屋の仲介手数料をイメージするとわかりやすいでしょう。 

委任契約~法律行為の委託って何?

 法律行為の委託のわかりやすい例として、司法書士の不動産登記があります。
 不動産を購入すると登記をしますが、不動産の登記については司法書士が行いますよね。この「不動産登記を司法書士にやってもらうこと」が、まさしく法律行為の委託、すなわち委任になります。
 法律行為以外の委託はないの?
 もちろんあります。先の不動産の例ですと、家や土地を買いたい・売りたい、というときは、不動産業者に物件を探してもらったり、買主を探してもらったりしますよね。これは媒介と言われるもの(媒介契約)なのですが、この媒介契約は「法律行為以外の委託」になり、準委任契約というものになります。

請負契約と委任契約とでは責任の重さが違う

 請負契約と委任契約の一番の違い、それはズバリ
「仕事の完成の義務を負うかどうか」
ここです。
 つまり、請負契約の方が責任が重くなります。

請負契約が中途で解除された場合
仕事が完成できなくなった場合


 請負契約は、仕事の完成を約す契約です。なので請け負った仕事が完成して初めて、契約の履行が達成された(約束が果たされた)ことになり、報酬が発生します。
 では、例えば、注文者Aから工事を請け負った業者Bが、まだその請負工事を完成させる前に、その請負契約が解除されてしまった場合や、業者Bの請負工事の完成ができなくなった場合は、注文者Aから業者Bに支払われるはずだった報酬は、一体どうなるのでしょうか?
 このような場合、中途の結果のうち可分な部分によって、注文者が利益を受けるときは、請負人は、その利益の割合に応じて報酬の請求をすることが可能となっています。
 これはどういう意味かと言いますと、その工事がまだ完成途中でも、その段階でも注文者Aが利益を受けるのであれば、その利益の割合に応じた報酬を、業者Bは注文者Aに対して請求できる、ということです。
 なお、仕事が完成できなくなったことについて、注文者に帰責事由があった場合は、報酬の全額を請求できます。
 つまり、請負工事が完成できなくなった原因が注文者A側にあった場合は、業者Bは注文者Aに対して、本来支払われるはずの報酬全額分を請求できるということです。
建設現場
請負人の担保責任

 建物の建築を依頼され、請負人が建物を完成させたが、その建物に不具合が発見されたような場合は、どうなるのでしょう?
 このような場合、注文者は請負人(建築を依頼した業者)に対して、以下4つの請求ができます。
1・修補等の履行の追完(不具合を直してちゃんと完成させろ!)
2・損害賠償請求(不具合は損害だ!金払え!)
3・契約の解除(この建築請負契約はナシだ!)
4・代金減額請求(不具合の分だけオマエに支払う代金(報酬)を安くしろ!)

 これらは、請負人の担保責任の追及というものなのですが、この請求は、契約に適合しないことを知ってから(不具合を発見してから)1年以内に、その旨の通知が必要です。(民法637条)
 ちなみに「通知」というのは、わかりやすく簡単に言えば、相手方への「お知らせ」みたいなもので、請求の簡易版だと思ってください。
 請求が「金払えコラ」なら、通知は「金払えコラって言うぞ?」という感じの意味です(笑)。
 したがって、通知なしでいきなり請求することもできます。
 でななぜ、民法は「1年以内の通知」としているのか?これは簡単な理由で、その方が請負人への担保責任の追及がしやすくなり、注文者が助かるからです。

業務委託契約の注意点

 日頃のビジネスの実務の中で、業務委託契約を結ぶことはよくありますね。
 ここで注意点があります。
 それは、その業務委託契約が「請負なのか委任なのか」です。
 実は委託契約という名の契約でも、実質は請負契約になっている場合もあるからです。
 契約というのは、双方とも自己に有利な内容で結びたいものです。後々のトラブルを避けるためにも、きちんと各条項を確認し、気になるところがあれば、しっかりと協議した上で(現実問題としてビジネスの世界はスピード感を要求されるものですし相手方との力関係もありますから実際にはそれも中々難しいこともありますが...)、できる限り適切な判断ができるように、ご注意くださいませ。

 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
関連記事

【消費貸借(金銭消費貸借)と賃貸借】お金と物の貸し借りはどう違う?/消費貸借のメリットと成立要件

▼この記事でわかること
消費貸借契約とは
賃貸借との違い
消費貸借のメリット
消費貸借契約の成立要件/解除/期限前弁済と損害賠償
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消費貸借契約

