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債権債務の世界がよくわかる!債務不履行&損害賠償&過失責任の原則など超基本から徹底解説!
借金で考える債権の世界~差押え&強制執行の超基本/破産の超基本~債務者に財産が無いとどうなる?
抵当権の超基本~その特徴と意味を徹底解説!抵当権の強さの理由とは?一般財産って何?
人が担保の保証人&物が担保の物上保証~保証債務の超基本!そして代位弁済とは何か?徹底解説!
相殺の超基本~自働債権と受働債権って何?互いの債権額が違うときはどうなる?
債権譲渡の超基本~債権は譲れる?譲るとどうなる?債権譲渡が利用されるケースとは
素材62

債権債務の世界がよくわかる!債務不履行&損害賠償&過失責任の原則など超基本から徹底解説!

▼この記事でわかること
債権債務の超基本
売買契約は視点を変えると債権・債務が入れ替わる
コラム1~物権と比較して考える債権の超基本
コラム2~お金の貸し借りは何契約?
債務不履行の超基本
損害賠償請求の超基本~過失責任の原則
債務不履行の3つの態様
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者でもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。

債権債務の超基本

 この世の中は契約社会です。
 コンビニで物を買うのは売買契約だし、部屋を借りて住むのは賃貸借契約です。
 そして、契約が成立すると、権利義務が生じます。

事例1
AはBの持っているギターが欲しくなり、Bに「そのギターを3万円で売ってくれないか?」と言った。するとBは承諾し、次の土曜日にAはお金を支払いBはギターを引き渡すことになった。


 この事例で、AとBは売買契約を結んでいます。
 売買契約は「買います」「売ります」で成立する諾成契約なので、買主Aの申し込み(ギター売ってくれ!)に売主Bが承諾した時、契約が成立しています。
 すると、AとBは、互いに権利義務が生じます。

[買主Aの権利義務]

 AはBに対し代金支払い義務が生じます。同時に、Bへギターの引渡しを請求する権利も生じます。
[売主Aの権利義務]
 BはAに対しギターの引渡し義務が生じます。同時に、代金を請求する権利も生じます。

 このように、互いに法的な権利義務が生じます。
 そして、買主Aが売主Bにギターの引渡しを請求する権利、売主Bが買主Aに代金を請求する権利、これを債権と言います。
 一方、買主Aが売主Bに代金を支払う義務、売主Bが買主Aにギターを引き渡さなければならない義務、これを債務と言います。
 つまり、買主Aと売主Bは売買契約が成立したことによって、債権債務関係になるのです。
 また、債務を負った者を債務者、債権を有した者を債権者と呼びます。
 したがいまして、売買代金(お金)に関してはAが債務者でBが債権者、ギター(物)に関してはAが債権者でBが債務者となります。

売買契約は視点を変えると債権・債務が入れ替わる

 売買契約は、売主と買主の両者が互いに債権を持ち、互いに債務を負います。
「お金」の視点で見れば、売主が債権者となり、買主が債務者となります。
「売買した物」の視点から見ると、売主が債務者となり、買主が債権者となります。なぜなら、売主は買主に対して「売った物を買主に引き渡す義務」という債務を負います。そして、買主は売主に対して「買った物をよこせ」という債権を持ちます。
 皆さんもお金を払って物を買ったのに、売主が物を引き渡さなかったら「物よこせ!」となりますよね?(金返せ!というのもありますが、それについてはここでは割愛します)。
 したがいまして、事例1のAとBの債権債務関係は、次のようになります。

「お金」の視点で見た場合
債務者   債権者
買主A ← 売主B
    ↑
     債権

ギター(売買物)の視点で見た場合
債権者   債務者
買主A → 売主B
    ↑
     債権

 以上のように、売買契約においては「お金」の視点で見るのか「物」の視点で見るのかにより、債権の矢印の方向が変わります(この視点の切り替えは特に危険負担の問題を考えるときに重要になります)。
 そして、この売買契約のように、互いに債権を持ち互いに債務を負う契約を、双務契約とい言います.。
 なお、物権は物に対する権利ですが、債権は人に対する権利です。事例1に即して言うと、AはBという人に対して、BはAという人に対して、債権という権利を持っている、ということになります。
コラムを飛ばして読む

コラムその1
債権ってどんな権利?

物権と比較して考える債権の超基本

 債権とは、特定の者が特定の者に対して一定の行為を請求することを内容とする権利です。
 わかりやすく簡単に言うと、AさんがBさんに「金払え」「物よこせ」と請求する権利です。
 さて、それではこの「特定の者」とは、一体どのようなことを意味するのでしょうか?
 そもそも、なぜ「特定の者」なのでしょうか?
 実はこの意味について考えていくと、債権というものの、その性質・特徴が分かります。
 したがいまして、ここからその「特定の者」について考えながら、債権という権利の性質・特徴をご説明して参ります。

債権は人に対する権利
素材112債権
 ところで「所有権」は債権なのでしょうか?
 違います。所有権は物権です。物権とは、物に対する権利です。所有権は「この物は私の所有物だ!」という物権になります(物権について詳しくはこちらの記事をご覧ください)。
 一方、債権は「特定の者が特定の者に対して」一定の行為を請求することを内容とする権利です。「特定の者に対して」ということはつまり、債権は人に対する権利なのです。

物権と比較すると債権がよくわかる

 物に対する権利である物権は、1つの物に対して1人の物権が原則です(例外→共有)。
 これを一物一権主義と言います。
 例えば、あなたの時計はあなたの物、すなわち「あなたの所有物」です。全世界の他の誰の物でもありません。あなたはあなたの所有物について、他人を排して支配する権利を持ちます(排他的支配権)。
 もしあなたの時計を他の誰かが勝手に使っていたのなら、あなたは法律上堂々と「その時計は私の物だ!返せ!」と主張できます。なぜなら、あなたの時計はあなたの所有物で、あなたにはその時計の所有権(物権)があり、それは法律上当然に認められた権利だからです。
 あなたの所有物はあなただけの所有物なのです。あなたはあなたの所有権を不特定多数の者に主張できます。これが物権です。

 一方、人に対する権利である債権は、1人の者に対して1人の債権、という原則はありません。
 つまり、1人に対して複数の債権が存在することもあるのです。
 ということは必然的に、1人に対して複数の債務が存在することもあります。
素材113複数債権
 これは現実を考えれば簡単にわかります。
 例えば、八百屋のオヤジが複数の問屋から野菜を仕入れれば、八百屋のオヤジは複数の債務を負うことになります。また、問屋が複数の八百屋に野菜を販売すれば、問屋は複数の債権を持ちます。
 そして、債権は「特定の者が特定の者に対して」有する権利です。AがBに対して持つ債権は、AがBに対する債権でしかありません。つまり、問屋Aが、八百屋Bにみかん10ケース、八百屋Cにみかん20ケースを販売した場合、問屋Aは2つの債権を同時に持ちますが、八百屋Bに対してみかん20ケース分の代金を請求することはできません。なぜなら、それは八百屋Cに対する債権だからです。当たり前の話ですよね。
 また、債権は「特定の者が特定の者に対して」有する権利なので、問屋Aの八百屋Bに対する債権は、他の者とは何の関係もなく、八百屋Cに対する債権とも何の関係もありません。問屋Aの八百屋Bに対する債権の問題は、AB間だけの問題です。問屋Aの八百屋Bに対する債権は、八百屋Bに対してしか主張できません。

