2021/04/14
▼この記事でわかること
・
取得時効とは・
時効制度の意味・
取得時効成立のための5つの要件(
20年間の占有、
自主占有等)
・
「自分の物」の時効取得は可能か?ドロボーは占有?・
短期取得時効について・
時効取得の様々な事例▽所有権以外の財産権の時効取得
・
賃借権が時効取得できる可能性?(上記クリックorタップでジャンプします)
今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、わかりやすく学習できますよう解説して参ります。
取得時効 取得時効とは、時効によって取得する制度です。
例えば、Aさんが甲土地、Bさんが乙土地を耕していて、甲土地と乙土地が隣接地(隣同士)だったとします。ある日、Aさんがズルをして土地の境界線をズラし、Bさんの乙土地にまでAさんの畑を広げて、さも自分の土地のように、乙土地の一部をAさんが使い続けます。それに対してBさんが何も文句を言わずに、または気づかずに20年間経過すると、Aさんはズルをして広げて使った部分の乙土地を取得します。

Aはズルして広げて使ってた部分を時効により取得!
つまり、Aさんはズルをして、境界線を超えて侵した部分の乙土地の所有権を、一定の要件を満たせば取得時効の制度により取得するのです。
ズルしてたのにマジで!?という感じですが、マジでこれが取得時効という制度です。
コラムは飛ばす
ちょっとコラム
~時効制度の意味~ 実は、時効制度の決定的な意味、その存在理由は、ズバッとハッキリとこれだ!というものはないと言われています。
え?そうなの? はい。そうなのです。なので、たとえ道徳的に考えて納得できなくても、これは理屈ではなく「そうなっているんだ」と強引に頭にぶち込んでしまってください。
ただ、よく言われることとしては、次のようなものがあります。
冒頭に挙げた、越境して隣人の土地を侵して使用していたヤツの例で言えば
「何も文句を言わなかった方が悪い」という理屈も成り立ちます。
つまり、ズルして土地の境界線を超えて乙土地を侵して使っていたAに対して
「何も文句を言わなかったBも悪い」
または「気づかなかったBも悪い」
ということです。
これを
「権利の上に眠る者は保護に値しない」と言ったりします。
つまり「
文句を言う権利があるのにその権利を行使しなかったヤツ自身の責任だ!」となるのです。

ただ、この理屈だと「借金を踏み倒すために文句を言う暇もなく逃げ続けるヤツ」も肯定してしまうことになってしまいます。
他にも「長い年月が経ってから権利関係を立証するのは難しいから」という理屈もありますが、長い年月が経過しても明確な証拠があってしっかりと立証できる場合はどうなんだ?という反論も成り立ちます。
ということなので、考えれば考えるほどドツボにハマっていきます。
ですので、繰り返しますが、これは理屈云々ではなく強引に「そうなっているんだ」と覚えてしまってください。
う~ん、でも... あと付け加えるなら、おそらく時効という制度の存在理由は、
実務的な意味も大きいのではないかと思います。
あまりに昔の事を持ち出されて訴訟だなんだと騒がれても、裁判所も困ってしまいますよね。
ましてや裁判というのは時間がかかります。
そんな案件がどんどん出てきてしまうと、裁判所がごった返してしまいます。
それは法的安定性を阻害することにもなります。
したがって、一律に〇〇年で時効!それで文句言いっこナシ!としているのではないかと考えられます。
さて、話を戻しますね。 この取得時効についての民法の条文はこちらです。
(所有権の取得時効)
民法162条
二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。 この民法の条文の中に、時効取得するための
要件が5つ記されています。
・20年間
・自主占有(所有の意思を持って占有すること)
・平穏
・公然
・他人の物の占有
これらの要件を満たしたときに、取得時効が成立します。
なお、
占有とは、自分の物だと思って物を事実上支配する状態のことです。我が物顔で所有(使用)する、みたいなイメージですね。
以上を踏まえた上で、最初に挙げた例に当てはめると、Aが
20年間所有の意思を持って
平穏・公然に
B所有の乙土地を占有(他人の物の占有)すれば、
取得時効が成立し、Aは乙土地の
所有権を取得するということです。

Aは
・20年間
・所有の意思を持って
・平穏に
・公然に
・「ズルして広げた使ってた部分」=「B所有の乙土地」を占有(他人の物の占有)すれば
取得時効が成立し、Aは乙土地(ズルして広げた使ってた部分)の所有権を取得することができる、という訳です。
さて、ではここから、上記の5つの要件について具体的に解説して参ります。
取得時効成立のための5つの要件20年間の占有 20年間というのは、
継続した20年間です。
もし20年間の途中で、
一日でも占有が途切れていたらアウトです。取得時効は成立しません。
ちなみに、誰かに
賃貸したとしても、
占有は継続します。(つまり賃貸はセーフ)
根拠となる民法の条文はこちらです。
(代理占有)
民法181条
占有権は、代理人によって取得することができる。 上記、民法181条の規定により、冒頭に挙げた例で、Aが越境して占有した乙土地をCに賃貸しても、Aの占有は継続します。(
間接的な占有)

Cに貸していたとしてもAの占有は継続する!
