カテゴリ別項目一覧

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民法は私達の生活に直結している~この世の中は契約社会~
諾成・要式・要物契約~口約束でも成立?書面が必要な契約は?
賃貸借と使用貸借と贈与~有料と無料の貸し借り?贈与契約はナシにできる?
消費貸借(金銭消費貸借)~賃貸借との違い~お金と物の貸し借りはどう違う?
請負と委任~違いは?請負の解除?業務委託契約の注意点
寄託契約~物の一部滅失?解除は?第三者が出現?混合寄託と消費寄託?
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諾成・要式・要物契約~契約は口約束でも成立する?書面が必須の契約は?

▼この記事でわかること
諾成契約とは
要式契約とは
要物契約とは
13種類の典型契約
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者でもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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諾成契約

 コンビニでモノを買うのも契約です。その契約は売買契約になります。
 そして、売買契約は諾成契約です。
 諾成契約とは、口約束だけでも成立する契約です。
 したがって、売買契約という諾成契約は、買主が購入の申し込み(これ買います)をし、売主が申し込みの承諾(それ売ります)をした時、成立する契約になります。
 契約の流れは以下になります。

買います

売ります

お金を支払う

物を引き渡す


 これが契約の流れです。そして、契約成立時購入の申し込みの承諾時です。
 つまり、上記の「売ります」の時点で、契約が成立します(諾成契約)。
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 さて、ここで「あれ?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 そうです。諾成契約には、契約書もいらないのです。それが諾成契約なのです。
 つまり、契約というものは、口約束だけでも民法上は成立してしまうのです。
 もちろん、現実を考えたとき、例えば、企業間取引等で口約束だけで決めることはほとんどないでしょう。きちんと書面を交わした上で契約をしておかないと、後々に疑義が生じたとき、言った言わないの水掛け論になってしまいますから。
 ですので、当然のことながら、トラブル防止のためにも、きちんとした書面は必須なのです。
 しかし、民法上の原則として、口頭のやり取りだけでも契約は成り立ってしまう、ということは覚えておいてください。
 そして、契約には、諾成契約以外の契約もあります。

要式契約

 要式契約は、前述の諾成契約とは違い、書面なり一定の方式を経ないと成立しない契約です。
 例えば、保証契約がまさにこの要式契約にあたります。民法446条2項に明確な規定があります。

民法446条2項
保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。


 つまり、誰かに保証人になってもらうとき、誰かの保証人になろうとするときは、口頭の合意だけではダメで、書面を交わさなければならない、ということです。
 もし、口約束だけの保証契約でトラブルになっている方は、そもそも、その保証契約は法的に成り立っていませんので、ご注意ください。
 「形式」を「要する」契約→要式契約
 こんなイメージで覚えると記憶しやすいと思います。

要物契約

 要物契約とは、契約対象の物の引き渡しがあって初めて成立する契約です。
 例えば、民法改正前の旧民法では寄託契約が、この要物契約にあたりました。
 いきなり寄託契約と言われてもピンと来ないと思いますが、寄託契約とは、物を預ける契約です。倉庫に物を預けて保管してもらったりするアレです。
倉庫
 民法改正前の旧民法では、倉庫に物を預けて保管してもらう契約は、実際に物を預かってもらって初めて成立する契約だったのです。
 「物」を「要する」契約→要物契約
 こんなイメージで覚えてみてください。
 そして民法改正を経た現在では、この寄託契約は互いの合意のみで成立する諾成契約となりました。書面もいりません。
 したがいまして、物を預けて保管してもらう契約(寄託契約)は、口約束だけで成立します。
 
寄託契約についての補足

 倉庫に物を預けるとき、実は契約のパターンが二つあります。
 ひとつは、先ほど解説した寄託契約。そして、もうひとつは賃貸借契約です。
 え?どゆこと?
 わかりやすく簡単に言いますと、こうです。
 寄託契約の場合は、物を預かって保管してもらう契約です。一方、賃貸借契約の場合は、倉庫自体を借りて自ら保管する契約になります。
 当然、どちらになるかにより、料金が異なるのはもちろん、物の保管に関する責任の帰属関係も変わります。
「責任の帰属関係が変わる」というのは、例えば、保管物に何かあったときに、誰が責任を持つのか(その原因の問題はここでは省きます)、あるいはその責任の度合い、といったものが変わるのです。
 倉庫に物を保管するといった契約をされる場合は、事前にこのあたりの契約内容を、よく確認しておくことを推奨します。