コラムその2
お金の貸し借りは何契約?
札束
 物の貸し借りは、消費貸借契約になります。そして、お金の貸し借りは金銭消費貸借契約と呼ばれます(消費貸借契約の超基本はこちらの記事へ)。
 お金の貸し借り、つまり金銭消費貸借契約は、売買契約のように「物」はなく「お金そのもの」、もっと言えば「金〇〇円という価値そのもの」が、契約の目的物になっています。ですので、売買契約とは違い、お金の視点から見た債権債務関係しかありません。
 したがいまして、お金の貸し借りの場合は、貸し手は借り手に対して「金返せ!」という債権を持つ債権者、借り手は貸し手に対して「借りた金を返す義務」という債務を負う債権者、という図式のみになります。

貸し手   借り手
債権者 → 債務者
    ↑
     債権

 この金銭消費貸借契約のように、一方の者だけが債務を負う契約を、片務契約と言います。

【補足】
 ちなみに、債権の場合は、AはBに対して債権を「持つ」、あるいは、債権を「有している」という言い方をします。
 一方で債務の場合は、BはAに対して債務を持つ、というような言い方はしません。債務の場合は、BはAに対して債務を「負う・負っている」という言い方をします。


女性講師
債務不履行の超基本

 ここで再び話を事例1に戻します。
 事例1でのAとBは、互いにギターの売買契約によって生じる義務(約束)を果たさなければなりません。もっとわかりやすく言うと、AとBは売買契約という約束を守らなければなりません。
 そして、この「約束を守る」「義務を果たす」ことを、債務を履行すると言います。
 つまり、事例1で、AとBは互いに相手に対する債務を履行する義務を負っていて、買主Aは売主Bに対し代金を支払えば債務の履行を果たし、売主Bは買主Aに対しギターの引渡しをすれば債務の履行を果たした、ということになります。

債務を履行しなかったら?

 例えば、AB間で「代金は月内に支払う」という約束をして、売主Bが買主Aにギターを売り渡したのに、月末が過ぎても買主Aが一向に代金を支払わないような場合、一体どうなるでしょう?
「月内に代金を支払う」という約束をしたのにもかかわらず、月末が過ぎても一向にその代金を支払わない。というのはつまり「買主Aは期限が過ぎても債務を履行しない」ということです。これを債務不履行と言います。そして、債務不履行の状態になることを「債務不履行に陥る」と言います。つまり、買主Aは債務不履行に陥っているのです。
 さて、買主Aが債務不履行に陥っているのはわかりましたが、早くAから代金をもらいたい売主Aは、一体どうすればいいのでしょうか?
 民法には、次の規定があります。

(債務不履行による損害賠償)
民法415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。


「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき」とは、簡単に言えば「債務者が約束どおりに約束を果たさないとき」ということです。そして、そのような場合、債権者は債務者に対して「生じた損害の賠償を請求できる」ことを民法415条は規定しています。
 したがいまして、買主Aがもし代金を支払えなくなったら(債務を履行できなくなったら)、買主Aは債務不履行となり、売主Bは買主Aに対して、買主Aの債務不履行により生じた損害の賠償を請求することができます(損害賠償請求)。
 なお、この場合「生じた損害」は売買代金です。しかし、それ以外の損害も認められれば、そのときは、売買代金分とそれ以外の損害分とを合わせて、AはBに対して損害賠償を請求することができます。
 
 以上、まとめるとこうなります。

※(お金視点)
債務者   債権者
買主A ← 売主B
    ↑
     債権

そしてBが債務不履行に陥ると...

債務者   債権者
買主A ← 売主B
    
   損害賠償請求権

 つまり、債務者が債務不履行に陥ると、債権者の債務者に対する債権の矢印が、損害賠償請求権の矢印へと変貌します。恐怖の変貌です(笑)。それはまるで、アシュラマンが怒りの面に変わるかの如く、緋村剣心が人斬り抜刀斎に変わるかの如く、といった感じでしょうか(笑)。
 そしてもし、このような事態に陥れば、AとBの関係は最悪になりますよね(笑)。
 ですので皆さん、良好な人間契約の維持のためにも、約束はしっかり守りましょう。
握手
損害賠償請求の超基本
過失責任の原則

 契約の相手方が債務の履行の義務を果たさず債務不履行に陥ったとき(契約の相手方が契約で決めた約束を守らなかったとき)、損害賠償の請求ができます。
 しかし!たとえ契約の相手方が債務不履行に陥ったからといって、必ず損害賠償請求ができるという訳ではありません。

(債務不履行による損害賠償)
民法415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。


「債務者に帰すべき事由」とは、債務の履行ができないこと、つまり、契約の約束を果たせないことの理由が債務者自身にあるということです。
 上記の条文を見ると「債務者に帰すべき事由」という言葉は後段の文章にだけ係っているように読めますが、判例(裁判の判決)では、前半の部分にも「債務者の帰すべき事由」が当然必要だとしています。
 したがいまして、債務不履行による損害賠償の請求は、債務者の帰すべき事由、つまり、債務者に過失(落ち度)があるときにできる、ということになります。
 以上の事を踏まえて、こちらの事例をご覧ください。
)
事例2
AはBの持っているギターが欲しくなり、Bに「そのギターを3万円で売ってくれないか?」と言った。するとBは承諾し、次の土曜日にAはお金を支払いBはギターを引き渡すことになった。しかし、約束の前日の金曜日、Bは空き巣被害に遭いギターを盗まれてしまった。なお、Bの戸締りに不備はなかった。


 この事例2の場合、AはBに対し、Bの債務不履行による損害賠償の請求ができるでしょうか?
 結論は、AはBに損害賠償請求できません。なぜなら、Bが債務不履行に陥ったことについて、Bの過失(落ち度)がないからです。Bは空き巣被害にあっただけの、ただの被害者です。
 したがいまして、Bの無過失(落ち度なし)によりAの損害賠償請求権は成立しません。
 これが、過失責任の原則です。
 債務不履行による損害賠償請求権が成立する流れをまとめると、以下のようになります。

契約の成立

契約義務の発生

債務者の過失

債務者の契約義務不履行(債務不履行)

損害の発生

損害賠償請求権の発生


債務不履行の3つの態様
三本指
 一般的に、債務不履行には3つの態様があるとされています。

【履行遅滞】
 これは、履行できるはずなのに約束の期日に後れること。
 例→Bのミスで土曜日にギターを用意できなくなってしまった場合
【履行不能】
 これは、契約成立後に契約義務の履行が不可能になること
 例→Bのミスでギターを折ってしまった場合
【不完全履行】
契約義務(債務の履行)は果たしたが、目的物に欠陥があった
 例→Bが引き渡したギターの形が歪んでいた場合

 これら3つの債務不履行、覚えておいていただければと存じます。

補足
 事例2で、Bに空き巣被害がなかった場合は、約束通り、AとBは次の土曜日に互いに債務を履行をしなければなりません。
 しかし、約束の土曜日になって、Aがお金を払おうとしないのに「ギターをよこせ」と言ってきたら、Bはどうすればいいでしょう?
 この場合、Bは「お前が金出すまではギターは渡さん!」と言えます。これを同時履行の抗弁権と言います。
 これは、互いに債務を負う双務契約において、非常に重要な権利ですので、是非覚えておいてください。

借金で考える債権の世界~差押え&強制執行の超基本/破産の超基本~債務者に財産が無いとどうなる?