占有の継続はどうやって証明するの? 占有の継続については、民法186条2項で規定されています。
民法186条2項
前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。 これは、つまり「占有を
開始した時の占有」と「
現在の占有」を証明すれば、その間の期間の占有は、
法律的に推定されるのです。
法律的に推定されるとは、法律が「まあええんちゃう?」と認めてくれるということです。
占有開始時 → 途中期間 → 現在
↑ ↑ ↑
証明 ええんちゃう? 証明
なので、例えば、20年間継続して占有し続けたことを証明するために、20年間欠かさず日記をつけて証明しなければならない、なんてことはないのです。
ただ、これはあくまで「推定」であり「みなす」ではありません。※
ですので、最初に挙げた例で、
Bが「Aの占有が途中で途切れたこと」を証明できれば、Aの時効取得を阻止できます。
逆に言えば、
Bが「Aの占有が途中で途切れたこと」を証明できない限り、Aは勝ちます。※「推定」は、後で結果をひっくり返せる可能性があります。「みなす」は、後で結果をひっくり返すことができません。
したがって、Bが「Aの占有が途中で途切れたこと」を証明できなければ、Aの継続した20年間の占有は確定しますので、裁判の現場ではAが断然有利でしょう。
自主占有 自主占有とは「所有の意思」を持った占有です。
所有の意思を持った占有とは「オイラのモノだ!」という意思で占有することです。
所有の意思の有無の判断は、
個人の主観ではなく権原の性質により客観的に行われます。 どういうことかと言いますと、例えば、Aさんがマンションの一室を借りたとします(不動産賃貸借)。この場合の「権原」は
賃借権(借りて使う権利)になります。所有権ではありません。そして、賃借権による占有は
「他主占有」になります。ということは、Aさんはあくまでマンションの一室を借りて住んでいるだけで「オイラのモノだ!」という意思で占有している訳ではありませんよね?