~おまけ~
13種類の典型契約


互いの意思表示だけで成立する諾成契約
書面なりの一定の形式が必要な要式契約
物の引き渡しがあって成立する要物契約

 上記の分類は「契約の成立」という観点でカテゴライズされたもので、ここまで解説してきた内容になります。
 ところで、民法上の契約というもの自体は、13種類の類型が存在します。そして、その13種類の契約が、それぞれ諾成契約だったり要式契約だったりするのです。
 では、一体どんな契約があるのか?
 以下、民法上の13種類の契約の典型です。

・移転型
売買契約 贈与契約 交換契約
・利用型
消費貸借契約 使用貸借契約 賃貸借契約
・労務型
雇用契約 委任契約 請負契約 寄託契約
・特殊型
組合契約 終身定期金契約 和解契約

 以上が、民法上の13種類の典型契約になります。
 13種類の契約は、移転型、利用型、労務型、特殊型、というように、四つのグループに分けることができます。
 宅建試験や行政書士試験において扱われる契約は、主に移転型利用型になり、労務型と特殊型は、あまり出題の対象にはなりません(委任、請負、寄託に関しては多少出ます)。
 この移転型、利用型、労務型、特殊型というグループ分けは、とりあえず「そういった分類がある」ということだけ、何となく覚えておいていただければ、それで結構です。

賃貸借と使用貸借と贈与~有料と無料の貸し借りは違う?贈与契約はナシにできる?

▼この記事でわかること
賃貸借契約とは
使用貸借契約とは
贈与契約とその解除
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者でもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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有料の貸し借り~賃貸借契約

 これは、物の貸し借りの契約です。
 アパートやマンションを借りて住む不動産賃貸借は、まさに賃貸借契約です。
賃貸人(家主・大家・オーナー)の所有する家を、賃借人(借りて住む人)が賃料(家賃)を払って住む」
という、賃貸借契約になります。
 他にも、CDのレンタルやレンタカーも賃貸借契約です。これもイメージし易いのではないでしょうか。
※ちなみにお金の貸し借りは消費貸借契約(金銭消費貸借契約)と言い、賃貸借契約とはまた少し異なります。これについて詳しくは「消費貸借(金銭消費貸借)~賃貸借との違い~お金と物の貸し借りはどう違う?」へ

無料(タダ)の貸し借り~使用貸借契約

 物の貸し借りの契約である賃貸借契約には、賃料(お金)が発生します。
 しかし、現実には、お金の発生しない賃貸借、つまり、無料(タダ)の貸し借りも存在しますよね。
 お金の発生しない賃貸借。これは民法上、賃貸借契約とは言わず、使用貸借契約と言います。
 要するに、タダで物を貸し借りする契約です。
図書室素材103
 さて、ここでひとつ、注意点があります。
 なんと、賃貸借契約も使用貸借契約も
 借ります→貸します
で成立する、諾成契約になります。
 これはちょっとビックリしません?だって極端なハナシ、口約束だけでも家を借りることができる訳ですよ?
 もちろん、現実には賃貸借契約書を交わす事がほとんどですが。
 ただ、知り合いから直接貸してもらい、その際になんの書面も交わしていなかった、という事は現実にもあるかと思います。もちろん、たとえ知り合い同士の仲での事だとしても、そのようなやり方はオススメいたしません。絶対にトラブルの原因になりますから。
 注意していただきたいのは、売買契約賃貸借契約使用貸借契約諾成契約なので、口約束だけでも成立してしまう、ということです。
 ですので、後々に何かでモメて、書面もサインもハンコもないからそんな契約は無効だ!とは言えないのです。口約束でも、諾成契約として法的に成立するからです。
 だからこそ、きちっとした書面を交わす事がとても大事なのです。
 