▼この記事でわかること
~お金の貸し借りで考える債権の世界~
約束を破った先には何がある?
不起訴の合意には気をつけろ!
差押え・強制執行の超基本
破産の超基本
債務者に財産がなかったらどうなるのか
債務者破産の典型的なケース
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者でもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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お金の貸し借りで考える債権の世界
約束を破った先には何がある?


 債務を履行するとは、約束を守ることです。
 債務を履行しないとは、約束を破ることです。
(債権債務・債務不履行の超基本はこちらの記事へ)。
 さて、では債務を履行しない=約束を破った先には、一体どんな債権の世界が待ち受けているのでしょうか?
 今回はその問題について、わかりやすく、現実にもよくあるお金の貸し借り(金銭消費貸借契約)を例に、解説して参ります。

事例1
AはBに200万円を貸し付けた。その後、返済期限が過ぎても、Bは一向にその借金を返済しない。


 まず、各当事者の立場と関係性を確認します。
 Bに200万円を貸したAは、Bに対して「200万円返せ」という債権を持ちます。つまり、Aは債権者です。
 そして、Bは「返済期限までに200万円を返さなければならない」という債務を負います。つまり、Bは債務者です。

債権者 債務者
 A → B
   ↑
   債権
 (200万返せ)

 このようになります(Aを貸金業者と考えるとよりイメージしやすいでしょう)。
 さて、この事例1の債務者Bは、返済期限を過ぎても200万円を返しません。つまり、Bは債務を履行しないまま期限を過ぎた=約束を破っています。
 では債権者Aは、債務を履行しない=約束を破ったBに対して、これから一体どのような行為・手続きを行っていくことになるのでしょうか?
 民法には次のような規定があります。

(履行の強制)
414条
債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、直接強制、代替執行、間接強制その他の方法による履行の強制を裁判所に請求することができる。

 債権者Aは、債務不履行に陥った債務者Bに対して、裁判所を使って強制的にその債務を履行させることができます。
 裁判所を使うとは、訴訟を起こすということです。

訴訟を起こすかどうかは債権者の自由
ここがポイント女性
 ここでひとつポイントです。
 債権者は、裁判所を使って強制的にその債務を履行させることができる、つまり、債権者Aは、訴訟を起こすことができるのであって、実際に訴訟を起こすかどうかは、債権者Aの自由なのです。
 このように、民事訴訟の世界では、実際に訴訟を提起するかどうかは、訴える者の自由なのです(これを処分権主義と言う)。

不起訴の合意

 また、債権者と債務者の間で「不起訴の合意」を交わすこともできます。
 不起訴の合意とは「訴えません」という約束をすることです。
 そして、この「訴えません」という約束=不起訴の合意は、拘束力を持ちます。拘束力を持つということは、一度、不起訴の合意をしてしまうと、その後、いくら債務者がその債務を履行しなかったとしても、債権者は訴訟を提起することができなくなります。
 ですので、もし友人間のお金の貸し借りでモメていて、借りた側から不起訴の合意を持ちかけてきた場合は、貸した側の人は、十分お気をつけください。
 なお、不起訴の合意がなされると、その債務は自然債務になります。
 自然債務とは、債務者がその債務を履行すれば有効な弁済※になるが、債権者がそれを強制することができないという、債務者にとっては実に都合の良い債務です。
弁済とは、債務を履行して、その債権を消滅させること。わかりやすく言えば、約束を果たしてその義務がなくなること。

不起訴の合意には気をつけろ!

 自然債務とは、言ってみれば「いくら金借りても絶対に文句を言わない都合のいい友人」から借金した債務みたいなものです(笑)。
 ですので、繰り返しますが、友人間などのお金の貸し借りで不起訴の合意を求められたら、くれぐれも!お気をつけください。もし不起訴の合意をしてしまえば、法的な拘束力を持った形で「いくら金借りても絶対に文句を言わない都合のいい友人」に成り下がってしまいますから。

【補足】
 訴訟などで実際に履行を強制させるための手続きを規定したものが、民事訴訟法です。また、このような法律は、手続法と呼ばれます。
 一方、先述の民法414のような規定・法律は、実体法と呼ばれます。

差押え・強制執行の超基本

 ここからは、債権者が実際に訴訟を起こすフェーズへと話を進めて参ります。

事例2
AはBに200万円を貸し付けた。その後、返済期限が過ぎてもBが一向にその借金を返済しないので、Aは訴訟を提起した。


 これは、債務者のBが返済期限を過ぎてもその借金を返さないので、債権者のAが裁判を起こした、という話です。
 さて、この金の貸し借り(金銭消費貸借契約)のケースで、Aが裁判で立証しなければならないことがあります。それは次の2点です。

1・返還の約束
2・金銭の授受

 つまり債権者Aは、債務者Bの「返済期限までに200万円を返済する義務」と、債務者Bに対して「実際にお金を貸したこと」証明しなければ裁判に勝てません。また、他にも弁済期の到来(返済期限の到来)も主張すべきとされています。
 これらの証明は、借用書があれば、その強力な証拠になります(だから貸金・借金の借用書は大事なのだ!)。
 そして、債権者Aの立証・主張が認められれば
「BはAに対し金200万円を支払え」
というような判決文を裁判所が書き、無事、Aの勝訴となります。
裁判所
強制執行

 ところで、そもそもなぜ、債権者Aは裁判を起こす必要があるのでしょうか?
 裁判は、時間も手間もお金もかかります。そして裁判に勝って、裁判所に「BはAに対し金200万円を支払え」というような判決文を書いてもらって、それでどうなるのでしょうか?
 Bがその判決文を見て自主的に200万円を返してくれるのか?じゃあBが往生際の悪いヤツで、それでも200万円を返そうとしなかったら?
 そうなんです。たとえ判決が出ても、必ずしも、Bが200万円を返すとは限りません。
 もしBが金を返さないままなら、判決文はただの紙切れとなってしまいます。となると、Aはただの紙切れのために時間と手間とお金を使った!ということになってしまいます。
 そこで「BはAに対し金200万円を支払え」という判決文を手に入れたAは、強制執行の手続きを取ることになります。
 強制執行とは、わかりやすく簡単に言えば、国家権力を使って強制的に目的を果たすことです。それが判決文を手に入れることにより可能になります。RPGゲーム風に言えば、裁判というイベントをクリアすると「判決文」というアイテムが手に入り、判決文があれば「強制執行」という魔法が使えるようになり、「強制執行」を使えば強制的に借金を回収できる、みたいな感じでしょうか。
 さしずめ強制執行とは、国家権力という魔獣を召喚する召喚魔法といったところでしょうか(笑)。
 したがいまして、債権者Aは、判決文をもらって強制執行の手続きをして、国家権力を使って、強制的にBから債権を回収(借金を回収)することができます。

