【原則と例外と要件】

▼この記事でわかること
要件とは
原則と例外とは
原則から考え例外を考える。変な近道は控えるべし!
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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原則と例外と要件

 動機の錯語についての解説でも少し触れてますが、ここでは原則例外、加えて要件とは何なのか?についてわかりやすく簡単に解説します。

要件とは

 これは簡単です。わかりやすく錯誤の例でご説明するとこうです。
 要素の錯誤は取消しを主張できます。要素の錯誤とは、りんごだと思ってみかんを買ってしまったような場合です。そのような場合、要素の錯誤による取消しを主張して、その売買契約(みかんを買ってしまったこと)をなかった事にできます。しかし、この要素の錯誤を主張するには、表意者に重過失、つまり本人に重大なミスがないことが必要です。この「表意者に重過失がないこと」分かりやすく言うと「本人に重大なミスがないこと」が要件になります。この要件を満たして初めて錯誤の無効の主張ができます。
 要件、お分かりになりましたかね。よく犯罪の構成要件なんて言葉を耳にする事があると思いますが、あれも要するに、これらの要件を満たしたときに犯罪が成立する、ということです。犯罪を構成する要件、つまり犯罪が成立するための要件、という事です。

原則と例外とは

 続いては、原則と例外についてです。これも理解しやすい内容だと思います。
 話を再び錯語について戻しますと、錯誤の無効の主張は、要素の錯誤の無効の主張しかできません。動機の錯誤の無効の主張は認められません。これが原則です。
 ただ、ここで原則について注意していただきたい事がございます。
 原則というのは絶対という意味ではありません。意味としては、日常会話で使う言葉で例えると「基本的には」みたいなニュアンスです。例えば「基本的に怒らない人」がいたとします。でもこの人は「絶対怒らない人」ではないですよね。つまりこの人は民法的にいうと「原則怒らない人」です(笑)。そして、この「基本的に怒らない人=原則怒らない人」も怒るときがあります。それが「例外」です。
 原則と例外、お分かりになりましたよね。

原則から考え例外を考える。変な近道は控えるべし!

 法律を考えるときは必ず、原則から考えて例外を考えます。原則があって例外があるのです。その逆はありません。
 これは単純な話ではありますが、大事なことです。これから資格試験等に向けて民法の学習をされる方は、この「原則から考えて例外を考える」を忘れないでください。この事を忘れて、原則も分かっていないのに例外を考えて勉強しようとすると、訳が分からなくなり、簡単な問題も解けなくなってしまいます。

 私は、民法の学習に関しては変な近道をしようとしない方がいいと考えます。原則を考えてから例外を考える、という順序をしっかり守っていただくことは、結果的に勉強成果にも影響します。
 何事も基礎が大事です。それは民法を考える上でも、正しいリーガルマインドを身につける上でも重要な事です。
 ですので、時には遠回りに感じて面倒臭くなるときもあると思いますが、そんな時こそ、基礎を大事に地に足をつけてじっくり取り組んでいただきたいと存じます。
 そして、基礎をある程度マスターしたら、そこからはウマイことやっていけばいいんです。これは何も民法の学習だけでなく、仕事や他の色々な事についても当てはまるのではないでしょうか。
 繰り返しますが、基礎はとても大事です。ですので、面倒臭がらず焦らずに臨むことです。
 かの伝説のプロレスラー、天龍源一郎はこう言っていました。一番大事なのは「辛抱」だと。

 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。

【時・とき】【無効・取消し】その違いとは?

▼この記事でわかること
「時」と「とき」の違い
「無効」と「取消し」の違い
無効についてさらに詳しく
取消しについてさらに詳しく
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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「時」と「とき」、「無効」と「取消し」

 ここでは、当サイトでも頻繁に登場する「時」と「とき」そして「無効」と「取消し」について、法律ならではの言葉の使い方・使い分けとその意味を、わかりやすく簡単に解説します。

「時」と「とき」の違い

 法学部出身の方や法務に携わる方などにとってはとても基本的な事になると思いますが、そうでない方にとっては馴染みのない、法律の世界ならではの言葉の使い分けというものがございます。
 そのひとつが「時」と「とき」です。
 実はこの「時」と「とき」は、法律の世界では使い分けされています。
 では一体どのように使い分けされているのでしょう。