物をあげる契約~贈与契約

 贈与というのは読んで字の如く、物を贈る行為ですよね。つまり、贈与契約物を贈る契約です。
 これも契約なんですね(一定額以上の贈与には贈与税という税金もかかる)。
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 そして贈与契約も、口約束だけで成立してしまいます。
 つまり、
 あげます→もらいます
で成立する、諾成契約になります。
 ただし、贈与契約の場合は、若干違う規定がプラスされています。

民法550条
書面によらない贈与は、各当事者が撤回できる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。


 つまり、口約束だけの贈与契約は「この前贈るって言ったあの話やっぱナシ!」とできるのです。
 ちなみに、条文の「履行の終わった部分」というのは「あげちゃった部分・もらっちゃった部分」という意味です。
 つまり「一万円あげるね」と口約束して「とりあえず2千円だけ渡しておくね」となっていた場合、すでにあげてしまった2千円についてはどうにもなりませんが、残りの8千円については約束を取り消せる、という事です。
 贈与契約も諾成契約ですが、贈与に関しては、民法は若干慎重な規定を置いています。
 もし、この慎重な規定がなかった場合、ついその場のノリで「俺の車オマエにやるよ!」といった贈与も、撤回できなくなってしまいます※。
 いくらこの世の中が契約社会だといっても、さすがにそれはマズイですよね。ただ、すでにあげちゃったもの、もらっちゃったものについては、たとえ口約束だとしても、撤回できませんので、ご注意願いたいと思います。
※このような場合、民法には心裡留保という規定が別途ございます。それについて詳しくは「心裡留保の超基本~」をご参照ください。

消費貸借(金銭消費貸借)と賃貸借~お金と物の貸し借りはどう違う?/消費貸借のメリットと成立要件

▼この記事でわかること
消費貸借契約とは
賃貸借との違い
消費貸借のメリット
消費貸借契約の成立要件/解除/期限前弁済と損害賠償
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者でもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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消費貸借契約

 有償(つまり有料)で物を貸し借りする契約は、賃貸借契約になります。
 無償(つまりタダ)で物を貸し借りする契約は、使用貸借契約になります。
 では、お金の貸し借りは何契約でしょう?
 実は、お金の貸し借りは、賃貸借契約でも使用貸借契約でもありません。
 お金の貸し借りは、消費貸借契約というものになります。特にお金の貸し借りは、金銭消費貸借契約と言われます。
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賃貸借契約との違い

 賃貸借契約と消費貸借契約の違いを説明すると、賃貸借契約の場合「お金を払って物を借りて使って返す」ということになりますが、消費貸借契約の場合は、お金を払って物を借りて「消費」して消費した分を返す、ということになります。
 これではなんだかよくわかりませんよね(笑)。もう少し簡単に噛み砕いてわかりやすく解説します。
 賃貸借契約の場合は

 物を借りる→借りた物を使う→借りた物を返す

となります。
 それでは、消費貸借契約の場合はどうなるでしょう?
 お金で例えるのがわかりやすいので、金銭消費貸借契約で説明すると

 お金を借りる→お金を使う→使ったお金を返す

となります(利息に関しては説明をわかりやすくするために省きます)。

消費貸借契約は「価値」を貸し借りする契約

 お金を借りたら、借りたお金は返しますよね。当たり前の話です。
 さて、ここでよく考えてみてください。
 家を借りたら借りた家を返しますが、お金の場合は「借りた分のお金」を返します。
 例えば、友達から1万円を借りたとしても、返す時は実際、友達から受け取ったその1万円札自体を返す訳ではないですよね。受け取った1万円札と同じ価値分の金銭を返しますよね。つまり、1万円を借りて1万円札を受け取っても、返すときは、変な話100円玉100枚で返しても良い訳ですよね。まあ、そんな返し方をしたら相手は嫌がるでしょうが(笑)。
 以上が、賃貸借と消費貸借の違いです。
 繰り返しますが、賃貸借物を貸し借りする契約で、消費貸借は、いわば価値を貸し借りする契約です。
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消費貸借のメリット

