売主の担保責任 全部他人物売買

 民法561条から572条まで、売主の担保責任についての規定が並びます。売主の担保責任とは、売主が売主の地位にあるというだけで負わなければならない法定責任(※1)です。つまり、売主の無過失責任(※2)ということです。

※1法定責任とは
 法律で定められた責任のこと。逆に、法律で定められてはいないが契約等で定めた責任を任意責任という。
※2無過失責任とは
 過失(落ち度・ミス)がなくても負う責任のこと。

 それでは、まず事例をご覧ください。

事例1
売主Aは買主Bと甲不動産の売買契約を締結した。しかし、甲不動産はC所有の物で、売主AはCから所有権を取得してBに移転するつもりだったが、それができなかった。


 この事例1は、他人物売買がうまくいかなかったパターンですね。
 さて、この場合、買主Bは何ができるでしょうか?実は、それはAが善意か悪意かで、できることが変わってきます。

買主Bが善意の場合
 Bが善意というのはつまり、「甲不動産が本当はC所有の物とは知らず売主Aの物だと誤信していた」ということです。この場合は、買主Bの保護の必要性が高いと考えられ、Bは契約の解除ができ、加えて損害賠償の請求もできます。
買主Bが悪意の場合
 Bが悪意というのはつまり、「甲不動産がC所有の物だと知っていた」ということです。この場合、Bは契約の解除ができます。悪意なのに?という声が聞こえてきそうですが、このように考えるとよくわかると思います。
 「売主Aは不動産業者で、買主Bは不動産業者のAにC所有の甲不動産の転売を依頼した」
 このように考えると「な~んだ、よくある話じゃん」となりますよね。よって、買主Bは悪意でも契約の解除ができます。しかし、損害賠償の請求はできません。そこまでの権利は、悪意の買主には認められません。なぜなら、そもそも買主Bが甲不動産がC所有の物だと知っていたなら、少なからずBにも、その所有権移転が失敗する可能性は予測できると考えられるからです。妥当な理屈ですよね。

 ここまで、おわかりになって頂けましたでしょうか。それでは、ここからさらに深く掘り下げて参ります。

売主Aからの解除はできるのか

 実は、売主Aからの解除も可能です。ただし!売主Aが善意の場合のみです。売主Aが善意の場合とは、甲不動産がC所有ではなくA所有だと誤信していたケースです。オマヌケっちゃあオマヌケですが、売主Aが善意であれば、売主側からの解除も可能ということです。ただし!その場合も、買主Bが善意であれば、売主Aは善意のBに損害を賠償した上で解除する必要があります。尚、買主Bが悪意の場合は、売主Aは損害の賠償ナシで解除できます。

売主Aに過失があった場合は?

 例えば、こんな場合はどうでしょう。売主Aが「C所有の甲不動産の所有権、確実に移転できます!」と、買主Bに大見栄を切っていたら?このような場合、買主Bは悪意ではありますが「だったら甲不動産の所有権の取得は大丈夫だな」と信頼しています。判例では、その信頼は保護すべきだとして、買主に売主の債務不履行による損害賠償の請求を認めています。このケースにおいての結論も、頭に入れておいて頂ければと存じます。

 いかがでしたでしょうか。ちょっと入り組んでいて頭がごちゃごちゃしてしまっている方もいらっしゃると思います。こればっかりは繰り返して落とし込んでいく必要があると思いますが、全てのケースを一辺に考えようとせず、ひとつひとつ理解・整理しながら考えていった方がいいかな、と思います。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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