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【根抵当権】極度額の限度と債権の範囲/根抵当権の変更・譲渡・処分/元本確定とは?
【共同根抵当権と共有根抵当権】違いは?/累積根抵当とは
【根抵当権者または債務者の死亡・合併・分割】そのとき根抵当権はどうなる?
【根抵当権の元本確定】考え方の基本/確定期日と確定請求/ 1・2・3・4号確定ってなに?
【根抵当権の減額請求&消滅請求】
素材62

【根抵当権】極度額の限度と債権の範囲/根抵当権の変更・譲渡・処分/元本確定とは?

▼この記事でわかること
根抵当権の基本
極度額の限度
登記事項の3つの要素と特徴
根抵当権の債権の範囲
債務者の変更と債権の範囲の変更
元本確定とは
登記の必要性
根抵当権の譲渡
根抵当権の処分
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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根抵当権の基本

 根抵当権は、債権者と債務者の間の「取引」を前提とする担保権です。
 例えば、Aという楽器メーカーと、Bという楽器店があったとして、AがBの注文に応じて製品を納入するという契約をします。
 そして、代金支払は、毎月末締めの翌月10日払いです。
 そうすると、AがBに製品を納入するごとに、AからBに対する売掛債権(同時にBのAに対する買掛債務)が発生することになります。今日はギター10本で100万円、明日はピアノ1台で50万円、という具合にです。
 これが、もし抵当権なのであれば、売掛金の発生ごとに設定契約と登記が必要になります。そんなのいちいち手間がかかり過ぎてメンドクサ過ぎますよね。
 また、毎月10日に全額の支払をしたら、その度に抵当権が消滅することになります。(被担保債権の弁済により抵当権が消滅する←抵当権の付従性)。これもまたいちいちメンドクサ過ぎますよね。
 複数の売掛金が発生した段階で、まとめて抵当権を設定することは可能ですが、設定するまでの期間に発生した売掛金が無担保債権になるので、それはAにとってリスクとなり、Aとしては心配なのです。
 そんなこんなで、「一定の取引を前提にして担保の枠だけを決めておく抵当権」があれば便利ですよね。それが根抵当権というわけです。

極度額の限度

 先ほど、「一定の取引を前提にして担保の枠だけを決めておく抵当権」が根抵当権と申しました。
 この「担保の枠」が、金〇〇円まで、という極度額の限度です。

(根抵当権)
民法398条の2 
抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。


 そして、この「極度額の限度」という「枠」が、根抵当権の主人公です。
 「枠」はボスです。そこに出入りする不特定債権(さっきの例ならAの売掛債権)は部下です。
 このボスと部下の関係こそ、根抵当権の本質になります。
 今一つピンと来ないかもしれませんが、まずはここを頭に入れておいてください。

登記事項の3つの要素と特徴
三本指
 根抵当権には、登記事項として3つの要素があります。(絶対的登記事項)
1・極度額(例→金〇〇円まで)
2・債権の範囲(例→楽器製品供給取引)
3・債務者(例→B社)
 そして4つ目の要素が根抵当権者(例→A社)です。
  以上が4大要素です。
 これらをわかりやすく噛み砕いて言うとこうです
・誰が(根抵当権者)
・誰と(債務者)
・どういう取引をした場合に(債権の範囲)
・いくらまで担保するか(極度額)

 以上、これらを根抵当権の本質とします。

 この根抵当権には、以下の特徴があります。

・付従性がない
 抵当権の付従性とは、被担保債権の存在があって初めて抵当権も存在し、被担保債権が弁済などで消滅すれば、それに付き従って抵当権も消滅するという性質です。
 しかし、根抵当権には、その付従性がありません。
 したがって、根抵当権設定時に被担保債権の額がゼロ円でも構いません。根抵当権はこれからの(未来の)取引のために設定できます。
 また、例えば、毎月10日に売掛金が全額弁済されても根抵当権は消滅しません。以後も取引が続くと考えられるからです。

・随伴性がない
 売掛金が債権譲渡されても(被担保債権が債権譲渡されても)、根抵当権は譲受人に移転しません。
 なので、楽器メーカーAと楽器店Bの間で設定された根抵当権が、BからCに売掛金債権が譲渡されたからといっても、Cに移転することはありません。
 また、売掛金債権が保証人等によって代位弁済された場合であっても、根抵当権は移転しません。
 つまり、AB間で設定された根抵当権は、今後ともAB間の取引によって生じる債権だけを担保します。
 では、債権譲渡または代位弁済された売掛金債権はどうなるのか?ですが、いずれの場合も根抵当権の「枠」から抜けて担保のない債権(無担保債権)になります。
 ちなみに、Cが免責的に債務引受をした場合にも、この債権は根抵当権の「枠」から抜けます。
 債務引受とは、債権譲渡の逆パターンです。債務引受には、免責的債務引受と重畳的債務引受がありますが、根抵当権の「枠」から抜けるのは免責的債務引受の場合です。重畳的債務引受の場合は、その債権は引き続き根抵当権に担保されます。