民法587条
消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。


 上記の条文だけでは、今一つピンと来ないかもしれませんが、要するに、借りた物そのものを返すのではなく「種類、品質および数量の同じ物」を返すのが、消費貸借契約ということです。
 つまり、貸した側は、貸した物そのものを返してもらう必要がないので、借りた側は、借りた物を賃貸借や使用貸借よりもっと自由に使える、というメリットがあります。
 もちろん、貸した側にもメリットがあります。お金を貸した場合は、利息分を加算した額を返してもらうことで利益を得られます。

消費貸借契約の成立要件と解除

 消費貸借契約は、書面によることを要件として、合意のみで成立します(契約書等の書面を交わすことを前提に口約束で成立する)。
 消費貸借契約の解除については、借主が金銭の交付を受ける前であれば、借主はいつでも契約を解除できます(これは借主に借りる義務を負わせない趣旨)。
 この場合に、貸す側である貸主に損害が発生するときは、貸主は損害賠償請求ができますが、その請求は限定的な場面でのみ可能です。
 例えば、相当の調達コストがかかる高額融資のケースでは、損害賠償請求が可能です。しかし、消費者ローンなど少額多数の融資では、借主の契約解除による損害はまずないので、損害賠償請求は難しくなります。

借主の期限前弁済(約束してた期日よりも早く返すこと)と損害賠償

 借主は、返還時期の定め(「いついつに返す」という決まり)があっても、その返還時期の前に、貸主に対して、いつでも返還をすることができます。
 この場合に、貸主は借主に対し、損害賠償を請求することができますが、その請求は限定的な場面でのみ可能となります。

請負と委任の違い/請負の中途解除と担保責任について/業務委託契約の注意点は何か

▼この記事でわかること
条文から見る請負と委任
請負契約とは
委任契約~法律行為の委託ってなに?
請負契約と委任契約の一番の違い
請負契約の中途解除について
請負人の担保責任について
業務委託契約の注意点
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者でもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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条文から見る請負と委任

 請負は、仕事の完成を約す(約束する)契約です。
 委任は、法律行為を行うことを約す契約です。
 これだけではよくわかりませんよね。
 委任と請負、似て非なるこの契約の違い。まず、委任と請負に関する、民法の条文を見てみましょう。

(請負)
民法632条
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。


(委任)
民法643条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。


 これでも今ひとつピンと来ませんよね。ここから詳しく解説していきます。
 実は、請負と委任では、かなり重要で大きな違いがあるのです。

請負契約

 請負は、仕事の完成を約す契約なので、請け負った仕事が完成して初めて契約の履行が達成されたことになります。
「契約の履行」というのは「約束を果たす」という意味です。
 つまり、請負契約を建築工事で例えると、家を建てたいと考え、工務店に建築を依頼したとします。家の建築を請け負った工務店は「家を完成させること」義務付けられます。請負契約は、仕事の完成を約す契約ですので、家が完成して初めて報酬が発生します。※
※実務上は手付金とか中間金とか完成途中で支払いが発生する事が多い
 これに対して委任の場合は、あくまで法律行為をすることを委託するだけなので、請負のような「仕事の完成の義務」は発生しません。
工事中
委任契約~法律行為の委託って何?

 法律行為の委託のわかりやすい例として、司法書士の不動産登記があります。
 不動産を購入すると登記をしますが、不動産の登記については司法書士が行いますよね。この「不動産登記を司法書士にやってもらうこと」が、まさしく法律行為の委託、すなわち委任になります。
 法律行為以外の委託はないの?
 もちろんあります。先の不動産の例ですと、家や土地を買いたい・売りたい、というときは、不動産業者に物件を探してもらったり、買主を探してもらったりしますよね。これは媒介と言われるもの(媒介契約)なのですが、この媒介契約は「法律行為以外の委託」になり、委任契約ではなく、準委任契約というものになります。