 有償(つまり有料)で物を貸し借りする契約は、賃貸借契約になります。
 無償(つまりタダ)で物を貸し借りする契約は、使用貸借契約になります。
 では、お金の貸し借りは何契約でしょう?
 実は、お金の貸し借りは、賃貸借契約でも使用貸借契約でもありません。
 お金の貸し借りは、消費貸借契約というものになります。特にお金の貸し借りは、金銭消費貸借契約と言われます。
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賃貸借契約との違い

 賃貸借契約と消費貸借契約の違いを説明すると、賃貸借契約の場合「お金を払って物を借りて使って返す」ということになりますが、消費貸借契約の場合は、お金を払って物を借りて「消費」して消費した分を返す、ということになります。
 これではなんだかよくわかりませんよね(笑)。もう少し簡単に噛み砕いてわかりやすく解説します。
 賃貸借契約の場合は

 物を借りる→借りた物を使う→借りた物を返す

となります。
 それでは、消費貸借契約の場合はどうなるでしょう?
 お金で例えるのがわかりやすいので、金銭消費貸借契約で説明すると

 お金を借りる→お金を使う→使ったお金を返す

となります。(利息に関しては解説をわかりやすくするために省きます)

消費貸借契約は「価値」を貸し借りする契約

 お金を借りたら、借りたお金は返しますよね。当たり前の話です。
 さて、ここでよく考えてみてください。
 家を借りたら借りた家を返しますが、お金の場合は「借りた分のお金」を返します。
 例えば、友達から1万円を借りたとしても、返す時は実際、友達から受け取ったその1万円札自体を返す訳ではないですよね。受け取った1万円札と同じ価値分の金銭を返しますよね。
 つまり、1万円を借りて1万円札を受け取っても、返すときは、変な話100円玉100枚で返しても良い訳ですよね。まあ、そんな返し方をしたら相手は嫌がるでしょうが(笑)。
 以上が、賃貸借と消費貸借の違いです。
 繰り返しますが、賃貸借物を貸し借りする契約で、消費貸借は、いわば価値を貸し借りする契約です。

消費貸借のメリット

 消費貸借についての民法の条文はこちらです。



民法587条
消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。


 この民法587条の条文だけでは、今一つピンと来ないかもしれませんが、要するに、借りた物そのものを返すのではなく「種類、品質および数量の同じ物」を返すのが、消費貸借契約ということです。
 つまり、貸した側は、貸した物そのものを返してもらう必要がないので、借りた側は、借りた物を賃貸借や使用貸借よりもっと自由に使える、というメリットがあります。
 もちろん、貸した側にもメリットがあります。お金を貸した場合は、利息分を加算した額を返してもらうことで利益を得られます。

消費貸借契約の成立要件と解除

 消費貸借契約は、書面によるもの書面によらないものとで成立要件が異なります。
 書面による消費貸借契約は、要物契約になります。したがって、物を引き渡した時に成立します。金銭の場合、そのお金を貸し渡した時に成立します。
 書面によらない消費貸借契約は、諾成契約になります。したがって、合意のみで成立します(申し込みと承諾で成立=口約束で成立する)。なので、貸し借りする物・金銭の授受の前に、借主が貸主に「私に貸し渡せ」と請求する権利が生じます。

 消費貸借契約の解除については、書面による消費貸借契約であれば借主が金銭の交付を受ける前なら、借主はいつでも契約を解除できます。(これは借主に借りる義務を負わせない趣旨)
 この場合に、貸す側である貸主に損害が発生するときは、貸主は損害賠償請求ができますが、その請求は限定的な場面でのみ可能です。
 例えば、相当の調達コストがかかる高額融資のケースでは、損害賠償請求が可能です。しかし、消費者ローンなど少額多数の融資では、借主の契約解除による損害はまずないので、損害賠償請求は難しくなります。

借主の期限前弁済(約束してた期日よりも早く返すこと)と損害賠償

 借主は、返還時期の定め(「いついつに返す」という決まり)があっても、その返還時期の前に、貸主に対して、いつでも返還をすることができます。
 この場合に、貸主は借主に対し、損害賠償を請求することができますが、その請求は限定的な場面でのみ可能となります。


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
関連記事

【賃貸借と使用貸借と贈与】有料と無料の貸し借りは違う?贈与契約はナシにできる?

