数量指示売買(数量不足)売主の担保責任

事例
売主Aは甲土地を買主Bに売却した。売買代金は登記簿上の地積に坪単価を掛けて算出した。しかし、甲土地を実測すると登記簿上の地積には足りなかった。


 これはどういう事例かというと、こういうことです。
「Aが売った土地の面積が、Bが買ってから実際測ってみたら、登記簿に記されていた面積よりも少なかった」
 登記簿には面積が記されています。しかし、実測してみると(実際測ってみると)登記簿と違うことがあります。正にこの事例でそれが起こったという訳です。
 さて、この事例で買主Bは何ができるでしょうか?

買主Bが善意の場合
 善意の買主Bは「残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったとき」つまり、登記簿上よりも少ない実測した実際の甲土地の部分のみでは買主Bは買い受けなかったであろうときは、契約の解除ができます。加えて、損害が発生していれば損害賠償の請求も可能です。また、代金減額請求は当然に可能です。
買主Bが悪意の場合
 民法は、目的物の数量が不足しているのを知りながら契約をするのは通常ありえないと考えます。ですのでその場合の条文は存在しません。そんな条文まで作っていたらキリがなくなってしまいますからね。ですのでこの場合は何もできないと思っておいて結構です(現実には個別具体的な判断になると思います)。

 という訳で、買主Bは善意の場合に限り、上記のような権利を行使できます。ただし!その権利の行使には期間の制限があります。事実を知ってから一年です。あまり時間が経ってから数量が足りないだなんて揉められても事実関係が不明瞭になりがちですし裁判所も困ります。よって事実を知ってから一年という期間制限を設けています。
 まとめるとこうなります。
買主Bは善意の場合に限り、残存する部分のみであればこれ(甲土地)を買い受けなかったときには契約の解除ができ、損害が発生していれば損賠賠償の請求も可能。また、代金減額請求は当然にできる。ただし善意の買主Bのそれらの権利の行使は、甲土地の面積が登記簿上より実際は足りなかった、という事実を知ってから一年以内に行わなければならない

 ところで、今回の事例でご説明した内容は「売買の目的物の数量が不足していたとき」の話です。ではこれが「売買の目的物の数量が多すぎたとき」にはどうでしょう?このときに売主からの代金減額請求は可能でしょうか?答えは、売主からの代金減額請求はできません。これは判例でそのように結論づけられています。売主がおっちょこちょいだった、で終わってしまうということです。

補足

 今回ご説明してきた内容は、民法の条文上では565条の規定になります。そして民法565条の規定というのは特定物売買に関する規定です。
 特定物って?
 特定物とは、この世の中に全く同じ物が他に存在しない物、です。例えば中古品は全て特定物になります。服であれば古着は全て特定物です。なぜなら必ず品ごとに状態が違いますよね。ですので法律上は全く同じ物の代わりはないと考えます。反対に新品の服は不特定物となります。服屋が新品の服を5着発注して1着足りなくても、同じ服を1着納入すれば済む話です。しかし古着では同じ服はあっても全く同じ状態の服は存在しません。ちなみにオーダーメイドの服であれば特定物になります。これはあくまで法律上の規定の話ですので、あまり深く考えず「法律上そうなっているんだ」と素直に受け止めて下さい。
 そして不動産は土地だろうと建物が新築だろうが中古物件だろうが全て特定物です。窓から見える景色が微妙に違う、陽の当たり方が微妙に違う、それだけで特定物なのです。

 という訳で今回は以上になります。最後までお読み頂き有難うございます。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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