請負契約と委任契約とでは責任の重さが違う

 請負契約と委任契約の一番の違い、それはズバリ
「仕事の完成の義務を負うかどうか」
ここです。
 つまり、請負契約の方が責任が重くなります。

請負契約が中途で解除された場合
仕事が完成できなくなった場合


 請負契約は、仕事の完成を約す契約です。なので請け負った仕事が完成して初めて、契約の履行が達成された(約束が果たされた)ことになり、報酬が発生します。
 では、例えば、注文者Aから工事を請け負った業者Bが、まだその請負工事を完成させる前に、その請負契約が解除されてしまった場合や、業者Bの請負工事の完成ができなくなった場合は、注文者Aから業者Bに支払われるはずだった報酬は、一体どうなるのでしょうか?
 このような場合、中途の結果のうち可分な部分によって、注文者が利益を受けるときは、請負人は、その利益の割合に応じて報酬の請求をすることが可能となっています。
 これはどういう意味かと言いますと、その工事がまだ完成途中でも、その段階でも注文者Aが利益を受けるのであれば、その利益の割合に応じた報酬を、業者Bは注文者Aに対して請求できる、ということです。
 なお、仕事が完成できなくなったことについて、注文者に帰責事由があった場合は、報酬の全額を請求できます。
 つまり、請負工事が完成できなくなった原因が注文者A側にあった場合は、業者Bは注文者Aに対して、本来支払われるはずの報酬全額分を請求できるということです。
建設現場
請負人の担保責任

 建物の建築を依頼され、請負人が建物を完成させたが、その建物に不具合が発見されたような場合は、どうなるのでしょう?
 このような場合、注文者は請負人(建築を依頼した業者)に対して、以下4つの請求ができます。
1・修補等の履行の追完(不具合を直してちゃんと完成させろ!)
2・損害賠償請求(不具合は損害だ!金払え!)
3・契約の解除(この建築請負契約はナシだ!)
4・代金減額請求(不具合の分だけオマエに支払う代金(報酬)を安くしろ!)

 これらは、請負人の担保責任の追及というものなのですが、この請求は、契約に適合しないことを知ってから(不具合を発見してから)1年以内に、その旨の通知が必要です。
 ちなみに「通知」というのは、わかりやすく簡単に言えば、相手方への「お知らせ」みたいなもので、請求の簡易版だと思ってください。
 請求が「金払えコラ」なら、通知は「金払えコラって言うぞ?」という感じの意味です(笑)。
 したがって、通知なしでいきなり請求することもできます。でななぜ「1年以内の通知」としているのか?これは簡単な理由で、その方が請負人への担保責任の追及がしやすくなり、注文者が助かるからです。

業務委託契約の注意点

 日頃のビジネスの実務の中で、業務委託契約を結ぶことはよくありますね。
 ここで注意点があります。それは、その業務委託契約が「請負なのか委任なのか」です。
 実は委託契約という名の契約でも、実質は請負契約になっている場合もあるからです。
 契約というのは、双方とも自己に有利な内容で結びたいものです。後々のトラブルを避けるためにも、きちんと各条項を確認し、気になるところがあれば、しっかりと協議した上で(現実問題としてビジネスの世界はスピード感を要求されるものですし相手方との力関係もありますから実際にはそれも中々難しいこともありますが...)、できる限り適切な判断ができるように、ご注意くださいませ。

寄託契約~物の一部滅失と解除/第三者が返還請求してきたら?/混合寄託と消費寄託とは

▼この記事でわかること
寄託契約とは
寄託物の一部滅失(預けた物が傷ついた・壊れた)等による損害賠償請求と費用償還請求
第三者が寄託物の返還を請求してきたら?
寄託契約と賃貸借契約の違い
混合寄託消費寄託とは
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 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者でもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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寄託契約

 寄託契約とは、物を預ける契約です。倉庫に物を預けて保管してもらう契約などは、寄託契約の典型です。
 そして、寄託契約は、書面ナシの互いの合意のみでも成立します(諾成契約)。
 つまり、物を預けて保管してもらう契約(寄託契約)は「預けます」「預かります」の、口約束だけで成立します。

預けた物が傷ついた・壊れた場合
寄託物の一部滅失等による損害賠償請求と費用償還請求


 寄託物(預けた物)の一部が滅失(傷ついた・壊れた)ときは、寄託者(物を預けた人)は受寄者(物を預かった人)に対して、その損害賠償請求ができます。
 また、寄託物(預かった物)の一部滅失(傷ついた・壊れた)が、受寄者(物を預かった人)の責任ではない場合に、そのために費用がかかったときは、受寄者(物を預かった人)は寄託者(物を預けた人)に対して「かかった費用分の金払え!」と費用償還請求ができます。
 この寄託物の一部滅失による損害賠償請求費用償還請求は、寄託者(物を預けた人)が、寄託物(預けた物)返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません。