 まず「時」ですが、これは「時点」という意味です。
 バッターが構えた「時」、ピッチャーがボールを投げた「時」というような感じです。
 それに対して「とき」「場合」あるいは「シチュエーション」というような意味です。
 ツーアウト満塁の「とき」、ツーストライクスリーボールの「とき」というような感じです。
 野球がわからない方もいらっしゃると思いますので、恋愛に例えてみましょう。手を繋いだ「時」、映画館デートに行った「とき」というような感じです(笑)。
 おわかりになりましたでしょうか。
 この「時」と「とき」の使い分けを知った上で法律の文章を読むと、法解釈が今までと少し違ってくるかもしれません。
 
「無効」と「取消し」の違い

 無効という言葉も、当サイトで何度も登場しています。無効という言葉自体の問題も特にないと思います。
 では、無効と取消しの違いは、おわかりになりますでしょうか。
 法律の世界では、無効と取消しは、区別されて使われています。
 それでは、ひとつひとつ、解説して参ります。

 まず無効ですが、民法上の無効とは「始めから成立すらしていない」という意味です。
 ですので、その契約は無効だといったら、そもそもその契約は、始めから何の形も成していない、という事です。
 繰り返しますが、無効のものは、そもそも成立すらしていませんので、始めから何の形も成していないんです。ですので、無効の契約というのは、始めから成り立っていない契約なのです。無効のものは、始めから終わりまでゼロです。
 まずここを覚えておいてください。

 一方、取消し「一度有効になったものをナシにする」という意味です。
 この「一度有効になった」というところがポイントです。無効の場合は、始めからそもそも成立すらしていないのですが、取消しの場合は、一度有効になったものが、何らかの理由により取り消されてゼロになるだけです。
 取り消されて初めてナシになるということは、取り消されない限りは有効に成立します。

無効についてさらに詳しく
女性講師
 ここまでの解説だけでも、おわかりになるかもしれませんが、念のため、もう少し噛み砕いた解説もいたします。
 無効な契約は、最初から成り立っていません。成り立っているように見えるだけで、実態のない契約です。つまり、無効の契約というのは「契約というカゴの中に何も入っていない契約」という事になります。カラッぽの契約という事です。
 具体例を挙げると、強迫で結ばされた契約が、まさにこれです。強迫によって強引に結ばされた契約は無効な契約です。そんな契約はそもそも法的に成立しません。もし、そうした形で結んだ契約でモメているのなら、そもそもその契約は成立すらしていませんのでご注意ください。 
 繰り返しますが、無効の契約は「契約というカゴの中に何も入っていない」というイメージで覚えておいてください。

取消しについてさらに詳しく

 取り消せる契約というのは、取り消されるまでは有効に成立しています。
 取り消さなければ、普通に契約として存続します。つまり、「契約というカゴの中に一応モノが入っている契約」になります。
 具体例を挙げると、詐欺による契約がこれになります。
 詐欺で結ばされた契約は、実は取り消すまでは有効な契約なんです。なぜ世の中から詐欺がなくならないのか、これでわかりますよね。実は民法上そのようになっているのです。
 あと、細かい話ですが、取消しと書いた場合は名詞で、取り消しと書いた場合は動詞になります。 

 無効と取消しの違い、おわかりになりましたでしょうか。
 無効と取消しという言葉は、民法の学習をするかぎり避けて通れませんので、ここでの話を覚えておいていただければと存じます。
 他にも、法律ならではの言葉の使い分けは色々ございますが、今回はここで締めます。
 今後もこのような法律用語解説は、必要となり次第行って参ります。
 なお、「強迫」についての詳しい解説は「【強迫の超基本】善意の第三者が現れようが強迫の契約は無効」を、「詐欺」について詳しい解説は「【詐欺の超基本】善意&悪意の第三者って何?」をご覧ください。

 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。

【強行法規と任意法規】その意味と違い/民法の基本原則:契約自由の原則について

▼この記事でわかること
強行法規とは
任意法規とは
契約自由の原則について
強行法規と任意法規では効力が違う
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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強行法規と任意法規

 さて、いきなり強行法規と任意法規と言われても、何が何だかって感じですよね。
 実際、一般的に馴染みもない言葉だと思います。
 しかし、法律について考えるとき、この強行法規と任意法規というものは非常に重要なのです。
 なぜ重要かと言いますと、実際にその法律が我々にどういう効果をもたらすか、という問題に直結するからです。
 え?それヤバくね?
 はい。ヤバいです。ですので、今から解説いたします。