差押え

 強制執行には「不動産執行」「動産執行」「債権執行」があります。いずれの強制執行も、債務者の財産を差し押えて行います。
 差押えとは、債務者の目的財産の処分行為を禁止することです。「債務者の目的財産の処分行為を禁止」とは、債務者が勝手に債務者自身の財産を処分できないようにすることです。
 したがいまして、債権者Aは、まず債務者Bの財産を差し押えて勝手に財産を処分できないようにした上で、差し押えた財産を売却して(これを強制競売と言う)、その売却代金から借金を回収することを、国家権力を使って強制的に行うことができます。
 なお、強制的とは「Bの意思に関係なく」ということです。つまり、いくらBが泣こうがわめこうが、国家権力を使って無理矢理Bの財産を差し押えて売却して借金を回収するというわけです。
 Bがかわいそう!
 確かにそうかもしれません。しかしこれは、そもそも借金を返さない債務者Bが自ら引き起こした結果です。
 さらに言えば、Bがかわいそうなら、200万円を返してもらえないAはどうなの?もっと可哀想じゃね?となりますよね。
 というわけで、皆さん。借りたお金はしっかり返しましょう(笑)。ただし、悪徳金融業者にはお気をつけくださいね。

破産の超基本
債務者に財産がなかったらどうなるのか

金欠
 さて、ここからはさらに強制執行の手続きまで至ったフェーズへと話を進めて参ります。

事例3
AはBに200万円を貸し付けた。その後、返済期限が過ぎてもBが一向にその借金を返済しないので、Aは訴訟を提起し、勝訴した。そしてAは強制執行の手続きを取った。


 これは、Bに200万円を貸し付けた債権者であるAが、債務者であるBが返済期限を過ぎても借金200万円を返さないので、裁判を起こして勝訴して強制執行まで至った、という話です。
 さて、ここでひとつ、こんな問題があります。
 強制執行で、借金を回収できれば何も問題はありません。しかし、そもそも債務者Bに、差し押える財産がなかった場合は一体どうなるのでしょうか?
 強制執行とは、債務者の財産を差し押えて、その財産を売却して(強制競売)、その売却代金から債権を回収する事です。
 しかし、これは債務者に財産があることが前提ですよね。つまり、債権者Aが強制執行でお金を回収するには、債務者Bの財産の存在が前提になるということです。
 債務者Bの財産の中で、債権者Aが差し押さえることができる財産を、Bの責任財産一般財産と言います。
 そして、借金を踏み倒した債務者Bからお金を回収するために債権者Aができる方法といえば、債務者Bの責任財産・一般財産を差し押えて売却する強制執行以外にはありません。
 したがって、債務者Bの責任財産・一般財産がスッカラカンなら、債権者Aはお手上げなのです。
 そして、債権者Aがそのお手上げ状態になってしまう典型的なケースが、債務者破産です。

債務者破産の典型的なケース
借金
事例4
AはBから「店を始めるのでお金を貸してくれ。絶対にこの商売を成功させて返すから!」と頼まれた。そこで、AはBにその事業資金として200万円を貸した。それからしばらく、Bの店の経営は順調だったが、ある時からBの店の売り上げはどんどん下がっていき、次第に店の経営状況は悪化し、それと共にBの財産状況も悪化した。金に困ったBはサラ金に手を出し、サラ金業者Cから100万円を借金した。それでも足りないBはさらにクレジット会社Dからも100万円を借金した。そして結局、その後、Bは破産した。なお、Bに残っている財産は200万円の不動産だけである。


 この事例4では、債務者Bに対して「金返せ」という債権者はA・C・Dの3者います。
 そして、各債権者の貸金の金額は、A200万円、サラ金業者C100万円、クレジット会社D100万円です。
 しかし、債務者Bは破産してしまい、Bに残された一般財産は200万円の不動産だけです。

           A(200万返せ)
          ↙︎
B(残財産200万円)←サラ金業者C(100万返せ)
          ↖︎
           クレジット会社D(100万返せ)

 さて、この時点で、残された財産が200万円の不動産のみの債務者Bは、背負った借金
200万+100万+100万=400万円
この全額の返済は不可能なのがわかります。
 では、債務者Bに残された200万円の財産の行方は、一体どうなるのでしょうか?
 Aが回収するのか?それともC?D?
 結論。債務者Bに残された一般財産200万円は、債権者A・C・Dの3者平等に配当されます。
 1番最初にお金を貸したのはAなのに?
 そうです。誰が1番最初にお金を貸したか、つまり、誰が1番最初に債権を有したかは関係ありません。
 そして、返済期限の前後も関係ありません。あくまで債権者は平等に扱われます。これを債権者平等原則と言います。
 したがいまして、債務者Bの財産200万円に対して、借金の総額は400万円ですので、債権者A・C・Dの3者は
200÷400=50%
の配当をそれぞれ受けることになります。
 すると、各債権者が返済を受ける額は次のようになります。

Aが返済を受ける額→200万×50%=100万円
Cが返済を受ける額→100万×50%=50万円
Dが返済を受ける額→200万×50%=50万円


 このような形で、債務者Bの破産手続は終了になります。
 したがって、債権者A・C・Dは、3者とも平等な割合で借金を回収して、3者とも平等な割合で損をするということです。
 債権者平等原則とは、債権者みんなで平等に泣き合う原則、と言ってもいいかもしれません。

破産の裏で泣く債権者

 実は、現実の債務者破産のケースでは、債権者は、1割の配当がもらえればマシ、ぐらいなものです。
 え?そんなもんなの?
 はい。そんなものです。
 ですので、事例4のA・C・Dは、債務者破産のケースの債権者としては、ありえないぐらいマシです。
 よく借金問題とか破産事件だとかの話を聞くと、とかく債務者の方ばかりに目が向きがちだと思いますが、しかしその実、その裏には、スズメの涙ほどの配当で泣いている債権者達がいるんです。
 このように考えていくと、クレジットカード会社などが、なぜ、わざわざ申込者をいちいち審査するのか、その理由がよくわかりますよね。

抵当権の超基本~その特徴と意味を徹底解説!抵当権の強さの理由とは?一般財産って何?

▼この記事でわかること
担保物権の超基本~抵当権ってなに?
抵当権の意味
抵当権の特徴
なぜ抵当権は強いのか
「一般財産」の意味
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者でもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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担保物権(抵当権)の超基本
そもそも抵当権ってなに?

 日常でもよくある、一般的にもっとも馴染みのある抵当権のケースは、住宅ローンです。ですので、住宅ローンの例で解説いたします。
 例えば、Aさんが住宅ローンを組んでマイホームを購入したとしましょう。このとき、Aさんに融資をした(お金を貸した)銀行が債権者Aさんは債務者です。そして債権者である銀行は、万が一、Aさんが住宅ローンを返済できなくなったときのために、そのマイホームを住宅ローンの担保として確保します。「住宅ローンの担保として確保する」とは、わかりやすく言えば「住宅ローンの保証にする」ということです。住宅ローンの保証にするとはつまり「もし住宅ローンが返済できなくなったらこの不動産(マイホーム)を売っぱらってそのお金をローンの返済にあてます」ということです。そして、もし債務者のAさんが住宅ローンの返済ができなくなった場合、債権者である銀行は、担保にした不動産(Aのマイホーム)を強制的に売っぱらって(競売)、その売却代金からお金を回収できます。
 これが抵当権です。そしてこの場合、債権者である銀行が抵当権者となり、債務者であるAさんは抵当権設定者となります。また、このとき担保にしたマイホームを、債務(住宅ローン)の担保に供した不動産(抵当不動産)、と言います。