寄託者 → 受寄者
 損害賠償請求
       >物返還時から1年以内
 費用償還請求
受寄者 → 寄託者

 つまり、預けた側から預かった側に対する損害賠償請求にせよ、預かった側から預けた側に対する費用償還請求にせよ、預けた側の手に物が返った時から1年以内に請求しなければならない、ということです。

預けた側→預かった側
  損害賠償請求
        >物返還時から1年以内
  費用償還請求
預かった側→預けた側

時効完成の猶予
 上記の、寄託物の一部滅失等による損害賠償請求権については、寄託者(物を預けた側)が寄託物(預けた物)の返還を受けた時から1年を経過するまでは、時効の完成が猶予されます。
 時効の完成の猶予とは、時効の進行が一時的にストップする、ということです。
 つまり、寄託物の一部滅失等による損害賠償請求権は、預けた側に物が返還された時から1年間の間は時効の進行が一時的にストップします(時効について詳しくは「取得時効と消滅時効の超基本」をご覧ください)。
時間と金
寄託物に関する権利を主張する第三者
第三者が寄託物の返還を請求してきた場合


 最終的に、寄託物は受寄者(預かった人)から寄託者(預けた人)に返還されなければなりません。
 ですがもし「その寄託物は私のものだ!だから私に返せ!」と主張する第三者が現れた場合、受寄者はどうすればいいのでしょう?

          (通常)
 受寄者(預かった人) → 寄託者(預けた人)
    寄託物   返還?
 私に返せ↑↓返還?  
    第三者

受寄者は誰に寄託物を返還すればいい?

 このような場合でも、受寄者(預かった人)は、原則として寄託者(預けた人)に対して寄託物を返還しなければなりません。
 ただし、例外があります。
 受寄者が訴えの提起等を受けたことを寄託者に通知した場合等において、寄託物を第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決等があったときに、その第三者に寄託物を引き渡したときは、例外的に寄託者に対する返還は不要です。
 これだとちょっとわかりずらいですよね。もう少し噛み砕いて言うとこうです。
「寄託物について受寄者(預かった人)が第三者に裁判を起こされて、その事を寄託者(預けた人)に通知(お知らせ)した上で、その裁判で「寄託物は第三者に返還せよ」という判決が下された場合に、第三者に寄託物が引き渡されたときは、もう寄託者(預けた人)に返さなくいいですよ」
 要するに、裁判の判決で寄託物を第三者に返したのならそれはOK!というハナシです。

寄託契約についての補足

 倉庫に物を預けるとき、実は契約のパターンが二つあります。ひとつは、ここまでご説明申し上げた寄託契約。そしてもうひとつは、賃貸借契約です。
 え?どゆこと?
 わかりやすくざっくり言いますね。
 寄託契約の場合は、物を預かって保管してもらう契約です。
 一方、賃貸借契約の場合は、倉庫自体を借りて自ら保管する契約になります。
 当然、どちらになるかにより料金が異なるのはもちろん、物の保管に関する責任の帰属関係も変わります。
「責任の帰属関係が変わる」とは、例えば、保管物に何かあったときに、誰が責任を持つのか(その原因の問題はここでは省きます)、あるいはその責任の度合い、といったものが変わるのです。
 倉庫に物を保管するといった契約をされる場合は、事前にこのあたりの契約内容を、よく確認しておくことを推奨します。
倉庫
混合寄託と消費寄託