▼この記事でわかること
賃貸借契約とは
使用貸借契約とは
贈与契約とその解除
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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有料の貸し借り~賃貸借契約

 これは、物の貸し借りの契約です。
 アパートやマンションを借りて住む不動産賃貸借は、まさに賃貸借契約です。
賃貸人(家主・大家・オーナー)の所有する家を、賃借人(借りて住む人)が賃料(家賃)を払って住む」
という、賃貸借契約になります。
 他にも、CDのレンタルやレンタカーも賃貸借契約です。これもイメージし易いのではないでしょうか。
※ちなみにお金の貸し借りは消費貸借契約(金銭消費貸借契約)と言い、賃貸借契約とはまた少し異なります。これについての詳しい解説は「消費貸借(金銭消費貸借)~賃貸借との違い~お金と物の貸し借りはどう違う?」をご覧ください。

無料(タダ)の貸し借り~使用貸借契約

 物の貸し借りの契約である賃貸借契約には、賃料(お金)が発生します。
 しかし、現実には、お金の発生しない賃貸借、つまり、無料(タダ)の貸し借りも存在しますよね。
 お金の発生しない賃貸借。これは民法上、賃貸借契約とは言わず、使用貸借契約と言います。
 要するに、タダで物を貸し借りする契約です。
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 さて、ここでひとつ、注意点があります。
 なんと、賃貸借契約も使用貸借契約も
 借ります→貸します
で成立する、諾成契約になります。
 これはちょっとビックリしません?だって極端なハナシ、口約束だけでも家を借りることができる訳ですよ?
 もちろん、現実には賃貸借契約書を交わす事がほとんどですが。
 ただ、知り合いから直接貸してもらい、その際になんの書面も交わしていなかった、という事は現実にもあるかと思います。もちろん、たとえ知り合い同士の仲での事だとしても、そのようなやり方はオススメいたしません。絶対にトラブルの原因になりますから。
 注意していただきたいのは、売買契約賃貸借契約使用貸借契約諾成契約なので、民法上は口約束だけでも成立してしまう、ということです。
 ですので、後々に何かでモメて、書面もサインもハンコもないからそんな契約は無効だ!とは言えないのです。口約束でも、民法上、諾成契約として法的に成立するからです。
 だからこそ、きちっとした書面を交わす事がとても大事なのです。
 
物をあげる契約~贈与契約

 贈与というのは読んで字の如く、物を贈る行為ですよね。つまり、贈与契約物を贈る契約です。
 これも契約なんですね。(一定額以上の贈与には贈与税という税金もかかる)
素材104プレゼント
 そして贈与契約も、口約束だけで成立してしまいます。
 つまり、
 あげます→もらいます
で成立する、諾成契約になります。
 ただし、贈与契約の場合は、民法は若干違う規定をプラスしています。

民法550条
書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、
この限りでない。

 上記、民法550条の規定により、口約束だけの贈与契約は「この前贈るって言ったあの話やっぱナシ!」とできるのです。
 ちなみに、条文後半の「履行の終わった部分」というのは「あげちゃった部分・もらっちゃった部分」という意味です。
 つまり「一万円あげるね」と口約束して「とりあえず2千円だけ渡しておくね」となっていた場合、すでにあげてしまった2千円についてはどうにもなりませんが、残りの8千円については約束を取り消せる、という事です。
 贈与契約も諾成契約ですが、贈与に関しては、民法は若干慎重な規定を置いています。
 もし、この慎重な規定がなかった場合、ついその場のノリで「俺の車オマエにやるよ!」といった贈与も、撤回できなくなってしまいます※。
 いくらこの世の中が契約社会だといっても、さすがにそれはマズイですよね。ただ、すでにあげちゃったもの、もらっちゃったものについては、たとえ口約束だとしても、撤回できませんので、ご注意ください。
※このような場合、民法には心裡留保という規定が別途ございます。それについての詳しい解説は「心裡留保の超基本~」をご覧ください。


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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【諾成・要式・要物契約】契約は口約束でも成立する?書面が必須の契約は?