抵当権の意味

 さて、ではここからは、事例とともに抵当権についてより具体的に考えていきます。

事例1
AはBから「店を始めるのでお金を貸してくれ。絶対にこの商売を成功させて返すから!」と頼まれた。そこで、AはBにその事業資金として200万円を貸した。それからしばらく、Bの店の経営は順調だったが、ある時からBの店の売り上げはどんどん下がっていき、次第に店の経営状況は悪化し、それと共にBの財産状況も悪化した。金に困ったBはサラ金に手を出し、サラ金業者Cから100万円を借金した。それでも足りないBはさらにクレジット会社Dからも100万円を借金した。そして結局、その後、Bは破産した。なお、Bに残っている財産は200万円の不動産だけである。


[関係図]
  A(200万返せ)
 ↙︎
B(残財産200万円)←サラ金業者C(100万返せ)
 ↖︎
  クレジット会社D(100万返せ)

 さて、この事例1で、破産してしまった債務者Bから、債権者A・C・Dの3者が回収できる金額は次のとおりです。

各債権者へのは配当割合
→200万÷400万=50%
したがって
Aが返済を受ける額→200万×50%=100万円
Cが返済を受ける額→100万×50%=50万円
Dが返済を受ける額→200万×50%=50万円


 債権者平等原則により、各債権者は平等に扱われ、上記のような結果になります(債権者平等原則について詳しくはこちらの記事へ)。
 ところで、Aは結局、Bに貸した200万円のうち、返済を受けられたのは半額の100万円でした。
 これって、ハッキリ言って、Aとしては貸し損ですよね。しかし、これが債権者平等原則による結果です。 
 それでは、Aは債権者として、何か取るべき手段はなかったのでしょうか?
 それが、あるのです。そして、その取るべき手段というのが抵当権(担保物権)なのです。

担保物権の代表:抵当権の特徴
ここがポイント女性
 担保物権にはいくつかの種類が存在しますが、抵当権はその中でもっとも現実に利用されている代表的な存在です。
 ではなぜ、抵当権が担保物権の中でもっとも現実に多く利用されているのか?それは抵当権の持つ性質と特徴に起因します。
 まずは抵当権についての民法の条文を見てみましょう。

(抵当権の内容)
民法369条
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。


 上記条文中に、抵当権についての非常に重要なポイントが2つあります。
 それは「占有を移転しないで」「他の債権者に先立って」です。
 それではこの2つのポイントから、抵当権のその性質・特徴について解説していきます。

・「占有を移転しないで」とは
 これは、債務の担保に供した不動産を抵当権者(債権者)が占有する必要がない、という意味です。
 先の住宅ローンの例ですと、Aさんが購入したマイホームはあくまでA自身で占有して、銀行はその不動産(マイホーム)を占有しなくていいということです。
 これは抵当権の大きな利点です。債権者はわざわざ担保にした不動産を占有する必要がないし、債務者は担保にした不動産を使用し続けることができるので、債権者と債務者双方にとって有難いことです。

・「他の債権者に先立って」とは

 これが、債権者にとってはかなりアツイ抵当権の特徴になります。
 どういうことかと言いますと、抵当権を付けておけば、万が一、債務者が破産してしまっても、抵当権を設定した不動産については、優先的にお金を回収することができます。
 え?どういう意味?
 はい。ということで、ここで再び事例1に戻ります。

  A(200万返せ)
 ↙︎
B(残財産200万円)←サラ金業者C(100万返せ)
 ↖︎
  クレジット会社D(100万返せ)

 このような状況で、各債権者が回収できる金額は、債権者平等原則により次のようになります。

Aが返済を受ける額→200万×50%=100万円
Cが返済を受ける額→100万×50%=50万円
Dが返済を受ける額→200万×50%=50万円

 そしてここからが肝です。
 もしAが200万円の貸金について、Bの不動産に抵当権を付けていたとしましょう。すると、なんと結果は次のようになります。

Aが返済を受ける額→200万円
Cが返済を受ける額→0円
Dが返済を受ける額→0円


 これが「他の債権者に先立って」の意味です。
 これは債権者としてかなりデカイですよね。
 つまり、抵当権は、債権者平等原則をすっ飛ばせる強力な効果があるのです。

なぜ抵当権は強いのか
銀行
 抵当権とは、金融機関などが融資(お金を貸すこと)を行う際、その融資したお金が回収できない場合の担保として不動産を確保して、実際にお金が回収できないような事態になったときは、強制的にその不動産を競売に出して(売っぱらって)、他の債権者に優先してその売却金からお金を回収できる権利です。
 さて、ここで再び先ほどの事例を見て見ましょう。


AはBから「店を始めるのでお金を貸してくれ。絶対にこの商売を成功させて返すから!」と頼まれた。そこで、AはBにその事業資金として200万円を貸した。それからしばらく、Bの店の経営は順調だったが、ある時からBの店の売り上げはどんどん下がっていき、次第に店の経営状況は悪化し、それと共にBの財産状況も悪化した。金に困ったBはサラ金に手を出し、サラ金業者Cから100万円を借金した。それでも足りないBはさらにクレジット会社Dからも100万円を借金した。そして結局、その後、Bは破産した。尚、Bに残っている財産は200万円の不動産だけである。


 このケースで、各債権者の回収できる金額は次のとおりです。

Aが返済を受ける額→200万×50%=100万円
Cが返済を受ける額→100万×50%=50万円
Dが返済を受ける額→200万×50%=50万円

 これが債権者平等原則による結果です。
 ところが、Aが200万円の貸金についてBの不動産に抵当権を付けていた場合は、各債権者の回収できる金額は次のようになります。

Aが返済を受ける額→200万円
Cが返済を受ける額→0円
Dが返済を受ける額→0円


 抵当権は、抵当不動産について「他の債権者に先立って」自己の弁済を受けることができる権利です。
 したがって、AはBの不動産に抵当権を付ければ、抵当権者として、CとDに優先して、Bの不動産200万円からお金を回収することができます。これが抵当権の強みです。

抵当権はなぜそんなに強いのか?
?女性
 CとDにしてみれば、AがBの不動産に抵当権を付けていたというだけで、1円も回収することができなくなってしまいます。その理由は、民法で「他の債権者に先立って」と規定されているから、と説明してもいいのですが、こう説明することもできます。
 抵当権は担保物権です。すなわち、抵当権は物権なのです。
 民法の原則として、物権は債権よりも強い権利です。特定の者が特定の者に対して主張できる権利が債権なのに対し、物権は不特定多数の全ての者に対して主張できる権利です。したがって、物権は債権に勝ります。
 ですので、担保物権という物権である抵当権債権に勝り、抵当権者は他の債権者に優先して、抵当不動産からお金を回収することができるのです。
 なお、抵当権は登記できます。これも、抵当権が物権として強力な権利であることを示していますね。

「一般財産」の意味

 抵当権者以外(正確に言うと担保物権者以外)の債権者を、一般債権者と言います。
 そして、一般債権者が差し押さえることができる財産を一般財産と言います(差し押さえについて詳しくはこちらの記事へ)。
 つまり、一般財産というのは、債務者の総財産から「抵当不動産などの担保として確保された財産」を差し引いた財産のことです(よく借金問題や破産事件などで「一般財産」という言葉を聞くことがあると思いますが、その言葉の意味は、今回ご説明申し上げた担保物権(抵当権)の仕組みを理解しないと、本当の意味ではよくわからないのではないかと思われます)。
 したがいまして、事例で、AがBの不動産に抵当権を付けていた場合は、サラ金業者Cとクレジット会社Dは、あてにできるBの財産は一般財産だけで、一般財産がなければアウトということです。
 また、もしBの不動産が300万円のもので、Aの貸金を回収してもなお100万円残っていれば、その100万円をCとDは50万ずつ分け合うことになります。つまり、抵当権者がライオンなら、一般債権者はハイエナです。先にライオンが食い散らかした財産を、後からハイエナ達が食い合うようなものです。

 以上、抵当権の基本についての解説なります。こうやって考えていくと、なぜ住宅ローンを組むときに、金融機関が購入した不動産に抵当権を付けるのか、その意味がよくわかりますよね。
 また、余裕がございましたら「債権債務の世界がよくわかる!債務不履行&損害賠償&過失責任の原則など超基本から徹底解説!」から順に、今回の記事までお読みいただくと、より債権というものについての理解が深まるかと思いますので、よろしければ是非。

人が担保の保証人&物が担保の物上保証~保証債務の超基本!そして代位弁済とは何か?徹底解説!