【補足】
 根抵当権では、民法518条の適用もなく、更改後の債務に根抵当権を移すことができません。
 更改とは、債権の消滅事由の1つで、既存債務の消滅と新債務の成立を同時に行う契約です。
 民法518条本文では「債権者(債権者の交替による更改にあっては、更改前の債権者)は、更改前の債務の目的の限度において、その債務の担保として設定された質権又は抵当権を更改後の債務に移すことができる」と規定しています。つまり、この規定が(確定前の)根抵当権には適用されないのです。

 以上のように、根抵当権には付従性も随伴性もありません。
 したがって、根抵当権には日々生じる特定の債権との結びつきがなく、「枠」が中心になるという点に、抵当権とは違った特徴があります。
 これが、先述の「根抵当権のボスは「枠」で、そこに出入りする不特定債権は部下」の意味です。
 楽器メーカーAと楽器店Bの間の、つまり債権者A債務者B限定の、AB間の「楽器製品供給取引」によって生じている債権のみを、根抵当権は担保するのです。
 したがって、Aがこの債権をCに譲渡すると「債権者C債務者B」となってしまうので「枠」から抜けてしまいます。
 また、債務者Bのスタッフ(楽器店Bの社員)が根抵当権者A(楽器メーカーA)に不法行為をした場合でも、その損害賠償金は「楽器製品供給取引」によって生じていないから担保されません。

根抵当権の債権の範囲
両人指し指上げ
 AB間で設定された根抵当権は、AB間の取引によって生じる債権だけを担保します。
 ということは、AB間で発生する債権であれば、その根抵当権で何でも担保できるのでしょうか?
 民法では次のように規定します。

(根抵当権)
民法398条の2 
2項 前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。

 上記、民法398条の2第2項の条文の趣旨は「包括根抵当の禁止」にあります。
 したがいまして、「AB間に発生するすべての債権」を担保することはできません。
 あくまでも、根抵当権は、継続的契約とその中で行われる取引が前提なのです。
 これが、根抵当権の3大要素の一つである「債権の範囲」の意味です。
 そして、根抵当権の債権の範囲について、民法には次の条文もあります。
 
(根抵当権)
民法398条の2 
3項 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。次条第二項において同じ。)は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。


 実は、この民法398条の2第3項の条文は、根抵当権の立法時に実務会の強い要請で入った条文であると言われています。
 主に金融機関が利用しますが、この条文では、「手形上もしくは小切手上の請求権」を債権の範囲とすることができるとしています。
 これを債権の範囲とすれば、根抵当権の債務者B(楽器店B)が第三者Cに振り出した手形が、転々流通の結果、根抵当権者A(楽器メーカーA)の手に渡ったときに、これを担保するために根抵当権を使用することができるということになります。
 その限度で、一定の取引等を前提としない「包括根抵当」の性質を、根抵当権に持たせることが可能なのです。
 なお、民法398条の2第3項前段の「特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権」も取引を前提としない債権を意味します。具体例を挙げると、特定の工場の廃液により生ずる被害者の損害賠償債権がこれに該当します。

【補足】
 根抵当権は、確定した元本、利息その他の定期金、損害金の全部について、極度額を限度として担保します。(民法398条の3第1項)
 抵当権との違いは、民法375条の適用がないことです。どういうことかと言いますと、根抵当権は、極度額までは利息損害金を何年分でも担保する、ということです。ただし、極度額を超えてしまった分は、1円たりとも担保しません。

 さて、民法は、手形債権、小切手債権の範囲とすることを認めました。
 しかし、債務者との取引によらず取得した手形、小切手については、下記の事由あったときは、その前に取得したものについてのみ、根抵当権を行使できると定めています。(民法398条の3第2項)

・債務者の支払いの停止
・債務者についての破産手続き開始、再生手続開始または特別生産開始の申し立て
・抵当不動産に対する競売の申し立てまたは滞納処分による差押え

 上記はいずれの場合も、債務者または根抵当権設定者の財産状況が悪化しているケースです。
 では、上記定めで何を規律しているのかといいますと、いわば紙クズ同然の破産者の手形を根抵当権がタダで買い集め、それに根抵当権を行使することで巨利を得る、というようなことをあらかじめ防いでいます。また、そのような趣旨の規定なので、上記の事由が生じた後でも、根抵当権者がこれを知らずに取得した手形、小切手については、根抵当権の権利の行使は可能です。

根抵当権の変更
債務者の変更と債権の範囲の変更
フリップと男性
 根抵当権は、「誰が誰とどういう取引をした場合にいくらまで担保するか」という「枠」を設定します。
 その「枠」がボス、そこに出入りする不特定債権は部下、という関係が根抵当権の本質です。
 では、その「枠」の内容を変更することはできるのでしょうか?
 これについての民法の条文はこちらです。

(根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更)
民法398条の4
元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。


 上記、民法398条の4条文で、根抵当権の「債権の範囲」と「債務者」の変更について規定しています。
 例えば、根抵当権者A(楽器メーカーA)・債務者B(楽器店B)という場合に、債務者をC(楽器店C)に変更することができます。
 すると、この根抵当権は「根抵当権Aと債務者Cとの間の[楽器製品供給取引]によって生じている債権」を担保します。
 そしてこの場合、根抵当権は、変更時以降に発生する債権はもとより、変更前に債務者Cが負担していたAC間の「楽器製品供給取引」によって発生した債務をも負担します。つまり、債務者の変更とは「誰が誰とどういう取引をした場合にいくらまで担保するか」という「枠そのもの」が移るということです。