したがいまして、Aさんがマンションの一室を借りて20年間占有し続けても、Aさんの所有物にはなりません。

繰り返しますが、Aさんが借りたマンションの一室に対して持つ権利の「権原の性質」は
賃借権(借りて使う権利)で、賃借権による占有は自主占有ではなく
他主占有になります。
なので、いくらAさんがそのマンションの一室を20年間占有し続けたとしても、そのマンションの一室の所有権を取得することはありません。
ちなみに、こんな場合はどうでしょう。
もしAさんが、
借りた家を自分の家だと勘違いして20年間住み続けたら? 結論。それもダメです。なぜなら
「所有の意思」は客観的に判断されるからです。
平穏と公然 この2点は試験等ではほとんど問われないと思います。
一応、簡単に解説しておきますと、無理矢理に奪った訳ではなく(平穏)、コソコソとせず堂々(公然)と占有すればOK!ということです。
ここはさらっと流して深く考えないでください(笑)。
他人の物の占有 これは簡単ですね。読んで字の如く、他人の物を占有することです。
補足1 取得時効成立のための要件の一つとして「他人の物の占有」とありますが
「自分の物」の時効取得は可能なのでしょうか? 自分の物を時効取得、といってもピンと来ませんよね。
例えばこうです。AがBから甲不動産を買って占有を始め、その後、長期間経過してから、AB間の甲不動産の売買の効力が争われたようなケースです。
この場合、Aは買主としての地位を主張する訳ですから、甲不動産はAにとってあくまで自分の物です。
結論。
自分の物の時効取得は可能です。
今挙げた例だと、Aは甲不動産を時効取得できます。これは判例により、このような結論が下されています。
なぜ、判例がこのような結論かというと、例えば、甲不動産の買主のAが、長い年月の経過により売買契約書などを紛失していたらどうでしょう?そのような
売買の立証が困難な場合に、買主Aのような人間を救済するために、裁判所の判断でこのような結論になっているのです。
補足2
実はドロボーの占有は
自主占有になります。
マジで? マジです。なぜなら、ドロボーは「誰かのために占有している」訳ではありません。
一方、賃借権(借りて使う権利)の場合は、あくまで「誰かのために占有している」ことになるので、他主占有なのです。この点はご注意ください。
短期取得時効 取得時効の成立のためには、20年間の占有が必要です。(民法162条)
しかし!実は20年という期間を経ずに、時効取得できるケースもあります。
それは一体どんなケースなのか?まずは事例をご覧ください。
事例1
農家Aは甲土地を、農家Bは乙土地を耕していて、甲土地と乙土地は隣接地だった。Aは善意にかつ過失なく土地の境界線を超えて、自分の畑を乙土地にまで広げて10年間耕し続けた。 さて、この事例1で、Aは境界線を超えて耕し続けた乙土地を時効取得できるでしょうか?
結論。Aは境界線を超えて耕し続けた乙土地を時効取得します。
え?占有期間が足りなくね? そんなことはないのです。なぜなら、Aは
善意(それとは知らず)・無過失(落ち度が無い)だからです。
根拠となる民法の条文はこちらです。
(所有権の取得時効)
民法162条2項
十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。 そうなんです。なんと、この民法162条2項により、
占有開始の時に善意・無過失であれば、
10年間の占有で時効取得できてしまいます。
つまり、善意(それとは知らず)・無過失(落ち度がない)の占有であれば、20年間もいらないのです。
これが
短期取得時効です。
したがいまして、善意・無過失で境界線を超えて、B所有の乙土地を10年間耕し続けた(占有し続けた)Aは、乙土地を時効取得します。
ただ、
無過失(落ち度が無いこと)の立証はA自身で行わなければなりません。その点だけはAが頑張らなくてはならない部分です。
逆にBは、Aが無過失を立証できなければ、越境された乙土地を10年間で時効取得される、という事態を防ぐことができます。
なお、念のため申し上げておきますが、Aがさらに10年間、つまり20年間乙土地を耕し続けたら、Aの善意悪意・過失の有無に関わらず、Aは乙土地を時効取得します(通常の取得時効)。その場合は、Bが裁判を起こしてAの過失(落ち度)を立証しても、Aに「時効を援用します(時効の権利の行使)」と言われればアウトです。
では続いて、次のようなケースはどうでしょう?
事例2
売主Aは買主Bに甲土地を売り渡した。その後、Bは甲土地をCに転売した。その後、AはAB間の甲土地の売買契約の錯誤無効※を主張し、Cに対し甲土地の返還を求めた。※錯誤についての詳しい解説は「
錯誤の超基本~」をご覧ください。
あれ?時効のハナシ出てきてなくね? はい。これはまだフリなのです(笑)。すぐに出てきますので少々お待ちください。
さて、この事例2のCは、Aからの甲土地の返還の求めに応じなければならないのでしょうか?