▼この記事でわかること
保証人&保証債務の超基本
物上保証とは
物上保証人と保証人の違い
代位弁済とは?法定代位と任意代位
主債務者1人に対して「弁済による代位者」となるべきものが複数いる場合
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者でもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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保証人・保証債務の超基本

例1
AはBに300万円を貸し付けた。その後、返済期限が過ぎても、Bは一向にその借金を返済しない。


 さて、いきなり事例から始まりましたが、この事例で、Aは困っています。
 なぜなら、貸し付けた300万円をBが返済しないからです。
 このままいけば、Aが取るべき手段は、そのまま諦めるか訴訟を提起するかのどちらかです。
 そのまま諦めれば、貸した300万円はドブに捨てたようなもんです。
 となると、Aとしては訴訟を提起して、なんとか300万円を回収したいところです。
 訴訟を提起して裁判で勝訴すれば、AはBに対して強制執行の手続きを取ることができます。
 そして、Bの一般財産を差し押さえて、強制競売によりお金を回収することになります(強制執行と差押えについて詳しくはこちらの記事へ)。
 それで一件落着...と言いたいところですが、この方法にはリスクがあります。
 というのも、もしBに財産がなかったら、たとえ強制執行したところで、お金は回収できません。「無い袖は振れない」というヤツです。
 ましてや、裁判をするとなると、手間も時間もお金もかかります。それで強制執行して1円も回収できなかったら、まさに「骨折り損のくたびれもうけ」です。
 さらに、たとえBに財産が残されていたとしても、他にも債権者がいた場合は、他の債権者とその財産を分け合うこととなり、貸し付けたお金の全額の回収は非常に難しくなります(現実の債務者破産のケースに至っては、債権の1割が回収できればマシだとされる。
 したがいまして、強制執行は、債務者Bの意思に関係なく、国家権力を使って強制的にお金を回収することができますが、実はリスクも大きいのです。
 他にAの取れる手段は本当にないの?
 あります。ただそれは「お金を貸し付ける段階で取っておくべき手段」になります。すなわち、事前に取っておくべき手段です。
 それはどんな手段?
 まずひとつは、抵当権(担保物権)です。貸し付ける300万円の担保として、Bの不動産を確保する方法です。
 これなら、担保にしたBの不動産については、300万円という貸金の回収のための財産として、確実に確保しておくことができます(抵当権について詳しくはこちらの記事へ)。
 他には?
 あります。これも「お金を貸し付ける段階で取っておくべき手段」で、保証人を立てる方法です。

保証債務とは
ここがポイント女性
 冒頭の事例で、債権者のAは、債務者のBに、貸したお金を返してもらえない、という事態に陥ってしまいました。当然、Aは貸したお金をきっちり回収したいはずです。
 そこで、Aはあらかじめこのような事態に陥った場合を想定して、Bにお金を貸し付ける段階で、Bの保証人保証契約を結ぶことができます。
 保証人との保証契約とは、要するに「債務者Bがお金を返せなかったとき、保証人か肩代わりしますよ」という約束です。
 つまり、Bの保証人と保証契約を結んでおけば、Bが300万円の返済を滞らせても、Aは保証人に対して300万円を取り立てることができます。
 保証人は、いわば人的担保です。
 抵当権が、いざというときに担保として確保した不動産をおさえるのに対し、保証債務は、いざというときに保証人という「人そのもの」をおさえます。
 だから「人的担保」なのです。
 なお、Bが保証人を立てた場合、保証人のAに対する債務を保証債務、BのAに対する債務を主債務といい、Bは主債務者という立場になります。

主債務者 債権者 
  B ← A → 保証人
(主債務)    (保証債務)

 ここで2つ、注意点があります。

・保証債務の付従性
 保証債務は、あくまで主債務の存在が前提です。
 したがって、主債務者Bの債務、すなわち主債務が、無効であったり取り消されたりしたような場合は、保証債務も成立しなくなります。
 このような保証債務の性質を、付従性と言います。

・主債務の保証債務はあくまで別個の契約
 先述のとおり、保証債務は主債務の存在が前提に成り立っています。
 ただし、保証契約の当事者は、あくまで債権者と保証人です。
 つまり、Bの債務の保証のためとはいえ、保証契約を結ぶのはAと保証人であって、Bの保証人が結ぶわけではありません。
 したがって、AがBの保証人と保証契約を結ぶと「AB間の主債務の契約」と「Aと保証人の保証契約」の2つの契約が並立することになります。

債権者A ー 主債務者B ←主債務の契約
              ⇅(並立
債権者A ー Bの保証人 ←保証契約

物上保証
家くん
 抵当権は、債務者の不動産を担保とします。これに対し、保証人は「保証人そのもの」を担保とする、いわば人的担保です。
 さらに、債務者以外の「人の物(財産)」を担保にすることもできます。それが物上保証です。
 そして、物上保証の場合の保証人は、物上保証人となります。

事例2
BはA銀行から事業資金を借り入れようとしていたが、担保にできるような財産を持っていなかった。そこで、大地主の娘である妻Cが、夫Bのために自らの財産(不動産)をその事業資金の融資のための担保にした。


 これが、物上保証の典型的なケースです。この事例2は、Bが銀行から融資を受けるために、Bの妻Cが、BのためにC自身の財産(不動産)を担保にした、という話です。
 もう物上保証の意味は、おわかりになりますよね。
 そしてこのとき、A銀行は債権者、Bは主債務者、Cは物上保証人、という立場になります。

      債権者
      A銀行
(貸金債権)↙︎   ↘︎(抵当権)
    B     C
  主債務者   物上保証人

物上保証人と保証人の違い

 ところで、保証人は「保証人そのもの」を担保とするいわば人的担保ですが、それに対して、物上保証人は「保証人の財産」を担保とします。
 ん?それで何が違うの?
 実は、この「保証人そのもの」と「保証人の財産」の違いは、かなり重要な意味があります。