CがBの債務を引き受けた場合

 根抵当権の債務者の変更に伴い、CがAB間におけるBの特定の債務を引き受けた場合、その債権は債務者変更後の根抵当権によって担保されるのでしょうか?
 これは担保されません。なぜなら、その債権は、AC間の「楽器製品供給取引」により生じた債権ではないからです。その債務はCがBから引き受けた債務に過ぎません。つまり、根抵当権の「枠」外の債権債務なのです。
 しかし、この債務を根抵当権の債権の範囲、すなわち根抵当権の「枠」に入るように変更することは可能です。
 その場合、根抵当権の債権の範囲を下記のように変更登記します。

債権の範囲
楽器製品供給取引
年月日債務引受(旧債務者B)にかかる債権

 こうすることで、Cが引き受けた「AB間におけるBの特定の債務」にかかる債権を、債務者変更後のAC間の根抵当権の「枠」に組み込むことができます。
 これが、債権の範囲の変更です。
 なお、債務者の変更と債権の範囲の変更は、根抵当権の元本確定前にすることできます。

ちょっと確認!元本確定と登記について
ここがポイント女性
元本確定とは

 根抵当権は、確定すると、その表情を変えます。
 確定とは、根抵当権と特定債権の結びつきが生じることです。
 どういう意味かと言いますと、確定により新たな債権が発生することがなくなります。
 すると、それ以降の根抵当権は「枠」ではなく「被担保債権」がボスになり、抵当権とほぼ同じ担保権に変身します。
 つまり、確定すると、担保する債権(被担保債権)が特定され、被担保債権をボスとする部下が根抵当権となります。
 なので、確定後の根抵当権は、被担保債権が弁済されれば消滅しますし(付従性)、被担保債権が譲渡されれば移転もします(随伴性)。
 こうなると、もはやほとんど抵当権と変わりませんね。(極度額の考え方が残るので、完全に抵当権と同じ取扱いになる訳ではありません)

【補足】確定しないとき
 根抵当権は、新たな債権の発生の可能性がある限りは、全体として確定しません。
 例えば、債務者が2人いる根抵当権(取引が2本建てのケース)で、片方の債務者が死亡した結果、その者について確定事由が生じたとしても他方の取引が残るから、根抵当権は全体として確定しません。

元本確定の逆はあるのか

 ところで、いったん確定した根抵当権を、確定前の状態に戻すことは可能なのでしょうか?
 これについては、そのような制度は存在はしません。
 債権の範囲および債務者の変更は、根抵当権者と設定者の契約で行います。「枠の大きさ」すなわち極度額を変更するわけではないので、後順位抵当権者等の承諾は不要です。
 ここで大事なのは、債権の範囲および債務者の変更は、あくまでも根抵当権者と設定者の契約によるということです。
 したがって、根抵当権者A(楽器メーカーA)・債務者B(楽器店B)のケースで、その設定者がZという場合(このようなケースもある)、債務者をCとする変更は、AZ間の合意のみですることができます。つまり、債務者Bの意思とは関係になしに変更することができます。
 なお、BZ間に「Zは債務者Bの物上保証人になります」という契約があった場合、そのBZ間の保証委託契約の債務不履行の問題を生じますが、それは債権の世界の話であってこちら物権の世界とは関係ありません。

登記の必要性

 債権の範囲と債務者の変更は登記することができます。
 もし、債権の範囲および債務者の変更を元本確定前に登記しなかったときは、その変更をしなかったものとみなされます。(民法398条の4第3項)
 なので、BからCへの債務者の変更の合意をしただけで、その変更登記をしないうちに元本確定が発生した場合は、債務者はBであるとみなされます。
 したがいまして、しっかり法律的に保護されるためには、元本確定前の登記必要となります。

根抵当権の譲渡

 これは、債務者の変更の反対パターンです。
 例えば、根抵当権者A(楽器メーカーA)・債務者B(楽器店B)のケースで、その設定者がZの場合に、Aは確定前根抵当権をD(別の楽器メーカー)にまるごと譲渡することができます。つまり、「抵当権者A(楽器メーカーA)・債務者B(楽器店B)・設定者Z」という枠を「抵当権者D(楽器メーカーD)・債務者B(楽器店B)・設定者がZ」という枠に移し替えるということです。
 そうなると、この根抵当権は、AB間の債権はまったく担保しなくなり、DB間の楽器製品供給取引の範囲内の債権を担保することになります。
 この場合、根抵当権の譲渡の契約はAD間で行いますが、譲渡については設定者Zの承諾が必要となります。

一部譲渡と分割譲渡

 根抵当権の譲渡には、次のようなパターンもあります。

・A→AD
 これは、Aの根抵当権の一部を譲渡し、ADが共同根抵当権者になるパターンです。

・A→A
  ↘︎
   B
 これは、根抵当権を2個に分割して、別個の2つの根抵当権にするパターンです。
 この場合、ADは同順位の根抵当権者となります。

 上記2つのパターンは、いずれも設定者(Z)の承諾が必要です。

【補足1】
 なお、根抵当権の譲渡に伴う根抵当を転抵当の目的とする場合、転抵当権者は分割譲渡の場合のみ利害関係人となり、その承諾なしに分割譲渡することはできません。