売却 売却
A → B → C
↑
↑ 錯誤無効
甲土地を返せ!
A主張 もし甲土地の売買契約の錯誤無効が認められれば、AB間の売買契約は初めから無かったことになるので、AB間の売買契約の存在が前提に成り立っているBC間の売買契約も、無効のものとなってしまいます。すると、甲土地に住むCは、ただの
不法占拠者となってしまいます。
このように考えていくと、Cはもはや、Aに甲土地を返還するほかないですよね。
しかし!Cにはまだ奥の手が残されています。
そう、それが
取得時効です。
Cが
善意・無過失なら10年間の占有で甲土地を時効取得することができます。
その際に、もしAが裁判を起こし、錯誤無効を主張して甲土地の返還を求めてきても「時効を援用します(時効の権利の行使)」とCが言えば、Cの勝ちです。Cは甲土地を返還する必要はなく、甲土地はCの物です。
さらに、この
事例2では、事例1のケースよりも占有者にとって有利な力が働きます。
というのは、事例1のケースでは、占有者は善意・無過失とはいえ、越境行為によって土地を占有しているのに対し、事例2の場合、占有者(Cのこと)は
取引行為によって土地を手に入れております。取引行為の場合は、民法188条「占有者が占有物について行使する権利は、
適法に有するものと推定する」により、
占有者の無過失の推定が働きます。無過失の推定が働くとは、法律的に勝手に「それって無過失なんちゃう?)」と認めてくれるということです。
つまり、事例1とは違い、占有者のCは、
無過失の立証を自らで行う必要がありません。(自分から無過失を証明しなくてOKということ)
これはCとしてはかなり助かりますよね。
逆にAは、Cの過失を立証できなければ甲土地を返してもらうことができません。(Aの方からCの過失を証明できないとダメ!ということ)
時効取得の様々な事例 ここからは、時効取得の様々な事例をご紹介するとともに、その解説をして参ります。
事例3
売主Aは買主Bに甲不動産を売り渡した。しかし、売主AはCにも甲不動産を二重譲渡し、Cは登記をした。その後、Bは甲不動産を占有し続けた。
この事例3は、不動産の
二重譲渡のケースです。
さて、不動産の所有権争いは登記したモン勝ちです。(不動産の二重譲渡についての詳しい解説は
「【不動産登記の基本】二重譲渡~登記は早い者勝ち」をご覧ください)。
したがって、通常の二重譲渡のケースとして考えればCの勝ちですが、この事例3では、Cが登記した甲不動産をBが占有し続けています。
という訳で、ここからが本題です。
Bはこのまま占有し続ければ、甲不動産を時効取得できるでしょうか? 結論。
Bは甲不動産を時効取得できます。 なお、Bが甲不動産を時効取得すると、Cは初めから甲不動産の所有者ではなかったことになります。つまり、
Bが元から甲不動産の所有者だったことになります。
時効へのカウントはどこから開始するのか?時効期間の起算点 Bが甲不動産の
占有を開始した時です。
事例4
売主Aは買主Bに甲土地を売り渡した。甲土地は農地で、Bは農地以外への転用目的で甲土地を購入したのだったが、農地法5条の許可申請を行なっていなかった。
いきなり農地法5条といっても、ピンと来ませんよね。
農地を農地以外で利用すること、つまり、農地の
利用目的を変更することを
農地転用と言いますが、農地転用を行う際には
農地法4条の許可(届出)が必要になります。
農地の
所有者を変更する際には、
農地法3条の許可(届出)が必要になります。
所有者と利用目的の両方を変更する場合には、
農地法5条の許可(届出)が必要になります。(この辺りの知識は宅建試験において「法令上の制限」分野で必須になります)
俗に
3条許可とか
5条許可とか言ったりします。
話を戻します。
では、この事例4で、
買主Bは甲土地を時効取得できるでしょうか? 結論。Bは甲土地を時効取得できます。
甲土地の引渡しを受けた時からBの自主占有が開始した、と判断されます。
事例5
Aは、長期間、公共の目的に供用されることなく放ったらかされた公共用の不動産を占有し続けた。 さて、この事例5のAは、
占有し続けた公共用の不動産を時効取得できるでしょうか? 結論。なんとAは、
占有し続けた公共用の不動産を時効取得できます。
これはちょっとビックリですよね。これは判例で「公の目的が害されず、その物を公共用財産として維持すべき理由がなくなったときは、黙示の公用の廃止があったものとして」時効取得できるとしています。
理屈はともかく、判例でそのような結論になっているということだけでも覚えておいていただければと存じます。(この辺りの知識は行政書士試験や公務員試験の「行政法」分野で求められます)
事例6
AはBの所有地になんの権利もなく自己所有の樹木を植栽し、そのまま所有の意思を持って平穏・公然と20年間占有した。 さて、今度は少し変わった事例ですが、この場合にAは立木(植栽した樹木)の所有権を時効取得できるでしょうか?