保証人の場合

 保証人は、主債務者が債務を履行しないときに、その債務を肩代わりします。
 例えば、BがAから借金をしていて、Bの保証人がCの場合、Bが借金を返せないときに、CがBの借金を肩代わりすることになります。
 Bの借金が100万円なら100万円、1000万円なら1000万円を、Cが肩代わりすることになります。加えて、遅延損害金があれば、それも合わせてCが肩代わりしなければなりません。
 さらにそれだけではありません。もし保証人Cが主債務者Bの借金を肩代わりしなければならなくなった場合に、保証人Cが「そんな金払えるか!」と言って支払わないとなると、債権者Aは、保証人Cに対して訴訟を提起することができます。
 つまり、保証人Cは、場合によってはBの借金のために、債権者Aから裁判を起こされる可能性があるのです。
 マジで?保証人キッツイわ~!
 はい。マジ、キッツイです。ということで、保証人の責任には限度がないのです。これを、保証人の無限責任と言います。
 そして、この「保証人の無限責任」こそ、保証人は「保証人そのもの」を担保にする、ということの真の意味です(厳密に言えば、保証人にもいくつかの種類があり、その種類ごとに責任の重さも異なりますが、それについては、また別途改めて解説いたします)。

物上保証人の場合

 物上保証は、物上保証人の「特定の財産」を担保にします。
 例えば、BがAから借金をしていて、Bの物上保証人がCの場合、Bが借金を返せないときに、CがBのために担保にした不動産を競売に出して、その売却金をBの借金返済にあてることになります。
 ん?保証人とどう違うの?
 全然違います。なぜなら、物上保証人Cは、いざBの借金返済のために持って行かれる財産は、Bのために担保にした不動産のみです。
 もう少しわかりやすく詳しく説明すると、Bの借金が1000万円で、物上保証人CがBのために担保にした不動産が500万円相当だったとしても、いざBの借金返済のために持って行かれるCの財産は、500万円相当の不動産のみです。
 残りの借金500万円に関しては、Cに責任は及びません。担保にした不動産が競売に出されて、そこでCの責任は終了です。
 Bの借金がいくら残っていようが、もはやCには関係ありません。
 なぜなら、物上保証人Cが責任を負うのは、あくまで担保にした不動産だけであって、Bの借金そのものの責任を負うわけではないからです。
 したがって、物上保証人の責任には限度があります。保証人の責任は無限責任ですが、物上保証人の責任は有限責任なのです。

 以上が、保証人と物上保証人の違いになります。
 この違いを理解すると、そもそも保証人とは何なのか?物上保証人とは何なのか?ということが、よく理解できるかと思います。
 保証人は無限責任、物上保証人は有限責任。
 皆さん、誰かの保証人になろうとするときは、ここでご説明した内容をよく理解した上で、どうぞご判断ください。

代位弁済
講師とホワイトボード
 最後に、保証人の弁済とも繋がる「代位弁済」というものについて、解説いたします。

法定代位と任意代位

【法定代位】
 民法では「弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する」と規定されています。
 これは「弁済による代位=代位弁済」のことですが、どういう意味かというと、保証人・物上保証人等が主債務者に代わって弁済をすれば、債権者に属する担保権等の権利は保証人・物上保証人等に移転するということです。
 もっと噛み砕いてわかりやすく言うと、保証人・物上保証人等が主債務者に代わって弁済をすれば、その後は、保証人・物上保証人等が債権者に代わる(代位する)ということです。そしてこれは、そういう状況になれば法律上当然に適用される法定代位です(そういう状況になれば問答無用で適用されるルールということ)。
【任意代位】
 一方、法定代位に対して、任意代位というものもあります。
 先ほど「弁済をするについて正当な利益を有する者」というフレーズが出てきました。これはわかりやすく言ってしまえば、保証人や物上保証人のことです。つまり、保証人や物上保証人が弁済した場合に法定代位の問題になるのです。
 では「弁済をするについて正当な利益を有しない者」が弁済した場合はどうなるのでしょうか?
「弁済をするについて正当な利益を有する者」が保証人や物上保証人を指す、ということは「弁済をするについて正当な利益を有しない者」とは、保証人や物上保証人以外の者ということになります。
 したがって「弁済をするについて正当な利益を有しない者」が弁済した場合とは「保証人や物上保証人以外の者が弁済した場合」というこです。
 具体例を挙げると、保証人でもない親が子供の借金を肩代わりしたような場合です。これが任意弁済です。
 ではこの場合、保証人や物上保証人が弁済したときと同じように、債権者に属する担保権等の権利は親に移転するのでしょうか?
 この場合にも弁済による代位は生じます。つまり、債権者に属する担保権等の権利は親に移転します。
 ただし、そのためには次の2つの要件を満たす必要があります。

1・債権者の同意
2・対抗要件としての債権者から債務者(子)への通知または債務者の承諾

 つまり、親が子供の借金を肩代わりした場合に「弁済による代位(任意代位)」が生じるには「親が債務者(子)の借金を肩代わりすること」を債権者が同意して、そのことを「債権者から債務者(子)へ通知」または「債務者(子)が承諾」することが必要だということです。

 以上が、法定代位と任意代位です。

補足
主債務者1人に対して「弁済による代位者」となるべきものが複数いる場合

三人
 いずれの者が弁済しても、弁済者は主債務者に対して全額の求償ができます(保証人の求償については詳しくはこちら)。
 しかし、主債務者が無資力(金が無い状態)の場合もあります。そして、その場合のルールはあらかじめ定められています。
 では、どういうルールに基づき弁済者は債権者に代位(債権者に代わって債権者の権利を行使)するのでしょうか?

1【保証人と第三取得者のケース】
※第三取得者とは、抵当権が設定された後にその不動産を取得した者(これについて詳しくはこちら)
・保証人が弁済した場合
 この場合、保証人は第三取得者に対して代位できます。ただし、そのためには弁済後、第三取得者が登場する前に保証人名義の抵当権等の移転登記を受けることが必要です(弁済当時に存在する第三取得者との関係では登記不要)。
・第三取得者が弁済した場合
 この場合、第三取得者は保証人に対して代位できません。そもそも、第三取得者は抵当付きの不動産を安く買い叩いているはずなので、代位の必要性はないと考えられます。

2【第三取得者と第三取得者のケース】
・第三取得者の1人が弁済した場合
 各不動産の価格に応じて、弁済した第三取得者は他の第三取得者に対して代位します。例えば、1000万円の甲土地を取得したA、2000万円の乙土地を取得したBがいて、債権額1500万円の抵当権が、甲土地(負担額500万円)、乙土地(負担額1000万円)に設定されていたとします。そして、Aが1500万円全額弁済した場合、AはBに対して1000万円(甲土地の価格)の限度で乙土地の抵当権に代位できます。

3【物上保証人と物上保証人のケース】
・物上保証人の1人が弁済した場合
 各不動産の価格に応じて、弁済した物上保証人は他の物上保証人に対して代位します。考え方は前述の2のケースと同じです。

4【保証人と物上保証人のケース】
・保証人と物上保証人のいずれかが弁済した場合
 頭数に応じて代位します。

 以上が、代位弁済についての端的な解説になります。
 なお、代位弁済については、抵当権の基本についての理解の前提がないとわかりづらいかと思いますので、よろしければこちらかもしくは「」をお読みいただければ、代位弁済についての理解が深まるかと存じます。

相殺の超基本~自働債権と受働債権って何?互いの債権額が違うときはどうなる?