【補足2】
A(根抵当権者)がZ(設定者)に根抵当権を譲渡した場合

 根抵当権の譲渡に伴い、ZがAの特定の債権(債務者はB)を譲り受けた場合、この債権は根抵当権によって担保されることはありません。
 なぜなら、その債権はZB間の「楽器製品供給取引」により生じた債権ではないからです。ZがAから譲り受けた債権に過ぎないのです。
 もし、この債権を根抵当権の債権の範囲にしたいのであれば、根抵当権の範囲を変更登記しなければなりません。
 そして、この変更登記は、確定の前後を問わずすることができます。ただし、これは「枠の大きさ」を変更するケースになりますので、利害関係人の承諾が必要になります。
 なお、債権の範囲、債務者の変更は「枠の大きさ」とは関係ありませんので、第三者の承諾は必要ありません。

根抵当権の処分

 元本確定前の根抵当権の根抵当権者は、その根抵当権を譲渡、放棄、順位譲渡することができません。(確定前根抵当が先順位の抵当権から順位の譲渡(放棄)を受けることは可能)
 しかし、「その根抵当権を債権の担保とすること」はできます。つまり、転抵当だけは元本確定前でもすることができます。

(根抵当権の処分)
第398条の11
1項 元本の確定前においては、根抵当権者は、第三百七十六条第一項の規定による根抵当権の処分をすることができない。ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
2項 第三百七十七条第二項の規定は、前項ただし書の場合において元本の確定前にした弁済については、適用しない。


 ただ、確定前根抵当の被担保債権は、発生しては消滅するものなので、民法377条の規定(債務者が~抵当権の処分の利益を受ける者(転抵当権者のこと)の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない)は適用しません、という意味の規定が2項で定められています。
 ということはつまり、確定前根抵当について転抵当の設定を受けても、元になる根抵当権の枠の中身がいつの間にか空になってしまっている、という事態があり得ることになります。

【補足】
「根抵当権の譲渡」という言葉は、通常、民法398条の12第1項の「根抵当権を譲り渡すこと」を言います。
 元本確定前に、設定者の承諾を得て、根抵当権の枠の支配権そのものを第三者に譲渡するという意味です。
 これに対して、民法376条の抵当権の処分としての「譲渡」は、根抵当権の場合、元本確定前にはすることができません。
 ややこしいですが、この点お気をつけください。

 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。

【共同根抵当権と共有根抵当権】その特徴と違い/累積根抵当とは?わかりやすく解説

▼この記事でわかること
共同根抵当権の基本
共同根抵当権の設定後
累積根抵当とは
共有根抵当権の基本
共有根抵当権の元本確定前の譲渡
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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共同根抵当権

 根抵当権は、「どういう取引をした場合にいくらまで担保するか」という「」を設定します。
 つまり、根抵当権は、債権者債務者の間の一定の取引を前提にして担保の枠だけを決めておく抵当権です。
 その「枠」こそが、根抵当権のボスであり、その「枠」に出入りする不特定債権(枠の中で都度発生する債権)が部下です。
(こちら根抵当権の基本についての詳しい解説は「「【根抵当権】極度額の限度と債権の範囲」」をご覧ください)
 なので、根抵当権の場合、複数の不動産を共同担保にするという概念になじみません。
 抵当権であれば、特定の被担保債権を担保するための共同担保、と法律上当然に考えられます。
 しかし、根抵当権の場合には、基本的にはそれぞれの不動産に「別の枠」がのっているだけなのです。
 そこで、これらの根抵当権を「共同根抵当」として取り扱うためには、その設定と同時に「共同担保たる旨の登記」をしなければなりません。

(共同根抵当)
民法398条の16
第392条及び第393条の規定は、根抵当権については、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り、適用する。
※民法392条→(共同抵当における代価の配当)
※民法393条→(共同抵当における代位の付記登記)

 したがいまして、その旨の登記をすれば、1つの「枠」が、共同で各不動産にのることになります。
 また、条文では「その設定と同時に」とあります。その意味は「根抵当権の設定と同時に」ということです。
 したがって、設定後の2つの根抵当権を「共同根抵当権」にすることはできません。同じ理屈で、いったん「共同根抵当権」と登記したものを、別個の根抵当権に分割することもできません。

 ちなみに、共同根抵当権を追加設定する場合、「根抵当権者」「極度額」「債務者」「債権の範囲」については、既存の根抵当権一字一句違ってはならないという厳格さが要求されます。
 一方、通常の抵当権の追加設定の場合、債務者の住所が既存の登記は引越し前、追加設定後は引越し後なんてことは実務上よくあり、不問に付されています。

共同根抵当権の設定後

 共同根抵当権は、「債務者」「債権の範囲」「極度額」の変更、そして、譲渡(分割譲渡を含む)もしくは一部譲渡は、その根抵当権が設定されているすべての不動産について登記をしなければ、その効力が生じません。(民法398条の17第1項)