結論。Aは立木の所有権を時効取得できます。
このケースは、参考までに頭の片隅にでも入れておいていただければ結構です。
所有権以外の財産権の時効取得賃借権も時効取得できる可能性あり? ここまで解説してきました取得時効は、すべて所有権の時効取得についてのものでした。
それでは、所有権以外の権利、
賃借権は時効取得できるのでしょうか?
あれ?賃借権は時効取得できないんじゃ? はい。そのとおりです。
しかし!なんと賃借権が時効取得できる可能性があるのです。
まずは、所有権以外の財産権の取得時効についての民法の条文をご覧ください。
(所有権以外の財産権の取得時効)
民法163条
所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。 上記、民法163条により、所有権以外の財産権も時効取得できる旨が規定されています。
では「所有権以外の財産権」には一体どんなものがあるのでしょう?
・債権・占有権
・用益物権(地役権、地上権、永小作権、入会権など)
・担保物権(抵当権、留置権、質権、先取特権)
・知的財産権(特許権、実用新案権、著作権など)
・身分権
これらは「所有権以外の財産権」になります。
あれ?賃借権なくね? そんなことはありません。賃借権は
債権の一種です。
それでは民法163条により、
賃借権は時効取得できるのでしょうか?
まず、その問いに答える前に、申し上げておかなければならないことがあります。
それは、
占有を伴わない財産権は時効取得できないということです。
そりゃそうですよね。時効取得するためには10年間ないし20年間の占有が必要ですから。
となると賃借権は?
まず、債権は取得時効の対象にはなりません。
じゃあ債権の一種の賃借権もダメなんじゃ... ところが、判例では、なんと債権の中でも
不動産賃借権は
時効取得でき得るとしています。
不動産賃借権とは、我々が不動産賃貸借契約を結んで不動産を借りたときに取得する権利です。
学生がアパートの一室を借りて住んでいたら、その学生はその借りて住んでいるアパートの一室の賃借権という権利を持っています。これが不動産賃借権です。
実は、
不動産賃借権は民法や借地借家法で
「対抗力のある物権」のように扱われます。
つまり、不動産賃借権は、
ほぼ物権なのです。
そして不動産賃借権は、賃借している
不動産の占有を伴っています。
したがいまして、判例は不動産賃借権は時効取得し得るとしているのです。
という訳で、ここまで引っ張ってきましたが、
不動産賃借権は時効取得できる可能性あり!ということです。
不動産賃貸借以外に時効取得できる財産権 不動産賃借権の他にも、所有権以外で時効取得できる財産権はあります。
それは、
用益物権のうちの地役権・地上権・永小作権です。
それ以外には、担保物権のうちの質権、知的財産権のうちの著作権は、取得時効成立の
余地があると考えられています。(著作権の占有?という感じもしますが...ここは流してください)
以上、補足で記したことは、予備知識としてなんとなく頭の片隅の片隅にでも入れておいて頂ければで結構です。
というわけで、今回は以上になります。
宅建試験や行政書士試験や公務員試験などの民法の学習、独学、勉強、理解の助力としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。