強行法規とは

 強行法規とは、問答無用に適用される法規です。
 は?ですよね(笑)。はい。今からもっとわかりやすく噛み砕いてご解説します。
 詐欺強迫についての解説記事でも触れましたが、その際に、「詐欺取り消されるまでは有効」強迫無効そもそも成立すらしていない」という解説をいたしました。
 この、強迫に関する無効の規定こそ、強行法規と呼ばれるものです。
 強迫による契約は無効、つまり、そもそも成立すらしないですよね。そもそも成立すらしない、というのは問答無用で無効、という事ですよね。それが強行法規というものです。

任意法規とは

 強行法規の説明で、詐欺と強迫のお話をいたしました。そして、強迫による契約無効の規定は強行法規だ、と申し上げました。
 あれ?じゃあ詐欺の契約は?
 はい。実は、この詐欺の契約のように、取り消されるまで有効な契約は、任意法規に属するものになります。(詐欺も、あまりに悪質なものであったりなど、場合によっては公序良俗違反で無効になることもありますのであしからず。公序良俗についてはまた改めて解説します)。

契約自由の原則
女性講師
 ここで一度、民法の基本原則に立ち返ります。
 民法には、契約自由の原則という基本原則があります。
 この「契約自由の原則」という言葉からわかるように、基本的に契約というものは自由に決められます。それを民法は基本原則としています。
 つまり、民法は、基本的には我々に対し「自由にやったらええがな」という立場を取ります。
 したがいまして、我々は契約の内容を自由に決めることができ自由に契約を結べるのですそれにより円滑な取引が実現し、ひいては経済の発展にも繋がるのです。
 ただし!何でもかんでも自由に決められる訳ではありません。なぜなら、本当に何でもかんでも自由に決められてしまうと、不備が生じてしまうからです。
 例えば、赤ん坊がバブバブ言って契約が成立しちゃったらオカシイですよね?コワ~イおにいさんが出てきて「テメー、ハンコ押さなかったらどうなるかわかってるよな?」なんて契約アリですか?メルカリで臓器の売買できますか?全部ナシですよね。
 ということなので、強行法規という形で、契約の自由に一定の制約を与えています。

強行法規と任意法規では効力が違う

 まとめると、強行法規は問答無用で適用され、任意法規は自由に内容を決められ自由に決められた内容によって適用されるものです。
 強迫による規定は強行法規なので、強迫による契約は問答無用で無効になります。
 詐欺による規定は強行法規ではないので、詐欺による契約は取り消すまでは有効になります。取り消すまでは有効という事は、自由に契約の内容を決めて、問題がなければ互いの合意で成立します。それが任意法規です。詐欺などの問題があれば、後に取消しの話になる、という事です。

 強行法規と任意法規、おわかりになりましたでしょうか。
 民法初学者の方は、まだ今ひとつわからないかもしれません。ですが、これから民法の学習を進めていく中で、次第に掴めていきますので、徐々にご理解お深めいただければと存じます。
 そして、最後にひとつだけ申し上げておきたいことがございます。
 今現在、もし契約関係のトラブルを抱えている方は、その契約の内容が強行法規に触れる内容なのかどうか、そこは注意してください。もし強行法規に触れるものであれば、そもそも成立すらしていない可能性もあります。
 逆に強行法規に触れていないのであれば、任意法規という事で、取り消すまでは有効に成立するもので、取り消すにしても何かしらの要件を満たすなど、立証が必要だったりしますので、ご注意ください。

 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。

【停止条件と解除条件と随意条件】【既成条件と不能条件】【条件の成就の妨害】をわかりやすく解説

▼この記事でわかること
停止条件と解除条件
条件を付けることが禁止される行為
随意条件
既成条件と不能条件
条件の成就の妨害とは
不動産の中抜きは条件成就の妨害になるのか
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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停止条件と解除条件

 民法における条件は2種類あります。
 それは停止条件解除条件です。
 停止条件は、条件が成就されるとその効力が生じるものです。
 解除条件は、条件が成就されるとその効力が失われるものです。
 これだけだとよくわからないですよね。それではひとつひとつ、わかりやすく解説して参ります。

停止条件

 条件が成就されるとその効力が生じるという停止条件とは、例えば「内定が決まったらお祝い金をあげる」というようなものです。
 この場合「内定が決まること」が条件で、その条件が成就されると、つまり、内定が決まると「お祝い金をあげる」という効力が生じる、つまり、実際にお祝い金の贈与という行為が行われるということです。

解除条件

 条件が成就されるとその効力が失われる解除条件とは、例えば「就職が決まったら仕送りをやめる」というようなものです。
 この場合「就職すること」が条件で、その条件が成就されると「仕送り」の効力が失われる、つまり、仕送りがされなくなるということです。