 例えば、甲土地と乙土地に共同根抵当権が登記されていて、根抵当権者はA(楽器メーカー)、債務者はどちらもB(楽器店)だとします。
 このケースで、根抵当権者と設定者の間で債務者変更の合意がされて、甲土地についてのみ債務者をC(別の楽器店)とする変更登記をしたとします。
 その後、失念した乙土地の登記ををしない間に、元本が確定したらどうなるでしょう?
 この場合、民法398条の17第1項により、乙土地の債務者はBであるとみなされます。その結果、この共同根抵当権は、AB間に発生した債権において「確定」してしまいます。
 つまり、乙土地の債務者変更の登記をし忘れたことによって、AもBもCも設定者も意図しない事態が起こり、困ってしまうことがあり得るのです。
 このように、根抵当権の場合は、こまめに登記をしなければ、当時者の意図に反する結果となってしまうことがあるのです。
 あれ?そもそも根抵当権者と設定者の関知しないところで元本確定事由が発生することはありえるの?
 十分ありえます。その理由は、共同根抵当権の元本は、一個の不動産についてのみ発生すれば、民法398条の17第2項の規定によりすべての不動産について確定するからです。

ちょこっとコラム
女性講師
累積根抵当

 これは、共同根抵当と同様に、複数の不動産に同一の根抵当権者が根抵当権を有するケースです。
 しかし、累積根抵当は、共同根抵当とは異なる仕組みのものです。
 累積根抵当のケースでは、民法392条1項(共同抵当における代価の配当)の割り付けは行いません。
 
(累積根抵当)
民法398条の18
 数個の不動産につき根抵当権を有する者は、第三百九十八条の十六の場合を除き、各不動産の代価について、各極度額に至るまで優先権を行使することができる。


 つまり、累積根抵当のケースでは、各不動産に設定された根抵当権は「相互に別物」ということです。 
 したがって、各根抵当権の債務者が一緒で同時に競売となった場合でも、民法392条1項(共同抵当における代価の配当)の割付は行われません。それぞれ別個の競売案件ということです。
 また、債権の範囲、極度額なども同一である必要はまったくありません。1個の不動産に確定事由が生じても他には影響しません。これも「相互に別物」だからです。
 なお、A不動産(価格金3000万円)、B不動産(価格金3000万円)で、Zが根抵当権者という場合に、累積根抵当設定のケースと、共同根抵当のケースの違いは以下のようになります。

[累積根抵当]

 極度額  Z   極度額
 2000万円↙︎   ↘︎2000万円
    A   B
  2つの根抵当権は別物

[共同根抵当]

     Z
 極度額4000万円
   /\
  A  B
 1つの根抵当権

共有根抵当権

 こちらは[共同]ではなく共有根抵当権です。(共有についての詳しい解説は「【共有】持分権とは」をご覧ください)
 確定前の根抵当権の共有の性質は、含有であるとされています。
 含有と言われてもピンと来ないと思いますが、その意味は「持分が潜在化している(隠れている)」ということです。
 どういうことかと言いますと、確定前の共有根抵当権は、登記手続としては共有であるのに、持分の登記をしません。
 不動産登記法では、登記名義人が複数いる場合、原則として持分が登記事項になっていますので、これは共有根抵当権の大きな特徴と言えます。

 さて、では、その配当はどのように行われるのでしょうか?
 例えば、ABの2名による共有根抵当権の場合、その配当金の取り分はどうなるのか?
 この場合、ABはそれぞれの債権額に応じて弁済を受けることになります。(民法398条の14第1項本文)
 つまり、ABは「同順位」で弁済を受けます。
 ただし、元本の確定前に、これと異なる割合を定め、またはある者が他の者に先立って弁済を受けるべきことを定めたときは、その定めに従います。(民法398条の14第1項ただし書)
 この定めを「優先の定め」といい、これは登記事項となります。

【補足】優先の定め
「AはBに優先する」「A7、B3の割合」といった具合に登記をします。
 なお、優先の定めは「元本確定前に定めろ」との規定がありますが「元本確定前に登記しろ」とは定められておりません。

共有根抵当権の元本確定前の譲渡

 ABの2名の共有根抵当権で、Aがその権利を譲渡することは可能です。(民法398条の14第2項)
 この場合、設定者の承諾のほか、Bの同意も必要です。
 ただし、譲渡できるのは、全部譲渡のみです。
 一部譲渡、分割譲渡は、その後の法律関係がややこしくなるため認められていません。(法律関係がややこしくなるのは基本的に民法も裁判所も嫌う)
 一方、ABが共同根抵当の場合は、全部譲渡、一部譲渡、分割譲渡のすべてが可能です。


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。

【根抵当権者または債務者の死亡・合併・分割】そのとき根抵当権はどうなる?

▼この記事でわかること
債務者が死亡した場合
債務者(法人)の合併
根抵当権者(法人)の合併
会社分割の場合
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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根抵当権者、債務者の死亡・合併・分割
債務者の死亡

 根抵当権者の債務者が死亡すると、その根抵当権はどうなるのでしょうか?