混合寄託
 混合寄託とは、受寄者が複数の寄託者から保管を委託された同一の種類・品質の物を混合して保管し、後に同じ数量を返還する類型の寄託です。
 この説明だけだとよくわからないと思いますので、実例を挙げますと、石油・穀物・金属などの保管で混合寄託が活用されています。
 色んな人からの寄託物(石油・穀物・金属など)を、ひとまとめに保管して、返すときは、預かった物そのものではなく預かった物と同種の物を同量(預かった分だけ)返せば済むので、寄託物(石油・穀物・金属など)の保管のための場所や労力の負担を減らし、寄託の費用の節約にもつながることから、特に倉庫寄託を中心として利用されています。
 何となくイメージできましたかね。
 なお、混合寄託をする場合は、各寄託者(預ける人それぞれ)の承諾が必要です。
 また、寄託物の一部が滅失(傷ついた・壊れた)場合は、各寄託者は、受寄者(預かった人)に対し、総寄託物(ひとまとめに預かったもの全部)に対する、自己の寄託した物の割合に応じた数量(つまり自分が預けた分だけ)の、寄託物の返還を請求できます。損害が生じた場合は、損害賠償請求も可能です。

消費寄託
 消費寄託とは、受寄者(預かった人)が寄託物(預かった物)そのものではなく、それと種類・品質・数量の同じ物を返還する、という寄託で、契約により、受寄者が寄託物を消費することができます。
 消費寄託のもっともわかりやすい例は、銀行の預貯金です。
 銀行(受寄者)は寄託物(預貯金)を、そのお金そのものではなく、各寄託者(各預金者)から預かった分と同じ金額分のお金を返せばOKですよね。さらに銀行(受寄者)は、各預金者から預かって貯まっている大量の預貯金(寄託物)を、銀行融資等で使います。
 なお、預貯金については、受寄者による寄託物の期限前の返還を可能とする規定が設けられています。

この世の中は契約社会~民法は私達の生活に直結している

 皆さんは、民法と聞いて何かピンと来ますか?
 おそらく、法学生や仕事で法務に携わっている方以外は、中々ピンと来ないのではないかと存じます。
 民法とは一体何なのでしょう。

この世の中は契約社会

 当サイトをご覧になってくださっている方で、アパートやマンションあるいは一軒家を借りて住んでいる、いわゆる賃貸不動産にお住いの方は多いと思います。実はその不動産賃貸借に関する規定が、民法の中に存在します。
 民法の条文は、全部で1050条存在します。その中に賃貸借というカテゴリーがあり、そこに不動産賃貸借(家の貸し借り)に関係する規定が存在します。
 例えば、賃貸人(貸主、つまり家主・大家のこと)は賃貸物(賃貸している物件のこと)の修繕義務を負うとか、賃貸人に無断で転貸(また貸し)してはいけない等々。
 ちなみに、今挙げた例は、皆さんが家を借りる(貸す)時に交わした契約書の中にも、盛り込まれていると思います。もしご面倒でなければ、今一度ご覧になってみてください。
 民法というものはこのように、実は我々の生活に密接に関わっています。
 先ほど挙げた不動産賃貸借の例ですが、これは不動産賃貸借契約になります。つまり、契約の一種ということですね。

 ところで皆さん。この世の中は契約社会というのはご存知でしょうか?
 まあ、いきなり契約社会と言われても、はぁ?て感じですよね(笑)。
 ですので、具体例を挙げてご説明いたします。
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 皆さんも普段、当たり前にコンビニなどで買い物をしますよね。実はこれも契約です。その契約の流れはこうです。

1、購入の申し込みをする(レジに商品を持っていく)
2、申し込みの承諾を受ける(店員が商品をスキャンする)
3、代金を支払う
4、商品の引渡しを受ける(買った商品を受け取る
)


 コンビニでモノを買うということは、実はこのような流れの売買契約になります。
 え?こんなことも契約になるの?
 はい。これも立派な売買契約という契約なのです。
 それではここで問題です。上記の「コンビニでモノを買う」という売買契約ですが、この契約が成立するのは、契約の流れの中の1~4の内、一体どの時点だと思いますか?
 正解は2です。つまり、購入の申し込みの承諾を受けた時点で契約が成立します。
 このような契約を民法上、諾成契約といいます。読み方は「だくせいけいやく」です。承諾の諾に成る契約ということですね。
 契約には民法上、他にも◯◯契約というものが複数存在します。

 さて、どうでしょうか。何となく、民法が身近なものに感じて来たのではないでしょうか?


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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
東京都行政書士会所属
根本総合行政書士です。
宜しくお願いします。

保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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