▼この記事でわかること
諾成契約とは
要式契約とは
要物契約とは
13種類の典型契約
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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諾成契約

 コンビニでモノを買うのも契約です。
 その契約は売買契約になります。
 そして、売買契約は諾成契約です。
 諾成契約とは、口約束だけでも成立する契約です。
 したがって、売買契約という諾成契約は、買主が購入の申し込み(これ買います)をし、売主が申し込みの承諾(それ売ります)をした時、成立する契約になります。
 契約の流れは以下になります。

買います

売ります

お金を支払う

物を引き渡す


 これが契約の流れです。そして、契約成立時購入の申し込みの承諾時です。
 つまり、上記の「売ります」の時点で、契約が成立します(諾成契約)。
素材101
 さて、ここで「あれ?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 そうです。
 諾成契約には、契約書もいらないのです。それが諾成契約なのです。
 つまり、契約というものは、口約束だけでも民法上は成立してしまうのです。
 もちろん、現実を考えたとき、例えば、企業間取引等で口約束だけで決めることはほとんどないでしょう。きちんと書面を交わした上で契約をしておかないと、後々に疑義が生じたとき、言った言わないの水掛け論になってしまいますから。
 ですので、当然のことながら、トラブル防止のためにも、きちんとした書面は必須なのです。
 しかし、民法上の原則として、口頭のやり取りだけでも契約は成り立ってしまう、ということは覚えておいてください。
 そして、契約には、諾成契約以外の契約もあります。

要式契約

 要式契約は、前述の諾成契約とは違い、書面なり一定の方式を経ないと成立しない契約です。
 例えば、保証契約がまさにこの要式契約にあたります。
 民法446条2項に明確な規定があります。

民法446条2項
保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。


 上記、民法446条2項の規定により、誰かに保証人になってもらうとき、誰かの保証人になろうとするときは、口頭の合意だけではダメで、書面を交わさなければなりません。
 もし、口約束だけの保証契約でトラブルになっている方は、そもそも、その保証契約は法的に成り立っていませんので、ご注意ください。
 「形式」を「要する」契約→要式契約
 こんなイメージで覚えると記憶しやすいと思います。

要物契約

 要物契約とは、契約対象の物の引き渡しがあって初めて成立する契約です。
 例えば、民法改正前の旧民法では寄託契約が、この要物契約にあたりました。
 いきなり寄託契約と言われてもピンと来ないと思いますが、寄託契約とは、物を預ける契約です。倉庫に物を預けて保管してもらったりするアレです。
倉庫
 民法改正前の旧民法では、倉庫に物を預けて保管してもらう契約は、実際に物を預かってもらって初めて成立する契約だったのです。
 「物」を「要する」契約→要物契約
 こんなイメージで覚えてみてください。
 そして、民法改正を経た現在では、この寄託契約は互いの合意のみで成立する諾成契約となりました。書面もいりません。
 したがいまして、物を預けて保管してもらう契約(寄託契約)は、口約束だけで成立します。
 
寄託契約についての補足

 倉庫に物を預けるとき、実は契約のパターンが2つあります。
 ひとつは、先ほど解説した寄託契約。そして、もうひとつは賃貸借契約です。
 え?どゆこと?
 わかりやすく簡単に解説するとこうです。
 寄託契約の場合は、物を預かって保管してもらう契約です。一方、賃貸借契約の場合は、倉庫自体を借りて自ら保管する契約になります。
 当然、どちらになるかにより、料金が異なるのはもちろん、物の保管に関する責任の帰属関係も変わります。
「責任の帰属関係が変わる」というのは、例えば、保管物に何かあったときに、誰が責任を持つのか(その原因の問題はここでは省きます)、あるいはその責任の度合い、といったものが変わるのです。
 倉庫に物を保管するといった契約をされる場合は、事前にこのあたりの契約内容を、よく確認しておくことを推奨します。

~おまけ~
13種類の典型契約


互いの意思表示だけで成立する諾成契約
書面なりの一定の形式が必要な要式契約
物の引き渡しがあって成立する要物契約

 上記の分類は「契約の成立」という観点でカテゴライズされたもので、ここまで解説してきた内容になります。
 ところで、民法上の契約というもの自体は、13種類の類型が存在します。そして、その13種類の契約が、それぞれ諾成契約だったり要式契約だったりするのです。
 では、一体どんな契約があるのか?
 以下、民法上の13種類の契約の典型です。

・移転型
売買契約 贈与契約 交換契約
・利用型
消費貸借契約 使用貸借契約 賃貸借契約
・労務型
雇用契約 委任契約 請負契約 寄託契約
・特殊型
組合契約 終身定期金契約 和解契約