事例1
ZはAのために根抵当権を設定した(根抵当権はA、設定者はZ)。この根抵当権の債務者はBである。その後、Bは死亡した。


 この場合、原則として、根抵当権は確定します。
 その理由は、個人が死亡した場合、根抵当権者がその相続人と継続して取引を行うとは限らないからです。
 これは当然ですよね。
 八百屋の親父さんが死んで、跡を継ぐ気のないサラリーマンの息子が、相続人として親父さんの取引を継続することは考えにくいです。
 しかし、場合によっては、関係当事者が取引の継続を願い、根抵当権の確定を好まないケースもあります。
 これも当然ありますよね。
 亡くなった八百屋の親父さんの跡を息子が脱サラして継ぐケースもありましょう。
 そのため、民法は、根抵当権者と設定者の間で合意により定めた相続人が、相続の開始後に負担する債務を担保するという仕組みを用意しました。
 つまり、事例1で、債務者Bの相続人である跡取り息子を、根抵当権者Aと設定者Zの間で、合意により定めていれば、債務者Bが死亡しても、根抵当権の継続使用が可能となります。
 なお、この合意は、相続開始から6か月以内に登記をしなければなりません。合意だけではダメです。
 もし、登記をしなかった場合は、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなされます。(民法398条の8第4項)
 なので、仮に6か月経過後に合意の登記をしても却下になります。なぜなら、相続開始の時に根抵当権はすでに確定しているからです。いったん確定してしまった根抵当権を、確定前の状態に戻すことはできません。

合意の登記をして取引を継続した場合に担保する債権

 合意の登記をすれば、債務者Bの死亡後も、根抵当権の取引を継続できることはわかりました。
 そして、合意の登記をした場合、根抵当権は以下の債権を担保します。

・相続開始の時に存する債務(被相続人=死亡した債務者Bの債務)
・合意による債務者(Bの跡取り息子)が、相続開始後に負担する債務

死亡した債務者Bの債務についての債権=x
跡取り息子の相続開始後の債務=y
x + y =合意の登記した根抵当権が担保する債権

債務者が法人の場合
ビル 会社
事例2
ZはAのために根抵当権を設定した(根抵当権はA、設定者はZ)。この根抵当権の債務者は(株)Bである。その後、(株)Bが(株)Cに吸収合併された。


 さて、この事例2の場合、根抵当権はどうなるでしょうか?
 結論。この場合、根抵当権は原則として確定しません。
 その理由は、会社が合併した場合、合併による存続会社と継続して取引を行うことが普通だからです。
 このケースでは、根抵当権は、つぎの債務を担保します。(民法398条の9第2項)

・合併の時に存する債務(株式会社Bの債務)
・合併後存続する債務者(株式会社C)が合併後に負担する債務

合併の時に存する債務(株式会社Bの債務)=x
合併後存続する債務者(株式会社C)が合併後に負担する債務=y
x+ y =根抵当権が担保する債務

 しかし、場合によっては、設定者Zが、取引の継続を嫌い、根抵当権の確定を望むケースもあります。(株)Bには義理があったが(株)Cの経営陣には義理がない、というようなケースです。
 そのため、民法は、設定者からの「元本確定の請求」という制度を用意しました。
 つまり、元本を確定させ「合併後存続する債務者=(株)Cが合併後に負担する債務」についての負担を免れさせる道もある、ということです。
 ただ、これはあくまでも、担保の負担をする設定者の利益のための制度です。なので、債務者からの確定請求という仕組みは存在しません。
 なお、元本確定の請求は、設定者が以下の期間内にすれば、根抵当権の元本は「合併の時」に確定したものとみなされます。
・根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から週間以内
合併の日から1か月以内
 上記のうち、どちらかの期間を過ぎてしまうと、設定者は、債務者の合併を理由とする「元本確定の請求」ができなくなってしまいます。

根抵当権者の合併

 こちらも、基本的は考え方は債務者合併のケースと同様です。(民法398の9第1項・4項・5項)
 以下に、簡潔に解説をまとめます。

・原則として元本は確定しない。
・しかし、設定者が合併後の根抵当権者に義理がないことがある。
・なので、設定者が元本確定の請求をすることができる。
・設定者が、次の期間内に確定請求をすれば、元本は「合併の時」に確定する。
・根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から2週間以内
・かつ、合併の日から1か月以内

 上記請求期間ですが、合併のあったことを知った日から2週間以内かつ合併後の日から1か月以内です。債務者死亡のケースよりも厳しくなっています。
 なお、この根抵当権者合併のケースでの考え方は、設定者が債務者を兼ねるケースでも該当します。合併したのは根抵当権者なので、設定者が合併による存続会社には義理がないケースはありうるからです。

会社分割の場合

 会社分割とは、1つの会社を2つに割るケースです。
 この場合、
分割前→(株)B
分割後→(株)B・(株)C
となります。
 (株)Bが自社を2つに割り、これを設立した新会社または承継会社である(株)Cに包括承継する(まるまる受け継がせる)仕組みです。
 このケースは、民法398条の10に規定されてます。
 そして、基本的な流れは、合併のケースとまったく同様です。
 ただし、会社分割の場合、元本確定請求がない場合の根抵当権の担保する範囲が合併のケースと異なりますので、この点のみ簡単に解説します。

1、根抵当権者の(株)Aが(株)Dに分割するケースでの根抵当権の担保する範囲
・分割の時に存する債権(株式会社Aの債権)
・分割後に株式会社A・Dが取得する債権

2、債務者の(株)Bが(株)Cに分割するケースでの根抵当権の担保する範囲
・分割の時に存する債務(株式会社Bの債務)
・分割後に株式会社B・Cが負担する債務


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。

【根抵当権の元本確定】考え方の基本/確定期日と確定請求/ 1・2・3・4号確定ってなに?