▼この記事でわかること
相殺の超基本
自働債権と受働債権
互いの債権額が違う場合
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者でもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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相殺の超基本

 相殺とは、互いの債権を打ち消し合う仕組みです。
 といってもこれだけでは中々ピンと来ませんので、事例とともに解説します。

事例1
AはBから10万円のギターを買い受け、その代金はまだ支払っていない。また、BはAから10万円のベースを買い受け、その代金はまだ支払っていない。


 この事例1では、AはBに対してギター代金「10万円支払え」という債権を持っているのと同時に、BもAに対してベース代金「10万円支払え」という債権を持っています。つまり、お互いがお互いに対して「金払え」という同種の債権を持っています。
 さて、このような場合に、Aが相殺をすると、AのBに対する「10万円支払え」という債権は消滅し、BのAに対する「10万円支払え」という債権も消滅します。
 これが相殺です。

 ギター代債権10万円
     ↓
    A⇆B
     ↑
 ベース代債権10万円

Aが相殺をすると

A→債権消滅←B

 相殺とは、互いが互いに同種の債務を負っていて、互いが互いに対して同種の債権(ほとんどの場合が金銭債権と思ってOK)を持つ場合に、一方の意思表示で互いの債権を打ち消し合う仕組みです。
 ここで「あれ?」と思った方もいらっしゃるかと思います。そうです。相殺は、あくまで一方の意思表示で行います。
 つまり、AはBの意思に関係なく、Aの意思だけで相殺ができます。同様に、Bから相殺する場合も、BはAの意思に関係なく、Bの意思だけで相殺ができます。

自働債権と受働債権

 Aから相殺する場合、AのBに対する「ベース代金10万円支払え」という債権を自動債権、BのAに対する「ギター代金10万円支払え」という債権を受動債権と言います。

[Aから相殺する場合]

ギター代金債権10万円←受動債権
     ↓
    A⇆B
     ↑
ベース代金債権10万円←自働債権

 また、Bから相殺する事ももちろん可能です(結果はAからする場合と同じ)。
 その場合は、BのAに対する「ギター代金10万円支払え」という債権が自動債権、AのBに対する「ベース代金10万円支払え」という債権が受動債権となります。

[Bから相殺する場合]

ギター代金債権10万円←自動債権
     ↓
    A⇆B
     ↑
ベース代金債権10万円←受動債権

 つまり、相殺する側(相殺の意思表示をする側)の債権が自動債権、相殺される側の債権が受動債権、ということです。

互いの債権額が違う場合
?女性
 続いて、次のようなケースではどうなるでしょう?

事例2
AはBから10万円のギターを買い受け、その代金はまだ支払っていない。また、BはAから15万円のベースを買い受け、その代金はまだ支払っていない。


 この事例2でも、AとBは互いに債権を持っています。
 しかし、今回は互いの債権の額が違います。BのAに対する債権が「10万円支払え」なのに対し、AのBに対する債権は「15万円支払え」となっています。
 それではこの事例2で、Aが相殺すると、AとBの債権はどうなるのでしょうか?
 相殺すると、各債務者はその対等額についてその債務を免れます(民法505条)。
 つまり、相殺すると、互いの債権額のうち対等額分(同額分)が消滅します。
 したがいまして、事例2でAが相殺をすると、AとBの互いの債権の対等額10万円分が消滅します。
 よって、AのBに対する債権は「5万円支払え」となり、BのAに対する債権は消滅します。

ギター代金債権10万円
     ↓
    A⇆B
     ↑
ベース代金債権15万円

Aが相殺すると

(ギター代債権は消滅
    A→B
     ↑
ベース代金債権5万円


 以上、相殺についての超基本になります。
 なお、相殺については「連帯債務の相殺と求償~」の中でも具体的な事例とともに解説していますので、よろしければそちらも併せてお読みいただければと存じます。

債権譲渡の超基本~債権は譲れる?譲るとどうなる?債権譲渡が利用されるケースとは

▼この記事でわかること
債権譲渡の超基本
そもそも債権を譲渡することなんてあるの?
実際に債権譲渡が利用されるケースの典型
(上記クリックorタップでジャンプします)
 今回はこれらの事について、その内容、意味、結論、理由など、初学者でもわかりやすく学習できますよう解説して参ります。
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債権譲渡の超基本

 債権は譲り渡すことができます。
 例えば、AがBに対して持っている「50万円支払え」という債権を、AがCに譲り渡すことができます。
 これを債権譲渡と言います。
 そして、債権譲渡が行われると、その債権が譲渡人から譲受人のものへと移ります。
 つまり、AのBに対する「50万円支払え」という債権がCに債権譲渡されると、CがBに対してその「50万円支払え」という債権を持つことになります。
 このときの譲渡人譲受人です。

譲渡人 譲受人
 A → C
   ↑
 債権譲渡

そして債権債務関係が次のようになる。

債権譲渡前
債権者 債務者
 A → B

債権譲渡後
債権者 債務者
 C → B

そもそも債権を譲渡することなんてあるの?
?女性
 あります。
 例えば、AがBに500万円を貸し付けていて、その弁済期(金を返す期限)が1年後だった場合に、Aが今すぐまとまった現金が必要になったようなときです。
 このとき、AはBに対して「今すぐ500万円返せ」とは言えません。なぜなら弁済期が1年後だからです。
 一方、Bには弁済期までは500万円を返さなくても良い正当な権利があります(期限の利益)。
 そこで、Aはこう考えます。
誰かこの500万円の金銭債権(「500万円返せ」という権利)を買ってくれないかな
 すると、そこにCが現れて
だったらその500万円の金債債権、450万円で買ってやるよ
とAに言ってきました。
 Aとしては、500万円の金銭債権を450万円で売るわけですから、50万円の損になります。しかし、それでもAは今すぐにどうしてもまとまったお金が必要です。
 背に腹はかえられないということで、Aは500万円の金銭債権をCに450万円で売りました。
 一方、CはBに対して「500万円支払え」と請求できる権利(債権)を450万円で買ったわけですから、1年後にBから500万円全額の弁済を受ければ、50万円の儲けになる、というわけです(ただし「債務者Bに借金を踏み倒される可能性」というリスクもある)。
 
実際に債権譲渡が利用されるケースの典型

 実際に債権譲渡が利用される典型的なケースとして、債権者が弁済能力のない(簡単に言えばお金がなくて支払い能力がない)債務者から、その債務者に対する債権を回収するために、その債務者自身が持っている債権を譲渡してもらう、というのがあります。
 これは企業間で、取引先の会社の経営状況が不安定なため、その取引先の債務の弁済として、その取引先が持っている債権を譲渡してもらう、などといったケースです。
 以下にその具体例を記します。

A社はB社に100万円の売掛金債権を持っている。B社はC社に100万円の売掛金債権を持っている。A社はB社に対する100万円の売掛金債権を回収したいが、経営状況の悪いB社には100万円の支払い能力がない。そこでA社とB社は、B社がC社に対して持つ100万円の売掛金債権を、B社からA社に債権譲渡する契約を結んだ。

 これが、実際に債権譲渡が利用される典型的なケースです。
 このケースの場合、A社が債権譲渡の譲受人で、B社譲渡人です。
 そして債権譲渡により、A社はC社に対して100万円の支払いを請求することができ、C社に100万円の支払い能力があれば、A社は無事、100万円の売掛金債権を回収することができます。
 そして、その債権譲渡により、B社はA社に対する100万円の債務を履行したことになります。
 このような事例から、債権譲渡という制度には一定の必要性と合理性がある、ということがわかりますよね。

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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
東京都行政書士会所属
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保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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