条件を付けることが禁止される行為
NG男性
 次のような行為は条件を付けることを禁止されます。

・身分行為
・不法行為
・単独行為

 なんぞや?て感じですが、ここもひとつひとつ噛み砕いてわかりやすく解説して参ります。

【身分行為】
 これは例えば「一部上場企業に就職したら、結婚して ア・ゲ・ル♡」というようなものです。
 このような条件は無効になります。
【不法行為】 
 これはわかりますよね。例えば「宅建試験に合格したら大麻をあげる」というようなものは、公序良俗違反で当然に無効です。
 また「金〇円をくれたら妨害行為をやめよう」というような、不法行為をやめること条件とすることもダメです。
 ただし、自動車保険の「交通事故(不法行為)を起こしたら保険金を払います」というものは有効です。
【単独行為】
 これは、相殺・解除・取消し・追認、などといったものです。
 これらは一般論として、条件に親しまない行為とされているものです。
 ただし、相殺は条文上では明確に禁止されているものの「相手方を特に不利な立場にするもの」でなければ、条件を付すことができます。
 解除も「本書状到達から五日以内に金〇円の支払いがなければ、あらためて解除の意思表示を要せず契約は解除されたものとみなす」というようなアプローチの催告書などで条件を付すことは、現実の実務において当たり前に行われています。
 また「債務の免除」も単独行為なのですが、これにも条件を付すことは可能です。

随意条件

 冒頭に、条件には停止条件と解除条件の2種類あると申し上げましたが、その2種類の条件の中に、さらに随意条件と呼ばれるものがあります。
 随意条件とは、例えば「気が向いたら車を買ってあげる」というようなものです。
 つまり「気が向いたら」という部分が随意条件ということです。
 この「気が向いたら車を買ってあげる」というのは、随意条件の停止条件ということになるのですが、このような債務者の意思のみに係る停止条件民法134条の規定により無効です。
 債務者の意思のみに係る停止条件とは「気が向いたら支払う(あげる)」というものです。そのような条件は無効になります。
 なお、下記の随意条件は有効です。

・債務者の意思のみに係る解除条件
例→気が向いたら仕送りするのをやめる

・債権者の意思のみに係る停止条件
例→気が向いたらその仕送りを受け取る

・債権者の意思のみに係る解除条件

例→気が向いたら仕送りしてもらうのをやめる

条件成就の効果の発生時期

 停止条件が成就された場合、その成就の時から、その効力を生じます。
(例・内定が決まった時→お祝い金贈与の効力発生)
 解除条件が成就された場合は、その成就の時から、その効力が失われます。
(例・就職が決まった時→仕送り中止の効力発生)
 ただし、当事者が条件成就の効果を、条件成就以前に遡らせる意思表示をした場合には、条件成就の効果を成就以前に遡らせて生じさせることができます。
(例・就職が決まる→就職決定以前半年間分の仕送りも無しに(半年分の仕送り返還))

既成条件と不能条件

 条件が成就されると効力が生じる停止条件
(例→内定が決まったらお祝い金をあげる)
 条件が成就されると効力が失われる解除条件
(例→就職したら仕送りするのをやめる)
 ここまではすでに解説したとおりです。
 さて、では条件を付した時、すでに条件が成就されていた場合はどうなるのでしょうか?

既成条件

 こちら、まずは民法の条文をご覧ください。

(既成条件)
民法131条
条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。


 この民法131条が何を言っているのかといいますと「内定が決まったらお祝い金をあげる」という停止条件の場合、すでに内定をもらっていたら(すでに条件が成就されていたら)無条件でお祝い金をあげることになる、ということです。
 また「就職したら仕送りするのをやめる」という解除条件の場合に、すでに就職していたら、その解除条件は無効になるということです。
 以上が既成条件です。

不能条件

 続いては、不能条件です。
 不能条件とは、条件を付したはいいが、その条件の成就があり得ないような場合です。
 これについて、民法は次のように規定します。

(不能条件)
133条
1項 不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。
2項 不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。


 上記、民法133条1項の停止条件の方は簡単ですね。
 停止条件の場合、成就することがあり得ないような条件を付した場合は、その停止条件は無効になるということです。
 例えば「分身の術を使えるようになったら100万円あげる」というような停止条件は無効ということです。
 2項の解除条件の方はというと、成就することがあり得ない解除条件の場合は、無条件になるということです。
 例えば「ゾンビになったら仕送りをするのをやめる」というあり得ない解除条件の場合、無条件で仕送りが続いていくということです。
 以上が不能条件です。