▼この記事でわかること
根抵当権の元本確定についての考え方
確定期日を定めた場合
確定請求の場合
1・2・3・4号確定
3号確定と4号確定の問題
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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根抵当権の元本確定

 ますはじめに、根抵当権の元本確定についての基本的な考え方は、根抵当権者の利益の保護ということにあります。
 どういうことかといいますと、例えば、銀行取引が債権の範囲である場合、銀行が、根抵当権により担保されるものと思って債務者に融資したところ実はすでに元本の確定事由が発生していた、というような場合には、この貸付金が無担保債権になってしまうからです。
 つまり、銀行に不測の損害を与える可能性があるからです。
 そこで、この可能性をいかに防止するかという点を考慮されます。
 それでは、元本確定について、わかりやすくパターン毎に解説して参ります。

元本確定期日を定めた場合

 この場合、その期日をもって元本確定します。
 そして、元本確定期日の登記をしていなくても合意の効力は生じます。
 また、元本確定期日の変更は可能です。(民法398条の6 1項)
 なお、元本確定期日は、その設定または変更の時から5年以内の範囲で定めなければなりません。(民法398条の6 3項)
 ちなみに、元本確定期日の変更は、その変更前の期日より前に登記しなければ、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定します。(民法398条の6 4項)
 つまり、令和3年12月22日が確定期日として登記されている場合、同年同月21日までにその変更の登記をしない限りは、たとえ当事者間で期日を延長する合意をしていたとしても、根抵当権は令和3年12月22日をもって確定します。

元本確定請求の場合

・設定者の元本確定請求
 確定期日の定めのない場合、設定から3年を経過すると、設定者は元本確定請求をすることができます。(民法398条の19 1項)
 これは、長期にわたる設定者の担保負担を防止する仕組みです。
 請求すると「その請求から2週間の経過」をもって確定します。(民法398条の19 1項)
 2週間の期間を置いてから確定する理由ですが、根抵当権者の不測の損害を防ぐためです。

・根抵当権者の元本確定請求
 確定期日の期日の定めのない場合、根抵当権者は、いつでも元本確定請求をすることができます。(民法398条の19 2項)
 これは、銀行が取引先を見放したケースです。根抵当権者の「請求の時」に確定します。(民法398条の19 2項)
 なぜ、この場合は「2週間の経過」という期間がないのかというと、銀行(根抵当権者側)が確定請求したので、銀行に不測の損害があるわけないですよね。なので、2週間の経過を待たず「請求の時」に確定するのです。
 なお、このケースでは、根抵当権者は元本確定登記を単独申請できます。
 通常は、根抵当権の元本確定登記は、根抵当権者を義務者、設定者を権利者として登記します。しかし、根抵当権者による確定請求の場合は、そもそも設定者は夜逃げしているかもしれません。
 したがって、このケースでは、例外的に根抵当権者は元本確定登記を単独申請できるとしているのです。

民法398条の20の確定事由

【1号確定】
 これは、根抵当権者が抵当権不動産につき、競売もしくは担保不動産収益執行または物上代位による差押えを申し立てたケースです。
 この場合、申立て時に確定します。
 ただし、これは、競売手続、担保不動産収益執行が開始しまたは差押えがあったときに限ります。
 なお、このパターンは根抵当権者が自ら競売等を申し立てた事例です。つまり、根抵当権に不測の損害はありません。
 したがって、申立て時に即座に確定します。

【2号確定】
 これは、根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたケースです。
 この場合、差押えの時に確定します。
 ちなみに、このケースでの滞納処分とは、相続税や固定資産税の滞納のことです。
 そして、このケースも1号確定と同様根抵当権者自らの差押えですが、2号確定では、債権者が国または地方公共団体になります。

【3号確定】
 これは、根抵当権者が、抵当不動産に対する競売手続の開始または滞納処分による差押えがあったことを知ったときの確定です。
 この場合、根抵当権者がその事実を知ってから2週間の経過で確定します。
 この3号確定パターンは、例えば、1番抵当権者が競売の申立てをして、その手続の開始を2番根抵当権者が知ったケースです。
 この場合、2番根抵当権は、根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始等を知った時から2週間を経過した時に確定します。
 この2週間という期間も、いきなり確定すると根抵当権者に不測の損害が生じる可能性があるためです。

【4号確定】
 これは、債務者または根抵当権設定者が、破産手続開始の決定を受けたときの確定です。
 この場合、開始決定の時に確定します。
 このケースは破産事件に進行するので、破産債権を打ち止めにする趣旨です。

3号確定と4号確定の問題
女性講師
 この2つの確定の場合、根抵当権者の関与がないままに根抵当権が元本確定してしまいます。
 そのため、これらの手続が滞ったときに、逆転ホームランで、根抵当権が元本確定しなかったものとみなされるケースが生じます。

・3号確定の場合
 競売手続開始または差押えの効力が消滅したときです。
 例えば、先の例(1番抵当権者が競売の申立てをして、その手続の開始を2番根抵当権者が知ったケース)で、1番抵当権者が申立てを取り下げた場合です。