 以上が、民法上の13種類の典型契約になります。
 13種類の契約は、移転型、利用型、労務型、特殊型、というように、4つのグループに分けることができます。
 宅建試験や行政書士試験において扱われる契約は、主に移転型利用型になり、労務型と特殊型は、あまり出題の対象にはなりません(委任、請負、寄託に関しては多少出ます)。
 この移転型、利用型、労務型、特殊型というグループ分けは、とりあえず「そういった分類がある」ということだけ、何となく覚えておいていただければ、それで結構です。

 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
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動産の物権/占有権/即時取得/占有改定/占有移転
債権の超基本~債務不履行・損害賠償請求権から差押え・強制執行、抵当権・保証債務から相殺・債権譲渡まで

民法総則
錯語、心裡留保、詐欺、強迫、通謀虚偽表示、転得者
制限行為能力
代理、無権代理、表見代理
復代理、無権代理と相続
双方代理、自己契約、使者
時効~取得時効/消滅時効/占有/更新/完成猶予/時効の援用/時効利益の放棄

動産の物権
動産の物権/占有権/即時取得/占有改定/占有移転

不動産物権
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抵当権
根抵当権
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質権、留置権、先取特権、譲渡担保

不動産賃貸借
不動産賃貸借、賃借権と相続
不動産転貸借(サブリース)
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注文者・土地工作物の責任
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親族
相続

民法その他
条件~停止条件・解除条件など
用語解説 原則・例外・要件、時・とき、無効・取消し、強行法規・任意法規
民法改正について

資格試験

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宅建試験
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当サイトの主旨と民法の学習について
遠回りこそ近道~民法の学習はペンキ塗り

 民法はとっつきづらいです。もちろん人によりけりですが、少なくとも私はそうでした。
 中々学習は進まないし理解も深まらない...事例はAがBにどうしただCがどうしただとややこしい...。
 何か手っ取り早く民法を理解できる方法はないのか!?
 ...多くの例に漏れず、私も始めはそんな感じでした。
 しかし、私は今では民法が大好きになってしまいました。
 理解できるようになると、非常に面白いんです。民法。

 さて、そんな紆余曲折を経て現在に至った私ですが、民法の学習は急がば回れ」で進めるのが一番良い、と考えます。
 民法にも暗記的な要素はもちろんありますが、それも基本的な理解の上に行う方が格段に学習効果は高いです。
 少なくとも私の場合はそうでした。
 かのイチロー選手もこう仰っていました。

「遠回りこそ近道」

  民法はその性質上、例えば、ある分野を一回学習して何となく理解した気になっても、中々本当の意味では頭に入りません。
 ですので、ペンキを塗るように何度も何度も繰り返して落とし込んでいって初めて理解が深まっていきます。
 ただし、時間は有限です。ただダラダラやっていてもしょうがありません。
 ですので私は「合理的な遠回り」を推奨します。合理的な遠回りとは、ムダのない遠回りです。
 無駄のない遠回りこそ、近道です。

民法的な頭作り(リーガルマインド)

 私は当サイトで民法の解説を私なりに行なっていますが、時に余談も含めたざっくばらんな解説も行なっています。
 それはなぜかと申しますと、民法的な頭作りのためです。
 スポーツを行うための体作りと同様に、民法を学習するための頭作りです。
 つまり、リーガルマインドを養うためです。
 リーガルマインドは、何も法曹を目指す人や資格試験や法学系科目の勉強のためだけのものではありません。社会を生き抜いて行く上でも確かな力となります。
 少なくとも、私にとっては大きな力となりました。

 そして、これは私自身の経験からなのですが、私は民法を学習するにあたり、たくさんの様々なサイトや本を読み、色んな人のお話も伺いたくさんの情報を集めました。
 そこで私はこう思いました。

もっともっと民法を噛み砕いてわかりやすく解説してくれるサイトがあってもいいんじゃないか?

 したがって、当サイトでは「民法的な頭作り」ができるように、リーガルマインドが養えるように、社会で生き抜く力を得られるように、できるだけわかりやすく丁寧に解説しています。
 ご覧になってくださった方が、本当の意味で学習できるように進めています。
 くわえて、単純に「読み物としても面白いもの」を心掛けています。
 そんな余計な事するな?
 だってどうせ読むなら面白い方がイイじゃないですか(笑)。
 それこそ人生の時間は有限で命は限りあるもの。
 貴重な時間を使う訳ですから、面白く学べたならば、これほど良い事はありません。

 という訳で、今後も引き続き、より良い民法解説サイトへと日々ブラッシュアップして参りますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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