条件の成就の妨害

 例えば「Aが試合に勝ったら10万円あげる」という停止条件を付したBが、いざ試合が始まったらお金が惜しくなって、故意に試合を妨害して、Aを負けさせたような場合はどうなるのでしょうか?
 これは、民法では、条件の譲受の妨害と言います。

(条件の成就の妨害)
民法130条
1項 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

2項 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

 この民法130条について、先ほど挙げた例で解説しますとこうです。
 故意に試合を妨害されて負けてしまったAは、Bに対し10万円の請求ができます。なぜなら、故意に成就を妨害された条件(Bから故意に妨害されて負けてしまった試合)は、成就されたものとみなすことができる(試合に勝ったとみなすことができる)からです。
 また、上記2項の規定により条件成就によって利益を受ける者が、故意に条件を成就させた場合は、条件は成就されなかったとみなすことができます。先ほどの例で言いますと、Aが故意に八百長を促して試合に勝った場合、Bは10万円をあげる必要はありません。なぜなら、故意に成就させた条件(八百長で勝った試合)は、不成就であるとみなすことができる(試合に負けたとみなすことができる)からです。

不動産の中抜きは条件成就の妨害になるのか
?女性
 最後に、条件成就の妨害について、現実で起こりがちな不動産に絡んだ事例を解説します。

事例1
Aは自己所有の甲建物を売却したいと考え、不動産業者Bに仲介を依頼し、契約成立を条件として甲建物の売却代金の3%の報酬を支払うという旨の契約をした。不動産業者Bは買主Cを見つけ、あと一歩で契約という所までこじつけたが、ここに来てBに報酬を払いたくないと思ったAは、不動産業者Bをすっ飛ばして買主Cと直接に甲建物の売買契約を締結した。


 この事例1は「甲建物の売却」という条件成就されると「売却代金の3%の報酬」が発生するという停止条件が、Aの故意でその成就が妨害(Bをすっ飛ばしてCと直接契約)されたという、条件成就の妨害のケースの一種です。
 そして、これは不動産業界で「中抜き」と言われる、不動産業者が非常に嫌がるケースでもあります。
 さて、ではこの事例1の不動産業者Bは、Aに対し約定の報酬を請求することができるでしょうか?
 結論。不動産業者BはAに対し約定の報酬を請求できます。(判例)

事例2
Aは部屋を借りたいと考え、不動産業者Bを通して甲アパートを内見し申し込みを入れた。ところが、甲アパートは不動産業者Cが所有する物件で、それを知ったAはBに仲介手数料を払うのはもったいないと思い、申し込みをキャンセルして、Cと直接に甲アパートの賃貸借契約を締結した。


 この事例2も「Aの不動産賃借の仲介」という条件成就されると「仲介手数料」が発生するという停止条件が、Aの故意でその条件の成就が妨害(Bをすっ飛ばしてCと直接契約)されたという条件成就妨害ケースの一種です。
 そして、これもいわゆる「中抜き」と言われる、不動産業者が非常に嫌がるケースです。
 さて、この場合、不動産業者BはAに対し仲介手数料の請求ができるでしょうか?
 結論。不動産業者BはAに対し仲介手数料の請求ができます。
 このケースのような、不動産業界ではご法度とされる「中抜き」を知らないでやってしまって、後から、すっ飛ばしたはずの不動産業者から仲介手数料を請求されてビックリしてしまったという方、いらっしゃるかもしれません。
 しかし、このような請求は民法130条(条件の成就の妨害)に基づいた正当な請求になりますので、覚えておいてください。
 でも別にAは不動産業者Bとは何か契約を結んだ訳じゃないのにどうして?
 実はそうでもないんです。Aは不動産業者Bとは媒介契約※を結んだことになってしまっているのです。
 しかも、たとえ媒介契約書といったものを交わしていなくても、不動産業者Bを通して申し込みを入れている時点で、媒介契約を結んだと考えられてしまいます。
※媒介契約とは、民法的に言えば準委任契約になる。つまり、Aは不動産業者Bと停止条件の付いた準委任契約を結んだことになるのだ。

 このいわゆる不動産の中抜きのケースは、現実にも起こりがちなケースです。
 余計なトラブルを避けるためにも、今回の内容を是非頭に入れておいていただければと存じます。
 という訳で、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです
 最後までお読みいただきありがとうございます。

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Author:根本総合行政書士
東京都行政書士会所属
根本総合行政書士です。
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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