・4号確定
 破産手続開始の効力が消滅したときです。
 ただし、ここで、さらに逆転ホームランを打たれる可能性もあります。
 というのは、根抵当権が確定したものとして、これを取得した第三者が現れた場合、その第三者の利益のために、やはり根抵当権の元本は確定となります。
 ちなみに、このケースでの「第三者」とは、整理回収機構のようなものと考えてください。もっとわかりやすく言えば、銀行の根抵当権の被担保債権を、不良債権処理のために買った人です。
 なお、この場合、根抵当権の元本が確定していれば、根抵当権は抵当権と化して、債権とともに第三者(整理回収機構)に移転します。
 しかし、元本が確定していないとみなされてしまえば、枠(確定前根抵当権)はピクリとも動かず銀行のものです。それでは困るので、再度の逆転ホームランがあるのです。
 なお、そのケースで、銀行(根抵当権者)は根抵当権の元本確定の登記を単独申請することができます。

【補足】
 1号確定か3号確定かがわかづらいものもあります。
 以下に2つのケースを挙げます。

・根抵当権についての転抵当権者が競売等を申し立てたケース
 この場合、根抵当権者は競売等を申し立てていません。
 申立てをしたのは、根抵当権の転抵当権者であり根抵当権者自身ではありません。 
 したがいまして、これは3号確定のケースとなります。

・共有根抵当権について共有者の一方が競売等を申し立てたケース
 この場合は、根抵当権者が競売等を申し立てています。
 したがいまして、これは1号確定のケースです。
 そして、申立てをした者以外の根抵当権の共有者がこれを知らなくても、根抵当権の元本は確定します。(共有根抵当について詳しい解説は「共同根抵当権と共有根抵当権~」をご覧ください)


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。

【根抵当権の減額請求&消滅請求】根抵当権減額請求の要件/根抵当権消滅請求できる一定の者とは?

▼この記事でわかること
根抵当権減額請求の超基本
減額請求するための要件
根抵当権消滅請求の超基本
根抵当権消滅請求ができる「一定の者」とは
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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根抵当権減額請求

 根抵当権減額請求は、根抵当権設定者の負担を軽減するための制度です。
 例えば、極度額が金3000万円の根抵当権が、金2000万円で確定した場合、もう新たな被担保債権が発生することはないですよね。そこで、この極度額の減額の請求を可能とし、設定者の負担を軽くするための制度を設けたという訳です。
 なお、共同根抵当権については、その複数の抵当不動産のうちの1個の不動産について請求すれば足りるとしています。(民法398条の21第2項)

根抵当権減額請求するための要件

・元本確定後に限る
 これは当然ですよね。取引継続中にできる話ではありません。

・根抵当権設定者が請求する
 債務者からの請求は認められません。債務者は担保負担者ではないからです。
 減額請求できるのは、あくまで担保負担者である設定者です。
 ただし、設定者と債務者が同じであれば可能です。
 この点はご注意ください。

根抵当権消滅請求

 元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときに、一定の者が、その極度額に相当する金額を払い渡しまたは供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができます。(民法398条の22第1項)
 これを、根抵当権消滅請求と言います。
 この場合、その払い渡しまたは供託は、弁済の効力を生じます。

 ところで、この根抵当権消滅請求という制度は、実は根抵当権者にとっては非常にありがたい制度です。
 というのも、我が日本国の競売制度は、時間と金がかかります。そして、手続が順調に進んだとしても、根抵当権者が優先弁済を受けられる範囲は極度額に限定されます。
 くわえて、競売手続の進行により、根抵当権は例外なく、裁判所書記官の嘱託により抹消されてしまいます。
 つまり、苦労して競売しても、いずれ根抵当権は消滅するのです。
 それを、一定の者の側から「極度額を今すぐ支払います」と言ってくれれば、たいがいそれは根抵当権者にはありがたい話と言えるのです。

「一定の者」とは

 根抵当権消滅請求ができる一定の者とは、以下になります。 

・物上保証人
・第三者得者
・地上権、永小作権、対抗力ある賃借権を取得した者

 対象となる抵当不動産についての上記の者が、根抵当権消滅請求をすることができます。
 また、上記の「対抗力ある賃借権」には、借地借家法の対抗要件を取得した賃借権者も含みます。(登記ある賃借権に限らないということ)
 なお、共同根抵当権については、1個の抵当不動産について消滅請求があったときに、根抵当権が消滅します。

補足:誰が根抵当権消滅請求できないか

 まず、債務者は根抵当権消滅請求することができません。
 債務者は、極度額を超える債務を負担している張本人です。なので、その全額を支払わなければ本旨弁済をしたとはいえません。
 債務者が根抵当権消滅請求をするためには、その全額を支払わなければならないのです。極度額だけで消せというのは何とも厚かましいというもんです。
 したがいまして、債務者兼設定者も、根抵当権消滅請求をすることはできません。
 次に、保証人も根抵当権消滅請求することができません。
 その理由は債務者と同じです。くわえて、保証債務は無限責任でもあります。
 その他、停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、根抵当権消滅請求することができません。


 というわけで、今回は以上になります。
 宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございます。

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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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